あたごコレクション   作:今瓜リタ

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すいません!最近月1回の更新になっています…

その代わり今回はなんと9990字という通常の3倍以上のボリュームにしました!


11話、〜演習後半〜 「浮上しても強い潜水艦ってアリなのか!?」

 

「全門、斉射!」

 

長門の声と同時に8発の砲弾が的に向かって高速で飛び出して行った。

命中まで数十秒かかるだろう。

その間みらいは長門に指示を出しながら対空戦闘、2機のシーホークは夕立、島風、加賀さんの護衛をする。

さっきのオーバーヘッドの事で色々と長門にツッコミを入れたい所はあったが…みらいが全て言ってくれたからいいか。

 

「長門さん!仰角そのまま、右に2度修正してください!」

「わかった!……再装填完了、撃て!」

 

長門の撃った砲弾がケストレルに1発着弾、轟沈させ、1発は電のすぐ側に着弾して電に海水を浴びせていた。

 

「…少し、おこなのです(ボソッ」

 

……敵側から何か聞こえたけど気のせいだな、うん。

 

「よし、後は任せろ!」

「了解です、頼みました長門さん!」

「…あれ、そういえば味方の戦闘機が見えないっぽい」

「……まさか…あたごさん、電探に何か見えますか?」

 

加賀さんに言われレーダーを確認するが、空にいるのは敵機だけだった。

 

「…どうやら全て落とされたみたいだな」

「馬鹿な……たった8機で…!?」

 

敵艦隊上空で旋回していた敵がこちらに向かって来た。

そういえばあの先頭が変態機動だから目立たないだけで、他もあの戦争を生き残ったエースなんだよなぁ……

こりゃ少し本気出さないとキツイか。

 

「みらい!先頭は俺が落とすからその周りの奴らを頼む!必要ならシースパローも積極的に使え!全機叩き落とすぞ!」

「はい!もう捉えてます!」

 

みらいが発砲すると同時に先頭のメビウス1に向けて発砲。

軽々しく回避した後に物足りないとばかりにバンクまでふられた。

……喧嘩売ってんのかワレ?

流石に姉ちゃん怒るぞ?

 

「…スタンダード発射」

 

4発のスタンダードを同時発射、ミサイルがメビウス1に向かって飛翔するも全て回避された。

……何でぇ!?あれ本当に零戦なのか!?

 

「さっさと落ちろ!」

 

更にミサイル2発発射するが回避され、続けて主砲を20発発射。

全て10歳用のエアガンのBB弾でも避けるかのように回避された。

 

「サバゲーでももっと当たるぞ!?」

「じゃあ私が!イルミネーターリンク!シースパロー発射!サルボォ!」

 

いつの間にか他の敵を全て落としていたみらいも加勢した。

シースパローなら当たるか…?

 

<<熱源探知ミサイルの回避方法、熱源カット!>>

 

上昇しているメビウス1の無線が聞こえると同時にさっきまで聞こえていたレシプロ機のエンジン音が消えた。

 

「いや、熱源カットって…」

 

上昇していた機体は推力を失い、機首を上に向けたまま降下、ミサイルを回避、シーホークが機銃掃射するがエンジンを再点火して回避。

更に夕立を狙って発砲した。

 

「避けろ夕立!」

「ぽいいいい!?(ボンッ!」

 

銃弾が魚雷に当たり、誘爆を起こして夕立が煙に包まれた。

 

「夕立!無事か!?」

「……えっと……轟沈判定…っぽい…」

 

みると夕立の艤装から白旗のような物が上がっていた。

メビウス1は旋回するとみらいのシーホークに狙いを定めた。

 

「やばっ!」

「回避してください!」

 

俺とみらいのCIWSが作動するも命中は無し。

 

《ひだんした!ねんりょうカット!オートローテーションにはいる!》

「わかりました!頑張ってください!」

 

シーホークは煙を吐きながらみらいの後部甲板に向かって滑空し、機首を真下に向けて着地した。

 

「あたごさん…」

「どうした?」

「幾つか質問してもいいですか?」

「いいけど…」

「……何ですかアレ、本当にレシプロですか?プロペラがついているからレシプロでしょうけどレシプロってあんな動き出来るんですか?そもそもエンジン止めても熱はすぐには冷めないはずなんですがあのレシプロには瞬間冷却機みたいな物がついているんですか?一応40機のレシプロ相手にした事ありますけどこんな変態機動じゃありませんでしたしちゃんとレシプロらしい機動でしたそもそも主砲で落とせない時点でレシプロの枠を越えていますよねてゆーかなんでCIWSも避けれるんですかレシプロの性能じゃありませんよねジェット機より強いレシプロって何ですかそもそもレシプロって何でしたっけレシプロってどんな字を書くんでしたっけレシプロってどんな意味でしたっけレシプロって何でレシプロって言うんですかレシプロって」

「ストーップ!!落ち着けみらい!一旦思考を止めろ!」

 

危ない…このままみらいがゲシュタルト崩壊起こしていたら間違いなく壊れる所だった……

 

「みらい…大丈夫か?」

「……何とか大丈夫です。すみません、取り乱してしまいました」

「お、おう…」

「それで…どうします?散弾砲でもない限り落とせませんよアレ…」

 

確かに散弾砲があるなら落とせるだろうけど…そんな物は存在しな……あった。

散弾砲じゃないけど三式弾なら敵の速度も遅いし落とせる!

 

「長門!今すぐ三式弾を装填してくれ!」

「今かなり良い所なんだが……わかった!」

「長門さんの三式弾なら当たらなくてもダメージは与えれますね!」

「そーゆーこと!」

 

今思ったんだが、敵は残りは艦載機を失った空母1隻と駆逐艦1隻しかいない。

実質戦力になるのは駆逐艦たった1隻。

それに対してこっちの戦力はイージス艦2隻、戦艦1隻に駆逐艦1隻。

こっちの方が明らかに圧倒的有利な状況にも関わらずレーダー上の敵に動揺や焦りの色は見られない…

てゆーかそれどころか未だに轟沈判定の出た艦娘の近くにいるし…

演習では轟沈判定が出ると演習が終わるか非常事態が発生しない限り一切の移動は禁止されてるはず……という事は、敵艦隊は殆ど移動していないという事になる。

なんでだ…?こんなに不利な状況でどうして必要最低限の動きしかしないんだ…?

 

「三式弾装填完了したぞ!」

「ん、わかった!なるべく広範囲に撃ってくれ!」

「わかった!主砲、斉射!」

 

さっきと同じように避けようとするが、三式弾と気付いたのかすぐに空域から離脱しようとした。

 

「遅い!」

「撃ちぃ方始め!」

「連装砲ちゃん!撃っちゃって!」

 

俺とみらい、島風が主砲を撃ち、進路を妨害しているうちに三式弾が爆発、撃墜した。

 

「やりました!撃墜しました!」

「やっとか……」

 

もうグリフィス隊とかガルム隊とか出てきても落とせないぞ……

 

「取り敢えず演習が終わったらゆっくり休みたい…」

 

あ、やべ。フラグ立てちった。

まぁ多少の事なら大丈夫…かな?

 

「魚雷音聴知!方位135!接触まで30秒!すみません、私の訓練不足です!」

「大丈夫だ、30秒ならまだ余裕はある!全艦最大戦速!シーホークは発射予想地点にソノブイを投下!」

 

大丈夫だったみたいだな。

 

《りょうかい!…ソノブイとうか!》

「!?探針音を発しています!あの魚雷、誘導です!」

 

大丈夫じゃなかった。

 

「デコイ投下!みらい、誰を狙ってるか分かるか!?」

「これは…敵の目標は島風さんです!」

「おぅっ!駆けっこなら負けないよー!」

「魚雷と競争するなアホー!」

「大丈夫!ちゃんと考えが(ドォン!)………はーやーすーぎー!」

「…当たり前だーー!」

 

あっさり轟沈しやがった…

考えがあるんじゃなかったのか…

 

《てきのせんすいかんはっけん!》

「ダメだ!」

「オイ誰だ今の!?」

《どうするの?》

「ん、じゃあ短魚雷で…」

《たんぎょらいぜんだんとうかァ!!しずめぇうひゃひゃひゃひゃ!》

「お前もハイになる妖精さんか……」

 

しばらくして海中で爆発音がした。

 

《げきちんしたよー!》

「よし、一旦補給の為に着艦してくれ!長門はみらいの指示に従って残ってる駆逐艦を砲撃してくれ!」

「え、空母も残っていますよ?」

「赤城は実質無力化されているから大丈夫だ!」

「わかりました!じゃあ長門さん、主砲を左4度、仰角38度にしてください」

「…計算早いな、流石みらいだな」

「いえ、これぐらいあたごさんでも出来ますよ!ね?あたごさん!」

「えっ?あ、おう!まぁな!」

 

やべぇ…やり方が全く分からないから出来ない…

 

「じゃあ始めてください!」

「わかった、全門、斉射!」

 

長門の主砲から砲弾が発射され、駆逐艦に向かって真っ直ぐ飛んで行った。

これは間違いなく直撃コースだな。

 

「よし、命中まであと10秒、8、7、6、5、4、3、2(ドドドドドドドドドォン!)……え?」

 

全弾空中で爆発した。

……まだ命中まで1秒あるんですけど!?

 

「みらい、何かレーダーに映ったか?」

「何も映って……敵艦隊の15km後方に艦影あり!…!消えました!潜水艦です!」

「…もしかして……犯人そいつ?」

「みたいですね……敵艦隊でミサイル発射可能な艦は既に大破、イルミネーターもやられているでしょうから……」

 

……なんで次から次へと強いヤツが出てくるんだこの鎮守府は……

潜水艦を攻撃しようにもアスロックの最大射程は駆逐艦と4kmしか離れていない。

近づいたら向こうが接近してきて撃たれるだろう。

相手が普通の駆逐艦なら前進して潰しゃあいいんだが…何せ色々と恐い噂がある電だからな……

油断したら喰われる。

勿体無いけどミサイルで片付けるか。

 

「よし、それじゃハープーンを…」

「敵潜水艦が潜行していると思われる位置から何か打ち上がりました!」

 

みるとミサイルのような物が空に一直線に上昇していた。

なんだ…?対艦ミサイルじゃなさそうだな……

まるでSM-3みたいな…

でも弾道弾なんて誰も撃ってないぞ…?

 

「目標、減速しています!」

「……もしかしてアレ弾道弾か!?」

「みたいですね…」

「この距離で撃つか普通!?」

 

核では無いんだろうけど……

 

「とにかくあたごさん!SM-3で迎撃を…!」

「ダメだ、もう間に合わない!こうなったらSM-2にかけるしかない!」

 

スタンダードで出来るのかどうかは分からないけど….

 

「VLS解放!」

 

そう言ってハッチを2つ解放しようとするが…

 

ガゴッ

 

何かに引っかかって開かなかった。

 

「え、ちょ、こんな時に整備不良!?!?」

 

慌ててキャンセルし、他のハッチを開ける

 

パカッ

 

「良かった…こっちは開いたな」

 

急いでSM-2を発射、何とか迎撃成功した矢先、みらいとレーダーから更に報告が入った。

 

「敵潜水艦浮上!艦載機を射出して潜行しました!」

「イヤァァァァア!!!」

 

艦載機やだ!艦載機ダメ、ゼッタイ!

また変態機動だったら…!

 

「シースパロー発射!…やった!命中しました!」

 

あら…変態さんじゃなかった…

となれば……

 

「みらい!敵艦載機を全て叩き落としてくれ!長門はその間敵艦を!シーホークは長門が敵艦を抑えている間発艦して潜水艦が潜行した地点にソノブイを投下、敵潜水艦の正確な位置を割り出して攻撃してくれ!」

「了解した!」

「わかりました!」

《アイサー!シーホーク、はっかんします!》

 

まずシーホークが発艦、最短ルートで向かう為敵艦隊の上空を通過しようとした。

そこを見逃さず電が主砲を向けるがそこに長門が砲撃して邪魔をし、命中率を下げる。

そしてみらいは……

 

「ふふ…やっと……イージス艦の力が活かせる時が来ましたね…♪

スタンダード発射!主砲、撃ち方始め!

イルミネーターリンク、シースパロー発射始め、サルボー!」

 

ミサイルを迎撃し、敵機を次から次へと撃ち落とす。

今まで常識ハズレの機動をする少数の敵だったり、数は多いがかなり弱いドーントレスだったりを相手にしていたが、ここに来てやっと【ジェット機 × 多数】

というイージス艦の性能が最大限活かせる状況が来て物凄い嬉しそうにしていた。

 

《てきせんすいかんのいちをとくてい!》

 

ソノブイからの情報が送られてきた瞬間、敵潜水艦が浮上、シーホークに銃撃を浴びせた。

 

《え、ちょっ……せめてたんぎょらいだけでもとう(ドンッ》

 

シーホークを撃墜するとそのまま潜行、更に弾道弾を発射した。

…え、今のシーホークを撃墜する為だけに浮上したの…?

 

「あたごさん!敵機が!」

「どうした?」

「約6000ft上空まで一斉に上昇を始めました!」

「一体何の為に…?まぁ取り敢えずみらいは引き続き敵機を頼む!俺は弾道弾を迎撃する!」

「はい!」

 

今度は手遅れにならないうちにSM-3を発射、迎撃に成功した。

 

「弾道弾、更に連続発射を確認!2、4、6…合計6発です!」

 

何発撃つつもりだ!?

SM-3は後9発しか残ってないぞ!?

 

「VLS解放!SM-3発射!」

 

4発目まで順調に迎撃に成功。

だが5発目が…

 

「やべっ!外した!?」

 

徐々に落下を始める弾道弾。

その上空で辛うじて6発目は成功していた。

 

「イルミネータースタンバイ!」

「スタンダード発射!みんな、なるべく分散してくれ!」

 

スタンダード2発が爆発するも、成功には至らなかった。

 

「シースパロー発射!」

 

みらいがシースパローを発射、だが当たらなかった。

この距離で俺たちを標的にするって…一体弾頭は何なんだ…?

 

「CIWS、AAWオート!」

「当たってください!」

 

迎撃が成功したのか、5500ftで対空レーダーから反応が消えた。

 

「成功したのか…?」

「これは…違います!分裂しています!目標の高度5200ft!」

「全員衝撃に備えろ!」

 

そう言った瞬間、爆発音と共に5000ftで6個以上の光の球が出現、あたりが光に包まれ、半分以上のソノブイが壊れた。

何が起こったか全く理解出来ない中、俺の艤装で壊れたのは奇跡的にECMと片方のCIWS、非常用のイルミネーターだけだった。

ちなみに何でイルミネーターが非常用かと言うと、同時対処数を200にする為に妖精さんの改良で終末誘導もSPY-1で出来る用にしていた為、余ったイルミネーターは取り除くのも勿体無いので非常用に取っておいたらしい。

 

「みんな無事か!?全員被害状況を報告しろ!」

「そんな…馬鹿な……ここまでのようね……私は轟沈です」

「加賀さん!?くそっ…他は無事か!?」

「私は中破ですが大丈夫です!やられたのはイルミネーター、ECMと対空、対水上レーダーで主砲とVLS、CIWSは生きています!ただ長門さんが庇ってくれたので……」

「長門!?」

「私は大丈夫だ、この長門を舐めるなよ…?」

「凄い…私を庇って小破…!」

 

クソ…弾道弾1発でここまでの被害……

何がこっちが圧倒的に有利、だ。

油断したらっつーかしなくてもこっちがやられる!

 

「みらい!ハープーン3発撃つからみらいも3発発射してくれ!」

「わかりました!誘導頼みます!」

 

1隻あたり3発のハープーン。

まず外さないし迎撃も成功出来ないだろう。

それにまだ生きているソノブイの情報をみると敵潜水艦が今すぐ浮上しても間に合わないだろう。

 

「当たれ!」

 

赤城は全弾命中し轟沈。

電を狙ったハープーンは狙ったのかそれとも偶然か、1発目は主砲で撃ち落とされた。

だが残りの2発が命中、撃破した。

 

「みらい!敵潜水艦の20km手前まで前進するぞ!長門は25km手前で待機!敵が浮上したらぶっ放せ!」

「わかった!」

「了解です!」

 

この勢いで倒さないとやられる…!

みらいと一緒に20km手前まで行くとみらいがアスロックを発射、しばらくして命中音がソナーから聞こえたが何の被害も無い様子だった。

 

「なんで魚雷食らってもピンピンしてんだよ…」

「撃沈は諦めてバラストタンクを壊して無理矢理浮上させましょう」

 

バラストタンク壊したらそのまま沈むと思んだが……

みらいは再びアスロックを発射、海面に着水した魚雷は潜水艦の下から回り込むように突っ込み爆発、同時に空気の漏れる音がした。

 

「やりました!」

「あのさ……撃沈してないか?」

「いえ、あのサイズです。予備が幾つかあっても不思議じゃありませんしバラストタンクが破壊された不安定な状態なら浮上しようとするはずです」

「成る程、そこが勝負か」

「もし大した被害が無かったら相手が怒って浮上するのを期待するだけですね…」

 

なんつーか…神頼みか…

魚雷を撃とうにも今ので海中が掻き回されたから魚雷は撃てないな…

 

「取り敢えず今のうちに長門さんのいる場所まで離れましょう!」

「だな」

 

長門のいる地点に到着するのとほぼ同時にまたあの弾道弾が2発発射された。

 

「まだあったのかよ!?」

「あたごさん!スタンダードを!」

「分かってる!SM-3発射!」

 

全て落下する前に迎撃に成功した。

 

「敵潜水艦浮上!艦載機を射出!弾道弾1発、対艦ミサイル6発の発射を確認しました!」

「全門撃て!」

 

長門が砲弾を発射、4発が命中したが特に致命的な損傷は与えられなかった。

え、ちょ…浮上しても強い潜水艦ってアリなのか!?!?

 

「みらい!シースパロー2発発射してくれ!SM-2、SM-3発射!」

「わかりました!シースパロー発射!サルボォ!」

 

みらいの2発のシースパローと俺の4発のSM-2を対艦ミサイルの迎撃に、最後のSM-3を弾道弾の迎撃に飛ばす。

弾道弾と5発の対艦ミサイルは迎撃に成功したが、長門に向かう1発の対艦ミサイルを逃した。

 

「やば…長門!」

 

真正面から命中。

煙に包まれるが…

 

「この長門!簡単には沈まないさ」

 

中破よりの小破という所でケロっとしていた。

さささ流石、核に耐えた戦艦…!

 

「また弾道弾です!2発確認!」

「みらい、先にあの潜水艦を沈めれば艦載機は残ってても演習は勝ちだ」

「え…ですがどうやって…」

「スタンダードを対艦ミサイル代わりにして飽和攻撃する」

「……わかりました、弾道弾が早いか私達が早いかですね」

「ああ」

 

とは言ったもののあれトマホーク20発ぐらい命中しないと撃沈できる気がしないんだよなぁ…

 

「みらい!トマホークやハープーンを優先的に全ミサイルを可能な限りの速度で連続発射!ばら撒ける物は全てばら撒け!長門も全弾撃ち尽くせ!最悪殴れ!」

「わかった!この長門に任せろォ!」

「わかりました!主砲、撃ちぃ方始め!VLS解放!トマホーク、攻撃始め!」

「ハープーン対艦ミサイル発射!全VLS解放!目標、敵潜水艦!発射!」

「敵弾道弾、発射を確に……え、直接こっちに来ます!」

 

潜水艦から発射された弾道弾が、その性能で発揮できる最大限の小さい軌道を描いて俺達の上空に飛んできた。

俺達の上空に航空機がいるとして、その架空の敵を狙った対空ミサイルのような軌道。

しかも高度は3500ft。

弾着までは2秒、こっちのミサイルがあたるまで4秒。

少し前から気がついていた。

お互いが手加減していた事。

相手は俺達の何倍も手加減していた事を。

だから…少し卑怯だとは思ったが…こんな手を思いついた。

 

「みんな!艤装に取り付けられた白旗を手で抑えろ!そうすればまだ轟沈した事には…(パカッ」

 

轟沈判定の白旗を手で抑えると予備の白旗が上がった。

 

 

 

〜演習終了後〜

演習が終わった後、お互いがかなり至近距離にいるので合流して帰投する事になった。

 

「佐世保鎮守府所属、演習艦隊旗艦。あたご型1番艦のあたごだ」

「同じく佐世保鎮守府所属、ゆきなみ型3番艦みらいです」

「…航空母艦、加賀です」

「長門型1番艦、長門だ」

「白露型4番艦、夕立です!」

「島風です」

「横須賀鎮守府所属、特Ⅲ型駆逐艦4番艦、旗艦の電なのです」

「ヒューバード級7番艦、ケストレルです!」

「じ、情報収集艦のアンドロメダですっ!」

「シンファクシ級のネームシップ、シンファクシだ」

「ユ、UボートVIIC型潜水艦、U96です…」

「航空母艦、赤城です!」

カガサン(ピクッ)

 

一通り挨拶を終えると、横須賀に到着するまでの間雑談が始まった。

 

「さっき同時発射していたそのVLS、一体どうなってるんだ?」「俺もよく分からん」「えっ!タイムスリップした事あるんですか!?」「やっぱ手加減してたのか…」「シンファクシ、あの光は何なんだ?私が経験したあの光とはまた違っていたんだが…」「ニンバスの事か?」「あ、提督ですか?はい、今帰投しています」「みんなおっそーい!」「キュゥゥ!」「わ、毛先が…あたごさん女の子なんだから髪はちゃんとしないとダメなのです」「いやぁ…ショートだし髪の手入れなんて殆ど知らないからな…」「え、佐世保鎮守府って秘書艦いないんですか?」「そう言えばウチの鎮守府って秘書艦居ないな」「第一声が[俺だ!]だったんですよ!」「え、それでどうなったんですか!?」「実はとっくの昔に脱走していて、美人な彼女さんと一緒にニカノール首相を救出していたんです!」「おお!」

 

 

ー1時間後ー

横須賀に帰投すると、港に提督と横鎮の司令官らしき人が出迎えてくれた。

おお…横鎮の司令官筋肉スゲェ…

ん?電と同じ指輪つけてる…本当にロリコンなんだな……

 

「ただいまなのです!」

「お帰り、電、みんな」

 

「あー、ごめん、負けた」

「お帰り、まぁ相手が強過ぎたな」

「あ、そうだ。佐世保に予備のVLS送るように言ってくれ。なんか故障らしくて一部のハッチがうまく空かないんだ」

「分かった。ついでにそのVLSは佐世保に送っておく」

「ありがとう。所でそこの人は…確かイーグルアイさんだっけ?」

「横須賀鎮守府の司令官をやってるイーグルアイだ。これから一週間、よろしくな」

「佐世保鎮守府所属、あたご型1番艦のあたごだ。よろしく」

 

一通り挨拶が終わり、秋津提督からこれからの予定を告げられた。

 

「明日は各自自由行動だ。明後日、3日目の朝0900までに朝食を済ませてブリーフィングルームに集合。部屋割りはあたご、みらいが3階の階段を登って1番手前、長門、加賀さんが2つ目、夕立と島風が3つ目の部屋だ」

「了解!」

 

 

 

〜佐世保鎮守府〜

みんなが衝突音を聞いて港に集まるとそこには現場を指揮している春樹陽介副司令の姿と半分陸に乗りあげた状態の I 401と書かれた青色の潜水艦がいた。

 

「Oh…霧島ァ…これは何なのデスカー?」

「これは…伊401潜水艦ですね……ですがこんな塗装の潜水艦は始めてみました…副司令、これは一体何の騒ぎなんですか?」

「僕もよく分からないんだけど…突然港にアップトリム80度ぐらいの確度で浮上したかと思うとそのまま乗り上げたらしいんだ」

「はわわ……とても大きいのです…」

「……副司令、これは護衛艦隊か艦娘艦隊、どちらの管轄だい?」

「んー、艦娘ではなさそうだから護衛艦隊の管轄になるとおもうけど……どうも太平洋戦争時の艦ってとこが引っかかるんだよなぁ…」

 

副司令がそう言った瞬間、潜水艦のハッチが開き、そこから女の子が飛び出し副司令の目の前に着地した。

 

「「!!」」

「副司令!!危な……ぐっ……何だ!?」

 

兵士が慌てて副司令と女の子の間に入ろうとするも謎の水色の半透明で六角形の物質が現れて行く先を阻んだ。

 

「あの…僕に何か用でしょうか?」

「副司令!?そんな事聞いてないで早く離れてください!」

「大丈夫大丈夫」

「大丈夫じゃありません!」

 

兵士が必死に説得するも逃げるつもりは一切無いようだった。

 

「…私は潜水艦伊401、イオナ」

「…え?あ、僕は佐世保基地の副司令をやってる春樹陽介です」

「…この基地の司令官は?」

「今横須賀にいるけど…」

「分かった」

 

そう言うと潜水艦の上まで跳躍した。

ちなみにその間兵士と艦娘は『え、なんであっさりと秋津提督の居場所喋っちゃうの!?』と心の中で激しいツッコミをいれていた。

 

「え…分かったって…あの、イオナさん!?」

「なに?」

「まさか横須賀に行くつもり!?」

((予想していなかったのか!?))

「それは不可能。ナノマテリアルも底を尽きかけているし損傷も激しい。修理しないともう航行も出来ない」

「え、じゃあどうするつもりなの?」

「待つ」

「その潜水艦の中で?」

「うん」

「……だったら、いいところあるよ」

「良い所?」

「うん、そこの女の子達がいる場所。そこなら待つにはちょうど良いと思うけど」

「!?副司令!?さっき護衛艦隊の管轄って言ってませんでした!?」

「まぁまぁ、霧島落ち着くネ〜」

「そうよ!レディーをこんな所で待たせるなんて酷いわ!」

「それもあるし…女の子の相手は秋津司令の方が良いだろうしね。どうする?イオナさん」

「……じゃあそこで待つ」

 

 

 

おまけ

〜横須賀鎮守府〜

「あたご、居るかー?お前のVLSだけど…(ガチャ」

「あ、あたごさんなら今入渠中……きゃっ!?」

「えっ、ちょ…みらい!?」

 

お着替え中のみらいが居た。

 

「…とくの……提督の変態!(ドゴツ」

「ゴフッ!?……ま、まて、誤解だ!」

「……司令官さん?」

「……ん?」

「許さないのです(グシャ」

「まてまて人違いそこヤメテ俺の子孫がァアア!?」

「い、電…!?」

「へ?し、司令官さんが2人なのです!?」

「俺は秋津だ…」

「えっ、同じ服なのです…」

「そりゃ同じ職業なんだから服装も似てて当たり前だろう…」

「はわわっ!ごめんなさいなのです!」

「いや、まぁ潰れてないから良いけど…」

「じゃあ潰しましょう」

「みらい!?待ってくれ!アレは誤解痛ァ!?」

「電、見ちゃダメだ。部屋に戻るぞ」

「ちょ助けてイーグル!もうロリコンなんて言いふらさないから!」

「……みらい」

「はい?」

「…頑張れ」

「はいっ!」

「嫌ァァァアアアア!!」

「みらいー、入渠終わった…ぞ……何してるんだ?」

「正当防衛です♪」

「お、おう…」




新キャラ…そう、潜水艦伊401ィ!イオナちゃんです!

タグに蒼き鋼のアルペジオあるのにアルペジオ要素がなかったので……

出して欲しいキャラがあれば感想にて言ってください!
いつ、どういう登場の仕方になるか分かりませんが…
出せるようであれば出します!

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