二人のヒーローが死神の世界に現れました   作:落雷氷華

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お久しぶりです。帰ってきたよ!




ヒーロー、雷神を知る

 

五本の何かは、上条と一方通行に真っ直ぐに降ろされる。

 

「ッぐ!」

「ッ」

 

上条は右手で受け止め、一方通行は素早く横へと飛んだ。

だが上条は右手以外の範囲を受け、左腕を掠る。

そこから『熱』を持ち、上条は左腕を抑えた。

 

(熱い…!なんだこれッ!?)

 

一方通行は切られた断面を見る。

五本の何かによって簡単に切られた建物の断面が赤く染まっていた。そこから熱気が溢れ出し、高熱を生み出す。

 

("熱"…あのブレードは熱を持っているって事か。これは三下には不利かもなァ。だったら!)

 

一方通行はトールに突っ込む。

能力を発動させ、謎の人物トールに殴りかかる。

その合間に一方通行が叫ぶ。

 

「三下ァ!こいつはお前には無理だ!他の奴のとこに行ってこい!」

「ッ!?でも」

「こいつは俺一人で十分ッ、だァ!」

 

一方通行はトールを殴り飛ばす。

トールは屋根の上を飛び、徐々に降下して行って追突する。

それを一方通行は逃すまいと追いかけた。

 

「いっつー……凶暴しすぎるなぁ一方通行。家壊しちまったじゃねえか…」

 

トールは特に痛がりもせず、向かってくる一方通行に迎え撃った。

科学と魔術。

その差は歴然。

トールは空いている左手でまたブレードを創り出し、一方通行に振り下ろす。

 

「ッ!」

 

それを一方通行は反射で跳ね返し、トールにかかと落としを決めた。

トールは家へと突っ込み、木の藻屑を被る。

一方通行は壊れた屋根からトールに問いた。

 

「お前、魔術ってやつを使ってるのか」

「ハッ、魔術ねぇ。確かにそうだ。俺は魔術師だ。それが何か?」

「その魔術師が、俺たちに何の用がある」

「用って言われても、俺は"経験値"を得に来ただけだッ!」

 

トールは瞬時に起き上がり、一方通行の前まで瞬間移動したかのように並んだ。

一方通行は一瞬の事で対応が遅れ、トールの拳を真正面から受けてしまう。

だが吹き飛びはしなかった。一方通行は真正面に攻撃を受けるも、その場に留まった。

だが、

 

そこにはトールの追撃が待っている。

 

「このグローブは雷光の溶断ブレードでねぇ。最大で2キロは余裕だぜ?」

(溶断、ブレードッ!)

「焼き消せェッ!ミョルニル!」

 

そう叫んだトールは先程とは比べ物にならない程の溶断ブレードを噴き出した。

こんなもの、正面で受け止めたらひとたまりも無い。

 

だがそれよりも一方通行は気になっていた。

 

(………あ?おかしい。2キロにしちゃ小さすぎる)

 

そう、"短すぎるのだ"。

彼、トールならこの瀞霊廷の一角を吹き飛ばせる力をもつはず。自分の殺したいなら、それ相応のことをするはずだ。

他のものを巻き込んでも。

あのブレードは大体五十メートル。自分が舐められているか、それともーーーー。

 

巻き込みたくないか。に絞られる。

 

「ッ三下ァ!」

 

その考えに至った一方通行は上条を呼んだ。

何故この場にいない彼を呼んだのか。違う。

 

彼はここにいる。

 

「うおォォおおおおお!」

 

一方通行の背後から現れた上条は、トールが生み出した溶断ブレードに向かって右手を突き出す。

パキィィン!とガラスの音を響かせ、溶断ブレードは消え散った。

 

「ッ!?ぐっ!」

 

消えた反動で後ろに蹌踉めく。それを見逃さなかった一方通行は、トールの体を地面へと押し付けた。

押し倒す形になったが、一方通行はトールの首根っこを掴み、問う。

 

「何故この戦いに参加した。お前」

「……………」

「俺たちを殺す気はないンだろォ?北欧神話の『雷神』さんよォ」

「……へぇ、気づいてたのか」

 

トールは笑い、一方通行を見据える。

一方通行は気づいていたのだ。彼が名を名乗った時から、勘付いていたのだ。

だから疑問だった。

北欧神話のトールは雷の神にして最強の戦神である。

数々の神を打ち殺し、人々を守る要と称されたトール。

だがその性格は穏やかとは言えない。乱暴で、時にはミョルニルで脅す傾向があると記されている。

そのトールとこのトールは同じなのだろうか。

いや、十中八九同じと言えるだろう。容姿は記されていたものと違っても、その乱暴さやミョルニルは北欧神話と同じ。

だから気に入らないのだ。

そのような性格なら、上条と一方通行を殺す為には手段を選ばない。と一方通行は思っている。乱暴という性格がどのようなものかは人によって違うが、このトールは北欧神話のトールとは言い難かった。

脅すといっても脅す傾向など無いし、ミョルニルというハンマーもない。つまりこのトールはトールであってトールではない。

一方通行はその事を大半をトールに言った。

トールは薄く笑う。

 

「確かに俺は北欧神話のトールだ。だが同じとは考えない方がいいぜ?とは言っておく」

「…………」

「俺の行動原理を教えてやろうか?一つ、力を求めること。もう一つは『助けられるやつは助けること』」

「…………それと俺たちに何の関係がある」

「お前らの前に現れたのは、俺が全力で戦えるのに相応しかったから。主に上条ちゃんがな」

「俺?」

 

一方通行の背後にいた上条が驚きに声を上げる。

トールは特に振り払おうとはせず、彼らに揚々と次々と話していく。

 

「最強と言っても、最強じゃあ困る事があるんだよ。人の安全的な事がモットーの俺は、なるべく被害が出るのを避けたかったんだ。だが、俺が戦うだけで至る所が壊れ、人は皆、あっさりと死んでいく。俺はそれが避けたくてずっと戦うのを控えてた。だがな、強敵と戦ってもダメなんだ。特に一方通行みたいなやつはな」

「…………」

「強敵と全力で戦うと周囲にいたやつも巻き込んじまう。それが後味悪くて、罪悪感を感じるから嫌なんだよなぁ。ま、上条ちゃんに目をつけたのは強ち間違いじゃなかったが」

「……なンで三下に目をつけた」

幻想殺し(イマジンブレイカー)は異能の力を消す能力なんだろう?それなら、俺は全力で戦える。幻想殺しが消して消して消しまくれば、周りの被害も抑えられるっていう寸法だ」

「……お前、本当に北欧神話のトールか?」

「だから言ったろ?伝記と一緒にしちゃダメだってな。まぁ、大体はその伝記の通りだ。というわけで…」

 

話を終えたトールは一方通行の腕を掴んだ。

 

「!?」

 

突然の事で反応が遅くなった一方通行は、徐々に強くなっていく力に苦痛による顔を歪める。

トールは先程とは違い、好戦的な笑みをしていた。

 

「俺も最強の戦神なんでねぇ…黙ってやられる訳には行かないんだよなぁッ!」

「ッガァ!」

 

首を掴んでいた手を離し、一方通行を地面へと叩きつけた。

人間とは比べ物にならない程の握力に、一方通行の身体は傷を作っていく。

 

「一方通行ッ!?」

「さぁて上条ちゃんよぉ、俺と一戦交えようじゃねえか!」

 

拳を鳴らしたトールが上条と対峙する。

もう彼の目には上条しか見ていなかった。

確かに、一方通行は強い。だがトールは一方通行は相応しくない。

トールは自分にとって相応しい相手と戦いたい。それが上条当麻なのだ。

上条は自身の武器の右手を構え、トールと対峙する。

 

最強の雷神と幻想殺し。

 

 

両者の拳が交わった。




第23話エンド

なんか意味不明になったけどいいよね。
一方通行は一時離脱。ここから上条vsトールとなっていきます。あれ、原作と同じじゃねえかい!
wikiでなんとか調べた結果、一方通行は離脱するしかなかったんだよ!ごめんね一方通行!後待たせた人すみません!意味不明な説明をして!これで理解した人凄いね!尊敬するよぉ!

一方通行はどうなるんでしょうねぇ…。

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