二人のヒーローが死神の世界に現れました   作:落雷氷華

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前回

ヒーローが消失した


ヒーロー、旅禍になる

ここは何処だ?

上条がまず思ったのはそれだった

自分は大天使とぶつかった。それは分かる

だがその後どうなった?

空から落ちている感じがする

(…………ん?)

そこまで考えて上条は思った

(…………”空から落ちている?”)

 

上条の思考が止まった

どんどん青ざめ、上条は恐る恐る首だけを下に落とす

 

そこは空だった

そしてその下は地面だった

数々の家が並ぶ

だが今の上条はそんな事考えられなかった

「うわァァああああああああああああああ‼︎」

上条は叫んだ

両手両足をバタバタさせながら

「うおうおうお‼︎うわァァああああああ‼︎ああああああああ‼︎」

途中、何かにぶつかったような気がするが、勿論上条はそんな事考えている暇がなかった

ドォン‼︎と、上条は地面と激突した

いてて…と、上条は痛む体を抑えながら上半身を起こす

もはや人間をやめている

上条はキョロキョロと、辺りを見渡す

だが左右は壁、前方後方は道がよく見えない

上条は立って進む事にした

そうしなければここの事がよく分からないからだ

上条は歩いた

 

同時、何者かがここ__精霊邸に進入した

それは、上条当麻と、あの男__一方通行も含まれていた____

 

一方通行はズルズルと引きずるように歩いていた

何故こんな状態なのか、それは、一方通行は魔術を使い体の内側はボロボロ。さらに世界を破壊出来る黄金の塊に激突し、外側、内側がボロボロになっている

それなのに生きているのが不思議なくらいだ

ポタポタと血が滴り落ちる

今の一方通行は能力すらほぼまともに使えない

バッテリーの残量は後僅か

だから保存する為杖を突いているが、壁に体を預けて進んでいる状態だ

「ハァ…ハァ…」

荒い呼吸が繰り返される

角を曲がろうとした時だった

ドンと、誰かにぶつかった

一方通行はそれだけで倒れた

一方通行は上半身を起き上がらせた

そしてぶつかった相手を見た

そいつは

 

「ア、一方通行⁉︎」

 

上条当麻だった

 

上条は今凄く混乱していた

何故こんな所に一方通行がいるのだ?

それだけで混乱していた

だが、一方通行の体を見たら目を見開いた

「おい一方通行‼︎何だよその傷‼︎」

上条は一方通行の側に行く

「ハァ…うる…せェ……こンな…」

「大丈夫じゃないだろ‼︎待ってろ、今医者を…」

そこまで考えてまた上条は考える

ここは自分が来たこともない世界

そこに一方通行を置いて一人で行ったらどうなる

迷子anddeath

そして上条が出した結論は

 

「よし、一緒に行くぞ」

一方通行を腕を、自分の首に回し背負う

「‼︎おい…一人で歩け_____」

「いいから大人しくしとけ」

この世界を考える場合じゃない

まずは一方通行を助けなければ

だが上条も相当なダメージを負っている

当然

「‼︎いっ…」

全身に痛みがくる

「…やっぱり自分で」

「いいから‼︎俺よりお前の方が酷いんだからな‼︎」

上条は一方通行を背負いながら進んだ

「……ここ、何処なんだろうな」

「天国ならいいンだけどなァ…」

「…天国じゃねぇのか?」

上条はどうやら天国と思っていたらしい

だが一方通行はそうおもっていない

一方通行は常識を上条にぶつける

「天国ってのは、楽になるンだろ?だが俺たちはあの状態のままここにいる。ここが天国だったとしても俺は認めねェ。逆にその神ってやらをぶっ殺してやる」

後半説明になってなかったようだが、上条はある程度理解した

そうだ、ここが天国ならこんな傷だらけではないはずだ

ここが天国なら、自分も認めないとこう。逆にそんな事言ったやつは殴ろう。と上条と一方通行は珍しく心の中で合意した

 

どれくらい進んだのだろう

気づけば何か大きい塔?を見つけた

「ハァ……取り敢えず…彼処に…行くか」

と言っても、上条の体力はもうそこそこない

一方通行も血を流しすぎたのか、力が出なかった

上条が一歩を踏み出した

時だった

「お前達が進入者か」

上条と一方通行の背後から、声が聞こえた

二人は振り返る

そこには

白い羽織を着た、銀髪の少年だった

だが何故か背中に刀を持っている

「……進入者?」

上条は進入者という言葉に疑問を思った

それを聞き返したと思ったのか、銀髪少年が言った

「そうだ。旅禍と言った方が正しいか?ここ精霊邸に無断で入った旅禍野郎」

精霊邸?旅禍?

二人には訳が分からなかった

ここは天国なのかは疑問に思っていた

だがここまで来ると、益々ここがどこだかわからなくなる

銀髪少年はハァ…と溜息をし

「じゃあ……捉えさせてもらうぜ‼︎」

刀を抜いた

それに一方通行は身の危険を感じ、僅かにしかないチョーカー型のスイッチを押す

これで一方通行は、第一位の能力を使う事が出来る

「右手で触るンじゃねェぞ‼︎」

一方通行は上条の襟首を持ち、一気に飛び上がる

「‼︎⁉︎」

それに銀髪少年は目を見開く

「逃がすか…‼︎松本‼︎」

銀髪少年は名前を呼んだ

すると、ヒュンと誰かが来た

「はい‼︎隊長‼︎」

そいつは、オレンジ髪に色気をさす爆乳女性だった

「旅禍が二人逃走‼︎追うぞ‼︎」

「はい‼︎」

銀髪少年と爆乳女性は一瞬で消えていった

 

「ハァ…ハァ…」

一方通行はある程度進んだ所で電源を切り、屋根に座り込んだ

「だ、大丈夫か?」

上条が一方通行の隣に座る

「ハァ…うる…せェ…」

一方通行は大丈夫ではなかった

もう残量は残っていない

もしまた襲われたら、一方通行の電量は確実になくなるであろう

そうしたらもう絶対絶命だ

相手は刃物を使う

もし一付きされたら、今の二人では即死だ

「ハァ…くそっ…あの塔に…行けば…」

上条は塔を見る

 

だが

 

「行かせねぇよ」

二人の頭上から、あの銀髪少年の声が聞こえた

そう、文字通りあの銀髪少年

と、爆乳女性だった

「どんな効果を使ったのか知らねぇが、どうやらテメェらには手を抜く必要は無さそうだ」

銀髪少年は刀を抜く

そして

 

「霜天に坐せ、氷輪丸‼︎」

銀髪少年の刀が変わった

バキバキと、何かが纏うようになる

「さぁ、今度は逃がさねぇぜ?」

銀髪少年は二人に斬りかかる

 

 

 

 

だがそれは間違いだった

このまま銀髪少年が、何も唱えず斬りかかれば勝機はあった

だが

銀髪少年が唱えた事で、それは大幅に”無くなりつつあった”

それは

「‼︎」

上条が右手を翳す事で

右手と刀がぶつかった時

パキィィン‼︎と、何かが砕けるような音がしたからだ

「‼︎なっ…⁉︎」

これには銀髪少年も、爆乳女性も驚きを隠せなかった

刀が、力が一瞬消された

それで一瞬、二人から目を逸らしてしまったのだ

それを逃さなかったのが一方通行

一方通行は瞬時に電源を入れ、上条を担いであの二人から遠ざかった

 

そして担いだまま、あの塔に向かったのであった




第2話エンド

次回「ヒーロー、絶対絶命」

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