あたごコレクション   作:今瓜リタ

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かなり久しぶり過ぎる更新となります。
すみません!
何故か自衛官候補生がまた落ちてしまい、ログインすらしていませんでした!
あとこんなにも予定より更新が遅れているのにも関わらず、お気に入り登録を解除せずに、待ってくださっている方。本当にありがとうございます。


17話、〜横須賀3日目〜 あたご&島風VSラーズグリーズ&オメガ

 

ー1800時ー

《それじゃ演習開始!》

 

 

〜防御艦隊〜

「あれ…?」

 

演習が始まると、防御艦隊側の現代の艦娘達はすぐに異常に気づいた。

 

「…レーダーに何も映らないわね…みらいさん、レーダーに何か映ってますか?」

「あー、ケストレルさんと同じです。私のレーダーにも何も反応ありません。アンドロメダさんはどうですか?」

「反応ありません…探知範囲外でしょうか?みらいさんのシーホークのレーダーで探してみましょう」

「わかりました。シーホーク発艦してください!」

《りょうかい!シーホーク!はっかんします!》

 

シーホークがみらいから発艦、即座に上昇して高度を上げるが、レーダーには何も映らなかった。

 

<<あれ…なにもうつらないよ?>>

「そんな馬鹿な…」

「嘘でしょ…?」

 

アンドロメダやケストレルが信じられないという表情をした。

 

「そういえば…みらいさん、あたごさんって一応ステルス性を意識して建造されてませんでしたっけ?」

「そうですけど…少し意識したって程度でレーダーに完全に映らないなんてあり得ませんよ」

「……わかりました。では予定通りケストレルさんは艦載機を発艦させて上空から警戒してください」

「わかったわ」

「今回の演習の目的は攻撃艦隊の上陸を阻止する事です。攻撃艦隊の索敵はケストレルさんのラーズグリーズ隊に任せ、私達はここで哨戒し、攻撃艦隊の接近や上陸を阻止します。

シンファクシさん、長門さん、赤城さん、加賀さん、夕立さん、電さん、クロさんは湾内を哨戒してください。狭い湾内じゃレーダーの性能の差は殆ど変わりませんしその距離じゃ砲雷撃戦に長けている皆さんの方が有利です。

私とケストレルさん、みらいさんは東京湾の入口を哨戒します」

 

 

 

〜攻撃艦隊、あたご〜

この段ボール被ってても見つからずに上陸するのは難しそうだな…

ある程度近づいたら俺が囮になるか?

いや、ダメだ。

そうすればレーダーに微弱な反応があればそれが島風だとバレてしまう。

このまま見つからない事を祈るしかないか…

 

 

ー2330時ー

横須賀鎮守府まで直線距離で30km、東京湾の入口の所まで来ていた。

レーダーを活用する為か東京湾の入口を塞ぐようにみらい、ケストレル、アンドロメダの3人と4機の戦闘機しかいないな…

他の艦娘は湾内で警備ってとこか。

このまま見つからなけりゃいいんだが…

 

「ん?今何か…?」

 

やべっ!誰だ!?

慌てて動きを止め、ダンボールの隙間から周りを見渡す。

すると1人の影が近づいてきた。

 

「…気のせいでしょうか?」

 

この声はみらいか。

みらいは首を傾げながら離れて行った。

まだ見つかってないみたいだな。

そう思って進もうと、箱の中で体勢を変えた瞬間、

 

ジャポンッ

 

箱の中で艤装の一部が水面にぶつかり少し大きめな音を立てた。

 

「今の音は…?」

 

やばい、みらいがさっきより近くまで近付いて来た!

 

「ん?どうして箱が…?」

 

しかも場所バレてるし…

どうする?夜だし上空からは見え辛そうだし襲うか?てゆーかもう襲うしか選択肢無いよな…

よし、やるか。

 

「せいっ!」ガバッ

「へ?ちょっ…きゃっ!」

 

みらいがダンボール箱を持ち上げようと前かがみになった瞬間、ダンボールの上の蓋を開けて中から手を出し右手で主砲を、左手で首を抑えながら引きずり込んだ。

そして両脚でみらいの足をがっちりホールドし、余った手で口を塞ぎ………手が余ってねぇ!

顔を俺の身体に押し付けて口を塞ごうにも全力で抵抗されてるから塞げないし…

何か方法は無いのか…?口を塞ぐ方法…口を…口?あ、口を口で……って、それは流石に…

いやでも他に方法は何もないし…

 

「すぅ…」

 

そうこうしているうちにみらいが大きく息を吸い込んだ。

ヤバイ、叫ぶつもりだ。

迷ってる暇はないか…許せみらい!

 

「敵発けぇむっ…!?!?!!!」

 

勢いよく俺の口でみらいの口を塞ぐ。

首を抑えている左手に力を入れ、ゆっくりと血管のあるあたりを閉めていくと、徐々に眼が虚ろになり身体から力が抜けていった。

するとみらいが気絶する寸前に、みらいの肩からシーホークの妖精さんが出てきてカメラを構え、俺とみらいを物凄い速度で連写しだした。

ちょっと、妖精さんなにしてんの。

 

「あとでしゃしんおくってー」

「いいよ〜。そっちがとったのもあとでおくって〜」

「わかった〜」

 

俺の肩からも妖精さんが出てきて、みらいの妖精さんと写真の取り引きをしていた。

 

「…お前らその写真一体どうするつもりだ」

「「ひ・み・つ☆」」

「頼むから悪用はするなよ?」

「だいじょうぶだよ!どろぶねにのったつもりであんしんして!」

「それを言うなら大船な」

「てへっ」

 

大丈夫じゃない。

全然安心できない。

そうこうしているうちに、ここに誰かが近づいてきた。

 

「確かこの辺りで…」

「レーダーの…」

 

だんだんはっきりと声が聞こえてくる。

ケストレルとアンドロメダか?

何でここが分かったんだ?

 

「みらいさんがレーダーから消えたのはこの辺りです」

 

あっ…これステルスだからダンボールの中に引きずり込んだみらいの反応も消えるって事忘れてたー!

 

「シンファクシが聴知した音もこの辺りよね。てゆーか鎮守府の港のすぐそばにいるのにどうしてここの音が分かるの。音は聞こえても邪魔になって場所までは分からないはずよ?」

「クロさんと2人で水上の艦娘に気づかれずに真下を通過して移動できるか遊んでいたみたいです」

「なにやってんのよ…」

「まぁまぁ…っと、前に何かありますね。探照灯照射します…あれは…ダンボール?」

「私洋上迷彩のダンボールなんて始めて見た…取り敢えず中身を確認してみましょう」

 

そう言ってケストレルがダンボールの蓋に手をかけた。

やるしかないな…

蓋が開いた瞬間、主砲をケストレルに向ける。

 

<<ケストレル!よけて!>>

 

俺に気づいたラーズグリーズが叫ぶが…

 

「遅い!」

「へっ、ちょわっと!」

 

主砲を撃つも、主砲を装着している左手首を掴んで弾道を逸らされ、そのまま5m先まで投げ飛ばされた。

 

「咄嗟に投げちゃったけど…結果オーライ?」

「あの…どうしてダンボール内に頬を赤らめて白眼むいたみらいさんがいるんでしょう」

「さあ?」

 

なんで咄嗟に投げれるんだよ…

っと、モタモタしてられねぇ!

さっきまで探知される事を恐れて切っていたECMやレーダー、他の電子機器に電源を入れる。

レーダーを確認すると四方から囲むように4機のF-14が近づいて来ていた。

正直勝てる気がしない…

ああもう!なるようになれ!

 

ダダダダダンッ

 

敵を捕捉し、ミサイルを撃とうとした瞬間。

首に巻いているSPY-1レーダーがついているチョーカーの右前と右後ろ、左前と左後ろ、つまりレーダーの4つの場所全てに軽い衝撃が走った。

それと同時にレーダーが何も映さなくなった。

 

ヴォォォォォォンッ……

 

遅れて20mmガトリング砲の発砲音。

…なるようになっちゃった。

 

「まだだ…まだ終わらんよ!たががレーダーがやられただけだ!」

 

まだCIWSもあれば主砲もある!

それにレーダーが使えなくとも目視でイルミネーターを照射すれば何とかなる!

 

ダダダンッ

ヴォォォン…

 

イルミネーターが1番機らしき奴に、マストにある電子機器が3番機に蜂の巣にされた。

 

「これじゃただの駆逐艦じゃねぇか!」

 

そう叫ぶ俺を尻目に、CIWSの弾幕を回避しながらこちらに機首を向けるラーズグリーズ隊の4機。

こうなったらCIWSと主砲でやってやる!

 

「主砲、撃ち方始め!」

「……」

 

「撃ち方始め!」

「……」

 

「ファイアー!」

「…」

 

………さっきの投げ飛ばされた衝撃で壊れたぁぁあ!?

やべぇよ、もうラーズグリーズ隊俺に向かって爆弾投下してるぞ!?

せめてCIWSだけでも…!

 

「CIWS、AAW!撃ち方始め!」

 

ヴォォォォォォォォォッ!!

 

良かった、CIWSは生きてた…

と言っても投下された爆弾は1機あたり2発、計8発。そこに更に対地ミサイルも数発。

まぁ、結果としては…

 

ボボボボンッ!

 

轟沈の判定がでた。

 

 

 

〜島風〜

静かになったって事はあたごは撃破されたのかな?

まぁでもそのお陰でかなり湾内まで入れたし…後はダンボール被りながら哨戒中の皆にバレないように上陸するだけだね。

 

「連装砲ちゃん、頑張ろうっ!」

「キュッ!」

 

ピィィン………

 

ん?今海中から何か聞こえたような…

 

「なぁに今の音?」

「キュ?」

 

ピィィイン

 

また聞こえた…

もしかして…探信…音?

 

ピィィン…ピィィン…ピィィン……

 

やっぱり探信音だぁあ!!?

物凄い速さで近づいてるから…もしかして魚雷!?

なんで!?

アスロックが積めるのはみらいとケストレルの2人で…でもその2人は気づいた様子はないから…一体誰ぇ!?

 

「と、とにかく回避運動取らなきゃ!機関最大戦速!」

 

ダンボールを被りながら移動しているから前が見えない!

私の速さでも追いつかれるかも…!

 

ピィィィンピィィピィィン

 

追いつかれるー!!

 

「連装砲ちゃん!魚雷を狙い撃ちできる!?」

「キュ!?キュッ!キュキュキッ!…」

(訳 : え!?無理だよ!ダンボールの中からじゃ撃てない!)

「やっぱりダメかぁ…」

 

ドォンッ!

 

「きゃんっ!」ベリッ

 

しまった!魚雷に当たった衝撃でダンボールが壊れた!?

損害は…小破…よし、まだいける!

 

「キーワーミー!」

 

何か今また海の中から聞こえたんだけど…フタエノキワミがどうとか聞こえるんだけど!?

 

「いたぞ!」

「いたっぽい!」

 

げっ…みんなにバレた!

 

「全砲門、発射!」

「当たらないよーだ!」

 

私にそんなの当たるわけないじゃん!

 

「連装砲ちゃん…可愛いなぁ…」ボソッ

 

ん?今長門が何か言ったような…?

あれ、どうして連装砲ちゃん青ざめてるんだろう。

 

「メビウス隊、オメガ隊、発艦してください!」

「…第一航空戦隊、発艦」

 

艦載機まで来ちゃったよ…

まぁ私の速さで爆撃は当たらないけどね!

ほらほら、オメガ隊とか言われてたのが爆撃に来たけど…外した!

当たるわけないじゃん…あれ?どうして操縦席に誰もいないの…?

もしかしてぶつけるつもり…?

 

「まぁ、こんなの避ければ…」

 

…あれ、どうして誰もいないのに追いかけてくるのこの戦闘機。

 

ドンッ

 

「いっ…なんで!?」

 

辺りを見渡すと、オメガ隊と呼ばれた機が10機も私に突っ込んできた。

しかもパイロットは皆、脱出済み。

 

「嘘ぉ!?」

 

何このベイルアウターの人達…まともに攻撃する気ないじゃん!

 

ドンッ!ドドドンッ!ドドドドドドンッ!

「いったーい!!!!」

 

もう怒った!

私の魚雷を空母に当ててやる!

 

カチッ…カチッカチッ…

 

なんで!?魚雷が撃てない…!

 

「島風ちゃん、背中…轟沈判定でてるっぽい」

「えぇぇぇえ!?」

「だから演習も終わりっぽい」

「まだ終わってないもん!連装砲ちゃんは沈んでいない!」

「連装砲は別々なんだ…じゃあ連装砲も狙うっぽい!」

「キュ…キュキュッ!」

(訳 : ふっ…甘い!)

 

連装砲ちゃんはそう言うと1基(?)は長門の胸元に、残りの2基は長門を曳航しようと両脚のそばにピタッと擦り寄ると、長門が悲鳴をあげた。

 

「ふぉぁあ!?」

「ふふん、長門と一緒に上陸しちゃえば撃てないでしょ!本人は連装砲ちゃんにメロメロだしね!」

「確かに…このまま攻撃して避けられたら下手すれば味方を撃破してしまうっぽい…」

 

私たちが勝った!!

そう思った瞬間にU96が浮上してきた。

 

「あの…シンファクシさんのニンバスなら、長門さんを撃破せずに連装砲ちゃんだけ撃破できるんじゃないですか?」

「「………え?」」

 

私と長門の声が重なった。

 

「あ!確かにそうすれば中破か大破まででいきなり轟沈はしないっぽい!」

「確かにそうだが…私がアレをくらうのか?」

「だって長門さん自分で対処できないっぽいし…」

「うぐっ……そうだな…じゃあ頼む…」

 

ええー!

なんで!?なんだか皆の思考が怖いんだけど!

悟空がナッパを羽交い締めにしてピッコロが一緒に撃ち殺すようなもんじゃん!

 

「じゃあそうと決まれば一時撤退っぽい!」

 

夕立の声で皆が鎮守府側に戻っていく。

 

「あれ…私は!?」

「轟沈判定でたら演習終了まで動けないっぽいー!」

「ええーー!」

 

まぁ別にいいけどさ…

 

「さみしいじゃん!」

 

そう叫んだ瞬間、空が光った。


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