―Satori Komeiji―
今からちょうど一年前、地底の異変が解決した後、私は紅魔館の主に呼ばれて紅魔館へ足を運んだことがある。
彼女は、洞窟の中に何年居たの?と尋ねてきた。私は、五百年と答えた。すると彼女は、ちょうど私が生まれた時から居るのね。可愛そうに。と悲しげな顔をした。私も、生まれた時から地底に居る。それならば、私達は同い年ね。と言って彼女に笑ってみせた。
それ以来、私達は何度も交際を繰り返している。だからこそ、彼女にこいしを安心して預けられると言うものだ。
そして、最凶覚異変解決から数時間後。私は今、紅魔館に居る。とりあえず、今は怒られることを覚悟して来ている。まず、紅魔館を荒らしてしまったこと。そして、パチュリーさんに怪我をさせてしまったこと。これくらい謝ることがある。
「レミィ、ごめんなさい。貴女の言うことを何でもきくから、私の兄妹だけには…」
「何でも?なら、私の要件は…その水臭い謝り方をやめてくれない?」
「え…」
「別にそれくらい良いわ。何より、あなたが無事で良かったわ。」
「そうね、でもなんか、貴女の兄に負けたままじゃアレだから、貴女と一回勝負しましょうかしら。誰か、心の底から頼れる人をパートナーに呼んで。それで、もうお終い。」
「うう…うっ…うう…」
「あ、ちょっと!あんたはすぐ泣くんだから。私は流水が嫌いなの!こんな場所で、目から流水流さないでよ!」
私は、こんな良い友人を持って幸せだと感じて嬉しくなった。嬉しさのあまり、泣いてしまった。
だって、このような人はこの五百年の中で一人として居なかった。私達はいつも嫌われ者で、塵を見るような目で見られてきた。
けれど今は違う。レミィや霊夢さん、それに想真だって居る。私はもう、嫌われ者じゃない。純粋に私を私として見てくれることが嬉しい。今は、ただそれだけだ。
「ああ、お姉様がさとりさんのこといじめてる!」
「あ、本当だ!レミリアさん酷い!」
―Utsuya Komeiji―
これから、どうしようか。
人妖にかけていた《零》の能力は解除した。紫の能力を使って、また別の世界に行ってもよし。それか…
「鬱夜!こんな所に居たのですか、探しましたよ!まったく、何で幻想郷に来たのなら私に遭いに来ないのですか?」
「おっ、映姫。久し振りだな。これからどうしようかと思ってな。」
「さとりさんと一緒に地霊殿に居たらどうですか?放っておくと、部下はサボりますよ?ソースは私です。」
「安心しろ。燐や空に限ってそれは無い。さて、まあちょっと旅してくるよ。じゃあな、映姫。妹達をよろしくな。」
幻想郷の博麗大結界、これは霊香が張ったものなのだが、ここから外はどうなっているのだろうか。確か、霧雨魔理沙とか言う奴が住んでいると聞いた。とりあえず、そこへ行ってみるか。
―Soma Kaikyo―
異変が一段落すると、霊夢さんに博麗神社へ来るように言われた。正直、僕自身も彼女から話を聞きたかった所だったから丁度良い。
「あの、霊夢さん…」
「待って、まずは私から。あなた、もう帰るの?」
「はい。」
「そう、嫌だわ。結局、人間が私とあなたくらいしか居ないじゃない。咲夜は吸血鬼で、魔理沙は妖怪。現実味が無いわ。」
「早苗が居るじゃないですか。」
「ああ、あなたの女ね。あいつも半分神様じゃない。」
早苗が半分神様、か。確かにあいつは、高校ではかなりの人気者で、誰にでも優しくする。正直、人間って感じはしなかったしな。
そりゃあ、二年前に早苗が居なくなった時は大騒ぎだった。けれど、そのうち彼女を意識するのは俺くらいになってしまった。
「今もですが、高校一年生の時、彼女は俺にとって、神様みたいな人でした。それこそ、不思議な力も持っていて、それが逆にクラスメートに好かれていったんです。」
「そう、なんなら連れて帰ったら?私にとっては、お賽銭が全部向こうにいっちゃうから迷惑なの。」
「いえ、早苗がここに居たいと言うから大丈夫です。それに、もう外界では神奈子様達は生きられませんしね。」
しばらくして、俺は博麗神社から、魔理沙さんやアリスさんと共に元の世界へ帰った。帰るときに、早苗は御守りと言って緑色の綺麗な水晶のキーホルダーを5つくれた。それは青空珠と言って、砕くと一時的に封じこめられた神奈子様の力が発動するらしい。護身用に、と言うことらしい。
「なんか、まだ夢見てるみたいだな。早苗にも会えたし、不思議な力を使う妖怪達にも出会えたしね。」
「もう、夢じゃないって!何なら、毎日電話しても良いんだよ?もう居る場所バレちゃったから、電話されても無視したりしないから。」
電話、幻想郷に電話があるのか?そもそも、幻想郷って国内なのか国外なのか。国際通話にした方が良いのか?
「想真さん。私のアドレスも入れてあげるわ。」
さとりさんに無理やり電話を奪われ、アドレスを入れられた。やはり幻想郷なのか、彼女の携帯電話はかなり古い型だ。
さとりさんに携帯電話を返してもらうと、魔理沙さんがそれじゃあ外界に飛ぶぜ。と言って魔法式を唱え始めた。
「また、会えるかな。」
「会えると言うか、幻想郷にまた来てよ!みんな、あなたを待っているから。」
「そうよ、今度はお賽銭入れていきなさいよ!」
霊夢さん、幻想郷の金持ってないですよ。まあ、紫さんに両替してもらえば入れられるか。
「よし、外界に行けるぜ!じゃあな、霊夢!」
《転移「近代化する魔法少女」》
それから数日後、紫さんが鬱夜を襲撃したことの詫びとかで、頼みさえすればいつでも幻想郷に行けるようにしてくれた。彼女は腹に少しばかり怪我をしていたが、理由を聞いたら、鬱夜にスキマに入られて襲撃し返された挙げ句弾幕勝負でぼろ負けしたと言うことらしい。
「ああ、紫さん。やっぱり襲撃はダメですよ。」
〈…うるさいわね。藍にも同じこと言われたわ。〉
彼女はその後、待っているからとだけ言い残してスキマへと帰っていった。彼女曰わく、幻想郷の他にも色々な異世界が存在するらしい。
幻想郷も良いが、他の異世界にも行きたいと少しばかり思った。
stage clear
clear bonus
1000000
To be concered…?
どうも、tesorusです。
今回の話は、主に「東方地霊殿」の話を基にして書きました。次回作ですが、次回は、「東方紅魔郷」のキャラを軸に書こうかなと思っています。