憑依拒否   作:茶ゴス

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現実編第3話「再会、そして大騒動なの」

 目を覚ます……夢で全く同じ光景を見た…そっか、私はやられちゃったのか。

 優君のために頑張って修行して、ヴィータちゃんも倒せたのに肝心のシャマルさんのことを忘れていたの…一体私は何をやっているのだろうか…

 

 

「ほんと、弱いな。私」

 

【マスター…】

 

 

 枕元に置かれていたレイジングハートが話しかけてくる。そっか、レイジングハートの破損はしなかったんだ。それは良かったの…

 でも、それでもまだ足りない。私はもっと強くならないと。優君に置いて行かれたくないから…

 

 

 

 

 それから、お医者さんに診察してもらった。やっぱりリンカーコアは蒐集されてしまったようで、小さくなってしまっているそうだ。まあ、それでも既に魔法を使える程度には回復しているらしい。

 もしかして、シャマルさんを攻撃したから中断できたのかな。真実はわからないけれど運が良かったと思えばいいの。

 

 

「まあ、魔法を使えると言っても万全ってわけじゃないからね。暫くは気をつけるんだよ」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

 

 頭を下げてお礼を言う。そう言えばヴィータちゃん達は優君を狙ってたんだよね?それじゃあ今の優君は格好の獲物なんじゃ…こうしちゃいられないの。早く戻らないと…!!

 

 

「あ、ハラオウン執務官。」

 

 

 部屋の扉が開く音がする。そちらに目を向けるとフェイトちゃんとクロノ君が立っていた。

 

 クロノくんはこちらを一度見るとそのままお医者さんと一緒に出て行ってしまった。部屋に残ったのは私とフェイトちゃん。

 フェイトちゃんは顔を伏せて少し悲しそうな表情をしている。

 

 

「もう、そんな顔してたらダメだよ?フェイトちゃん。そんなんじゃあ優君に笑われるよ?」

 

 

 途端に顔を赤く染める。まだ少し恥ずかしいのかな。でも、優君って鈍感さんだから恥ずかしがってたらダメだよ?

 まあ、その分優しいから気付かなくても気にはかけてくれるとは思うけどね。

 

 

「なのは…ごめん。私の力不足で…」

 

「違うよフェイトちゃん。これは私が弱かっただけ。」

 

 

 だからフェイトちゃん、悲しそうな顔しないで。私はフェイトちゃんの笑顔が見たいの。

 

 って、そうじゃなかった!!ベッドから立ち上がる。まだ少しフラつくけどこうしちゃいられない!

 

 

 

「なの「フェイトちゃん!!」」

 

 

 フェイトちゃんが止めようとするのを遮って言う。早く優君の所に行かないと!!

 

 

「一体どうしたの?なのは。落ち着いて。」

 

「早くしないと優君が危ないの!」

 

「……詳しく教えて、なのは。」

 

 

 あれ?フェイトちゃんの雰囲気が変わった。少し冷たいような、そうでないような…まあ気のせいかな。

 そのまま部屋を出ようとしてもフェイトちゃんにがっしり手を握られて動けない。急がなきゃいけないのに…仕方ないか。

 

 フェイトちゃんに事情を話す。優君がずっと眼を覚ましていないこと。相手は優君を狙っていたこと。

 それを話した直後、フェイトちゃんは私をベッドに放り込み念話をしだした。フェイトちゃんってこんな力あったっけ?

 

 

『母さん、リンディ提督。今よろしいですか?』

 

『どうしたの?フェイト。今日の晩飯はハンバーグがいいの?任せなさい!』

 

『巫山戯ないで下さいプレシアさん。で、どうしましたか?フェイトさん。』

 

『ちょっとした冗談なのに…』

 

 

 あ、一応念話は聞けるんだ。でも話せないって事はそこまで魔力が回復してないってことか…

 魔法が使えるって言っても使えないのも多そうだなぁ。

 

 

『最重要案件です。今なのはからあの敵の情報を得られました。』

 

『本当に?教えて頂戴。』

 

『流石フェイトだわ!』

 

 

 プレシアさんって親馬鹿だったんだ。しかも重度な…

 それにしても、他人の念話を聞くって変な感じ。

 

 

『敵の狙いは優です。正確には優の魔力です。』

 

『成る程、あのロストロギアならば辻褄が合うわね。でも、もしあの子に仕掛けても返り討ちに合うんじゃ…』

 

『それが現在優は原因不明の昏睡状態らしく、無防備な状態らしいのです。そこで私を優の護衛に海鳴市へ向かわせて欲しいのですが。』

 

 

 成る程、確かにリンディさん達には許可を取らないといけないよね。そこまで頭回ってなかったの…

 

 

『それはいけません。フェイトさん。貴方のバルディッシュは現在軽度と言えど破損している状態でしょう?』

 

『それは…』

 

 

 バルディッシュ、壊されちゃったんだ。でも軽度で良かった…シグナムさんの不意打ちを何とか出来たからなのかな。

 そう言えばさっきからプレシアさんが話してないけど…

 

 

『わかったわ、フェイト。お母さんに任せなさい!行くわよ!アリシア!』

 

『あいあいさー』

 

『ちょ!』

 

 

 …アリシアちゃん、いつから念話出来るようになったんだろ。確か魔法が苦手で上手くいかないって言ってたような…

 それよりもプレシアさん。行くってまさか…

 

 

『もう転移してる…仕方ないわね。フェイトさん、貴方の母親であるプレシアさんが傍にいるならば優君の安全は保証されますね?』

 

『は、はい。』

 

 

 まあ、確かプレシアさんって大魔導師って言われるほどの人だし安全って言えば安全だよね。でもフェイトちゃんもそうだけど、優君は…好きな人は自分で守りたいんだよね。

 

 だけど、今は我慢しなくちゃ。早く万全になるのが最適なの。

 

 

【マスター、少しお話が】

 

 

 どうしたの?レイジングハート。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 《海鳴大学病院にて》

 

 

「お母さん、優起きないね。」

 

「そうね。だけどきっとすぐに眼を覚ますわ。強い子だから…」

 

「早く元気になって貰う為に身体を暖めないと…」

 

「アリシア、どうして上着を脱いでるの?」

 

「え?だって身体を暖めるのって裸で抱き合ったらいいんでしょ?」

 

「やめておきなさい。それとそんな考えは捨てなさい。」

 

「仕方ない。じゃあ普通に暖めてあげよ。」

 

「ベッドに潜り込まないの。」

 

「えぇー」

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 アースラが整備中で使えないこともあり、作戦本部を海鳴市に置くことになったの。まあ、簡単にいえばお引っ越し。フェイトちゃん一家とリンディさん、クロノくん、エイミィさんがそこに引っ越すらしい。

 

 大まかには夢のどおりに進んでいく。けれど細かいところは違ったりするの。

 レイジングハートはメンテナンスの為に管理局本部に置いてきた。レイジングハート本人からそんな希望を言われたの。

 

 恐らくはヴィータちゃんやシグナムさんのデバイスを見て、ベルカ式のシステムを組み込む為に言い出したのだろう。

 私自身、カートリッジシステムに興味があったり特別必要だと思ったりもしていないの。だけど、相棒であるレイジングハートが言い出したのだから私はそれを全力で支援するの。

 

 だから、一緒に強くなろう。レイジングハート。

 

 

 管理局から海鳴市に戻る前にフェイトちゃんから頼まれたの。強くしてくれって。

 フェイトちゃんも優君に置いて行かれたくないらしく、頑張って修行していたそうなの。だけど、それでも足りないと思ったらしい。

 私がヴィータちゃんを倒したのを知ったからそう言ってきたのだと思う。

 

 それに私は快く引き受けた。今現在は私もフェイトちゃんも万全ではない。だからこそ出来る修行もある。

 

 取り敢えずは周囲の魔力を身に纏えるようにならないとね。私もスターライトインパクトの溜めれる容量をもっと増やすように頑張るから。




プレシアさん、以外に常識人(笑)かも。


《引越し当日にあった出来事》


「姉さん!どうして優と一緒に寝ているの!!」

「だって、早く元気になってもらいたくて」

「母さんも、どうして見ているのに止めなかったの!?」

「だって、止めようとしたらアリシアが嫌いって言うんだもの」

「ねえ、もしかしてフェイトの親って」

「凄く親馬鹿なのかな?」

「はぁ、優君の匂いだぁ」

「羨m…じゃなかった、どうしてなのはは優の腕に頭こすりつけてるの!」

「フェイトちゃんもやる?」

「うん!」


「…ねえすずか。フェイトってもしかして」

「うん。見た感じ藤崎君の事…」

「…….ま、まあ。なのはが元気になってよかったわね!!」

「そ、そうだね!」




以外に大胆なフェイトちゃん。尚、本人が起きているとしおらしくなる模様

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