マルドゥック・マジック~煉獄の少女~   作:我楽娯兵

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どうも、こんにちはこんばんは。運珍です。

ナナの幼少期を書くのも面倒なので入学まで時系列を飛ばします。
入学先は第一校だと思った?残念、第三校にしました。
理由は達也くんとナナをバトルさせたいからです、もっと言えば深雪ともバトルさせたい。
まあ、長い前置きもいいですが、今回もがんばって書きました。
誤字・脱字の嵐かもしれませんが準備はいいですか
では、どうぞ。


入学編
アンティパスト1


耳を裂くエンジン音/上下に揺れる機体=飛行機。

 

「うぅ......なんで飛行機......」

 

 白髪/日本人形のような顔立ち/少女が死にそうな顔で飛行機に乗っている/少女の首のチョウカーが形を変えウフコックが変身(ターン)する。

 

「まだ、飛行機には慣れないのか。ナナ?」

 

「私は飛ぶようには産まれても作られてもないの」

 

 ナナは必死になって椅子の肘掛に掴まっている/その手は微かに震えている/ウフコックはやれやれといった感じ/目の前のピスタチオの袋を開ける。

 

「なぜ、ナナは飛行機が嫌いなんだ?浮遊移動式住居(ハンプティ)擬似重力(フロート)での壁面歩行は大丈夫なのに」

 

 ウフコックはピスタチオを小さな手で持ち齧りながら疑問を問いかける。

 

浮遊移動式住居(ハンプティ)は殆ど揺れないじゃない、擬似重力(フロート)の場合足が地面についてるし」

 

 ナナは真っ青な顔で説明する/ウフコックは微妙に納得できないようにしている。

 ナナは重度の飛行機嫌いなのである/理由は明快――足がついていない/揺れで体の包容物が浮く感覚。

 これのせいでナナはあまり飛行機に乗ろうとしない。

 

ウフコックは言った。「君は変わった」

 

 そう私は変わった―十二年の月日が私を変えた。

 全身を機械に置き換えた。

 擬似重力(フロート)と言う無形の盾を作り出す義手義足/電子撹拌(スナーク)と言う電子機器を支配する代謝性金属繊維の肌。

 委任事件担当捜査官ライセンス取得した/自らの命を守れる「力」を手に入れた。

 今はその「力」を手に入れる原因を潰す為に日本に向かっていた。

 

「ふー、最近のファーストクラスは綺麗になったね。そう思うだろ、ナナ」

 

 ドクターはお手洗いを済ませスッキリした顔で私の前の席に座る。

 ドクターは十七年前から年を取っていない――一週間に一度行う抗酸化処置/累積RNA転写エラー除去による定期検診=不老手術の成果。

 

「思うけど......私は早くこれから降りたい......」

 

「乗り始めからずっと言ってるぞ。あと40分のフライトだ、その間に住居やこれから行く学校のことを聞いておけ」

 

 ウフコックはナナを嗜める/ドクターにこれからの行動を説明させる。

 ドクターは鞄から関連書類を取り出し説明を始める。

 

「えーと......、住居は......旧石川県金沢市付近にある地下つきの一軒家だ。で、学校は国立魔法大学付属第三高校だね」

 

 ナナはそれを聞きドクターの話を止める。

 

「待って......ドクター。国立魔法大学付属第三高校て言った......?」

 

「そうだけど......」

 

「なんで?第一高校じゃないの。四葉の情報集めるなら、七草の長女がいる第一高校じゃないの」

 

 ドクターは困ったように説明する/ウフコックもそれを知りたげにしている。

 

「そうなんだけど……、生徒の中で二人ほど家族構成やプライベートにいたる全ての情報がわからない生徒がいるんだ……」

 

 書類を見ながら話を聞くナナ/ピスタチオを齧りながら聞くウフコック。

 第一校の受験生一覧に目を通す/百家の娘/古式魔法の名門の次男/日本の大企業の令嬢。

 在校生では七草の長女/十文字の次期当主/百家の者もちらほら。

 

「これだけの大物面子(メンバー)。一人、二人わからなくて当たり前なんじゃない」

 

 ナナは多少高圧的にドクターに聞く/ドクターは萎縮しながら理由を説明する。

 

「いや......だからね、君はあれじゃないか。君の体は北アメリカ大陸合衆国の科学技術と魔法知識の塊だからね......何かあれば事だし......だから政府の意向で第三高になったんだ......」

 

 ドクターは申し訳なさそうに応える/ナナは納得したように書類を置く。

 

「はぁ......、大体予想はしてた。大方、スターズの意向でしょうね」

 

 スターズ――USNA軍統合参謀本部直属の魔法師部隊/マルドック機関の目の上の瘤のような存在。

 

「大方そうだろうね......、魔法知識や科学技術の流失を恐れた結果だろ」

 

 ドクターは苦笑いを浮かべながら言う/ナナは窓の外を見ながらがら思う。

 

「第三校か......」

 

 

 2095年-国立魔法大学付属第三高校受験当日

 

 

 ピピピピピピピピ......

 

 電子目覚まし時計の音――睡眠が足りない/肉体が休息を求めている。

 

 ピピピピピピピピ......

 

「うるさい......」

 

 私は時計を干渉(スナーク)し時計を止める。もう少し、あと5分だけ/布団に微かな重みが生じる。

 

「ナナ、起きろ。もう6時半だ遅れるぞ」

 

 金色のネズミが布団の上に乗る/私の頬をぺちぺちと叩くウフコック。

 

「起きろナナ、時間だぞ」

 

 私は気だるい気持ちで起きる/のっそりとした動きで布団から這い出る。

 

「いつ見ても君のその動きは吸血鬼(ドラキュラ)だ」

 

「ウフコック......、うるさい」

 

 私は部屋を出る/のろのろとした足取りでリビングへ――干渉(スナーク)でテレビをつける。

 そのままシャワー室へ。

 脱衣所。着ている下着を脱ぎ洗濯機へ入れる/浴室に入り水栓を干渉(スナーク)

 一瞬冷たい水が出て身震いする――徐々に暖かいお湯へ。

 お湯が髪を伝い肌に落ちる/お湯が床に落ち跳ねる音が心地いい。

 肌に張り付く白い髪/実験の後遺症――白髪化。

 くすみ一つない妖肌。背中には覆うほどの火傷の跡――治療しても出てくる熱を持つ火傷跡。

 ナナはこの髪を見るたび嫌になる/あの記憶を思い出す/四葉にいた頃の記憶――兄の記憶。

 

「ナナ、いつまで入っているんだ」

 

 外からウフコックの声/水栓を締める。

 

「今出る」

 

 出るとウフコックが何故か小さな手で目を隠している。

 

「何しているの?」

 

「前のパートナーが女性の裸を見たときはこうしろ言っていた」

 

 ウフコックの前のパートナー――ルーン・バロット。

 オクトーバー社の不正を暴いた功労者/その二年後、突如自殺/理由=不明。

 ウフコックはその事にひどく落ち度を感じていた――二度も相棒の匂いを嗅ぎ取れなかった、と。

 私は服を着てキッチンへ/台所に立ち冷蔵庫を確認。

 

「ウフコック、朝はスクランブルエッグでいい?」

 

 私は朝食をウフコックに尋ねる。ウフコックはテレビを見ながら素っ気なく応える。

 

「俺は何でもいい、横にピスタチオは付けてくれ」

 

 毎朝する会話/違うのはご飯とテレビで流れるニュースだけ。

 

「それより学校は大丈夫なのか? あと一時間だぞ」

 

 ウフコックはテレビを見るのをやめ机の上の小さな椅子に座る。

 

「一時間もあれば充分よ、それにこの時間帯はまだ早いし」

 

 私は皿にスクランブルエッグをのせる。

 今日はいい出来だ/ウフコックの皿の横にピスタチオを二つ付ける。

 食事を開始する。会話は無し/二人とも黙々と食べる。

 食事を終え、私は食器を食器洗い機に入れる。

 

「そろそろ時間だ。ナナ、行こう」

 

 ウフコックに急かされ私はエプロンを脱ぎ、冷蔵庫横に掛ける。

 

「そんなに急がなくても学校は逃げないわ。ウフコック」

 

「そうだが、遅れたら大変だろう」

 

「慎重が過ぎるは。ウフコック」

 

 ウフコックは親のように言う/そのくらいの時間計算は私にも出来る。

 

「ウフコック、チョーカーに変身(ターン)……お願いできる?」

 

 ウフコックに音声変換チョカーに変身(ターン)をお願いする/ウフコックの溜め息。

 

「今の声は君が喉の診察(メンテナンス)をサボってる結果だぞ」

 

 ウフコックは呆れたように私を見る/喉の診察(メンテナンス)をサボり続けた結果。5歳の頃から声は変わってない/今も昔もあのハスキーボイス。

 

「女の子はこんな声は嫌なの」

 

 ウフコックは仕方なく私の手に乗る/彼が内側より反転しクリスタルの付いたチョーカーになる。

 私はそれを着ける。

 

「あー、あー」

 

 さっきのハスキーボイスが変化/鈴の音のような声――年相応声。

 ようやく私とウフコックは家を出る/目指すは第三校。

 治療中に受ている潜在意識学習での魔法知識で間違いなく筆記は確実/合格はほぼ間違えない。僅かに感じる緊張。

 ドアを開ける/外に出れは涼しい風が吹いている/足を進め第三高に向う/大道り出れば私と同じく第三校に向う受験生がちらほらといる。

 第三校に近づくにつれ人も増える/その人たちの視線は何故か私に向けられている/視線は明らか――好奇の視線。

 

『日本で白髪の長髪は珍しいヘアカラーなんだ。服装も他の子達は通ってる中学校(ジュニア・ハイスクール)の物だろう。ナナの場合私服だ、そのせいで余計に目立っているんだろう』

 

――まさかこの視線学校に着いても続くの?

 

『おそらくな』

 

 ウフコックの予想/その予想は当たる――学校に着いても視線はこちらに向いたままだ。

 この状況は晒し者にされているようで嫌だ。

 受験会場――教員の指示で席へ。

 

「それでは筆記試験を開始します。......開始」

 

 皆、筆記を始める/私も答案用紙をめくり問題を解く。

 問題の難度――極めて容易(イージー)/潜在意識学習の賜物。

 問題を次々解き最後の問題を解き終わる/時間を確認――15分経過。

 

『もういいのか』

 

――潜在学習で全部解るしね。

 

 私は無線通信でウフコックと会話をする/他愛もない会話。

 

――残りの時間何しようか。

 

『もう一度問題を解いたらどうだ。間違いがあるかもしれないぞ』

 

――嫌よ。無意識的に解るものをまた解いても面白くない。

 

 どうしようか考えていると教員がそれに気づく。

 

「イースターさん、どうしたんですか」

 

「え、ああ。もう問題解けてちょっと暇で」

 

 会場が微かにざわめく/教員は回答用紙を確認する/驚愕の顔。

 

「イースターさん彼方は実技会場に行っていいですよ」

 

 私は少し驚く/筆記試験終わりまで待たされると思っていた。

 

「わかりました、実技会場は隣ですよね」

 

「ええ、そうです」

 

 私は早々に筆記試験会場を出る/他の受験生の視線が微かに向けられる。

 多少、居心地が悪い/早足で実技試験会場に向う。

 

 実技試験会場/教員が一人立っている。

 

「おや、どうしたのかな遅刻かい?」

 

 教員に聞かれる。

 

「違います、筆記試験が終わって試験官に実技試験会場に来ていいと言われたので」

 

 私の回答に教員は驚く。

 

「へー、すごいね。あの問題、石垣先生がかなり意地悪に作ったのに。君なかなかやるね」

 

 教員は楽しそうに話す/私は適当な相槌を打つ。

 数分後二人目の受験生が来る/こちらは有名人。

 

 吉祥寺 真紅郎

 仮説上の存在だった「基本コード」の一つである「加重系統プラスコード」を発見した天才。

 

 私とは違う本物の天才。

 

「おー、君も早いね適当に休んでなよ。あと~10分ある」

 

 教員は退屈そうに言う。

 

「よろしく」

 

 まさかの向こうから話掛けて来るとは思わなかった/多少の困惑。

 

 微かな声での挨拶。「......よろしく」

 

 同世代の子にどう接すればいいのかわからない/不快感を持たせてしまっただろうか。

 私はあまり『失楽園』から出たことがない/出ても会うのは大人。

 筆記試験が終わり残りの受験生が出てくる/教員の指示で説明が開始される。

 

「はーい、聞こえるかな。この実技試験はいたって簡単、台から台に衝撃計測器を魔法で移すだけの試験だ。この試験の採点箇所は時間・計測機に対する衝撃値だ」

 

 試験官は手短に試験内容を説明する/試験番号順に受験生を並べる/実技試験の開始。

 加速・移動・減速・停止の4工程の試験/時間で焦らせ衝撃値で減点する算段だろう。

 

「では順番に始めてね」

 

 実技が始まり受験生達が台から台に衝撃計測器を移しだす/うまく移動出来る者/途中で脇に逸れ落とす者/さまざま。

 吉祥寺真紅郎は綺麗に移動させる/あれは高得点だろう5秒も掛かってない。

 

「じゃあ、次の人」

 

 私の番/だが、他のを見ていて気づかない/私の悪い癖。

 突然、肩を叩かれる/驚き後ろを向く。

 

「君の番だよ」

 

 凛々しい顔立ちの青年/不思議そうに顔を覗く。

 

「あ、ありがと......」

 

 私は試験を始める/気づかれぬよう肌を使い空間把握(スナーク)/会場内、47人の人間存在/台と台の相対位置、約1m/左右に魔法使用を検知/汎用CADを持ち使う魔法を考える。

 

《あの4工程は長いな......一つ省くか》

 

 私は台の上の計測器を加速させず――『射出』/皆の驚きの顔/ものすごい速度で台の真上へ/真上で硬化魔法で台と計測器を一つのオブジェに指定/硬化魔法を解く/計測器は地球の重力で落下――台と計測器の間が残り1ミリメートルで停止させる/このれに掛った時間およそ2秒。

 

試験官に尋ねる。「試験官、もういいですか」

 

「すごいな......ああ、いいよ。試験終わりまで会場内で待っててよ」

 

 話を終え後ろを向く/受験生の好奇と驚愕の視線/視線/視線/視線。

 本当に居心地が悪い/会場の端に行き試験終わりまで待つ/ここに来て待ってばかりだ。

 

「はーい、試験終わりお疲れさん。気をつけて帰るんだよ」

 

 教員の指示で試験が終わる/私は視線が嫌になり駆け足気味に会場を後にする。

 

「君、ちょっといいかな」

 

 後方より声/振り向き人物の確認/いい加減、晒し者は嫌だ。

 振り向く――実技試験、私の後ろにいた男の子。

 

「何でしょう」

 

「少し話さないか近くにいい店があるんだ」

 

 立ち話かと思えば、まさか店に誘われるとは思いもしなかった。

 

「少しだけなら」




自己予想設定解説

マルドック機関

マルドゥック・スクランブル09が法的機関になった場合の命名
ドクターなら09が出来た当初の頃まで戻しそうと言う理由です。
主な活動は今までの通り人命保護、それに加え、連邦魔法人体実験法を違反する組織、研究機関の調査です。


『失楽園』
察しのいい人なら気づくはず『楽園』の事です。
命名理由は『楽園』は宇宙戦略研究所の創始者"三博士"の一人プロフェッサー・フェイスマン事、チャールズ・ルートヴィヒにとっての楽園です、政府命令でマルドック機関が吸収合併してしまえばチャールズ・ルートヴィヒにとっての楽園ではなくなる。と言う理由です。
主な活動は今までの通りの機械化実験+聖遺物の研究。

さて、長くこのような妄想書き付き合っていただき、ありがとうございます。
次回は戦闘シーンを書きたいです。
感想、意見、要求などはどんどん受け付けます。




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