舞翼です!!
今回の話で、えっ、何か違くね。的な部分が出てきたらごめんなさい(*- -)(*_ _)
一生懸命書きました。
では、投稿です。
本編をどうぞ。
二〇五〇年。 十一月。
現在、俺と和真は、とある場所へと赴いていた。
「おはようございます。 IDパスの提示を宜しいでしょうか?」
入り口に立つ警備員にそう言われ、俺は首に下げたIDパスを警備員に見せる。
背部をついて来た和真も、自身の身分を証明するものを提示した。
それを見て、警備員は頷いた。
「確かに確認しました。 どうぞお入りください」
そう言われ、二重ドアを潜りロビーへ入る。
此処は、俺と七色が経営する会社だ。 以前から和真は、手伝いとして度々訪れているのだ。
「やっぱ、慣れない」
和真が言ってる事は、警備員に身分証を提示する事だろう。
まあ確かに、身分を証明できなければ、最悪、牢獄に連行される怖れもあるしな。
「ほら、行くぞ」
「わ、わかった」
俺と和真は、ロビーの左側に備え付けられたエレベーターに乗り込み、最上階を目指す。
エレベーターを降りてから数分歩き、正面ドアを押し開ける。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「皆、おはよう」
「「「「「おはようございます。 桐ケ谷社長!」」」」」
社員全員が挨拶をしてくれる。
嬉しいんだが……。 やはり、社長呼びは慣れないものだ。
「きょ、今日もよろしくお願いします! 精一杯、お手伝いさせて戴きます」
和真は、些細な仕事も真剣に取り組むので社員受けが良い。
『将来が楽しみだわ』と言う社員もいるのだ。
和真が将来、この会社で働きたいとしたら、しっかりと大学を出て、必要な資格を習得して貰い、俺と七色の面接も受けて貰う。 親のコネで入社は有り得ないのだ。 それは、和真も重々承知してるはずだが。
その時、書類を持った人物が奥の部屋から姿を現す。
「和人君、おはよう。 和真君も、今日もよろしくね」
「おはよう。 七色」
俺は片手を上げて挨拶をするが、和真は体を硬直させている。 やはり、トップからの挨拶は緊張するのだろう。
「お、おはようございます。 きょ、今日もよろしくお願いします!」
和真が深くお辞儀をすると、七色は苦笑した。
まあ確かに、緊張するのは頷ける。 天才科学者、七色・アルシャービンの貫禄はかなりのものだ。 緊張するな。という方が難しいかもしれない。
「和真君は、前と同じように書類の整理をして頂戴」
硬直しながら和真は頷き、その場へ移動した。
そんな和真を見ながら、俺と七色は苦笑。
「さて、わたしたちも研究に移りましょうか」
「そうだな」
ニューロリンカーは、未だに量産の目途が立っていない。
設計図も、未だに俺たち以外は解析不可能。 簡略化されていない為、他会社に提供できないのだ。
俺と七色は白衣を羽織り、研究室のドアを潜る。 また、研究は三人で行っている。 俺と七色、悠だ。
「おはよう。 カズ」
研究に取り掛かっている悠が、俺に挨拶をくれる。
「おう、おはよう」
俺も片手を上げ、それに応える。
悠の隣まで移動し、テーブルに広げられた設計図を見る。
「やっぱ、簡略化は難しいか?」
「現段階では難しいかもな」
設計図を見ながら悠が呟く。
「わたしたちの腕の見せ所。ってなるわね」
七色が、必要な書類をテーブルの上に置きながら言う。
俺は一息吐き、
「さて、始めようか」
悠と七色は頷き、俺と七色は機器に手をつけ、悠は再びテーブルに置かれた書類に目を落とした。
数時間が経過した頃、一時休憩を取る事になった。
その時、ドアがノックされ、僅かに扉が開き和真の顔が映る。
「お茶が入りました」
「おう、今行く。――悠と七色も行くか」
俺、悠、七色と順で立ち上がり、研究室を出て、休憩室へ移動した。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
休憩室に入り、白衣をハンガーにかけてからソファーに腰を下ろすと、和真が三人分のお茶を持ってきてくれた。
それを各々の眼前に置き、一礼してから退出する。
俺はお茶を一口飲み、
「ふぅ、疲れた」
「和人君、おじさん見たいよ」
七色にそう言われ、俺は肩を落としてしまった。
いやまあ、もう、いい歳だけどさ。
俺たちが一笑した所で、顔を引き締める。
「難しいな。 内部研究者を増やすか?」
「って言っても、カズ。 ニューロリンカーを解析できるのは、七色さんとオレだけだぞ」
「だよな。 今から教えるのは、時間がかかりすぎる」
「わたしたちが頑張らないと」
七色の言う通りである。
俺は膝を叩いて立ち上がった。
「よし! もう一頑張りしますか!」
「だな」
「ええ」
七色と悠も立ち上がり、俺たちはハンガーにかけた白衣を羽織り、休憩室を出て、研究室に戻った。
この後も俺たちは、設計図の簡略化を試行錯誤したが、やはり手詰まりに終わってしまった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
俺は自身の椅子に座り、帰宅の準備を始めていた。
また社員は、定時になると帰宅。となっている。 基本、社員は残業を行わないのだ。
まあ、俺たちは例外だが。
「和真、そろそろ帰るぞ」
「わ、わかった。 五分で支度する」
そう言って、和真は帰宅の準備に取り掛かる。
準備が整い、俺と和真は扉の前まで移動し、
「んじゃ、先に上がる。 お疲れ」
「今日はありがとうございました。 お先に失礼しまします」
「お疲れ。 気をつけてな」
「和人君、和真君。 また明日」
悠と七色から挨拶を貰ってから、俺と和真は扉を出てエレベーターに乗り、加速度を殆ど感じさせないまま一階ロビーに到着した。
エレベーターを降りて二重ドアを潜り、会社を後にした。
マンションへ帰路に着いてる時、隣を歩く和真に声を掛ける。
「んで、どうだ? 手伝いは慣れてきたか?」
「まあなんとか。 まだ、父さんの背中に全然追いついてないけど……」
俺は、和真の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「まあ頑張れ。――俺に追いつくって事は、日本トップの開発研究者にならないといけないんだぞ」
自惚れかもしれないが、俺、七色、悠は、日本トップクラスの開発研究者と言っても過言ではない。
信頼と信用も凄いが、それと同時に――――重圧も圧し掛かるのだ。
ともあれ、
「和真は、将来の就職先をどうするか?とか決まっているのか?」
「父さんの会社に就職したいと思ってる。 他の、就職希望先は考えてないかな」
「わかってるとは思うが、親のコネで入社はないぞ。 書類選考から面接まで、希望者と同様に扱う。 私情は一切挟まないからな」
「それは解ってる。 しっかりと父さんの背中を追いかけるよ。 専門の勉強もちゃんとする。――期待して待ってて。 オレの夢は、父さんたちと一緒にあの研究室で働く事だから」
俺、今にも泣きそう……。
最高の親孝行だと思う。
「そうか……。 かなり険しい道だと思うが、頑張れよ」
和真は深く頷いた。
とまあ、真面目な話はこの変にして、
「それで、葵ちゃんとはどうなんだ?」
これを聞いた和真は、明後日の方向に顔を向けた。 かなりの動揺が見て取れる。
ちなみに、和真は高校三年生だ。
「ふ、普通だよ。 特に変わった事はないかな」
「ほう。 孫の顔も早く見れるって事か」
俺と木綿季はSAOで結ばれ、大学卒業後に身籠った。という例もある。
和真は顔を真っ赤に染めた。
「ちょ、父さん」
「悪い悪い、冗談だ。 和真と葵ちゃんは、自分たちのペースがあるだろ。 急ぎ過ぎる事はない」
「あれ、でも。 父さんと母さんは……」
「俺と木綿季のことか。 そうだな、俺たちは高校生の時から同棲してたしな。 その時から、“好き”じゃなくて“愛”だったからな。 そこが違うんだろうな」
「な、なるほど。 勉強になります」
俺は苦笑した。
「そう言えば、葵ちゃんも東大志望なんだろ?」
「オレと紗季、葵と愛華は、東大が第一志望かな。 模試もA判定だし、全員入学は大丈夫だと思う」
……俺たちの周りって、皆、東京大学だよね。
優衣と美咲ちゃん、それに子供たちまでとは……。
話をしていたらマンション前に到着した。 マンションも設備も拡張され、完全なオートロックに変更。 エントランスも備え付けられたのだ。 自動ドアを潜り、鞄から鍵を取り出し、専用の場所に鍵を差し込み右に捻ると、内部に設けられているドアが開いた。
エントランスに備え付けられたエレベーター乗り、二階を目指す。 目的の階に到着し、エレベーターから降りてから
「パパ、カズ兄。 お帰り」
にっこり笑った顔は、木綿季にそっくりだ。
紗季は、スリッパをパタパタと鳴らしリビングへ向かい、俺と和真も玄関に入り、靴を脱いでからリビングへ向かう。 リビングからは、薄紫色のエプロンをかけた木綿季が、俺を出迎えてくれた。
「おかえり、和人。 ご飯できてるよ」
木綿季はそう言って、上着と鞄を受け取ってくれた。
「いつもすまんな」
「も、もう。 それは言わない約束でしょっ」
「あ、そうだったな」
俺たち夫婦は、誰の目から見てもおしどり夫婦だ。
ともあれ、俺はテーブルの椅子へ座り、コップに注がれたビールを一口。
「……生き返るわ」
その時、料理をテーブルに置いた紗季が、
「……パパ、ジジくさいよ」
七色にも言われ、紗季にも言われてしまった……。
……結構くるものがあります。
しゅんとした俺と見た紗季は、苦笑した。
「パパ、ごめんって。 今度、紗季が何か作ってあげるから」
勢いよく顔を上げる俺。
「ほ、本当か!?」
「ホントホント。 楽しみにしてて」
「お、おう」
ご機嫌になった俺を見た和真は、深く息を吐いた。
「……父さん。 紗季に弱すぎだよ」
「そ、そんなことはないと思うが……」
その時、片付けが終わった木綿季がリビングに入って来た。
「和人は、紗季ちゃんも溺愛してるからね。 彼氏ができたらどうなっちゃうんだろ?」
「なッ!? か、彼氏だとッ!――紗季。 彼氏が……い、いたりするのか?」
も、もしいるなら。 俺と、長~い
俺が認めんと、紗季は嫁に出さん!
「大丈夫だって、パパ。 わたしのお眼鏡に適う人がいないもん」
「そ、そうか」
俺はホッと息を吐いた。
「さ、ご飯にしようか」
木綿季がそう言い、紗季と一緒に料理をテーブルに運ぶ。
運ばれた料理は、酢豚に麻婆豆腐、エビチリに八宝菜、白いご飯だ。――とても旨そうな中華料理である。
皆が座り、用意が整った所で手を合わせる。
「いただきます」
「「「いただきます!」」」
木綿季の音頭に続いて、俺と子供たちが続く。
とまあ、このように食事を摂り、和真と紗季は自室へ戻った。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
俺と木綿季も、ソファーに座り食後の休憩。
「そうなんだ。 皆、東京大学志望なんてね」
「俺もビックリしたな。 まあ、全員合格するだろ」
木綿季は頷いた。
「だね。 そろそろお風呂に入る? もちろん、ボクと一緒に」
「そだな。 行くか」
ソファーから立ち上がり、俺たちは自室へ向かった。
これが、桐ケ谷家のとある一日だ――。
桐ケ谷家の一日を書いてみました。
まあ、和人君がほぼメインになってしまいましたが。てか、皆大人になってきたぜ。
つか、周りがほぼ全員東大って、凄すぎだね(笑)
ちなみに、現在普及してるニューロリンカーは、和人君と七色、悠君が創り、世に出した物だけですね。
会社にも研究者はいますが、出来るのはサポートまでです( ̄▽ ̄)
和人君の親バカも書いてみました。
木綿季ちゃんも久しぶりに登場ですね。そろそろ完結?が見えてきたのかな?
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!