魔法少女まどか☆マギカ -女神の決断   作:てにー

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はい皆さん、お久しぶりです!!

ちょっと理由があって一ヶ月ほど更新できませんでしたが、長らく更新再開!!!

劇場版もやったし、もうマミさんもマミさん・・・マミさん・・・!!!











マミさんマジ天使ぃいい!!!アwせrftgyふじこlp;@:「!!!


・・・と、この1ヶ月の間にいろいろまどマギ関連で盛り上がってますね!!!
もう作者のテンションがティロ・フィナーレ!(意味不明)




・・・さて、お久しぶりの更新で、開幕が変な方向になってしまいましたが、
これからもまどマギ女神の決断を読んでくれると、「それはとっても嬉しいなって」



第28話「アタシ、佐倉杏子-中編-」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気づいたら、マミの家のベッドだったんだ。

 

 

 

 

 

「なっ!?___っ・・・!」

 

 

背中に少し痛みが走ったが、それ以上はなんともなかった。

 

 

 

「そうだ!!翔一はっ!?」

 

 

 

「自分が貸してもらってる部屋の時計を見る。

・・・日曜の、9時・・・!!

アタシはすぐさま部屋から飛び出した。

 

 

「佐倉さん!!」

 

「なっ・・・マミ・・・!」

 

「良かった!!!」

マミが涙ぐみながら、こちらに抱きついてきた。

 

「えっ・・・?」

 

「あの後・・・あの後・・・あの後・・・っ!!!」

 

「ちょ、落ち着けマミ!!!」

 

「ごめんなさい・・・・・・ごめん、なさい・・・!!」

そう謝り続けるマミの体は、震えていた。

 

「・・・ともかく、落ち着け。・・・あれから、何があったのか。ちゃんと説明してくれ・・・」

・・・本当は自分自身、落ち着いてなんかいられない。けど、それよりもマミを

落ち着かせる方が優先だ。マミがちゃんと喋ってくれないと何があったのか、聞き出せない。

 

「えぇ・・・あの後_____.................」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少しずつ冷静になっていくマミ。・・・だが、事情の説明をしていく程また泣き出す。

 

・・・それを励ましてやりながら・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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「佐倉さん!!!!・・・・・ねぇ・・・!起きて・・・!!!・・・起きてっ!!!」

 

 

目の前で、目を静かに閉じた彼女に、そう叫ぶ。

 

今目の前にあるのは・・・

 

 

自分達を濡らしている、赤い水滴。いや、赤というより・・・黒い。

 

自分の足元を濡らす、その水滴は________

 

 

 

血だ。

 

瀕死状態の彼の血か、それとも目の前で倒れこんでいる彼女の血なのか。

いや、両方だろう。

・・・もう焦っていた。いや、焦るしかなかった。目の前の光景に。そして現状に。

目の前の二人はどちらも体中が青ざめている。

 

・・・触れている手にはヌチャリという、気味の悪い感触。

そして、目に入れたくない・・・大きな傷。血。倒れている2人。

 

・・・吐きたかった。目の前の事実も、自分の愚かさも。流れる涙も。

全てを吐き出したかった。怖い。逃げたかった。出来れば夢であってほしいと、

心からそう思った。・・・だが違った。目の前の光景は現実で。

今倒れている2人をすぐに助けたいのに。なのに魔女を倒さなければそれも出来ずに。

・・・自分の非力を凄く悔んだ。目の前の魔女を一瞬で倒し、そして目の前の2人を助けたい。

なのにそれも出来ない、自分が。・・・あの時みたいに。非力だった自分だけが生き残った。

そして今、非力なんかじゃないはずなのに、また自分の大切な人を救えないなんて。

 

 

私なんかじゃダメだったんだ・・・。

 

 

 

 

 

                            ―所詮私は・・・―

 

 

 

 

 

 

 

目の前に居る彼はもう、生きてはいないのではないか。

 

目の前で目を閉じた彼女はもう、生きてはいないのでないか。

 

 

・・・考える事すら否定した。今はただ、涙を堪え、この事実から逃げる事をせず、

立ち向かっていく事。それしか出来なかった。

 

      

                  ―ただこの二人を見殺しにするしか出来ない・・・―

 

 

 

・・・自分だけがキュゥべぇとの契約で生き残った。

 

家族を失った。

 

 

それをまた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

                      ―でも・・・私は・・・―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2度失わないために。ただそれだけだった。

いや、本当は怖い。・・・・・・・・・心のどこかで――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一人ぼっちになるのが怖い?―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―違わない。本当は自分が一番良く知っている―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              違う・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―結局、自分一人になりたくない。

     自分一人じゃなければそれで良い。―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              違う・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―理由を並べて、自分の本心とは向き合わない。

 否定しても事実からは逃れなれない。―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        そんなの・・・・!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一人になるのが怖い。―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          違う・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―本当は怖い。皆目の前で死んでいたのに。自分だけが生きるのが―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                       っ・・・・・・!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―一人になるのは嫌だ。・・・やっぱり。一人になるのが怖いだけだ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      違う・・・私にとって二人は・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―2人は、大切な人。もう二度と失いたくはない。

 もう自分の非力のせいで誰も、失いたくはない―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        ・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―なら、あなたはどうすれば良いの?―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                              ・・・・・・・・・そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―・・・『今』から逃げてはいけない。逃げたらその先は・・・―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                          ・・・・・・そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―逃げたら・・・また、大切な物をなくすから。―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            私は・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ― ―(あなた)はもう、一人ぼっちじゃない― ―

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        ―だから。失わないために。ただ単純に、守りたいために・・・―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           ― 強くなりたい。あの時、そう思った。―

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「ねぇ翔一?」

「んー?」

「私、カッコ良い・・・かな・・・?///」

「そりゃカッコ良いに決まってるだろ! ティロ・フィナーレ、だっけ?」

「う、うん・・・!///」

「ティロ・フィナー・・・ぷっ・・・!」

「っ!? な、何笑ってるの・・・!///」

「い、いや・・・何でもない。・・・でも・・・」

「・・・うん?」

「マミが・・・マミが今よりもっと・・・強くなったらさ」

「うん・・・?」

 

 

「いつか、本当になれるかもな」

 

「・・・?」

 

「正義の味方。皆の幸せ、笑顔、沢山を守る事ができる、そんな奴に」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん・・・。もっと、強くなって・・・そうなりたい」

 

「そうだな。・・・あぁ、成れるさ、きっと。まぁ俺が先に成るけどな!」

 

「・・・むぅ・・・」

 

「ははは、冗談だって。マミなら絶対成れるって」

 

「・・・・・・・・・・たら・・・!」

 

「ん・・・? どうした?」

 

「・・・成れたら・・・!」

 

「・・・『成れたら』?」

 

「・・・その時は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              「私をずっと_____くれる?」

 

 

                              

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ―誰かを救いたいなら。大切な人を救いたいなら。今から逃げてはいけない―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       

 

 

 

 

 

 

      ―忘れてはいけない。決して、逃げてはいけない。―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         ―何故なら。逃げずに勇敢に。ただ皆のために戦うのが―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        「私が目指す・・・これからもずっと目指すもの・・・だから・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ―・・・そう。でも、忘れてはいけない。・・・私は―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・怖かった。

 

 

            一人になるのが。・・・・でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

           「一人ぼっちなんかじゃ・・・・ない!!!」

 

自分の大切な物を貫こうとする少女。そして少女の後ろにあるのは彼女の‘‘大切な物’’。

故に彼女が逃げることはなかった。威嚇し叫ぶその‘‘化け物’’から目を背くことはしなかった。

 

 

拘束(レガーレ)!!!」

そう少女は声を発すると、一瞬で化け物の体を無数の線が巻き付き、拘束していく

 

化け物は抜け出そうとするも、体中を縛られていく状態で抜け出せなかった。

槍の斬撃を交わし、無数の銃弾をその敏捷性、素早さで難攻撃を難なく捌いていた化け物。

そして相手の懐に一瞬に入り込み一撃を狙い、自らの敵を消耗させる一撃離脱を得意

とする化け物では、この拘束を逃れる程の力はなかった。

 

「今・・・! これで・・・決める・・・!!!」

拘束で出来た隙を逃さず、傷を負った少女は最後の一撃を加える。

 

一斉射撃(ティロ・ボレー)!!!」

自身の真上に大量のマスケットを召還し、それを放つ。

そして、マスケットから放たれた大量の魔弾は、化け物の身体を貫いていく。

・・・が、それでは化け物を倒す決定打にはならない。

 

「・・・レガーレは拘束するだけの物じゃないの・・・」

そう言いながら、手を・・・。

 

「この力は、命を‘‘繋ぐ’’力。だけど・・・。時によっては・・・!!」

手を掲げ・・・。

 

 

 

 

 

「拘束した相手を切断することだって、大した事ではないのよね。

 これで終わり・・・。切断(ティロ・テリアーデ) 」

手を握ると同時に、無数の線が化け物の体を切り裂いた。

 

・・・化け物が切り裂かれたと同時に、その異質な空間が解けて行く。

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!・・・早く二人を・・・!!!」

倒したのを確認すると、少女はすぐに倒れている二人に駆け寄った。

 

「・・・翔一!! 佐倉さん・・・!!」

声をかけても、ピクりともしない。

 

「・・・っ・・・!」

少女はまた自分の無力を悔やんだ。今の自分では、傷を塞げるとしても片方しか助ける事が

出来ない。目の前に立ちふさがる壁。

 

「私はまた・・・助ける事が出来ないの・・・?」

涙を流しながら、下唇を噛む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――心配はいらない。2人は死なせない。・・・絶対に」

 

絶望にくれていた少女の前に、その姿はまるで猫の様で。毛は白く。そして目は

まるで血の赤の様な色をしている、ある一匹が現れた。

 

 

 

 

「キュゥ・・・・・べぇ・・・?」

「・・・死なせない。翔一も、杏子も。もううんざりなんだ。だから僕は決めたんだ」

「・・・?」

「・・・マミ。杏子の治癒を頼むよ。今からなら十分間に合うはずだ」

「・・・・・・・えぇ・・・!!!」

・・・今まで見せなかった彼の姿に、心から驚いたが、それでも今の現状を優先した。

 

「でも翔一は・・・?」

「僕をなめないでほしい、良いから早く!」

「分かったわ。翔一は任せる・・・!」

・・・自分を見守ってきてくれていたキュゥべぇ。そしてそのキュゥべぇが、今こうして

2人を助けようとしてくれているのなら。

 

「っ・・・!壁の一部が貫通してる・・!」

・・・佐倉さんの体内に刺さっている壁の一部を除去、すぐに傷口を治す作業に。

 

 

・・・・・・・はと言うと・・・

 

 

「・・・・・・・・」

 

・・・翔一の魔銃(デーア・ティラトーレ)を、前足で抑えたまま、目を瞑って・・・?

・・・違う。・・・魔銃の魔力を使って、翔一の傷を・・・治癒している・・・。

 

「・・・・・・・大丈夫だ。すぐに手当て出来たおかげで、ちゃんと脈はある」

「本当!?」

「あぁ。でも・・・後ちょっとでも遅れていたら・・・・」

 

「・・・っ・・・! ありがとう・・・。私が力不足なばっかりに・・・」」

 

「そっちはどうだい?」

「・・・何とかなりそう。少なくても、佐倉さんはまだちゃんと生きてる・・・!」

「・・・全く。君が死んだら・・・もう止める事は出来ないんだ・・・生きてくれ・・・! 生きるんだ・・・!」

「・・・?」

「・・・いや、なんでもないよ。救急車を呼んでおいたからね。

 二人の手当てが終わる頃には、到着だろう」

「・・・こんな場所に・・・?」

「・・・僕をなめてもらっては困るよ。これぐらいどうともない」

 

_____............................

 

―僕の命と引き換えに、この連鎖を止められるのなら―

_____............................

 

 

 

 

「・・・佐倉さんの方は大丈夫そう。・・・そっちは・・・?」

「問題なさそうだ。後は、なんとかなるはずだ」

 

本当は今日、キュゥべぇは魔女退治について来ていなかったはずだ。

なのに何時の間にか救急車の手配までして、来てくれる。

・・・目を閉じて、静かに見守っているようなキュゥべぇが、とても頼もしく思えた。

 

 

「・・・ありがとう」

あなたが居なかったら、2人は死んでいたから。

 

「・・・別に良いよ、これぐらい」

それでも・・・。

 

「それでも・・・」

泣き顔じゃなく、感謝の言葉ぐらい。

 

 

 

 

・・・笑顔で、言いたい。

 

 

 

 

「ありがとう、キュゥべぇ」

 

 

 

 

「――――どういたしまして、マミ」

 

 

 

 

_____

____

___

__

_

 

 

 

 

 

・・・・その後。

 

 

本当に救急車が来てくれて、翔一『だけ』が運ばれていく。

・・・佐倉さんは・・・救急車には搬送できなかった。

理由は・・・佐倉さんは、本当はもう生きていない、という事になっているから。

それと、佐倉さん自身の気持ちも考えて。

・・・本当は搬送をして、病院でちゃんと見てもらいたいかったけど、

ここは、佐倉さん本人の気持ちを優先したいと思う。

 

ただ、私は一緒に救急車に乗り込んだ。佐倉さんの方は体の内側の傷も

完治して、起きたら何ともないであろう状態にまで回復していた。

 

キュゥべぇも佐倉さんの事を考えてなのか、気絶した佐倉さんにタクシーを手配、

そのまま私の家に運んでくれたらしい。・・・

・・・あの体でどうやって運んだか気になるし、そもそもどうやって救急車やタクシーを

手配したのか気になる。けどこういう場合はいつもキュゥべぇはちゃんと答えてくれない。

 

・・・でも、家に戻ったらちゃんと佐倉さんがベッドで横になっていたので、安心した。

キュゥべぇは頼もしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・問題は・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――で、二人で出歩いていた途中に、見知らぬ男性がいきなりナイフを持って襲ってきて、

 君を庇って倒れてた。・・・それで、その男性はどこかに消えてしまった・・・と?」

 

「はい・・・」

 

・・・病院の先生に、キュゥべぇが伝えただろう事情を説明する。

これは幾ら何でも疑われてもおかしくはない。が、病院側は血が染み付いた翔一の服を見て

嘘ではないと判断した様だ。・・・が、明らかに何かおかしい。やっぱりキュゥべぇに後で

ちゃんと聞かないと気がすまない。

 

 

「・・・はぁ・・・」

・・・と、ため息をつく先生は、私も知っている。・・・私が『あの時』の事故で、

無傷で帰って来た時・・・私を検査した先生だ。

・・・それ以来、何かとお世話になっている。それは翔一も一緒だ。

 

 

「・・・君の周りには、良くない事が起こるね・・・」

 

「・・・・・・」

 

「いやいや、別に君を咎めているとか、そういう意味じゃないんだ・・・ただ・・・」

 

「・・・?」

 

「『あの件』から、もう何年も経つんだねぇ・・・」

 

「・・・・・・」

あの件。・・・あの事故の事だ。交通事故・・・。私がキュゥべぇに契約して、

魔法少女になるきっかけでもあった事故。

 

「・・・それで、お隣さんの彼も・・・」

 

「っ・・・」

・・・翔一も、交通事故で家族を亡くした。

 

「・・・君が貧乏神だとか、そういう事を思って言ってるんじゃない」

・・・分かっている。昔からこの先生は、心配性なんだ。

それこそ、私たちを自分の孫でも見ているように、心配で。

 

 

「・・・ただ、何で君たちなんだろうね・・・」

 

「・・・えっ?」

 

「・・・二人とも家族を亡くし、それでお互いを支えあって、必死に生きている。

 辛い事や寂しい事、一杯経験してきたと思う。・・・なのになんで、今日の件みたく、

 不幸な事ばかり起こるんだろう。・・・私はね、神様なんて信じちゃいないが、

 もし神様が好んで二人を不幸な目に合わせているなら、それこそ神を怨むよ」

 

「・・・・」

 

「だって、2人とも良い子なのにな・・・これはさすがにちと_」

 

「良いんです・・・。大丈夫、ですから・・・・」

・・・そう言う私は今、どういう顔をしているんだろう。

 

「・・・ただ・・・。もし神が全ての人間を愛しているというのならば・・・

 今まで不幸な目にあってきたんだ。・・・この先、その不幸な分よりもずっと、

 幸せな未来を用意していなければ・・・。私は死んでも神を呪う事を誓うよ」

 

「そ、そんな_」

 

「良いんだよ。今言ったのは私の独り言だ。独り言は独り言だと思って、受け流してくれ」

 

「・・・ありがとう・・・ございます・・・!」

・・・今にも泣きそうだった。私も、少しぐらい、強くなったと思ったのに。

それでも、自分を思ってくれているという温もりに触れてしまうと、

涙を流しそうになるぐらい、脆い。やっぱり、佐倉さんに言った通り、

背伸びをしているんだろう。

 

「・・・背伸びするのは良いが、ずっと背伸びしているままじゃ疲れるだろうさ」

 

「・・・」

 

「周りに負けまいと、それを背伸びして耐えるのは・・・辛いだろう」

 

「・・・」

 

「だから、拠り所になる人を見つけたなら、それに名一杯甘えなさい。

 その人前では、自分を偽らずに。ありのままの自分で甘えなさい。嫌われたって良い。

 ありのままの君を受け入れない人なんて、拠り所になんて最初から向いていない。

 ・・・・・・そうしないと、君はいつか・・・耐え切れなく、なるだろうから」

 

「・・・・・・・」

・・・もう、堪えられなかった。 涙が流れていた。

 

「・・・背伸びや胸を張るのをやめろとは言わない。ただ、その人の前では、

 ちゃんと。名一杯、これ以上ないってぐらい、遠慮せず、甘えなさい。・・・良いね?」

 

「・・・はい!!」

・・・泣きながら、そう頷いた。・・・でも、心なしか、笑顔が溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・と、言っても、もう拠り所になる人は、決まっているだろうがなぁ・・・?」ニヤ

 

「っ・・・!///」

 

「はははは、すまないなぁ・・・年寄りの感傷だ、許してくれ」

 

「からかわないでください!!///」

 

「ははは・・・・・・・・・・・・・・・・。それじゃ、もう遅い。一先ず、家に帰った方が良い。

 ・・・タクシー_」

 

「良いですよ。一人で帰れますから」

 

「いやいや・・・!ここはちゃんとタクシーをだなぁ・・・」

 

「大丈夫ですって」

 

「・・・本当に?」

 

「えぇ」

 

「・・・分かった。そこまで言うなら・・・・」

 

「・・・何時も、ありがとうございます」

 

「いやいや、大丈夫だ。寧ろもっと迷惑をかけてくれたって構わない。

 少なくとも、君や彼には他の子にごく当たり前に与えられている物がない。

 だからこれぐらいワガママを言ったって、バチなんか当たりはしないさ」

 

「ありがとうございます・・・。それじゃ・・・」

 

「あぁ。気をつけてお帰り」

 

・・・そう言われ、部屋を出て、そのまま病院を去った。

 

 

 

 

 

____________

 

 

「辛い事があっても、前を向いていなさい。強がりでも、意地でも良い。

 そうすれば、きっと悲しい事は去っていくだろうさ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでも挫けそうな時は・・・彼に頼りなさい。君は一人じゃないんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幸せにおなり・・・」

 

____________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===自宅===

 

 

「・・・ただいま」

 

「おかえり」

 

「キュゥべぇ、佐倉さんは・・・?」

 

「大丈夫。安らかに眠っているよ。・・・寝言を言うぐらいにね」

 

「・・・そう。なんて・・・?」

 

「マミや翔一の名前を言っていたよ」

 

「・・・それなら大丈夫・・・か・・・な」

 

「・・・翔一の容態は・・・?」

 

「・・・分からない。背中の傷は何とかなったけど・・・傷跡は残っちゃったから・・・

 目覚めるとしても、いつ、目を覚ますか・・・」

 

「一応、救急車が来た時点では完治しているはずだよ。・・・さすがに、

 魔銃を使って着ていた服は元通りにしておいたけど・・・」

 

「・・・そうね・・・体についた血の痕とか・・・翔一の体に付いてたあ血のせいで、

 随分と、話が大きくなっちゃった・・・『ナイフを持った不審者が~』ってね・・・

 というよりキュゥべぇ、何をしたら病院があんな嘘信じるの?・・・まさか、悪い事した_」

 

「それでも2人が助かったなら安いものだよ。・・・そうだろう?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・キュゥべぇ?」

 

「・・・?」

 

「・・・・・・・変わったわね、あなた」

 

「・・・・・・そうか。‘‘変わった’’・・・か」

 

「・・・えぇ。昔はもっと、遠くから見守ってはいるけど、こうやって自分から動く事は

 なかったじゃない?」

 

「・・・それが普通、なんだよ」

 

「・・・普通・・・?」

 

「・・・何でもない」

 

______..............

 

・・・そうさ。絶対に彼を死なせる訳にはいかないんだ。もちろん、佐倉杏子だって同じく・・・ね。

______..............

 

 

___

__

_

 

 

「・・・・」

・・・佐倉さんは、ベッドで横になっている。

 

「・・・んしょ・・・」

ベッドに横たわっているだけであって、靴などは脱がされていない。

目を覚まさない所を悪いけど、靴や靴下など脱がしてから、

佐倉さんを持ち上げて、布団をかけてあげた。

 

これが前翔一が言っていた『情が移った』という物、かも知れない。

 

まぁそれでも、傷を負って意識を失ったというのに、少し気持ち良さそうな寝顔を

している佐倉さんの顔を見ていると、それも悪くないかな、とは思う。

 

「・・・・・・!?」

・・・少しだけ、ほっと安心した瞬間、足元がふら付いた。

さすがに女を相手にした後、魔力を使って怪我を治して・・・

病院で色々事情を聞かれて、先生と話して・・・。これぐらいで倒れそうになるとは。

 

・・・まだまだ、自分も弱いという証拠だ。・・・翔一もいつ、目を覚ますかは分からない。

佐倉さんもちゃんと目を覚ますかどうかも分からない・・・のに。

 

 

「ごめんなさい・・・少しだけ・・・・・・」

 

今は、少しだけ。少しだけで良いから・・・休んで・・・良いかな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――て

 

 

――――――――――――――きて・・・

 

 

 

 

 

 

―――――――起きて、マミ。

 

 

 

 

 

「ん・・・?」

・・・誰かに呼ばれて、目を覚ます。

 

 

「・・・やっと起きた」

・・・起こしてくれたのは、キュゥべぇだった。

 

「ん・・・キュゥ、べぇ・・・?」

・・・寝起きでボーっとする頭だけど、すぐに事態を把握した。

 

 

「あっ!!・・・私・・・!」

・・・佐倉さんのベッドに頭を置いて、寝てしまった。

 

 

「やれやれ・・・」

「佐倉さん_・・・寝てるか・・・」

「・・・マミが寝ていたうちに起きていたという事はなかったよ」

「・・・って、キュゥべぇ・・・もしかしてずっと、傍にいてくれたの・・・?」

「まぁね」

そう尻尾をゆっくりと動かしながら言う、キュゥべぇ。

・・・彼がかけてくれたのか、私にも毛布がかけられていた。

 

・・・やはり、変わったんだ。

 

「ありがとう・・・」

「お礼を言う必要はないよ。・・・それより、良いのかい?」

 

「・・・?」

・・・キュゥべぇが、無言で時計の方を見ている。

 

「・・・えっ?」

 

 

『PM 12:08』

・・・・・・・・・・・・・・・・?

 

「―――あっ!?」

「やれやれ・・・」

「今日、学校じゃない!?」

「・・・今日は休みという事にした方が良い。翔一のお見舞いも行った方が良い」

「そ、それはそうだけど・・・」

「昨日の疲れもあるだろう。今日一日安静にとまでは言わないけど、ゆっくりした方が良い」

 

「で、でも・・・」

 

「まぁ学校側にもこの件は伝わっているだろう。言っても追い返されるだけだ」

 

「・・・・・・。・・・はぁ・・・。分かった、分かったわよ・・・」

キュゥべぇがこう言う時は、ほとんど頑として譲らない。

反発した所で、『君は~』とか、そういう理論じみた言葉を続けて、相手を納得させる。

 

 

___

__

 

 

・・・「う~ん・・・」

・・・早速困った。朝ご飯・・・いや、もうお昼だから、お昼ご飯だ。

だけど・・・

 

「やれやれ。翔一が居なければ、まともに料理も出来ないとは」

「っ!!///」

・・・そうだ。魔法少女になった時。もう家族は居なかった。

だから私は、最初の内はお弁当を買ってきていた。

だけど、翔一が一緒になってからは、

 

『女の子はちゃんとした料理を食べるべきだって、母さんが言ってたからなっ!』

 

この言葉から、翔一が私に料理を作ってくれるようになり、次第には、

朝食や学校のお弁当すら作ってくれる様になっていた。

だから、料理はあまりやった事がない。

 

「・・・えぇと・・・」

冷蔵庫を開け、中身を見る。

朝食とお弁当は、翔一が自分の家で作ってきてくれる。

だけど、夕食は私の家で作ってくれるから、冷蔵庫に食材はきちんとあった。

・・・何を作ろうか。佐倉さんが目を覚ましたら、健康的な食事をさせてあげたい。

包丁もあまり握ったことない私は、悩んでいた。

 

「とりあえず、魚の切り身がある。それを焼くだけでも良いだろう?」

「もう。それはキュゥべぇが食べたいだけじゃない」

「そんな事はない。『焼くだけ』だけなら、マミにも簡単だと思ったんだよ。

 生でも食べれるけど、起き上がりの彼女でも食べれるような物・・・をね」

「うーん・・・あっ・・・!」

 

「・・・?」

「こういう時は、情報収集よっ!」キリッ

「・・・・・・」

無言、そして無表情のキュゥべぇ。・・・なのに、少し飽きれているように見える。

 

「・・・はぁ」

「な、何よそのため息!?」

「何でもない。・・・まぁ確かに、実践の前に基本知識を持っておいた方が良い」

・・・何だか自分が情けない気持ちになるけど、こういう時はめげない!

 

 

___

__

_

 

 

「・・・・完成・・・?」

・・・一応、調理法などを調べて完成したのは、焼いた鮭。

・・・大丈夫。そんなに焦げてはいない。・・・大丈夫・・・。大丈夫、なんだから・・・!。

 

「・・・キュゥべぇ?」

キュゥべぇに向けて、視線を送る。

 

「・・・分かったよ」

・・・キュゥべぇが悟ったのか、鮭の一部を置いた小皿へと踏み出す。

 

・・・・ゴクリ。

 

 

「・・・・・」

「・・・ど、どう・・・?」

「うん。『ちゃんと』食べれる」

「ちゃ、ちゃんとって・・・!?」

「まぁ、食べれない事はない、どちらかと言うと美味しい という部類だよ」

 

「本当!?」

 

「僕が嘘をついて何か得をする事柄だと思うのかい?」

「良かったぁ・・・と、とりあえず次・・・次は・・・あっ! 次は、スープ_」

 

「ただの味噌汁で良い!! やめてくれ、お願いだっ!!」

 

「即答っ!?」

 

「初心者が『スープ』という難しい領域に踏み込むのは危険なんだ!!」クワッ

 

「そ、そんな事ないわよ! 簡単なんだから!」

 

 

 

――キュゥべぇ ビジョン―

 

 

「ねぇーキュゥちゃん」

 

「・・・?」

 

「あたし料理作ったのー!」

 

「へぇ・・・」

 

「だからキュゥちゃん食べてー!」

 

「僕達は食べてもあまり美味しいとは思わな_」

 

「ほらー!」

 

「や、やめ____...............うっ!!???」

 

 

「きゃ!!・・・キュゥちゃん!?」

 

 

「・・・何だこれは・・・! 人間にはこんな恐ろしい武器が・・・___ごふっ・・・」

 

 

 

 

 

「キュッ・・・!キュゥゥウウウウウウウウ・・・・!キュ、キュゥ・・・!!!」ジタバタ

 

「キュゥちゃあーん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「」チーン

 

「キュ、キュゥちゃーーーーーーーーーーん!!!」

 

 

 

――――――――

 

 

 

 

「」ブルブルブルブル

 

「キュ、キュゥべえ・・・?」

 

「あれ以来僕達の間では『スープ』という料理は人間にとって最大の兵器という事が・・・

 その個体と意識を繋げていた者はこう言う、『その個体の嘆きが聞こえた』と・・・」

 

「・・・・えいっ!」

 

「キュッぷいっ!?」

ブツブツ言っているキュゥべぇの尻尾を掴む。

まるで猫みたいに、キュゥべぇは尻尾を掴まれる事を嫌う。

 

「・・・ありがとうマミ、おかげで助かったよ」

「どういたしまして」

「それで、手作りのスープはやめた方が良い。インスタントで十分だ」

「・・・キュゥべぇがそこまで言うなら・・・」

「・・・後は・・・?」

「サラダとか、野菜とかのメニューが良いだろう」

「うぅ・・・」

「・・・ごめん、マミには難し_」

「な、何よ!やってやるんだから!!」

「・・・やれやれ・・・」

 

___

__

_

 

 

「で、出来た・・・! 味見もばっちり・・・!」

 

「やれば出来るじゃないか」

 

「こ、このぐらい当然!」エッヘン

 

「翔一に比べたら_」

 

「しょ、翔一はいつも作ってるから上手いに決まってるじゃない!け、経験の差よ!」

 

「・・・キュッぷい・・・」

 

___

__

_

 

 

「ごちそうさま」

「・・・ごちそうさま」

「お粗末さまでした」

「・・・じゃあ・・・」

「・・・えぇ。準備してから、お見舞いに・・・行って来るわ」

「杏子は僕は見ているよ」

「えぇ、お願いね」

 

 

_______________

 

 

 

「・・・君が死んだら僕の計画が台無しなんだよ、戸原翔一。・・・君は『僕』にとって、

 計画の要でもあり、最後の希望でもある。・・・君が死んだら、これから救われる命すら・・・・・」

 

 

_______________




・・・と、28話でした。

ちなみに、切断《テリアーデ》というのは、女神の決断オリジナル。
リボンなんだからなんかこういう使い方も出来るんじゃ?
と思ってやってみました。後テリアーデ、と言うのは間違いかも知れません。
グー○ル先生頼りで名付けました、サーセン。


ここはにじファン様の時に公開していたのとは結構追加シーンあります。
後、本当皆様には色々言いたい事があったりするんですが、
とりあえず。

・お気に入り150件超えたぜイヤッホォォイ!

・劇場版1、2作目公開おめでとう! ルミナスマジ良い曲! それとマミさん天使!

・作者が某アキ○ーバラでマミさんのストラップ付けてたらお店の店員に
 「マミ様がお好きなのですか? なら・・・」とフィギィアを少しだけケチって
 もらった事。というか10分ぐらい店員さんとまどマギトークしてた事。

・まどマギカフェ行ったら凄く・・・良かったです・・・

・・・などなど、話したいことが一杯あるんですが、久しぶりの更新、という事で、
テンション盛り上がりング。 

マミさんへのこの気持ち!!! まさしく愛だ!!!






さてマミさんのテーマ聴きながら、
マミさんのグッズに囲まれながら、
マミさんマグカップで紅茶飲むのって・・・

凄く・・・暖かい気持ちになります・・・





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