舞翼です!!
気合いで書きあげました。……いやまあ、ネタが尽きてきたからね(-_-;)
今回は、久しぶりに和人君と木綿季ちゃんがメインですね。
てか、君の名は。の映画は最高だね( `・ω・´)
では、投稿です。
本編をどうぞ。
二〇五一年。 六月。
現在、俺たち家族と子供たちの親友の愛華ちゃんは、成田空港に赴いていた。 そう、今日から家族旅行なのである。
旅行先は、一泊二日の北海道である。
俺たちは、ターンテーブルにキャリーバックを預け、小物の荷物を持ち、係員にチケットを見せタームミナルを通り飛行機の内部へ乗り込む。 ちなみに、俺の席の番号はk-2席だ。 もちろん、k-1は木綿季だ。
「楽しみだね、家族旅行」
「まあな。 最近出かけてなかったしな」
数分経過した頃、CAさんの指示に従ってシートベルトを締める。
僅かな重力がかかり、飛行機は離陸を開始した。 事務的アナウンスが流れ、それを追いかけるように、英語で同じ内容が繰り返される。
飛行機が水平になった所で、俺は隣に座る木綿季を見る。
「んで、最初は何処に行くんだっけ?」
木綿季は、ぷんぷんと怒った。歳を――。と言いたい所だが、現役の大学生に負けない位可愛いのだ。 流石、我が奥さんである。
てか、本人たちはどうか知らないが、明日奈と藍子も大学生で十分通じる容姿だ。
「も、もう、昨日話し合ったでしょ。 最初は、
「……あ、そうだった。 ヤバいな。 ボケが始まってるかも」
木綿季は首を傾げた。
「そんなことないと思うよ。 和人がボケちゃったら、日本の未来はどうなっちゃうのさ」
俺がボケたら、ニューロリンカーの設計等が遅れ、技術進歩が延滞するのは確かだが。
数時間飛行し、窓を開け見た光景は、広大な畑。 間を埋めるように茂る緑の木々。 偶に、真っ直ぐ伸びた道路が見える。
まだ、空港らしきものは見当たらない。
そんな事を思っていたら、機長からアナウンスがあり、徐々に高度を下げていった。 完全に停止し、新千歳空港へ着陸すると、到着を告げるアナウンスが流れる。
俺はシートベルトを外し、大きく伸びをした。
「ずっと座ってるのは疲れたわ」
「ボクも疲れた……。 歳かな?」
そんな事を言いながら、俺たちは席を立ち上がった。
飛行機はターミナルへの接続が完了しているので、前から順番に空港内に移動する。 ともあれ、北海道の地を踏んだと言う訳だ。
「パパ、ママ。 こっちこっちー!」
ターンテーブル付近で、我が娘の紗季がブンブンと手を振っていた。
まあ、隣に立つ愛華ちゃんが、紗季の額を人差し指で小突いたが。
「あんたは、いつも元気いっぱいね」
「うぅ。 つい癖で……」
「ま、それが紗季の良い所なんだけどね」
「えへへ、ありがとう」
あれだ。 紗季と愛華ちゃんにかかれば、大抵の男子は落とせると思う。
ザ・唐変朴の俺が言うのだから間違えない。
まあ、男子と付き合う事になっても、俺と、重要なお話が待ってるけど。
「父さん、俺たちはOKだよ」
「和人さんも木綿季さんも、早く行きましょう」
ともあれ、和真と葵ちゃんも合流した。
それから、俺と木綿季も荷物をターンテーブルから取り、空港のロビーを出たのだった。
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子供たちと俺たちは、駅のホームを目指し電車に三十分ほど揺られ、札幌駅へ到着した。
途中の田畑の広がる牧歌的な光景とうって変わり、駅の周囲は建物が立ち並ぶ。 ここだけ見れば、東京駅とは然程変わらないのだ。
「夕食の十九時頃にホテルで合流にするか。 場所は解るよな?」
俺がそう言うと、パンフレッドを開いた子供たちは、一点の場所に指を差した。
『札幌グランドホテル』。 此処が、俺たちが泊まるホテルの名前である。
「OKだ。 んじゃ、時間まで自由行動にするか」
とまあ、全員が同意した所で、今から自由行動となったのだった。 ちなみに、大人ペアと子供たちペアに分かれた。
「行こっか、和人」
「だな」
俺たち夫婦は、まずホテルに行き、荷物を部屋に置く事になった。
駅を出て、歩道を通り目的地を目指す。 その間、所々に青々と茂る芝生の帯。 噴水や彫刻が点在し、色鮮やかなパンジーが咲いていた。
どうやら其処は、駅に隣接する公園らしく、噴水の縁に座り読書をする者、近場の店で購入した弁当を食べる者など、穏やかな時間を過ごしていた。
「やっぱ、東京とは全然違うな」
「だね。 自然も一杯で、雰囲気も空気も、東京とは全然違うかも」
数分歩いた所で、ホテルの二十扉前に到着した。
扉を潜りロビーに入ると、鍵を受け取る為受付を目指す。 予約等の確認を取ってから鍵を受け取り、エレベーターを上がり指定された部屋へ向かう。 ちなみに、部屋番号は九〇一号室だ。
部屋はダブルルームだが、木綿季と二人で使用するには十分すぎる位だ。 部屋に入り、ベットの横に荷物を置く。
「……写真で見たのと比べると、大分デカクないか?」
「う、うん。 かなり大きいかも」
だよな。と同意し、俺たちは釧路市の釧路湿原に行く準備をする。
準備が整った所で、部屋を出て鍵閉める。 ちなみに、このホテルもオートロック完備らしい。 てか、殆んどのホテルはオートロック完備なんだが。
ともあれ、エレベーターに乗りロビーへ向かい、扉を潜って外に出て、再び札幌駅へ向かう。 改札を潜り、電車に乗り目的地である釧路駅へ向かう事になった。
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釧路駅へ到着し、改札を出てから、釧路湿原へ向かう交通初段を用いて目指した。
釧路湿原に到着すると、観光客等がちらほら見受けられた。 てか、釧路湿原を一言で表すと、京都の清水寺のような感じである。
ちなみに、俺たちは手摺に手をかけ、緑を見渡している。
「にしても、凄ぇ光景だな」
「うんうん! 来て良かったよっ!」
木綿季は、かなりテンションが上がってるらしい。
まあ、ずっと時間が合わなくて、二人で出掛ける。と言うのも随分となかったから、当然と言えば当然だ。
てか、俺もそうなんだし。 恥ずかしいので、顔には出さんが。
それから、観光客に頼んで、ツーショット写真を撮ってもらった。
このようにして釧路湿原を後にした俺たちだが、駅への帰り道で、木造で昔ながらの店を目にしたのだ。
北海道でよく目にするガラス店である。
「行ってみるか?」
「うん、行ってみようか」
そう言って、俺たち夫婦はお店の扉を潜り店内に足を踏み入れた。
木造造りの店内には、所狭しとガラス製品が並べられていた。 コップやワイングラス、ダンブラーや水差しのようなもの、動物を象った置物などもある。
赤、青、緑、紫、黄色と、色鮮やかであった。
「……綺麗だね」
グラデーションのかかった水色グラスを手に取り、木綿季はそう呟いた。
「ああ、東京じゃお目にかかれないな。 これは」
「どうですか。 当店自慢の一品なんですよ」
そう話しかけて来たのは、五十代前半のお爺さんだ。
長年の職人。と言う感じがする。
「あ、はい。 とても綺麗ですね」
「ほっほっほ。 それはありがとうございます」
俺がそう言うと、お爺さんは笑うだけだ。 何とも愉快なお爺さんである。
「それにしても、君たちはカップルかい?」
……うん、やっぱりそう見えるんだね。
まあ、このやり取りにはもう慣れたけど。
「夫婦ですね。 今日は家族旅行で北海道に来てるんです」
「ちなみに、ボクたちは三十代ですよ」
お爺さんは目を丸くした。
「いやはや、これは失礼」
ぺこりと頭を下げるお爺さん。
「いえいえ、もう慣れましたよ」
「今日もあったしね」
そう言って、俺と木綿季は笑った。
すると、お爺さんは右手を顎に当てた。
「ふむ。 思い出に一品プレゼントしようかね。 やはり、ペアグラスがいいかね?」
「「へ?」」
俺と木綿季は同時に声を上げた。 いやまあ、お言葉に甘えさせてもらったが。
店内を見て回り、俺たちが選んだグラスは、俺は青色のグラス。 木綿季は紫色のグラスだ。
それを袋に入れてもらい、
「大事に使わせてもらいます」
「お爺さん、ありがとう」
玄関前でそう言って、俺と木綿季は頭を下げた。
此れを見たお爺さんは、愉快に笑ってくれた。
再び頭を下げてから、俺と木綿季はガラス店を後にしたのだった。 その間、俺たちの胸の中には、プレゼントしてくれたグラスが大事に抱えられていた。
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現在の時刻は夜の十八時を回る頃。 その間に、俺たちはバスや電車等を乗り継ぎ、最後の目的地に到着した。
其処は、函館山の展望台の駐車場付近である。 階段を幾つか上がると、完全に遮蔽物が消え夜景がライトアップされていた。
「噂には聞いてたけど……」
「……うん、凄い綺麗」
俺と木綿季は感嘆な声を上げた。
展望台から見る函館の街は、とても幻想的である。 観光客も来ているのか、あちらこちらから感動な声も上がっていた。
奥を見てみると、見知った人影が四つ映った。
「皆、考える事は同じかもな」
どうやら、木綿季も気づいたらしい。
そう。 その四つの人影とは、和真、紗季、葵ちゃん、愛華ちゃんの者だったのだ。
「ふふ、そうだね」
その後は、和真たちと合流し、一緒にホテルに帰るとなった。
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ホテルに到着し、一階のバイキングを皆で食事を摂った後、各自風呂に入って就寝。と言う事になった。
ちなみに、このホテルには混浴があったらしいので、俺たち夫婦は一緒に入ったが。
んで、俺が外で涼もうと思っていたら、和真とバッタリ会ったのだ。
ロビーに備え付けられてる自動販売機からブラックコーヒーの缶を二本購入し、
「ほれ」
その一本を、来客用ソファーに腰を下ろしている和真に渡した。 俺も向かいのソファーに腰を下ろし、向かい合わせに座る。
俺はプルタブを開け、コーヒーを一口飲んでから、前のテーブルに缶を置いた。
「和真が相談とは珍しいな。 どうかしたのか?」
和真はモゴモゴして、中々口を開こうとしない。
「いや、あの、えっと」
「お前にしては、歯切れが悪いな。 葵ちゃんのことか?」
俺がそう言うと、和真は顔を赤くした。
どうやら、図星が的中したらしい。 流石、自分以外には鋭い俺である。
和真も、意を決したらしい。
「オレって、葵と親公認の婚約者だよね」
「そうだな。……ああ、なるほど。 婚約者でも、プロポーズはしてないと」
再び和真は口を閉ざしてしまった。
又しても、図星を的中したらしい。
「……どうすればいいかな? 父さんのアドバイスが欲しくて。 指輪とかも用意してないし……」
俺は、テーブルに置いたコーヒーを一口してから口を開く。
「うーん。 まずは指輪とかは関係なく、自身の想いをぶつける事。 あとそうだな。 飾り付ける必要はないぞ、自然体が重要だ。……アドバイスになるか解らんけど。 てか、俺と木綿季の場合はほぼ逆だったからな」
「……逆?」
和真が首を傾げる。
「前に話しただろ。“好き”じゃなくて“愛”って。 俺たちは愛から始まったから、ほぼ逆って事だ。 その時から、俺たちは自然体だったぞ」
まあ、合ってるか解らんが。
てか、俺の偏見かもしれんしな。
「……自然体でいつも通りに、か」
「まあそうだ。 苦労も修業のうちと思って頑張りたまえ、若者よ」
うん、クラインの言葉っぽいな。 多分だけど。
「ありがとう、父さん。 頑張ってみるよ」
「その息だ。 さて、そろそろ寝るか」
このようにして、父親と息子の相談が終了したのだった。
俺はそのまま和真と分かれ、エレベーターに乗り、九〇一号室へ戻ったのだった。
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俺が部屋に戻ると、寝巻を着た木綿季が椅子に座り、備え付けつけられている鏡を見ながら黒髪をとかしていた。
「カズ君とお話だったの?」
「まあな。 葵ちゃんの事だ」
木綿季は、うんうん。と頷いた。
「なるほどね。 プロポーズ関連かな」
「そんな所だ。 アドバイスを求められたが、今一出来たかわからん」
木綿季は苦笑した。
「ボクたちは、トントン拍子だったからね」
「だな」
大学生にほぼ入りたてで籍を入れ、その直後に同棲だ。
世間一般では、かなり早い方だと思う。
「あ、そう言えばね。 紗季ちゃんと愛華ちゃんは、二人暮らしをしたいんだって。 どう思う?」
「いいんじゃないか。 大学付近のマンションで、オートロック完備なら心配いらないしな。 和真と葵ちゃんもか?」
俺の予想では、まだ先になると思う。
二人とも、かなりの奥手なのだ。
「それはまだかな。 葵ちゃんは、『色々と覚悟をしないといけませんから』とも言ってたしね」
「なるほど……。 うん、察したぞ」
「ふふ、鈍感さんが察せるなんてね。 偉い偉い」
「……いや、まあ、経験上」
俺も木綿季と暮らし始めて数ヵ月が経過した頃、色々タガが外れてしまったので。 はい……。
葵ちゃんの『覚悟』は解るんですよ。
「うん、あの頃は色々と大変だったかも」
「……うぅ。 申し訳ないです。 あの頃は、色々と制御が効かなくて……」
ちなみに、今は完全に制御可能だ。
何がって。 それは内緒だ。
「そろそろ寝ようか。 明日は早いからね」
「おう、そうだな」
ベットに横になる俺たち夫婦。
もちろん、同じベットだ。 毛布を上にかけ、向き合う形を取った。
「今日の為に、有給休暇をとってありがとうね、和人」
「ま、愛する妻の為だ。 出来る範囲なら、叶えてあげたいからな」
「ありがとう、和人。 愛してるよ」
「俺も愛してる。 これからも宜しくな、木綿季」
誓いの言葉を口にした後で、俺と木綿季あどけないキスをし、眠りに就いたのだった。
北海道家族旅行は、こうして終わりを迎えた――。
いまだに大学生に間違われる桐ケ谷夫婦(笑)
何というか、凄いっス。
ちなみに、愛華ちゃんは家族同然ですね。大の親友ですし(^O^)
後、子供たちは東大に合格してますよ。
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!
追記。
北海道の地理には詳しくないので、そこら辺は突っ込まんといてください(^_^;)
優衣ちゃんは大学諸々で、参加出来なかったんス。
再び追記。
後日談=アリシなので、其処はご了承くださいです<m(__)m>