憑依拒否   作:茶ゴス

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始まってしまった

 あれは夏の暑い日のことだった。当時幼稚園児だった私はその日も友人と遊び、日が暮れた頃に迎えに来た親の車の中で眠っていたのだ。

 

 そこで私は夢を見た。幾多の世界を破壊した者と世界を救った者、世界を手に入れた者。その者たちの記憶を…

 それから何か異変を感じた。夢の中だというのにそれはとてつもなく寒気がし、恐怖…というよりは憎悪するであろう物を感じ取った。

 

 後からわかったが、これは他者が私の身体を依代に現界する前兆だったらしい。私は無意識というよりも反射的にそれに抗い拒否したのだ。

 幸運なことにその者の気配はすぐに消え失せた。しかし、この身体にはあるものが残ってしまった。幾つもの記憶と人物の意思が

 

 どうやら、私に取り憑こうとした人物が持っていたものらしく、状況を把握している者によると神様に転生なるものをさせて貰った者が望んだ力の副産物として多くの人物の意思が宿っていたようだ。

 

 私に取り憑こうとした者、転生者は既にこの世界からは追い出されたらしく。今は違う世界に行ったのか消え失せてしまったのかはわからないらしい。

 

 なんとしても私自身の身体を乗っ取られなくて済んだことに安堵してから私は気づいた。

 何故ここまで冷静…いや、思慮深いのだろうか。

 

 それについても私に宿る人物が推測を立ててくれた。宿る者の記憶を見て体験してしまったために、精神が成熟してしまったのでは?とのことだ。

 だが、私自身の記憶は鮮明だ。先ほどまで遊んでいた内容は幼稚に感じつつも楽しかったと思っている。

 

 それこそが成熟した証だと指摘されてしまった。

 

 なるほど、幼稚だと考えてしまうのが既に一幼稚園児の思考ではないと?

 

 馬鹿を言うな。いかに私の知識の奥底が見えないにしろ未だに私が幼稚園児であることには何ら変わりはないのだ。

 このようなことを思考できる幼稚園児がいないと指摘しようが、そこに存在する以上どうしようもない事には変わりない。

 それに、ある程度の子供っぽさを出していれば少し大人な雰囲気を纏った子供であると考えられる程度だろう。

 

 そう言った事を告げると、私に宿った人物は驚いたような表情で指摘してきた。

 危機感が足りない所を見るに、感情面はあまり成熟していないと見えると

 

 なんとアンバランスな精神なのだろうか。知識面や精神面が成熟しつつ感情面などは子供のまま

 

 頭を抱えている私(夢)に対してさらに追い打ちを掛けるようにある者が高笑いを上げて告げた

 

 

「オレの知識がある程度なわけがなかろう。既にお前の頭脳は人智を超え神をも討つ可能性を持っているぞ」

 

 

 その人物は黄金の鎧をガシャガシャ鳴らしながら高笑いして私の奥底へ消えていった。

 

 随分と自意識が高い人物のようだが、もしもだ。万が一あの人物が言っていた事が事実だとするならばだ

 

 

 私、普通の幼稚園児じゃなくなってしまったのじゃないのか?

 第2の地球の歴史とか恐竜が居た時代の人口とかって中学生あたりで習うよね?

 

 

 肯定を期待しながらこちらを苦笑いして見ている人物に聞いてみたが、そのままの表情で頭を振られた

 

 

 なんという事をしてくれたのでしょう。

 転生者へ呪詛を呟きつつ私は夢の中から目覚め、未だに走っている車から流れる景色を見た。

 

 

 あのUFOはどこへ向かっているのだろうか

 

 

 

 それが私という物語の始まりだったのだ




転生者が望んだ特典
魔力SSS
身体能力凄い
fateに出たサーヴァントの宝具
テイルズ主人公の術技

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