東方最凶覚   作:tesorus

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十:平成のアンノウン

お牢はまた百足の姿に戻り、攻撃を開始しようとした。しかし、彼女と俺達との間に何かの黒い物体が突き刺さった。それはよく見ると、黒い槍の形をしていた。槍が飛んできた方を見ると、不思議な形の羽を持つ妖怪が飛んでいる。

 

「君は…?」

 

「それはこっちの台詞。君が鬱夜のペットを攻撃するなら、私もあなたを攻撃する。どうなの?」

 

〈どうかしたの?まさか、お牢がまた何か…〉

 

「何か、誰かが邪魔してきたんだよ!その…赤と青の羽を持ってる黒い髪の女の子が!」

 

「赤と青の髪?それって、ぬえのことじゃない?」

 

「鵺?」

 

鵺、早苗から聞いたことがある。確か、平安京を騒がせた妖怪?だったような気がする。

 

「さて、君が私を倒すと言うなら相手になるよ。」

 

ぬえは突き刺さった槍を浮かせて、自分の方へ引き寄せた。流石に二対一はキツいから、加勢を頼もうかな。

 

「ま…待ってよ!私はその、今日は厄日だからさ。パルシィなら平気だよ。」

 

「な、何で私になるのさ!ヤマメの方が戦闘向き…」

 

「安心しな、皆まとめて一撃で仕留めてやる。」

 

《黒穴「クリエイト・ショック」》

 

鵺の少女が放つ黒い槍から放たれる閃光は、俺の意識を朦朧とさせて、確実に体力を奪っていく。もはや、槍が放たれていることすら確認できないほどに弱っていった。

 

 

 

 

 

再び意識を取り戻した時、目の前には黒い翼を持った妖怪が黒い槍を食い止めていた。

 

「…君が、お空?」

 

「そう。核の力を持つ烏、空だよ。もう少し来るのが遅かったら…君達串刺しだったかもね。」

 

「…っ!何故だ、何故鬱夜のペットであるあなたがこいつ側の味方を!」

 

「確かに私は鬱夜様のペットでもあるよ。けれど、今はこいし様のペットとしての役目を果たさせてもらうよ!」

 

空の厚い翼は黒く染まった槍を跳ね返し、空は身体に炎を纏って鵺の少女へ突進した。

 

「ぐっ…わかったよ。もう私は帰るからさ、本当によく解らない兄妹だね、君達は…居るのでしょう?さとりさん。」

 

えっ?さとりさん?あの娘は、確かまだ守矢神社に居るはず。こいしちゃんならこの青い薔薇を通してなら見ているけれど…

 

「…よくわかったわね。私がパルシィに化けていたと。」

 

その声に驚いて後ろを向くと、桃色の髪に青色の瞳。綺麗な覚妖怪が立っていた。

 

「え、水橋さんがさとりさん?意味が解らない…それに、目はもう大丈夫なのですか?」

 

「騙してごめんなさい。ぬえ、少しだけれど、あなたの能力を使わせてもらったわ。」

 

「《無限》の能力だっけ?凄いね。確か幻想郷の全ての能力が使えるのでしょう?でも、何故マミゾウではなくて私の能力を?」

 

「この「全ての能力を操る程度の能力」は、相手が限定されるの。対象は心を読んだことのある相手に限られる。さあ、今度は私の番よ。覚悟なさい!」

 

さとりさんが大量のスペルカードを見せると、ぬえは焦ってそれを止めた。

 

「どうしたの?」

 

「いや…実は、私がここに来たのはあんたらと弾幕勝負したかった訳じゃなくて、鬱夜からちょっと伝言を預かっただけなの。明日、とある場所で待ってるって…」

 

ぬえがそのように釈明すると、さとりさんは少し冷静になり、ぬえの話を素直に聞き始めた。

 

「博麗神社で、午後3時に待ってるってさ。」

 

「そう。わかったわ。」

 

「じゃあ私、もう帰るね。早く帰らないと聖達が心配するからさ。」

 

「そう、なら私はあなたを「一撃で仕留めて」あげる。」

 

「えっ…いや、やっぱり怒ってる?」

 

《天罰「スターオブダビデ」》

 

《爆符「ギガフレア」》

 

《神祭「エクスパンデット・オンバシラ」》

 

「ぬえええん!」

 

しかし、地霊殿も吹き飛ぶほどの凶悪なスペルカードを唱え続けるさとりさんを前にして、既にぬえさんの姿はなかった。どうやら、一つ目のスペルカードが発動された後に逃げ出したみたいだ。

 

「逃げたか…」

 

「まあ、ぬえも悪意があって攻撃した訳ではなさそうですし、とりあえず守矢に帰りましょう。」

 

「そうね。あと、水橋さんを地霊殿から出してこなければ。縛りあげてあるから、解放してあげないとそろそろ脱水症状になるわね。」

 

 




一撃で仕留めてやる。

何か好きな台詞です。使ってみたかっただけです。因みに私はぬえちゃん大好きですよ。聖蓮船やったこと無いけれど。

ではでは、また次回。

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