二人のヒーローが死神の世界に現れました   作:落雷氷華

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前回

ヒーロー、復活
ヒーロー、絶体絶命


ヒーロー、死神にお世話になる

「…………ッぐ…」

一方通行はゆっくりと目を開けた

だがそこは知らない所で、一方通行はベッドに寝ているという実感を持った

(…………俺は…………生きてる………?)

一方通行は生きてるという実感が湧かなかった

あれだけ大量に血を流して生きているだなんてと思う

(………化け物……か)

一方通行は素直にそう思った

(…………?)

一方通行は何か違和感に襲われた

何か…違う

 

そんな時だった

「起きましたか?」

一方通行に声がかけられた

正確には扉の方からだった

一方通行は首だけ向けると、そこには優しそうな雰囲気を放つ女性がいた

「………誰だテメェ……」

「卯ノ花烈です。あなた方を治療した」

「……あなた方?」

「ええ、正確には私と副隊長の勇音が…ですが」

なら三下は無事かァと一方通行は心の中でそう言った

「調子の方はどうですか?」

「………大丈夫…だァ」

「無理はなさらない方がいいですよ。今回特に酷かったのはあなたなんですから」

「……………………」

一方通行は口を閉ざしてしまった

卯ノ花はフゥ…と溜息を吐き

「そうそう、あなたの元の怪我も治しておきましたよ」

「……元?」

一方通行はそれに再度違和感を覚えた

元から…

 

 

古い…傷

「⁉︎」

一方通行は違和感の正体が分かったと確信した

この違和感の正体は、何故自分はバッテリーが切れているのにこんなにも平常でいるのか

いや、ただ充電すればいいのかも知れない。だがこの世界の人々がそれをやると思うか?

答えは否、このチョーカーを見たら真っ先にハテナを浮かべるであろう

だからおかしかった

 

そう、一方通行の脳は

 

 

完全に復活していた

 

 

「⁉︎おい女ァ‼︎これはどういう事だ⁉︎」

一方通行は荒げた

あの冥土返し〈ヘブンキャンセラー〉も治せなかったのを、最も簡単に治してしまった

「何で俺の脳が治ってやがる‼︎答えろ‼︎」

卯ノ花はフフッと笑い

「少し手こずりましたが……詫びとして、ですよ」

「そんな事を聞いてるンじゃねェ。どうやって治したかだァ‼︎」

「それは企業秘密です」

ニコッと笑う卯ノ花

対して一方通行はギリリ…と歯切りした

 

だがこれは一方通行にとっては良いのか悪いのかが分からない

とりあえず一方通行は立ってみた

「________、」

杖なしでも立てる

電源はオンになっていない。つまり治っている

一方通行はそれを再確認した所で、歩き出した

「何処に行くのですか?」

「……………」

「あまり無理はなさらないように」

無言の一方通行に、卯ノ花はただ注意した

そして一方通行は病室から出たのであった

 

 

「それにしてもあの機械………凄い機械でしたね…涅隊長が食いつきそうですね」

 

 

 

 

「………うーん」

上条は何故か唸った

理由は、いつも病院送りなのに何か違うと思っていた

それはそうだ。ここは上条達(ではないかもしれないが)にとっては異世界

てか天国に病院ってあるのかよと本気で思った上条

「…………これからどうなんのかな〜………」

 

 

と、そんな上条に

ガチャリと、扉が開いた

「……上条当麻だな」

そこには、あの朽木白哉がいた

「………うぇ?」

上条は何か分からなかった

「……ついてこい」

白哉はそういい病室から出た

 

「………いやついてこいって…おいいいいいいいい⁉︎」

上条はそう叫ぶしかなかった

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……おい…ちょ」

「何だ」

「何だじゃねぇよ‼︎いきなりついてこいって説明しろ‼︎」

「総隊長がお前達をお呼びになったからだ」

「総隊長?」

もう上条は疲れたという顔でついていくのであった

 

「ここだ」

白哉が止まった先は

でっかく一と書かれた巨大な扉だった

(……で、デケェ……)

と上条は素直にそう思うんだった

「………丁度あちらも来たようだな」

白哉が向ける視線に、上条も向けると

「お待たせしました」

卯ノ花烈と

「……………………」

一方通行が立っていた

「あ、一方通行〜」

「…………………」

「何で無言⁉︎」

無言の一方通行に少しシュンとなる上条

 

白哉と卯ノ花は静かに、尚且つ疑問を持って考えていた

(あの上条という男……この霊圧を分かっているのか…?)

(恐らく一方通行という方は分かっているはず……ですが何故汗一滴も見せないのでしょう……逆に敵意を剥き出しにしているような…)

そう考えていると

「おい、さっさと開けろ」

一方通行が少し苛つく調子で言った

「お、そうだった‼︎総隊長に会わせてくれるんだっけ?」

少しズレているが上条は扉に向き直った

「…………開けるぞ」

白哉は扉を開ける

 

そこにいたのは、白い羽織をきた男女と老人だった

その中に、上条と一方通行が戦った相手もいる

「総隊長、二人を連れてきました」

「うむ、戻れい」

白哉と卯ノ花は定位置につく

ピリピリとした空気に、上条はさすがに顔を引きつられた

そんな中で、一方通行が口を開く

「で?総隊長さんが俺達になンのようだァ?」

その言葉に、一人の女が

「な、何だその口の聞き方は‼︎」

と、怒った

「黙れ、俺は今総隊長っつうジジィに話しかけてるンだ」

「ジ、ジジィ…⁉︎」

ギリリ…と歯切りする女

「やめい」

それを、総隊長が止める

それで女は悔しそうに一方通行を睨むが、引き下がった

「上条当麻に、一方通行だったな?」

「あ、ああ」

「あァ」

 

総隊長はジッと二人の顔を見て

「お主ら二人は、儂等護天十三隊の監視下に置かれる事となった」

 

「………ハッ、そんな事だろォと思ったぜ」

一方通行はそれを予想していたかのように鼻で笑った

「……監視下……」

上条は少し焦っているが

「お主ら二人は、危険人物としここ、尺魂界にそのままいる事になる」

「……………ここは天国っつう所だろ。なら現世っつう所じゃ駄目なのか?」

「儂等もそれは考えた」

だが…と総隊長は一間開け

「どうやら主らは藍染に狙われているらしい」

「………………」

「じゃから、現世よりもここ尺魂界の方が守りを固めれると思い、尺魂界に決定したのじゃ」

「……監視下に置かれて尚且つ守るだァ?随分ズレた事を言うンだなァ」

一方通行が笑う

それに上条は少し焦る

「え、えーと、つ、つまり…俺達はここに置かれて監視下されて守られる…という事か?」

「……まぁ大体はそうじゃな」

すると上条は総隊長に向き直り

「なら、これからよろしく……お願いします…」

お辞儀した

「……チッ」

それに一方通行は舌打ちする

総隊長は少し驚いていたが

「…………うむ」

返事した

 

 

 

ここから、ヒーローと死神達の生活が始まる




第8話エンド

次回「ヒーロー、挨拶する」

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