憑依拒否   作:茶ゴス

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第12話後編「旅の終わり」

 優が現れた事により戦況は変化する。

 彼を知る者達は単純な戦力アップへの期待。それにより精神面でのリカバリーは済んだ。

 

 更に優の周りを浮かぶ鏡、水天日光の効果が現れていた。

 すなわち、この場にいる者達全員への魔力供給。効果を発言し続けている限り続く無限の魔力の供給。

 

 それを知っていた2人の影は自身を構成する鎧を脱ぎ捨てる。

 アビスレッド、パンダ師匠の両名は、それぞれコスチュームときぐるみを着ている人間だと思われていたが、実のところそれは間違いだ。

 彼らはコスチュームときぐるみという器に入り込み動かしていただけであり、その中身は存在していなかった。

 

 何故彼らがそんなことをしていたのか……単純なことだ。彼らが現世に召喚されたのは王の軍勢の副産物に過ぎず、その身体を魔力で持って補い現界していなければいけなかった。

 しかし、彼らが自身の肉体で現界し、尚且つ戦うには彼ら自身の魔力ではとてもではないが足りなかった。

 

 だからこそ、彼らは元々ある実物のものを動かすということで魔力消費を抑え、戦っていた。

 

 

 しかし、今となっては水天日光を発動させた優がその場に存在し、その恩恵により魔力が枯渇することはなくなった。

 

 パンダ師匠は、いち早くそのきぐるみを脱ぎ捨て、本来の姿を表す。

 

 

「全く、暑苦しいったらない。視界も悪いし動きづらくてナイフも持ちにくい。折角戦えると思ったのにこれじゃあ寧ろストレスが溜まった程だぞ」

 

 

 青の和服に赤いジャケット。ナイフを持った女性、両儀式は気怠そうに言い捨てた。

 しかし、視線をナハトヴァールに向けると、今度は舌なめずりをして口角を釣り上げてギラついた眼をした笑みを浮かべる。

 

 

「だがまあ、これで思う存分やれるってわけだ」

 

 

 対するアビスレッドは少し残念そうにコスチュームを脱ぐ。

 現れたのは白いコートに赤い長髪の男性。背中にかけていたカトラスはいつの間にか変化し、ローレライの鍵となっている。

 彼、ルーク・フォン・ファブレは血を滾らせている式にげんなりしたような顔をして呟いた。

 

 

「結構楽しかったんだけどな」

 

 

 

 彼らの戦いの準備は終わった。

 

 

 

 

 

 ◇

【少し前、闇の書の結界内にて】

 

 

「それじゃあまあ、行きますか!」

 

「先手は打たせて貰う。穿て!赤原猟犬(フルンディング)

 

「魔力消費が無いというわけですね…ならば、約束された勝利の剣(エクスカリバー)の乱れ打ちも出来るはず!!」

 

「流石王!私も僭越ながらご一緒に転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)の乱れ打ちに挑戦したいと思います!!」

 

「だったら俺も父上に見習って我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)の乱れ打ちを…」

 

「…我の無毀なる湖光(アロンダイト)だけビームが出ない……」

 

「おい、誰かこいつら止めろ」

 

「ふふふ、楽しいじゃない。それに私も久しぶりに色々と暴れたい気分だし」

 

「あんたが一番暴れたらダメでしょうが!全く、玉藻ちゃんをツッコミに回すなんて贅沢な連中ですよ!ぷんぷん」

 

「よし、行くよ!ルドガー!!」

 

「おう!!」

 

「じゃあさ、俺達も行くか!クレス!!」

 

「うん、行こうか!!スタン!!」

 

「な、なんだか大変な事になったね」

 

「へっ!こういう乱戦も好きだぜ」

 

「こんな所に私の武器が」

 

「おい、俺の方を見るなヘラクレス。絶対に投げるなよ?絶対だぞ?」

 

「それはフリと受け取ってもいいのかな?」

 

「やめろ」

 

 

 

「何かカオス過ぎるんだが」

 

「………」

 

「で、お前さんはどうしてここに来たってわけ?俺達も初めて見るし優のやつも会ってないと思うが?」

 

「???あの少年が助けを求めただろう??」

 

「ああ……で?」

 

「???」

 

 

 

 

 

 

 ※誰の台詞かは各自で考えて見てください。答えは次話のまえがきにでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 これまで色々と遠回りしてきたけど、やっとここに戻ってくることが出来た。

 でもまあ、なんだか最終決戦っぽい雰囲気だけど、あの大きな怪物を倒せばいいのかな?

 

 ってあそこで式さんが獲物を見る肉食動物の目で怪物を見てるし、間違いないかな…

 

 じゃあ、取り敢えずはなのはちゃん達と合流するとしよう。

 

 転移魔法を使用しなのはちゃんの隣に移動する。

 瞬間なのはちゃんが飛びかかってきたので急いでフェイトちゃんの隣へ転移。フェイトちゃんも僕のズボンを握ってきた。

 

 一体この2人に何かあったのかな。

 

 

 まあそれはおいておくとして。今の状況をユーノ君から聞き終えた僕は怪物、闇の書の防衛プログラムへと視線を向ける。そこには、次々と触手や腕を斬られている怪物の姿が…

 式さん、結構鬱憤溜まってたのかな…

 

 まあ、作戦は聞いた。ようは巨大な砲撃魔法、いや魔力攻撃で打ち抜いて核を露出させればいいみたいだ。

 

 

「じゃあ、手伝ってくれる?なのはちゃんとフェイトちゃん」

 

「「勿論」」

 

 

 じゃあ、始めようか。

 僕は他の皆に離れるように言って手を前に出す。取り出すのは剣、早速で悪いけど使わせてもらうよ、アルトリアさん。

 

 

「ちょっと待って、うちも手伝う」

 

「俺にもやらせてくれ」

 

 

 約束された勝利の剣(エクスカリバー)を今正に取り出そうとした瞬間、後ろから声を掛けられる。

 視線を向けるとそこには闇の書の主である八神はやてさんとルークさんの姿が……

 

 

「あれ?ルークさんさっきまで怪物の所にいなかった?」

 

「あんな刃物振り回している怖いやつがいるんだ。一度引いたんだよ」

 

「そ、そうだったんだ。で、手伝うって事だけど、別にいいよ。多くても困ることはないしね」

 

 

 僕の言葉に少し嬉しそうに笑みを浮かべたはやてさんとルークさん。僕達5人は未だ再生、切断を繰り返されている怪物を中心に円状になるように待機し、それぞれ魔力を高めて最大の一撃を叩き込む準備をする。

 

 

『式さん、そちらの戦況はどんな感じ?』

 

『ああ、てんでダメだな。弱いくせに死の線を切っても他の場所から再生しやがる。俺じゃあ仕留め切る事は出来ねえみたいだ。だから取り敢えずお前たちの攻撃は邪魔はしねえよ』

 

 

 式さんは念話でそう言うと一度怪物の足元を切り落とし距離をとった。じゃあ、今度こそやろうか…

 手に持つのは聖剣。持っているだけでも圧倒されそうな力の脈動を感じる…それを僕は魔力を込めながら振り上げる

 

 

「今度は私の全力全開だけじゃない。愛を込めた一撃になるよ…スターライト…」

 

「きょ、共同作業……いいかもしれない…だ、だから本気で行きます。プラズマザンバー…」

 

「色々あったけど、それもここで終わり。今度こそおやすみ……ラグナロク!」

 

「俺の一撃も耐えてみな。ロスト・フォン…」

 

「行くよ!エクス−−」

 

 

 

 

「「「ブレイカァァァァー!!!!」」」

 

「ドライブ!!!」

 

「−−カリバー!!!」

 

 

 聖剣を振り下ろした。

 聖剣から放たれた光は怪物を飲み込み、周囲の海水をも蒸発させている。

 

 他の皆が放った一撃も相当な物で、なのはちゃんに至っては衝撃波でクロノ君が吹き飛ばされる始末……

 

 

 なんかやり過ぎかもしれないけど、気にしない。

 

 後は、闇の書の騎士であるシャマルさんが核を捕まえて、転送すれば終わりだけど……うんまあ、あれだね。式さんが突っ込んでいった。

 

 

『何やってるの!?』

 

『どんなに再生能力持ってようが、核が死ねばどうしようもねえんだ。なら話は簡単だろ?』

 

 

 成る程、確かにそうかもしれない。いやいやいやいや。

 それはおかしい気がするよ、式さん。

 

 

「本体コード、露出…….って、核が!?」

 

『継接ぎだらけだな、こいつも!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煙が晴れ、闇の書の防衛プログラムが居た場所には、気怠そうに浮いている式さんの姿があった。




七夜を期待した皆さん。何かすみません。
パンダ師匠の中身は式でした。


因みにその他入りしたのは両儀式さん、つまり「」の一部でした。

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