ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

今回の話で、えっ、何か違くね。的な部分が出てきたらごめんなさい(*- -)(*_ _)
一生懸命書きました。

では、投稿です。
本編をどうぞ。


第138話≪桐ケ谷家の一日≫

二〇五〇年。 十一月。

 

現在、俺と和真は、とある場所へと赴いていた。

 

「おはようございます。 IDパスの提示を宜しいでしょうか?」

 

入り口に立つ警備員にそう言われ、俺は首に下げたIDパスを警備員に見せる。

背部をついて来た和真も、自身の身分を証明するものを提示した。

それを見て、警備員は頷いた。

 

「確かに確認しました。 どうぞお入りください」

 

そう言われ、二重ドアを潜りロビーへ入る。

此処は、俺と七色が経営する会社だ。 以前から和真は、手伝いとして度々訪れているのだ。

 

「やっぱ、慣れない」

 

和真が言ってる事は、警備員に身分証を提示する事だろう。

まあ確かに、身分を証明できなければ、最悪、牢獄に連行される怖れもあるしな。

 

「ほら、行くぞ」

 

「わ、わかった」

 

俺と和真は、ロビーの左側に備え付けられたエレベーターに乗り込み、最上階を目指す。

エレベーターを降りてから数分歩き、正面ドアを押し開ける。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「皆、おはよう」

 

「「「「「おはようございます。 桐ケ谷社長!」」」」」

 

社員全員が挨拶をしてくれる。

嬉しいんだが……。 やはり、社長呼びは慣れないものだ。

 

「きょ、今日もよろしくお願いします! 精一杯、お手伝いさせて戴きます」

 

和真は、些細な仕事も真剣に取り組むので社員受けが良い。

『将来が楽しみだわ』と言う社員もいるのだ。

和真が将来、この会社で働きたいとしたら、しっかりと大学を出て、必要な資格を習得して貰い、俺と七色の面接も受けて貰う。 親のコネで入社は有り得ないのだ。 それは、和真も重々承知してるはずだが。

その時、書類を持った人物が奥の部屋から姿を現す。

 

「和人君、おはよう。 和真君も、今日もよろしくね」

 

「おはよう。 七色」

 

俺は片手を上げて挨拶をするが、和真は体を硬直させている。 やはり、トップからの挨拶は緊張するのだろう。

 

「お、おはようございます。 きょ、今日もよろしくお願いします!」

 

和真が深くお辞儀をすると、七色は苦笑した。

まあ確かに、緊張するのは頷ける。 天才科学者、七色・アルシャービンの貫禄はかなりのものだ。 緊張するな。という方が難しいかもしれない。

 

「和真君は、前と同じように書類の整理をして頂戴」

 

硬直しながら和真は頷き、その場へ移動した。

そんな和真を見ながら、俺と七色は苦笑。

 

「さて、わたしたちも研究に移りましょうか」

 

「そうだな」

 

ニューロリンカーは、未だに量産の目途が立っていない。

設計図も、未だに俺たち以外は解析不可能。 簡略化されていない為、他会社に提供できないのだ。

俺と七色は白衣を羽織り、研究室のドアを潜る。 また、研究は三人で行っている。 俺と七色、悠だ。

 

「おはよう。 カズ」

 

研究に取り掛かっている悠が、俺に挨拶をくれる。

 

「おう、おはよう」

 

俺も片手を上げ、それに応える。

悠の隣まで移動し、テーブルに広げられた設計図を見る。

 

「やっぱ、簡略化は難しいか?」

 

「現段階では難しいかもな」

 

設計図を見ながら悠が呟く。

 

「わたしたちの腕の見せ所。ってなるわね」

 

七色が、必要な書類をテーブルの上に置きながら言う。

俺は一息吐き、

 

「さて、始めようか」

 

悠と七色は頷き、俺と七色は機器に手をつけ、悠は再びテーブルに置かれた書類に目を落とした。

数時間が経過した頃、一時休憩を取る事になった。

その時、ドアがノックされ、僅かに扉が開き和真の顔が映る。

 

「お茶が入りました」

 

「おう、今行く。――悠と七色も行くか」

 

俺、悠、七色と順で立ち上がり、研究室を出て、休憩室へ移動した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

休憩室に入り、白衣をハンガーにかけてからソファーに腰を下ろすと、和真が三人分のお茶を持ってきてくれた。

それを各々の眼前に置き、一礼してから退出する。

俺はお茶を一口飲み、

 

「ふぅ、疲れた」

 

「和人君、おじさん見たいよ」

 

七色にそう言われ、俺は肩を落としてしまった。

いやまあ、もう、いい歳だけどさ。

俺たちが一笑した所で、顔を引き締める。

 

「難しいな。 内部研究者を増やすか?」

 

「って言っても、カズ。 ニューロリンカーを解析できるのは、七色さんとオレだけだぞ」

 

「だよな。 今から教えるのは、時間がかかりすぎる」

 

「わたしたちが頑張らないと」

 

七色の言う通りである。

俺は膝を叩いて立ち上がった。

 

「よし! もう一頑張りしますか!」

 

「だな」

 

「ええ」

 

七色と悠も立ち上がり、俺たちはハンガーにかけた白衣を羽織り、休憩室を出て、研究室に戻った。

この後も俺たちは、設計図の簡略化を試行錯誤したが、やはり手詰まりに終わってしまった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺は自身の椅子に座り、帰宅の準備を始めていた。

また社員は、定時になると帰宅。となっている。 基本、社員は残業を行わないのだ。

まあ、俺たちは例外だが。

 

「和真、そろそろ帰るぞ」

 

「わ、わかった。 五分で支度する」

 

そう言って、和真は帰宅の準備に取り掛かる。

準備が整い、俺と和真は扉の前まで移動し、

 

「んじゃ、先に上がる。 お疲れ」

 

「今日はありがとうございました。 お先に失礼しまします」

 

「お疲れ。 気をつけてな」

 

「和人君、和真君。 また明日」

 

悠と七色から挨拶を貰ってから、俺と和真は扉を出てエレベーターに乗り、加速度を殆ど感じさせないまま一階ロビーに到着した。

エレベーターを降りて二重ドアを潜り、会社を後にした。

マンションへ帰路に着いてる時、隣を歩く和真に声を掛ける。

 

「んで、どうだ? 手伝いは慣れてきたか?」

 

「まあなんとか。 まだ、父さんの背中に全然追いついてないけど……」

 

俺は、和真の頭をくしゃくしゃと撫でた。

 

「まあ頑張れ。――俺に追いつくって事は、日本トップの開発研究者にならないといけないんだぞ」

 

自惚れかもしれないが、俺、七色、悠は、日本トップクラスの開発研究者と言っても過言ではない。

信頼と信用も凄いが、それと同時に――――重圧も圧し掛かるのだ。

ともあれ、

 

「和真は、将来の就職先をどうするか?とか決まっているのか?」

 

「父さんの会社に就職したいと思ってる。 他の、就職希望先は考えてないかな」

 

「わかってるとは思うが、親のコネで入社はないぞ。 書類選考から面接まで、希望者と同様に扱う。 私情は一切挟まないからな」

 

「それは解ってる。 しっかりと父さんの背中を追いかけるよ。 専門の勉強もちゃんとする。――期待して待ってて。 オレの夢は、父さんたちと一緒にあの研究室で働く事だから」

 

俺、今にも泣きそう……。

最高の親孝行だと思う。

 

「そうか……。 かなり険しい道だと思うが、頑張れよ」

 

和真は深く頷いた。

とまあ、真面目な話はこの変にして、

 

「それで、葵ちゃんとはどうなんだ?」

 

これを聞いた和真は、明後日の方向に顔を向けた。 かなりの動揺が見て取れる。

ちなみに、和真は高校三年生だ。

 

「ふ、普通だよ。 特に変わった事はないかな」

 

「ほう。 孫の顔も早く見れるって事か」

 

俺と木綿季はSAOで結ばれ、大学卒業後に身籠った。という例もある。

和真は顔を真っ赤に染めた。

 

「ちょ、父さん」

 

「悪い悪い、冗談だ。 和真と葵ちゃんは、自分たちのペースがあるだろ。 急ぎ過ぎる事はない」

 

「あれ、でも。 父さんと母さんは……」

 

「俺と木綿季のことか。 そうだな、俺たちは高校生の時から同棲してたしな。 その時から、“好き”じゃなくて“愛”だったからな。 そこが違うんだろうな」

 

「な、なるほど。 勉強になります」

 

俺は苦笑した。

 

「そう言えば、葵ちゃんも東大志望なんだろ?」

 

「オレと紗季、葵と愛華は、東大が第一志望かな。 模試もA判定だし、全員入学は大丈夫だと思う」

 

……俺たちの周りって、皆、東京大学だよね。

優衣と美咲ちゃん、それに子供たちまでとは……。

話をしていたらマンション前に到着した。 マンションも設備も拡張され、完全なオートロックに変更。 エントランスも備え付けられたのだ。 自動ドアを潜り、鞄から鍵を取り出し、専用の場所に鍵を差し込み右に捻ると、内部に設けられているドアが開いた。

エントランスに備え付けられたエレベーター乗り、二階を目指す。 目的の階に到着し、エレベーターから降りてから我が家(二〇一)へ向かい、チャイムを鳴らす。 聞きなれた音が鳴り、僅かに開いたドアから、紗季が可愛らしい顔を覗かせた。

 

「パパ、カズ兄。 お帰り」

 

にっこり笑った顔は、木綿季にそっくりだ。

紗季は、スリッパをパタパタと鳴らしリビングへ向かい、俺と和真も玄関に入り、靴を脱いでからリビングへ向かう。 リビングからは、薄紫色のエプロンをかけた木綿季が、俺を出迎えてくれた。

 

「おかえり、和人。 ご飯できてるよ」

 

木綿季はそう言って、上着と鞄を受け取ってくれた。

 

「いつもすまんな」

 

「も、もう。 それは言わない約束でしょっ」

 

「あ、そうだったな」

 

俺たち夫婦は、誰の目から見てもおしどり夫婦だ。

ともあれ、俺はテーブルの椅子へ座り、コップに注がれたビールを一口。

 

「……生き返るわ」

 

その時、料理をテーブルに置いた紗季が、

 

「……パパ、ジジくさいよ」

 

七色にも言われ、紗季にも言われてしまった……。

……結構くるものがあります。

しゅんとした俺と見た紗季は、苦笑した。

 

「パパ、ごめんって。 今度、紗季が何か作ってあげるから」

 

勢いよく顔を上げる俺。

 

「ほ、本当か!?」

 

「ホントホント。 楽しみにしてて」

 

「お、おう」

 

ご機嫌になった俺を見た和真は、深く息を吐いた。

 

「……父さん。 紗季に弱すぎだよ」

 

「そ、そんなことはないと思うが……」

 

その時、片付けが終わった木綿季がリビングに入って来た。

 

「和人は、紗季ちゃんも溺愛してるからね。 彼氏ができたらどうなっちゃうんだろ?」

 

「なッ!? か、彼氏だとッ!――紗季。 彼氏が……い、いたりするのか?」

 

も、もしいるなら。 俺と、長~いお話(・・)をしなければ。

俺が認めんと、紗季は嫁に出さん!

 

「大丈夫だって、パパ。 わたしのお眼鏡に適う人がいないもん」

 

「そ、そうか」

 

俺はホッと息を吐いた。

 

「さ、ご飯にしようか」

 

木綿季がそう言い、紗季と一緒に料理をテーブルに運ぶ。

運ばれた料理は、酢豚に麻婆豆腐、エビチリに八宝菜、白いご飯だ。――とても旨そうな中華料理である。

皆が座り、用意が整った所で手を合わせる。

 

「いただきます」

 

「「「いただきます!」」」

 

木綿季の音頭に続いて、俺と子供たちが続く。

とまあ、このように食事を摂り、和真と紗季は自室へ戻った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺と木綿季も、ソファーに座り食後の休憩。

 

「そうなんだ。 皆、東京大学志望なんてね」

 

「俺もビックリしたな。 まあ、全員合格するだろ」

 

木綿季は頷いた。

 

「だね。 そろそろお風呂に入る? もちろん、ボクと一緒に」

 

「そだな。 行くか」

 

ソファーから立ち上がり、俺たちは自室へ向かった。

これが、桐ケ谷家のとある一日だ――。




桐ケ谷家の一日を書いてみました。
まあ、和人君がほぼメインになってしまいましたが。てか、皆大人になってきたぜ。
つか、周りがほぼ全員東大って、凄すぎだね(笑)
ちなみに、現在普及してるニューロリンカーは、和人君と七色、悠君が創り、世に出した物だけですね。
会社にも研究者はいますが、出来るのはサポートまでです( ̄▽ ̄)

和人君の親バカも書いてみました。
木綿季ちゃんも久しぶりに登場ですね。そろそろ完結?が見えてきたのかな?

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!

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