東方最凶覚   作:tesorus

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おはこんばんにちは、tesorusと申します。一応私は地霊殿、妖精大戦争プレイ済みではありますが、東方Projectの二次創作は初めて書くので、多少わからない設定などがございます。ご了承ください。


地下1階:幻想郷と風神少女
序:早苗と想真


地霊殿、そこはかつて忌み嫌われたと言われる《覚妖怪》が住んでいる城。

 

今、幻想郷でさとり妖怪は、古明地姉妹を除けば誰一人としてその姿を見ることはできない。しかし遙か昔には、彼女達よりも遙かに恐れられた、最凶のさとり妖怪が存在した。

 

彼の名は、古明地鬱夜。確かそんな名前で呼ばれていた妖怪。彼は人間の里の人々がもっとも恐れた妖怪である。

 

彼が身に纏う黒いサードアイは、対象者の心を丸裸にするだけではなく、自身を対象者のもっとも恐れる人物に見せる能力を持つ。しかも、彼に捕まっただけで妖怪などが個々に自称する特別な力、所謂《能力》が全て彼に奪われる。

 

 

 

これは、東風谷早苗と言う旧友に聞いた最凶のさとり妖怪の話である。彼女は長い間、俺の前から突然姿を消したままであった。学校や警察も捜索を続けたが、結局見つからず行方不明となったままであった。

 

しかし彼女は、昨夜になって突然姿を現した。

 

昨夜、携帯が鳴っていたので見ると、その声の主は紛れもなく、数年前に行方を眩ました東風谷早苗であった。

 

彼女は、学校屋上に来てほしいとだけ言ってきた。何故今まで行方を眩ましていたのか、今まで何を何処でしていたのかという俺の質問には一切答えなかった。全て屋上に来れば話すと、それしか言わなかった。騙されたと思って屋上に行ってみると、失踪した前日と何も変わらない東風谷早苗の姿がそこにはあった。

 

彼女は俺に、先ほど説明した最凶の覚妖怪の話をした。さらに彼女は、諏訪子様や神奈子様がその覚妖怪に深い傷を負わされたと言うことも話した。

 

「どうして、何も答えてくれないんだよ…」

 

「ごめんね、本当は私、こっちに戻ってくる気は無かったんだけど…でも、想真なら助けてくれるって思ってるから一回…戻って来たの。」

 

「そうか、でも…あの諏訪子様や神奈子様でさえも敗れるその覚妖怪って奴は何なんだよ。」

 

「わからない…でも私本当に怖くって、もう頭の中が真っ白になって…」

 

「お前の奇跡の力とやらはどうしたんだよ。だいぶ前に、俺に偉そうに見せてたじゃないか。」

 

「そんなもので…何とかできれば、何でこんな場所に来てるの!」

 

「うっ…早苗、声大きい。」

 

「あ、えっと…ごめんね…」

 

早苗はそう謝った後、何か言いたげにこちらを見てきた。もう早苗が何を言いたいかはわかっているが、正直俺はそれを素直に了解できるかはわからない。けれど…やはり彼女の力になってあげたい。俺の心の中には、そのような気持ちがある。

 

「想真…」

 

「わかってる、お前達の世界に来いって言うんだろ。」

 

「うん、ごめんね…心配ばかりかけさせて。」

 

彼女が居る場所、それはこの世界の物質や生物が幻と化した時に辿り着く場所である幻想郷。かなり前に、どこかの歴史書の伝説で読んだような気がするが、本当にあるとは…さらに、早苗がそこに居るとは夢にも思わなかった。

 

次の日、俺は幻想郷へ旅立つこととなる。幸い今は高校では冬休みなので、その辺は心配なさそうだ。しかし、いつまでも幻想郷に居る訳にはいかないので、一応幻想郷の《異変》が収まったら元の世界に戻してくれと言う約束もした。

 

歴史書によると、幻想郷へ行くことは《幻想入り》と呼ぶらしく、幻想郷へ一度足を踏み入れると元の世界へ戻ることは非常に困難だという。しかし、早苗曰わく今回は隙間妖怪の紫と言う協力者が居るため、大丈夫だという。しかし俺の部屋の窓から見た景色は、それを否定するがの如く酷く荒れていた。

 

「本当に、幻想入りしても大丈夫かしら?」

 

紫と言う隙間妖怪は、心配そうに俺のことを見つめてきた。早苗は、隙間妖怪はかなり老けて見えると言っていたが、実際俺からすると大して老けては見えない。

 

「大丈夫ですよ、それに、異変が解決すれば貴女がすぐに戻してくれるのではないのですか?」

 

「いや、その異変のことよ…強力な妖怪達が次から次へと襲われているし、第一、戦うことすらできない人間が言ったところで…失礼かもしれないけど、足手まといよ。」

 

「わかってます。確かに、俺には奇跡を起こす力なんて使えません。けれど、それでも俺はあいつを支えてあげたいんです。」

 

「…わかったわ。もう貴方達には何を言っても無駄みたいね。そこまで言うなら行きなさい。」

 

「ありがとうございます。」

 

彼女は、死んでも知らないわよ、と俺に忠告してきた。その言い方はまるで、誰かが幻想入りして死んだという所を見たような言い方であった。

 

 


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