また、7月投稿できず申し訳ありません。
それではドラゴンファイトレディーゴー!
過去編第一話『悪夢の始まり!』
とある山奥
「あの悟空とかいうやつ、急に現れたと思ったら、今度は急に消えちまいやがって」
男は先日自分の前に現れ、孫悟空と名乗った奇妙な少年のことを思い出していた。野外で修業の間に、自然の芸術観賞(ファンファンの水浴びを覗き)をしていた彼の前に、突然、何処からともなく現れたのが、孫悟空であった。
この前に現れた悟空と話してみて男が最初に思ったことは、少し変わっていることだった。
まず、自分のことを亀仙人のじっちゃんに似ていると村一番のイケメンである自分に対して失礼な言ったり、子供とはいえ村一番の美人ファンファンちゃんの事がまったく気にならないなど、だが、その中でも彼が最も印象として残ったのが、その強さであった。
武泰斗様との組み手での攻撃の速さ、大火災の炎を真っ二つにした気の放出、今の彼にとって師である武泰斗と同じくらい、今の自分にとって手の届かない程の武道家であった。
「まあ、生きてりゃまたいつか会えるさ」
気を取り直して青年は修行の続きを始めた。
「ハッ、ハッ、ハッ(悟空、待っていろ。俺は世界最強の武道家になるぞ)」
青年は孫悟空との最強の武道家になる約束を果たすため、日夜修行を続けていた。
そして、しばらくの間彼が正拳突きを続けていると彼を訪ねる者が現れた。
「あら、今日は真面目にやっているようね」
青年が声がするほうに向くと、そこにいたのは村の娘、ファンファンであった。
「あっ、ファンファンちゃん!」
先ほどまでの真剣な顔から、鼻の下を伸ばす青年。
「これ差し入れよ」
いつもの亀の姿を確かめると、ファンファンは手に持っていた包みを開き中に入っていたおにぎりを青年に手渡した。
「やったぜ!ファンファンちゃんの手作りのおにぎりだ!」
近くの大岩に二人は座ると渡された食べ物にかぶりつく青年。その表情とても幸せそうな顔であった。ファンファンからはゆっくり食べないと等と注意されたり、たわいのない会話をし盛り上がる二人。そんななか二人の前にある男が現れ、声をかけた。
「相変わらずだな、亀よ」
青年は後ろに振り返ると彼と同世代くらいの男が立っていた。緑の髪に青い鉢巻とマントをつけていた。
そして、亀と呼ばれたこの青年こそ後の武術の神様武天老師こと孫悟空やクリリンの師匠、亀仙人の若き日の姿であった。
「おっ、誰かと思えばクロスか」
数年ぶりに再会を果たした亀であったが、男(野郎)にはあまり興味のない亀はテンションが低かった、
「この人だあれ」
ファンファンは今日初めて出会ったこの男の事を亀に尋ねた。亀はファンファンがこの目の前に現れた友人の事を知らないことを思い出し、紹介をした。
「あー、ファンファンちゃんは知らなかったかー。こいつはシュウジ・クロス。俺やバカ鶴と同じで武道家だよ」
「へえーそうなのー」
亀の紹介を聞きながらクロスの姿を見て品定めするファンファン。
「まあ、実力は俺のほうが上だけど」
亀は自信満々に言った。
「ふーん、クロスさんの方が強そうに見えるけど」
武道の素人であるファンファン目線からみても、亀よりもクロスのほうが強そうに見えた。なにより顔が亀より、はるかにイケメンであったからだ。
「ファンファンは武術に関しては素人だからわからないのさ」
これだから素人はと、やれやれ顔で亀はファンファンに対して言った。
「そうかしら」
「こんなところで、下品な声がすると思えば、お前たちか」
三人の元にまた新たな男が現れた。その男は鶴の頭がついている帽子をかぶった若き日の鶴仙人であった。
「またあんたね」
ファンファンは亀ではなく、クロスの後ろに隠れ鶴の様子をうかがう。先週、この男にひどいことをされたため、ファンファンの好感度は最低であった。
「ファンファン俺はもうお前に興味はない。先生とも約束したしな。それに」
一旦、鶴は言葉を区切り、そして、
「俺はお前のような勝ち気な女より、おしとやかな上品な女の方が好みだ」
「大きなお世話よ」
ファンファンは亀とクロスの隣で舌を出し言った、
「鶴か」
「クロス、久しぶりだな、そこのドン亀と違って真面目に修行しているようだな」
鶴はシュウジ・クロスをだしに亀を貶した。日頃この鶴という青年はことあるごとにこの亀という青年と対立していた。どちらの方が武道家として強いか、女性の好みの対立、たけのこ派かきのこ派か等様々な事で対立し、彼らの師匠武泰斗も呆れるほどであった。
「うるさい、この腐れひょっとこ!今は瓦を三枚割れる!」
以前、瓦も割れない未熟者と馬鹿にされたことを根に持っていた亀はそう言い放つ。
「貴様が三枚なら俺はもう五枚は割れるぞ」
鶴もすかさず、同レベルのことを言い返す。
「なんだと!」
顔を突き合わせ、今にも一触即発しそうな事態であった。ファンファンはまた、いつものかとぼやきつつ、顔に手を当て呆れ顔であった。また、クロスもやれやれとした表情で勝手にしていろという感じであった。
「やるか!」
「何をしている!」
鶴が先制で殴りかかろうと攻撃しようとした瞬間、彼の動きを制止させた。そして、その相手が誰だとわかると二人は両手を地面につき、急いで平伏した。
「「武泰斗様!!」」
一触即発の二人を止めた男は彼らの師匠、武泰斗その人であった。以前んの件で争い事を禁止と言われていたにもかかわらず、一週間余りで破ってしまったことに二人は顔を地面に向けながら震える。
「お久しぶりです、武泰斗様」
「かなり腕を上げたな」
「ハインリッヒに敗れてからもう三年だったか。時が立つのは早いものだ」
シュウジ・クロスと武泰斗や亀仙人が出会うこととなったのは時間を遡ること三年前。三年前に武泰斗によって主催された武道大会であった。すでに、武術の神、世界一の武道家と世界中からの武道家から知られ、尊敬を集めていた武泰斗の名によって世界中から多くの武道家たちが武道大会参加に参加するため集まった。
数千人の腕に自信がある者でトーナメントを行い、実力で頭角を表したのがシュウジクロスであった。若干十七歳の年ながら、決勝戦を迎えるまで、他の武道家たちを圧倒していった。誰もが、その鬼神のような強さを目にし優勝を確信したが、決勝戦で戦ったウォルフハインリッヒによって人生初の敗北を喫する。
ゲルマン忍法の使い手であるウォルフハインリッヒに圧倒され、敗れたシュウジクロスはそれ以来、大会で自分を倒したウォルフハインリッヒと大会で知りあった武泰斗を目標にそれまで以上に修行に励むようになったのであった。
「ええ、ウォルフ・ハインリッヒと武泰斗様あなた達二人は武道家である私が超えなければならない存在です」
シュウジ・クロスこと後の東方不敗マスターアジアは傍らにいる武泰斗に対してかたい決意を改めて尊敬する男の前で言った。
十五年後
「せっ先生、大変です」
自室にて瞑想に入っていた武泰斗は突然入室してきた弟子の声で意識を現実に戻させた。
「落ち着け、いったいなにがあった」
落ち着くように諭す武泰斗。その姿や声を聞き、弟子は少しずつ落ち着きを取り戻し、呼吸を徐々に整える。
「中の都に滞在していたチョウから、緊急連絡が入りました」
十数秒、ゆっくりと自信を落ち着かせた弟子はゆっくりと連絡について報告を始めた。
「それで」
武泰斗の言葉に対して、弟子は大きく深呼吸し言い放った。
「中の都が壊滅しました!」
「なんじゃと!いったいなにがあったのだ!天災かそれとも戦争か」
中の都、地球統一国家成立前においても、この地には世界でも有数の都市があった。
「ピッコロ大魔王と名乗る者が、奇怪な怪物の大軍を引き連れ、襲ったとのこと」
「ピッコロ・・・ハッ!まさか、そんなはずが・・・」
ピッコロ、その言葉に武泰斗は思わず先ほどの悲報以上に動揺する。
「武泰斗様、いかがなさいましたか、何かおこころあたりでもあるのですか」
師の異常な驚きように対して弟子は尋ねた。
「いや、なんでもない。話を続けてくれ」
落ち着きを取り戻し、話を続けさせる武泰斗。
「はい。この突然の攻撃に対して中の都を襲った者達に中の都に駐留していた中央軍や警察、拳法家達が迎撃にでたそうですが、為す術もなくほとんど全滅したそうです」
「なんということだ」
武泰斗は無残にも死んでいったたくさんの者たちのことを思い天を見上げる。
「数少ない生き残った者によるとその者達は自分達を魔族の一族と名乗ったそうです。そして、その者達のちから一人一人の強さはとても強く、その肉体は戦車の大砲でもびくともせず、また、奇怪な妖術を使って次々と都の人々を女、子供、見境なく虐殺していったそうです」
弟子は怒りに震えながら中の都から送られてきた地獄絵図を語る。
「・・・」
話を聞き終わった武泰斗はしばらく黙り込み、そして、重い口を開け言った、
「皆のものを全員道場に集めてくれ、わしから皆にこのことを話をする」
弟子は武泰斗の命令にうなずき、他の者たちを集めるため武泰斗の元から走り去っていった。
(ピッコロ・・・いったいあやつになにがあったのだ)
再び静寂を取り戻し、自室で一人になった武泰斗は自身の過去を思い出していた。若かりし頃に世界の果てのユンザビット高地にて出会った一人の友の事を。そして、天界でのあの方との出会いを。
本堂
「先生!都の兵隊どもが役に立たない以上は、ここは我らの手でその化け物を討伐するしかありません」
全員がこの場に集ったことを確認し、鶴が真っ先に自身の考えを主張した。
「鶴の言うとおりだ。先生そいつらを倒せるのは我々だけです」
亀と鶴は普段何かと対立しあう間柄の二人であったが、この時ばかりは珍しく二人の意見が一致した。両者とも今回の中の都の壊滅の詳細を知り、この異変を行った者に対して、深い憤りや怒りを覚えたようであった。、
武泰斗の二人の有力な弟子の二人が主戦論を表明したことで、その他の門下生たちも賛同のやじを飛ばし始めた。
「そうだ、奴らを倒せるのは我々しかいない」
「先生!我らにご命令を!戦うべしと!」
「先生ご決断を!」
鶴や亀を筆頭に弟子たちは武泰斗に決断を促す。自分たちにピッコロ大魔王討伐の許可を出すようにと。それまで、弟子たちの会話を目を瞑り黙って聞いていた武泰斗は目をくわっと見開き言った。
「向かう必要はない」
武泰斗ははっきりと口調で道場全体に大きく響き渡る大声で言った。
「「「?!」」」
武泰斗の闘気が込められた声に弟子たちは一斉に静まり、師である武泰斗に視線を向ける。
「わしには感じる邪悪な者達の気を、魔の者たちはすでにここへ向かって来ていることを」
「「「・・・」」」
武泰斗の言葉通に嘘偽りはない。無論ここにいる弟子たち全員はそのことをよく知っている。
「皆の者、我ら全員この地に留まりやつらを迎え撃つ」
「「「オオオオォォォォーーーー!!!」」」
一週間後
武泰斗の言葉により戦士たちは数日いないに起きるであろう決戦に向けて準備を始める。決戦に向けて精神を集中する修行を行う者、大軍の攻撃に対して罠を用意する者、遠い地の家族に手紙を書く者、一人一人さまざまである。また、武泰斗の命によって道場がある村の村民達は数百キロ離れた地へと避難することになった。
村にある馬車や車だけでは足りず、徒歩やリヤカーを押して遠くの地へと避難することに、武泰斗たちが悪の軍団に対して勝利をすることを信じて村人たちは村から去っていった。。
「体に気をつけてね」
持てるだけの荷物を背負ってながらファンファンは亀に最後の別れの言葉を言う。
「ああ、もちろんさ。なあに心配ないさ、化け物どもなんて俺一人でもやっつけられるさ」
「・・・昔と変わらないわね」
いつもの調子で亀はそう言うとファンファンや他の村人たちを避難するために用意された最後の馬車の後ろに荷台に載せて、馬主に出発の合図を送った。
「・・・さようなら、ファンファン」
ファンファンが乗った馬車が小さく見えなくなった後でも亀はファンファンが言った道をずっと無言で見ていた。そこへ、クロスが現れ声をかける。
「あれでよかったのか、ほかに伝えなければならないことがあったんじゃないのか」
クロスは亀に言った。
「クロスか、何の事だ」
クロスの言葉に対してとぼける亀。
「ふんっ、俺の口からこれ以上、無粋な事を言わせるな」
「そうだな、お前も一緒に戦ってくれるのか」
話しを変え、今後の戦いについてクロスに尋ねる。
「ああ、修行の成果を見るいい機会だ。それに、悪逆非道な化け物どもを許すことはできん」
言い終わるとクロスは地面を思いきり地面に拳をたたきつけ怒りを表し、そして、無念にも死んでいった者たちに対して復讐を誓うのであった。
二日後、武泰斗の予言通り武泰斗と弟子たちはピッコロ大魔王率いる魔族の軍団と戦いの火蓋を切ったのであった!
次回に続く!
さて、今回アニメドラゴンボール第129話「時をかける悟空」から一週間後からピッコロ大魔王が現れるまでの話を書きました。この一つの外伝は三話程度にて完結させる予定です。次回は本編第十二話を投稿する予定(?)です。
この時点での強さとしては、
武泰斗>>>>>ウォルフ・ハインリッヒ>>>シュウジ・クロス>>>>>>>>鶴仙人=亀仙人といったところです。
解説
ウォルフハインリッヒ
原作でシュバルツブルーダーの元の人の若かりし頃の名です。性格は原作のシュバルツ(キョウジ)と思っていただければ結構です。