追記
加筆修正しました。
ニール・ディランディ
「よぉ、お前ら…。満足か?こんな世界で…。俺はーーー、ヤダね。」
爆発に巻き込まれ、1人の男の命が消えようとしていたその時だった。。男の体が、光につつまれた。
水の音が聞こえる。初めはかすかだったが次第にはっきりと聞こえるようになってきた。その音を聞き、男は目を覚ます。気持ちの良い風が吹いている。
「……。ここは……どこだ?それに…右目が…見える…。」
周りを見渡す。空は青く、目の前には建物が広がっていた。恐らく地球の、何処かの国だろう。しかし、男が地上に立っていることはあり得ないことだった。自分は今まで宇宙にいたはすだ。おまけに負傷していた右目も治っている。
「俺は確かGNアームズの爆発に巻き込まれて…。」
そう、男は戦死したはずだ。家族の仇と相打ちになって。なのに男は大地に立っていた。男は持ち物を確認する。
「パイロットスーツにヘルメット、拳銃と…なんだこりゃぁ?」
男の手に見覚えの無いブレスレットがあった。愛用していたライフル銃の刻印が施されている。しかし、どこか懐かしい感じがした。その時、後ろから声がした。
「動くな、手をあげろ。」
鋭い女性の声だ。振り向くと鎧を纏った女性がいた。武装もしてある。男は拳銃しか所持していない。対抗するのは得策じゃないと考えられる。女性からは戦い慣れた感じがする。こちらに向けられている殺気も凄い。手に持たれている剣は見たことがない形をしていた。男は知ら今までの経歴から、武器に関する知識は多少あった。明らかに、自分のいた世界の兵器とは違うものだった。
「了解」
男は短く返事をした。
「質問に答えろ、貴様は何者だ?どうやってこのIS学園に侵入した?」
女性からは当たり前の質問がきた。しかし、その質問には男が知らない単語があった。
「IS?IS学園?なんだそれ?」
「ISを知らないだと?どういうことだ…」
女性が疑問に思うのは当然だ。なぜならこの世界でISを知らないのはこれから生まれてくる子供達だけのはずだからだ。それぐらい、この世界でISは有名だ。なのに、目の前に立っているパイロットスーツらしき物を着ている男は知らないらしい。
「質問に答えろ。貴様は何者だ?どうやってここに入った?なぜパイロットスーツを着ている?」
この状況で嘘をつくのは良くないだろう。男は正直に答えることにした。
「順番に答えるから待ってくれ。俺はロックオ…ニール・ディランディ。パイロットスーツを着ているのはモビルスーツのパイロットだからだ。この場所には…気がついたら居たんだ。」
男の答えからは聞きなれない単語か出てきた。それに「倒れていた」といつのも気になる。泳いできたようには見えないし、ここのセキリュティはとても厳重なため、空から侵入するのも不可能だ。
女性は、男の発言からある仮説を立てた。男は「侵入した。」ではなく「初めからそこに居た」というものだ。
だとすると詳しく話を聞く必要がある。
「ニール・ディランディといったな?詳しく話を聞きたい。私についてきてくれ。」
ニールは素直に従う事にした。状況は明らかに不利だし、自分の置かれている状況もよく分からない。この女性についていけば何か分かるかもしれない。男はそう思った。
「了解。その変わり俺も聞きたいことがある。“IS”についてだ。それと、その物騒なモンを下ろしてくれ。」
「分かった。お前には敵意が無いようだしな。私も聞きたいことがある。お前の言っていた“モビルスーツ”についてだ。」
「等価交換って奴だな。了解した。」
「ついで来い。別の場所で話そう。」
ニールは少し大きい部屋に案内された。あたりを見ると、黒板や掲示物など学校の教室にあるようなものが置いてあった。消されてない板書を見る。そのには日本語とが書かれてあった。内容から、いわゆる高等学校レベルの教育をしているのだと考えられる。仕事の関係上複数の言語を話せる能力がこんなところで活躍するとはニールは思っていなかった。
「空いている席に座れ。どこでもいいぞ。」
後から入ってきた女性に促され、ニールは近くの椅子に座った。その前の席に女性が椅子をニールの方に向けてから座った。話し合いの時によくある光景が完成した。
「自己紹介がまだだったな。私は織斑千冬。このIS学園で教師をしている。」
「ミス・チフユだな。よろしく。」
「さて。と、聞かせ貰おうかモビルスーツとお前の素性について…な。それと持っているものを全て渡せ。何か分かるかもしれん。」
「オーライ。ほら、ヘルメットとパイロットスーツだ。それと拳銃。そして、いつの間にか持ってたブレスレットだ。」
そのブレスレットを見ると千冬の表情が変わった。
(これは…調べてみる価値はあるそうだな。)
「ニール、このブレスレットも預かっていいか?すぐに返す。」
「いいぜ。」
ニールの返事を聞くなり、千冬はブレスレットとニールの所有物を教室の外で待機している人間に渡した。
「待たせたな。」
「気にしなさんなって」
「質問だ。歳と出身地は?」
「25、アイルランド出身だ。」
「25?嘘をつくな。どう見ても10代だぞ?」
「そんなわけ…ミス・チフユ、身長はいくらだ?」
「166cmぐらいだが…」
ニールはやはりと思った。ニールの身長は180cm代だ。しかし今目の前にいる千冬とは目線が少しニールの方が上ぐらいの差しかない。千冬が180cm代なら問題はないのだが、千冬は166cmぐらいと言った。身長を偽る必要はない。ならば可能性は一つ、それは自分が縮んだということだ。他にも心当たりがある。普段はピッタリのパイロットスーツがどうもブカブカだったのだ。
「まさか…若返ったとでも言うのか?」
ニールは思っていたことが口に出た。
「どうやらそうみたいだな。それも含めて続きを聞かせろ。次の質問だ、モビルスーツとはなんだ?」
「簡単に言うとだな、二足歩行できるロボットだ。大きさは18mぐらいだな。マニュピレーターも人間とほぼ同じ動きができる。単騎での長時間飛行が可能だ。」
「まるでアニメの世界だな…。だか、お前が嘘を言ってるようにも思えん。」
「信じてくれるのかい?」
「保留だな。この世界でモビルスーツと言うものを聞いたことがないからな。」
「モビルスーツを知らないか…。信じたくないがここは俺の生きていた世界とは全く違う世界みたいだな。」
「そのようにしか考えられんな。お前ぐらいの年齢の人間がISを知っていないわけがない。次だ、倒れる前は何をしていた?」
「宇宙でモビルスーツで戦っていた。爆発に巻き込まれて、気がついたら倒れていた。」
「宇宙だと!?人間はどのくらい宇宙に進出しているのだ!?」
ニールは自分の知っている事を全て話した。
イオリア・シュヘンベルグという人間が太陽光発電システムの基礎理論を提唱したこと、宇宙へ直接繋がっている軌道エレベーターのこと、世界は三代国家群に分かれ冷戦状態だったこと。自分がソレスタル・ビーイングという組織に所属し、世界中のあらゆる戦争・紛争に武力による介入を行い世界から争いを消すために動いていたことを。
「やはりお前が別の世界から来たと考えるのが一番正しいみたいだな。イオリア・シュヘンベルグという人物の名前は聞いたことがないし、太陽光発電システムも存在しない。小規模のものなら存在するが、それでも地球の電力をまかなえるほどじゃない。」
「本当にそうみたいだな。まったく、どうなってやがんだ。まあ、それはゆっくり考えるか。じゃ、こっちの質問だ。ISって何だ?」
「機密情報は話せないがいいか?」
「もちろんだ」
「宇宙空間での活動を目的とした、マルチフォーマル・スーツだ。10年前、とある科学者によって開発された。攻撃力、防御力、起動性の全てにおいて従来の兵器を凌駕する兵器、それがインフィニット・ストラトス。通称ISだ。特に防御機能が優れており、搭乗者の命が危険にさらされることはほとんどない。コアと部分的な装甲を合わせて一つISとなる。しかしそれは女性にしか扱えない。そんなところだな。」
まあ、例外はあるがな。と千冬は心の中で付け足した。
「なるほどねぇ…そりゃすげえもんだな。ところで…」
ニールがそう言いかけた途端、教室の扉が凄い勢いで開いた。
「おおお織斑先生!例のアレ、やっぱりISでした!」
「山田先生か。やはりそうだったか…」
「しかし、生体認証によるロックがかかっていて…」
「生体認証ロック?」
「ええ、おそらくそこの彼のものだと…」
ニールは何が起きてるか分からなかった。2人の会話についていけてない。
「あのー…どうしたんだ?」
「ニール、今すぐついて来い、確かめたいことがある。」
「確かめたいこと?」
「ああ、簡単な実験だ。結果によってお前の処分が決まるだろう」
なんなんだよ一体…そう思いながらニールは人の後をついて行く。
「あ、申し遅れました。私、ここの教師の山田真耶です。よろしくお願いします。」
「こちらこそ。俺はニール・ディランディだ。」
「着いたぞ、格納庫だ。」
ニールは中に入る。その先に見慣れたものがあった。緑色の、全身をシールドで包んだモビルスーツ。肩には大きなライフルが懸架されている。しかし、大きさはモビルスーツのそれとは言えないほど小さかった。
「あれは。…デュナメス!?何故デュナメスがここに!?」
「やはり知っていたか。ニール、そいつに触ってみろ。」
「分かった」
(分からないことだらけだぜ…。なんでデュナメスがここにあるんだ。あれはハロがトレミーに戻してはず…。細部まで全く一緒じゃねえか。まあ、とりあえず触るだけしてみるか)
ニールは指示通り、デュナメスのシールドを触った。懐かしい感触だ。
すると、光がニールの体を包んだ。
緑色の機体から送られてくる無数の情報。ニールは即座にそれを理解した。なぜなら、それはニールの愛機だからだ。
目を開けると、緑色の鎧が全身を包んでいた。千冬と真耶の方を見る。そこには呆れた顔の千冬と驚いている真耶が居た。
「すげえ…これがISか…。懐かしい感じだ…。」
彼は呟いた。今彼は、ロックオン・ストラトスだった時代を思い出していた。
「すごい…2人目の…」
真耶の呟きが聞こえた。
(2人目…?まさか俺以外にもISを使える男がいるのか?)
ニールが疑問に思っていると、千冬が近づいてきた。
「ニール・ディランディ、ISを扱えるお前はこの学園に入学する資格がある。よって今日からお前はIS学園生徒、ニールディランディだ。」
それはニールの新しい人生の始まりを告げる言葉だった。
そう言った千冬の顔は少し笑みを浮かべていた。
ここまで読んでくださってありがとうございます。文才の欠片も感じられない小説ですねorz。マジで文才欲しい…。
こんな情けない小説ですがお付き合いいただけたら幸いです。
ガンダム00、ISを原作としておりますが多少(というかかなり)原作との矛盾が生じてしまっている可能性がございますがそこは私が小説を書くにあたって都合の良いように解釈したとお考えください。私もなるべく原作との食い違いが生じないように努力します。(私がIS原作を読んだのは一回だけです…)
誤字・脱字があればご指摘をお願い致します。感想・批判お待ちしております。