魔法少女まどか☆マギカ -女神の決断   作:てにー

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前話に『断話「想い」』を挟ませて頂きました。

作者的には重要な話なので、読んでくれるとありがたいです。
というか読んでくださいお願いします土下座しますので。orz


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杏子の一声を無視して、魔女が居る結界へと単独で乗り込む翔一。

魔女の結界の中で、翔一は、不思議な出会いをする。




第25話「誇りの果てには ―前編―」

 

 

 

 

「ここか・・・」

・・・目の前に、空間の歪みがある。

キュゥべぇさんの言う通りなら・・・。

 

魔銃をつけている左腕をかざす。

 

 

・・・魔女の結界への入り口が、現れた。

 

「・・・・・・・・殺される訳にはいかない・・・! 慎重に行くぞ・・・!!」

そう自分に念じ、結界の奥へと突き進む。

 

 

 

 

 

 

===魔女の結界===

 

 

「・・・ふぅ、と・・・」

・・・周りを見回し_

 

 

使い魔「――!!」ザシュッ

 翔一「うぉぉっ!?」

入り口のすぐ傍に居やがってくれた使い魔の奇襲を辛うじて避ける。

 

 翔一「くそっ、不意打ちとは良い度胸じゃないかっ!!」

魔銃(ハンドガン)を展開。そしてすぐに使い魔へと銃口を向け撃つ。

 

 

使い魔「・・・」カンッ!

 翔一「ちょっ・・・!_」

・・・嘘、だろ・・・? 

騎士みたいな格好の使い魔に撃ち込んだ。・・・と思ったら、鎧で弾を防いだ・・・!?

 

こんなってありかっ・・・!?

 

 

使い魔「・・・・」ガタッ

 

 翔一「・・・あれっ?」

 

 

使い魔「」バタン

使い魔がその場に倒れた。

.........................................。起き上がる気配はなし。

 

 

翔一「・・・倒した、のか?」

西欧の騎士みたいな使い魔が、バタりと倒れたと思ったら、そのまま沈黙した。

・・・いや、魔銃の威力が凄いだけかも知れない。

こればかりはキュゥべぇやマミさんに感謝せざるを得ない。

 

 

・・・\ガタッ/

 

 翔一「っ!?」

振り向くとまた、さっき倒した使い魔と同じ類の騎士さんが現れた。

 

使い魔「・・・・・・・」

 翔一「・・・」

・・・距離はある。・・・近接戦闘では部が悪い。・・・相手の出方を見るか・・・。

クソッ、この結界に入ってまだ一分もしてないぞっ!!

 

使い魔「・・・・・・・・・」

 翔一「・・・・・・・」

・・・やっぱり何度見ても西洋の騎士としか見えない格好だ。

違いがあるとすれば、中身が入ってないのと、武器も含めて全身錆びれてるだけか。

 

使い魔「―!」

 翔一「っ!!」

 

来るっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれっ?

 

 

 

 

使い魔「・・・」

 翔一「・・・?」

使い魔「・・・」ビシッ

何か魔銃の方指差してるんだけど。なぁにこれぇ・・・。

 

使い魔「・・・」カチャッ

今度は剣を振り上げる事で、剣を象徴してみせる。

 

 

 

 

 

 

・・・あっ。

 

 

 

 翔一「・・・ひょっとして、『そんなモン使ってないで剣で正々堂々こいや』・・・?」

使い魔「・・・」コクリ

・・・圧巻した。使い魔でも生きてるんだろうが、まさか騎士道精神という物があるとは。

 

でも確かに、相手は剣なのにこっちは有利な銃で挑むのは、騎士道精神に反するんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔一「でも出来ません」バンッ

 

使い魔「」ガタッ

・・・あぁ。魔銃で撃っちゃったけど凄い罪悪感がしたよ今。

・・・でもそんなのに構ってたら俺が殺される。

悪いが、それに付き合って死んだら、凄くイヤだ。

 

 

翔一「すまないな・・・。でも、さすがに死にたくないんだ。分かってくれ」

倒した使い魔に対して、頭を下げた。

 

・・・・この部屋からはもう、気配は感じられない。

ただ・・・。

 

翔一「この先に待ち構えてるとかありえねぇ・・・」

・・・俺が今いるのは、どうやら倉庫の様だが・・・。

 

その倉庫から出る扉の近くに、気配が。しかも全く動いてないとなると、

待ち伏せにしか感じられない。さすが騎士道。なんかもう騎士道って何だろう。

・・・もしかするとだが、この結界、城とかかもな・・・。

ここの魔女の思い出の場所が城だったりさ・・・。

 

まぁ、ここが倉庫だったら、良いものあるんじゃないか?

魔女の結界の中なのに、そんな事を考える。

 

・・・箱を一々開けて確かめると・・・。

 

 

翔一「・・・剣、か」

・・・『魔女』という単語を思わせない。そんな美しい剣がしまってあった。

鞘に閉まわれていても、何故だか美しいという単語が出る。

 

・・・・・・・・いや、これ触るとか馬鹿じゃねーの?フラグだろそれ_

 

翔一「っ!?」

・・・剣から何か、禍々しい力を感じられる。

・・・まさか・・・。魔剣とか堕剣とかそういう奴なのか・・・!?

でもそういうのは言い換えればフラグだ。死亡フラグだ。

うん、そうしよう。・・・薔薇にトゲがあるように

あんな剣でも何かこう、呪われているに違いない・・・!

 

ヘタレな俺は、そう言いくるめて倉庫が後にした。

 

 

 

===魔女の結界/廊下===

 

使い魔「「「「 ・・・! 」」」」

・・・・。

どうしよ・・・。扉開けたら左右に使い魔さんが2人ずつ待ち受けててくれました。

 

 翔一「・・・あなた達は、たった一人数の差で相手を屈服させる、下郎なんですかっ!?」キリッ

 

使い魔「「「「 !! 」」」」

・・・全く同じ反応するのな。ちょっと面白い。

 

 翔一「そうやってリンチするのが、騎士道なんですかっ!?

    それが人間・・・じゃなかった、騎士道のやる事かよぉおおおおおおおおおおお!!!」

使い魔「「「「・・・」」」」

4人揃って沈黙してるよ・・・。怯んでるんだろうな・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔一「・・・はいありがとさん」

怯んでいる使い魔に向けて、魔銃を撃ちこむ。

 

 

使い魔「「「「 」」」」

 

・・・生き残るには・・・こうするしか、ない・・・。

騙まし討ちをしてでも・・・。な。

・・・左に進もう。

 

 

 

===魔女の結界/廊下===

 

 

使い魔「!!」

 

 翔一「乙です」バンッ

 

___

__

 

 翔一「っ!?」

 

使い魔x5「「「「「 !!!! 」」」」」

・・・不味い。通路で鉢合わせに・・・!!

 

 

 

 翔一「・・・は、ハーイ?元気~?」」

 

 

使い魔x5「「「「「 ――!!! 」」」」」ダッ!

使い魔達が一斉にこちらへ駆け出してくるっ!!

 

 翔一「ギャアアアアアア!?」

クソッ、ここは態勢を立て直すっ!!

ここで相手にするのも良いが如何せん距離と地形が・・・!!

 

 

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__

 

 

 

 

===魔女の結界/中庭===

 

 

翔一「・・・・・・・・・・・・・・・・どうして・・・こうなった・・・!」

 

 

使い魔A「・・・」

使い魔B「・・・」

使い魔C「・・・」

使い魔D「・・・」

使い魔E「・・・」

使い魔F「・・・」

使い魔G「・・・」

使い魔H「・・・」

使い魔I「・・・」

使い魔J「・・・」

使い魔K「・・・」

・・・いや。本当は5匹に追いかけられてそれで逃走してる間に増えていって・・・。

通路じゃ不利だから中庭に逃げ込んだ物の・・・。こうなった。

 

だが不幸中の幸い、相手は一つに集まっている。

 

なら・・・!

 

 翔一「垂れ流してるだけでも十分だよなっ!!」

魔銃(アサルトライフル)を構え_

 

使い魔A「・・・」カチャ

使い魔B「・・・」カチャ

使い魔C「・・・」カチャ

使い魔D「・・・」カチャ

使い魔E「・・・」カチャ

使い魔F「・・・」カチャ

使い魔G「・・・」カチャ

使い魔H「・・・」カチャ

使い魔I「・・・」カチャ

使い魔J「・・・」カチャ

使い魔K「・・・」カチャ

・・・使い魔全員が盾を構えやがった・・・!

 

なら・・・!

 

 

 

 翔一「不意撃ちサーセン!!!」

 

魔銃(グレネードランチャー)を展開、咄嗟に構え撃つ。

 

 

 

\バァーン!!/

 

 

 

 

 

 

使い魔A「」

使い魔B「」

使い魔C「」

使い魔D「」

使い魔E「」

使い魔F「」

使い魔G「」

使い魔H「」

使い魔I「」

使い魔J「」

使い魔K「」

・・・倒したか。さすがにこれ(グレネード)で倒れなかったら焦るけ_

 

 

 

????「――」

  翔一「!?」

 

後ろに・・・・!

 

 

 

 

 

使い魔Ⅱ「―!!」

 翔一「うぉっ!!」

間一発斬撃を避ける。

 

今まで相手した使い魔よりも一回り大きいのが・・・。

というか体格からして、隊長とか・・・。所謂中ボス・・・。

 

 

使い魔Ⅱ「・・・」ダッ!

 翔一「っ!!!」

すぐ様向かってくるのを、魔銃(ハンドガン)で応戦_

 

使い魔Ⅱ「・・・」カンッ!!

なっ・・・!今度は本当に鎧で防ぎやがった!やべぇ!!

 

 翔一「ダーイブッ!!」

モ○ハン式緊急回避っ!!!

 

使い魔Ⅱ「・・・」

 翔一「・・・」

 

すぐに態勢を立て直して、距離を取る。

・・・どうする。近接戦闘は相変わらずこちらが不利。

あのまさしく『重装甲』を思わせる鎧は、ハンドガンやアサルトライフルじゃ

貫けないだろう。ショットガンにしても致命傷を当たられるほどではないし、

チャージショットは燃費が悪い。・・・生憎、この距離でスナイパーライフルを扱えるほど、

俺は熟練した腕前を持ち合わせていない。

 

・・・なら・・・

 

 翔一「・・・・・・重いなっ・・・!」

・・・左手に・・・・・魔銃パイルバンカーを展開。あんな重装甲を貫き、尚且つこの距離を保ち、

魔力消費を抑える武装だ。・・・こんな状況で、ロマン武器を出すとは思わなかったが、

この距離なら接近せずとも十分当たる距離だ。問題は・・・あの使い魔が避けた時に

どう対処すれば良いかだ。・・・・・・ああすれば良いか・・・。

 

使い魔Ⅱ「―――!!」

使い魔が俺に直進して向かってくる・・・!

 

 翔一「(はらわた)に打ちまけろっ・・・!」

トリガーを引いてパイルを射出・・・!

 

使い魔Ⅱ「―!」ガンッ

くっ、カスったが避けられた・・・しかし・・・!

 

 翔一「今っ!!」

射出したパイルの真横にいる使い魔を・・・パイルを横になぎ払って吹き飛ばす!!!

・・・使い魔は横に大きく吹き飛ばされ、壁に激突。隙が出来た。

 

 翔一「もらったっ!!!」

リロードし終わったパイルを射出。そして・・・。

 

使い魔Ⅱ「」

パイルで鎧を突き破り、何とか傷を受けずに倒す事ができた。

今着ているのは動きやすい私服だ。防御力なんてあったもんじゃない。

剣先がカスっただけでも怪我をしてしまう。

まだ魔女とも対面していないのに体力を削られてたまるか。

 

 

 

 

\ガタガタガタガタ/

 

 

 

 翔一「何っ・・・!?」

・・・今のは囮・・・!? 

俺がこの使い魔と相手してる間に陣形を整えたってか・・・!

使い魔でも作戦というのは立てられるのか・・・! 侮っていた・・・!

 

クソが、雑兵だらけかここは!?

 

使い魔x40「「「「「「「「 ・・・・・・ 」」」」」」」」

中庭全体を、大多数の使い魔が取り囲む。これじゃ逃げる事も不可能。

 

指図ね、蛇に睨まれた蛙状態。圧倒的な数。「戦いは数」という言葉があるが、

そういうのは大抵超スペックな主人公や機体に成すすべもなくやられていく。

 

だが俺はそんな超スペックな主人公ではない。

 

 

・・・だがしかし。

『超スペック』なのは俺ではない・・・が!

 

 翔一「数で落とせられる程、俺の覚悟は甘くないつもりだ・・・!!」

『超スペック』な『武器』なら持っている。

 

魔石の数はキュゥべぇに支給されたから、今魔銃にはめている

魔石の残量も合わせて・・・ざっと7ぐらいだろう。

 

・・・イザとなれば、ほむらに土下座でも何でも良いから武器を貸してもらう手もある。

まぁそれは、後だ。まずはこの大群を仕留めなければ・・・。

 

 

使い魔x40「「「「「「「「 ―――!!! 」」」」」」」」

・・・凄い数でこちらに一斉に突撃してくる・・・!

だがそれが罠だと言う事を気づかないのは、こちらにとって幸いだ。

 

魔銃(ブレード)を展開。そしてすぐに構える。

 

・・・もっとだ・・・もっと近づいて来い・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「 ―――!!! 」」」」」」」」

 

 

 

・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「 !!! 」」」」」」」」」」

 

・・・後数歩したら、使い魔達の剣が俺に振りかざされる・・・!

 

 

この距離っ!!!

 

 

「そこだあああああああ!!!」

 

思いっきり回転し、魔力刃を回転状に放つ。

指図ね回転切り。だがそこから発せられる魔力刃は狂いなく使い魔の大群を切り裂いた。

 

翔一「・・・」

 

見回すと、胴部分を切り目に、上下切り裂かれている何十体もの鎧が俺の周りを

囲むように倒れている。

・・・一歩でも間違えば、この軍勢に切り刻まれていたのを考えるとゾっとする。

 

足元の鎧のせいでうまく歩けないが、出来るだけ鎧を踏まない様にして中庭を出た。

さすがにこれだけ倒せば、残っている使い魔はもう残り少ないだろう。

・・・たぶん、だけどな。

 

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===魔女の結界/キッチン===

 

・・・この結界があまりにも広く、30分以上歩き回ってやっと出くわしたのが・・・。

 

 

使い魔達「「「「・・・!」」」」ビクビクビク

・・・たぶんだが、使用人の使い魔が数匹居て・・・。

こうやってビクビクしてます。たぶん女性だと思う。使い魔だけどな。

 

 翔一「あぁー・・・。向かってこないなら手は出さないから」

使い魔達「「「「・・・」」」」ビクビク

 翔一「そ、それじゃあ・・・」

凄く倒しにくい。というか俺の姿見るなりどっかに隠れてしぶしぶ奥に来たら

全員ビクビクしてるんだもんなぁ・・・。戦場に私情は持ち込めない。

だがさすがに気が滅入る所じゃないので、放置しておく事にする。

 

使い魔「・・・」

 翔一「・・・?」

・・・なんか一匹の使い魔がビクビクしながらもこちらに近づいてきた。

敵意や悪意は感じられないが・・・?

 

使い魔「・・・」

・・・震える手で、丸めた紙を差し出してくる。

 

・・・罠か。それとも・・・

 

 翔一「・・・」

紙を受け取ると、

 

使い魔「~~!」

すぐに他の使い魔の元へ逃げてしまった。

 

・・・何だろうか、この紙は。・・・というか紙というか・・・布っぽいけどな。

・・・紙を広げてみると・・・。

 

 翔一「地図か・・・?」

広げた紙には、どうやらこの城の地図が書かれていたようだ。

地図に書かれている部屋の形状からして・・・。

 

恐らく、このキッチンだと思われる場所に○が書かれており、そこから矢印が

続いている。・・・そして・・・矢印がたどり着いた場所が・・・。王の間なのだろうか。

 

・・・恐らく、この城と良い、騎士と良い・・・。この結界の魔女は・・・。

元々王女様か姫さんか・・・? いや、そう考えるのが普通だが、

相手は常識が通用しない。そう決め付けるのはうかつだろう。

 

というか何故これを俺に渡してきたんだ・・・?

 

子使い魔「「「・・・」」」ビクビク

使い魔に囲まれて良く見えないが、後ろに小さい使い魔数匹が居る。

 

・・・『どうかお命だけは』という奴、か・・・。命乞い・・・だな。

生憎、使い魔だからって見境なく倒すなんて心は持ち合わせていない。

 

自分に向かってくる使い魔を倒してきた。だからそれを変えるつもりもない。

 

・・・が。さすがにこの地図がないとマミさんに夕飯を作って上げられない可能性が・・・。

それは出来ない。健康が一番。そのために手心こめて作るからこそ良いのだ。

 

この地図はもらっておく事にしよう。

 

 翔一「ありがとう。・・・じゃあ、俺はこれで行くから」

奥の方で常にビクビクしてる使い魔にそう告げて、キッチンを去る。

 

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===魔女の結界(2階)===

 

・・・さて。地図の通り「X」がついてる場所に行ったら階段になってたぞ・・・。

 

ここから遠回りすると3階へ続く階段があるのか。

何てイヤらしい設計なんだ。地図なかったら絶対彷徨ってたよ。

 

 

使い魔「「「「 ・・・! 」」」」

 

 翔一「あぁもう!」

魔銃(ハンドガン)で出てきた使い魔を撃つ。

 

使い魔「「「「 」」」」

このままじゃジリ貧になるのは間違いない。

出来るだけ戦闘や魔力消費は避けるか・・・。

 

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===魔女の結界(2階)/廊下===

 

使い魔「「「「 ~~~! 」」」」ダッダッ

 

 翔一「うぉおおおお!?」

 

間違えて部屋空けたら使い魔がーっ!! 罠だっー!不幸だっー!!

 

 

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===魔女の結界(2階)/廊下===

 

使い魔「・・・」キョロキョロ

使い魔「・・・・!」

 

ダンボール「・・・・・」

 

使い魔「・・・?」

ダンボール「・・・・・・」

使い魔法「・・・」 持ち上げ

 

 

使い魔「!?_」

 翔一「もらった!」グサッ

 

 

使い魔「」

・・・魔銃って本当凄い。ダンボールにもなるなんて。

 

ダンボールに隠れてたんですがやっぱり気づかれました。

何とか倒したけど相手が数人制で警戒してたら死んでたよ・・・。

 

ス○ーク、やっぱり城にダンボールってシュールだし似合わないね。

 

 

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===魔女の結界(2階)/階段前===

 

 翔一「見張り、ねぇ・・・」

・・・3階へ続く階段の前には、2体の使い魔が警備している。

 

この階段前でバレたら、

3階、そしてこの2階に居る使い魔がドシドシと押し寄せる事だろう。

 

・・・だが、そんな事で怯むほど、俺の黒歴史は薄くない(逆に濃いとも言えるが)。

何かに使えるだろうと思って中庭にあった丁度良いサイズの石を持ってきて良かった。

 

秘技・・・「音を立てて注意を逸らす、願わくば音のする方向へ行ってくれたら良いな」!!

略して「音を立て、その間に警備を突破する」っ!!(略せていない)

 

 

小石を少し強い力で投げる。

 

 

\タァン・・・/

 

使い魔α「・・・?」キョロキョロ

よしっ・・・! そのまま・・・そのまま警備を離れろ・・・!! 

 

使い魔α「・・・」ガタッガタッ

・・・使い魔一匹の陽動に成功。もう一匹は・・・。

 

\トントン/

使い魔β「・・・?」ガタッガタッ

あちらにとって、今俺が居る場所は死角。・・・その死角の場で、自分で音を立て・・・。

 

使い魔β「!?」

 翔一「・・・!」グサッ

魔銃(ナイフ)で鎧を貫く。

 

使い魔β「」

・・・そしてこの使い魔の亡骸をもう一匹の使い魔から見つからない場所に

さっさと移動させ・・・

 

階段を急がず焦らず駆け上るっ!!

 

 

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===魔女の結界/3階に続く階段===

 

 翔一「っ・・・!?」

使い魔「「・・・」」

 

危ないな・・・。幾らこちらに背中を見せていたって、この階段を警備してるじゃないか・・・。

これじゃ3階と2階の間の階段に居続ける事になる・・・。

 

さっき、音がした方向へ向かっていった使い魔はもう戻っているだろうし、

俺が倒した相方の姿が見えないとなると探すはず・・・・。そして亡骸を発見されるのは

時間の問題・・・。

 

だがこういう時の対処方は知っている・・・!

少々手荒いが・・・!

 

魔銃(グレネードランチャー・スモーク)を構え・・・発射っ!!

 

\ボフンッ!!/

 

使い魔「「!?」」

白い煙幕が展開された。使い魔の位置は覚えている・・・!

 

 

 

 

 

使い魔「「 」」

ざっとこんな物だ。後は煙幕が切れる前にさっさと移動・・・!

 

使い魔「「「!?」」」

マズっ!?見つかった!!

 

 

 

 

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====魔女の結界(3階)/廊下===

 

 

ダンボール「・・・・・」

 

使い魔「「・・・・!」」

・・・やばい、見つかった。どうしよう。

 

使い魔「「・・・」」

うわぁ・・・使い魔が目の前まで来た・・・。

 

使い魔「「・・・?」」

・・・使い魔同士が顔を合わせている。・・・もしかしてダンボールが何なのか分からないとか・・・?

 

使い魔「・・・」

!?・・・やばい、剣を抜きやがった・・・!?

このままじゃダンボールごと剣で突き刺されてお陀仏になるっ・・・!?

 

じょ、冗談じゃ・・・!

 

 

 翔一「っ・・・!」

魔銃(ナイフ)を展開、そして展開していたダンボールは消え・・・

 

 

使い魔「「 !? 」」

 翔一「ハラショー!」

 

使い魔の片方にナイフを刺し、すぐに抜いてもう片方を横に切る。

 

 

使い魔「「」」

 

・・・やっぱりダンボールは城には向かないって事か・・・。

少なくとも、もう使わな__

 

使い魔「「「 !!! 」」」

 翔一「っ!?」

 

移動しようとした所を、使い魔に遭遇。

 

 

ついてねえ!ついてねえよ!!

 

 

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__

_

 

 

===魔女の結界(3階)/???===

 

 翔一「ゼェ・・・ゼェ・・・」

・・・何とか追っ手を巻いたぞ・・・。というかここ何処だよ・・・。

咄嗟に隠れそうな部屋に飛び込んだんだけど・・・。

 

真っ暗って訳でもないが、何か光がほしい所だ。

 

・・・まぁ出そうと思えば出せるが、余計な魔力消費をしたくない。

 

ここ、城だから電気ぐらい・・・って言っても、城だから何とも・・・。

 

 

「・・・・・・・」

翔一「!?」

・・・何か、居やがる・・・! クソッ、光を付けざるを得な_

 

「フゥ~♪」

翔一「なっ!?」

マズい。今耳元に息吹きかけられた。  牽制かっ!?

 

翔一「姿を・・・見せろっ!」

魔銃をハンドガン+ライト付きへ展開。そしてすぐに目の前を_

 

使い魔?「・・・」ニヤァ

 翔一「・・・っ!?」

・・・女・・・の使い魔・・・。 

美人でドレスを着ているが・・・何か笑顔を浮かべてやがるっ・・・!

 

使い魔?「・・・」

 翔一「近づくなっ!!」

・・・何だこいつ・・・。今まで魔女や使い魔はマミさんやほむら程ではないが、

相手してきたつもりだが・・・。明らかに纏っているオーラが違う。

 

殺気ではない。・・・が、何か恐ろしい物を感じられる。

 

使い魔?「・・・」ニヤッ

何だこの怪しげな微笑みは・・・。

 

 翔一「・・・突然のご無礼をお許しください」

・・・嫌な予感がする。このままだと確実に何かが起こる。

 

その前に・・・。

 

 翔一「・・・それでは、失礼致しました。良い夢を」

・・・逃げるしかない、な。

 

数歩下がって、ドアノブを・・・握るっ・・・!

 

 

ギュッ。

 

 

・・・? ドア、ノブ・・・?

こんな柔らかいはずないだろ・・・!?

 

「ふぅ~・・・」

翔一「――!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

使い魔?「・・・」ニヤ

・・・今の今まで目の前に居た使い魔が、後ろにっ・・・!?

何故だ、どうやって・・・!?

 

 翔一「は、離せっ!! 」

 

使い魔?「・・・」ハムッ

 翔一「っ!?」

耳たぶを甘噛みしてきた・・・!?

 

使い魔?「・・・」ギュッ

今度は俺の体を後ろから抱きしめてきた。・・・何なんだこいつ・・・!!

まさか痴女か!? 痴女なのかっ!? 痴女の使い魔ってどういう事なのっ・・・!?

 

・・・嫌、何だろう。・・・この背中にあるなんかこう・・・柔らかい感触は・・・。

 

 

 

 

 

使い魔?「・・・」ハムッ・・・ハムッ

 

 

まさか・・・・・・胸・・・の・・・感触、だ・・・と・・・!?

 

 

 

・・・いや、待て、後ろにあるのは・・・今耳を噛んでいるのは・・・・・・使い魔。

 

使い魔。使い魔なんだ。

 

 

・・・うん。

 

 

 

 

 

ごめん、俺・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モンスター娘とか、結構いける派なんだ。・・・・だから・・・俺にとってこれは―――!!

 

 

 

 

 

 

イヤッホォウ!nice感触!yesおっ○い! 良い匂いするっ!あぁここに来て良かった!!!

 

 

・・・ハッ!?何を考えている俺はっ!!  

あぁ・・・でも・・・この後ろにあるこの柔らかい物の感触がおっ○いだと考えると

凄い興奮するなぁ・・・あっ、やべっ。my son がっ・・・!!

 

・・・・・何考えてるっ戸原翔一!!

使い魔相手に欲情するなんて、どうかしてる・・・そうだ、俺はどうかしてるんだ・・・!!

 

 

 翔一「は、離れろっ!!」

そう言いながら、必死に離れようともがくが、抱きしめている腕の力が異様に強く、

中々逃れられない。

 

使い魔?「・・・」ハムッ

今だに耳たぶを甘噛みし続ける使い魔。

 

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・うん。何か・・・もう。

 

限界だわ。もう何が限界かと言うとお察しの通りとしか言えないぐらい限界です。

 

あぁー耳たぶハムハムされてるしもう胸押し付けられてるし・・・ハハッ。

 

 

・・・帰ったら・・・ちょっと・・・マミさんの家に直行じゃなくて自分の家に寄るか。

 

 

 

 

故に・・・我・・・悟ったりっ!!    \ケンジャターイムッ/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔一「・・・HA☆NA☆SE!!!」ゴツン

使い魔?「―!?」

首に勢いをつけ、使い魔のアゴに頭をぶつけて、よろけた瞬間を見計らって脱出する。

 

・・・あぁ、やっぱり勿体な_・・・何を考えている俺はっ!!

相手は使い魔!・・・でも俺そういうのも結構いけるん_・・・何て事を言っている場合かっ!!

 

 

使い魔?「・・・」ギロッ

 翔一「っ・・・!」

 

 

 

 

 

使い魔?「・・・イタイ!」

 

 翔一「へっ!?」

 

使い魔?「何よ~!久しぶりに人間見つけたらと思ったら~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔一「キャアアァァシャベッタアアアアアアアアアァァァ!!!???」

 

しゃべったー!? しゃ、しゃしゃしゃしゃ、喋ったー!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使い魔?「何よ。使い魔が喋っちゃいけないわけ?」

 翔一「・・・・・・・・いや・・・・・・その・・・」

使い魔?「そうですよーだ。どうせワタシはあの娘の思い出の一部ですよーだ」

 

 翔一「・・・『あの娘』・・・?」

 

使い魔?「あら・・・知りたい?」

 翔一「・・・・・いや・・・何でもない」

使い魔?「・・・教えてあげても良いわよ?」

 翔一「・・・いや、別に良い。それじゃ・・・俺はこれで・・・。じゃあな、珍しい使い魔さん・・・」

使い魔?「あら、逃がさないわよ?」

 翔一「い、いや返してくれよ!!」

 

使い魔?「ダーメ♪・・・久しぶりの人間・・・」ジュルリ

 

 翔一「っ!!」カチャッ

使い魔?「あーん。そんな物騒な物、女に向けちゃダメよ~」

 翔一「・・・・・」

 

使い魔?「大丈夫。痛くしないから・・・。お姉さんと、良いこと し ま しょ ?」

 

 翔一「っ!?」

 

使い魔?「あら~?そのつもりなかったんだけどなぁ~?本気になった~?」

 

 翔一「だ、だだだ、黙れっ・・・! 使い魔に本気なるかっ!! 俺はノーマルなのっ!!」

 

使い魔?「あなたまだチェリー君でしょ~?」ニヤニヤ

 

 翔一「だ、だだだ、誰がチェリーだっ!!」

 

使い魔?「あらー?・・・でも、良い体してるわね・・・なんなら、私のお婿さんにしても

     い い け ど ?」

 

 翔一「っ!///・・・誰が婿になんかなるかっ!」ガチャ

ドアノブに手をかけ_

 

使い魔?「ダーメ♪」ギュッ

 翔一「うわっ!? は、離せっ!! やめろっ!!」

 

 翔一「離れろっ!! 俺に触れるなっ・・・・!///」

使い魔?「ゾクゾクする・・・っ!///」

 

 翔一「こ、こんな・・・ 会って間もないのに・・・!///」

使い魔?「愛に種族は関係ないのよ・・・///」

 翔一「しかも・・・人間と使い魔なんだよ・・・俺達・・・!」

 

使い魔?「そこから始まる種族を超えた愛・・・素敵・・・///」

 

 翔一「でも・・・そんなの・・・」

 

使い魔?「じゃあ強制的にスタートさせるからっ♪///」

 

 翔一「アッー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使い魔?「って、感じにさ」ニヤニヤ

 

 

 翔一「うん、却下」

使い魔?「えぇー?」

 

 翔一「大体のしかかるとかもうダメだし例えお前の頭の中の出来事だとしても

    チェリー君って呼ばれるのは無理。凄く無理」

 

使い魔?「えぇ~だって暇なんだもーん!付き合ってよ~!」

 翔一「却下」

使い魔?「えぇー?」

 翔一「大体読者からすればどこからどう、お前の頭の中の会話なのか分からないだろ」

使い魔?「えぇーと・・・ワタシの、『大丈夫。痛くしないから~』の所からだよね」

 翔一「そうだな、はい終わり。じゃあな」

 

使い魔?「逃がさへんよ」

 翔一「何で口調変わるの?君日本生まれじゃないよね?」

使い魔?「ここに来てから色々学んだからねー」

 翔一「学んだって・・・どうやって?」

使い魔?「捕まえた人の口調を真似てました~どうだ、上手いだろ~!」

 翔一「・・・その捕まえた人は?」

使い魔?「当然、食べたに決まってるでしょ。使い魔だよ?」

 

 翔一「・・・・・・その『食べた』はどういう意味で言ってるんだ? ちょっと気になる」

 

使い魔?「女の子にそんな事聞いちゃやーよ/// もうエッチ♪///」

 

 翔一「・・・・・・」

・・・食べた、エッチな意味で食べた・・・!?

・・・・・・・・・・・ちょっと俺も食べられたいんで良いですか?

 

・・・・・・いや、なな何を考えている!! 

た、確かに・・・! 俺は高2にもなって付き合うなら年上派だけど・・・!! 

そ、そういうのはダメだ・・・一作品の主人公として、最低限、禁忌は犯さない様に・・・!!

いや、でもこれで良いのか? ・・・今自分でお願いすればきっと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔一「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それで、食べた人は結局どうなった?」キリッ

 

・・・何とか自らの欲望に勝ち抜いた。・・・人間って弱い。

 

 

使い魔?「安心しなさい!!ワタシが捕まえた人はちゃんと帰してあげてるんだよ。

     えらいだろー!使い魔でも人間帰す奴なんてほとんどいないぞー!!

     あのワルプルギス様も驚きになされるぞー!参ったかー!」フンスッ

 

 翔一「・・・ワルプルギス『様』・・・か」

 

使い魔?「そうなんだよー。ワタシ達は『あの子』の使い魔だけど、 あの娘よりもバリバリ

     強いからね、ワルプルギス様は。全ての魔女、使い魔の憧れなんだよっ!!」

 翔一「・・・実際会った事あるのか?」

使い魔?「そんなのないに決まってるじゃーん。でも噂だけでも凄いんだよ」

 翔一「・・・超自然災害とも言われる程・・・か」

使い魔?「まぁ、人間にとってはね。・・・あっ、ワルプルギス様の話はしちゃいけないんだった」

 翔一「どうして?」

使い魔?「いやぁー。昔からのお決まりだよー。でもヒソヒソと裏で話されてるからね。

     うちのバカ騎士にもワルプルギス様のファンが一杯居るよ。

     『うぉー!結婚してくれー!』って酔った勢いで宣言したバカもいるぐらいに」

 翔一「・・・魔女や使い魔達にも、そういう生活があるんだな」

 

使い魔?「そうだねぇ・・・。もうずーいぶんと前だけど、色々とね・・・。

     薔薇園の魔女の家に上がった時は楽しかったなぁ・・・」

 

 

 翔一「っ!?」

 

 

使い魔?「・・・まぁ、今どこで、何してるかなんて・・・分からない、けどさ・・・

     ごめん、君に言っても、誰の事かさっぱり分からないよね・・・」

 翔一「・・・すまない、な」

使い魔?「ん・・・?どうして謝るのさ?」

 

 翔一「・・・彼女は・・・・・・もう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使い魔?「・・・・・・・・・・・そっか。・・・通りで君から匂いが・・・」

 

 翔一「・・・匂い・・・?」

 

使い魔?「魔女や使い魔にしか分からない匂い。・・・君から、薔薇円の魔女の匂いがしたんだよ」

 

 翔一「・・・・・・俺ちゃんと身体洗ってるんだけどな・・・」

 

使い魔?「違う違う。厳密とは匂い、じゃなくて・・・。何て言えば良いのかな。感覚?なんだよ。

     ・・・君って、使い魔や魔女がどうやって魔法少女を警戒するか、知ってる?」

 

 翔一「・・・いや、知らない」

 

使い魔?「さっきも言った通り、匂いみたいな物で判断するんだよ。

     強い魔法少女ならそれだけ魔女と戦ってる。だから、匂う匂いが多ければ多いほど

     強い魔法少女って訳。それだけ魔女を戦って、倒してきてるからね。

     逆に匂いが少なければ、まだルーキーだなって判断できる訳」

 

 翔一「・・・? ちょっと待て。・・・匂いを嗅ぎ分けられるのか?」

 

使い魔?「まぁね。一応君達からすれば化け物だからね、ワタシ達。化け物なんだから

     それぐらい出来て当然_」

 

 

 

 翔一「違うっ!!!」

 

 

 

使い魔?「・・・何か、間違ってる?」

 

 翔一「・・・使い魔は何とも言えないけど・・・魔女は、化け物なんかじゃない・・・」

 

使い魔?「・・・どうして? 人間を襲うんだよ? 食べるんだよ? 殺すんだよ?」

 

 翔一「それでも・・・。元は一人の人間・・・一人の、魔法少女だったじゃないか・・・」

 

使い魔?「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知ってるんだね。魔法少女の真実」

 

 翔一「・・・・・確かに使い魔が魔女になったりするかも知れない。・・・だけど、

    その使い魔を生んだ魔女は、元は魔法少女・・・。・・・人間だったはずだろ?」

 

使い魔?「・・・・」

 

 翔一「例え魔法少女が魔女を化け物扱いしたとしても・・・。俺はしない・・・。

    姿が化け物だったとしても・・・。本当は、一人の女の娘だったはずだから・・・」

 

使い魔?「・・・・」

 

 翔一「願いはそれぞれ違うだろうさ。・・・大切な人のため。自分のため。家族のため。

    友達のため。・・・願いはそれぞれ違っていても・・・誰かの幸せのために願った娘は、

    居るはずだから。・・・誰も望んで魔女になったりなんかしてないはず・・・だろ?

    ・・・誰かのために頑張った。なのに迎える最後の結末が、自分達が必死に戦って

    倒してきた魔女だった。・・・なんて、皮肉なんて物じゃない・・・・・・。俺は・・・。

    ・・・許せないんだ。・・・そんな結末を辿らせる奴らがさ・・・・・・」

 

使い魔?「・・・・優しいんだね・・・・・・・」

 

 翔一「優しくなんかないさ・・・・・・・・。

    俺はただの、自分に酔いしれて、掛け替えのない物を失った、ただの愚か物だよ」

 

使い魔「・・・・・・・・・本当に愚か者なら・・・今、泣きそうになってないはずだよ?」

 

 翔一「・・・っ」

 

使い魔?「まぁ、君が何やってきたかは、知らないから、何も言う資格ないんだけどね・・・」

    

 翔一「・・・・・・・」

 

使い魔?「・・・・・・・」

 

 

 

 

心が痛くなる沈黙。・・・それを、彼女がポツリと破った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当は、ワタシ達は存在しちゃいけないと思うんだよね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・何で・・・って、聞いても・・・良いか?」

 

「ほら。ワタシ達が居るだけで、君たち人間が不幸になるでしょ?

 ・・・本当は、否定しちゃ、いけないんだけどね・・・。

 ほら。ワタシは『あの子』の思い出から生まれた、歪んだ偽者だからさー?

 本当のワタシは、君たちと同じ人間だった。例え偽者、姿が違うとしても・・・

 あの子の『想い』から生まれたワタシは、偽者でも人間のワタシと瓜二つなわけ。

 だからさ・・・いやなんだよねぇ・・・人間が不幸になるってのは・・・」

 

「・・・」

 

「ここは・・・あの子の最後の居場所。・・・魔女の結界ってのはね、

 魔女にとって・・・最後の居場所なのさ。絶望して絶望して。それでも

 居場所を求める子の、最後の希望、なんだよ。結界ってのは・・・・ね」

 

「・・・」

 

「そりゃあ・・・ワタシ達の居場所でもあるよ?・・・でもね。

 それがあの子にとって、良いことなのかー悪い事なのかーって考えると・・・

 悪い事、なんだろうね・・・。今も『あの子』は泣いてるよ。

 ・・・魔女にとって、ワタシ達使い魔は、家族みたいなもんだからねぇー・・・

 ・・・居場所を求める魔女への希望とも言えるから・・・ね。・・・皮肉だよ。 

 絶望してあんな姿になってしまったのに、最後に『結界』という内側の希望を

 与えられる。そんなの、ワタシは少なくとも、あの子のためにはならないと思う」

 

「っ・・・!」

 

「だから・・・ね? お願い。あの子を・・・救ってやってくれや・・・しないかな」

 

「・・・自分の恋が叶わなくって・・・。それで・・・・最後に縋った誇りにさえも、

 裏切られて・・・・・・一生懸命努力してきた、凄く良い子なのにね・・・。

 だから・・・最後は、報われる最後を・・・迎えさせてあげたい。あの子の・・・家族として、

 ・・・姉として・・・・・・・ね」

 

「・・・約束する・・・」

 

「・・・うん。・・・良かったぁ・・・でも、そんな泣き顔で言われてもねぇ?」

 

「仕方ない・・・俺は・・・涙腺弱いんだよ・・・」

 

「ふふ・・・でも・・・本当に・・・良かったぁ・・・」

その時、彼女が突然その場で倒れそうになる。

 

「大丈夫かっ!?」

 

「大丈夫だよ・・・。元々、体が弱くてねぇ・・・。無理しすぎちゃったみたい・・・

 久しぶりに・・・一杯喋ったり動いちゃったから・・・かなぁ・・・へへへ」

 

「ご、ごめん・・・」

 

「良いんだよ・・・。キミは悪くないよ・・・。・・・でも・・・・。・・・次、目が覚めた時は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの子と・・・皆と一緒に・・・笑いあっていたい、な・・・

    

 また、この城で・・・。数々の美しい花に囲まれ・・・数々の小鳥達の詠を聴きながら

  目を覚まして、気持ち良い朝をもう一度迎えて。あの娘と一緒に過ごした・・・。

 ・・・身体の自由が効かずとも、本当に心から幸せだったと思えるあの朝を・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ごめん・・・!ごめんな・・・っ!!」

 

 

                「何で・・・君が謝るのさ・・・・」

 

「・・・俺は・・・」

                 

           「君が背負ってる物が・・・何なのかは分からないけど・・・・

             自分を犠牲にしすぎるのは・・・良く、ないよ・・・」

 

「・・・」

 

            「・・・まぁ・・・ワタシが言えた義理じゃ・・・ない、か・・・」

 

「・・・っ・・・!」

 

         「・・・ほら。ワタシより・・・あの子の所へ・・・行って上げて。

          あの子も・・・君みたいな素敵な子に、救われてほしいだろうから・・・」

 

「・・・・!・・・・・あれは・・・!」

 

              「・・・・・・・・光・・・?」

        

・・・真っ暗なはずの部屋には、いつの間にか光が差していた。

 

人工的に作られた光ではない。・・・・・あり得ない事に・・・。もう二度と朝を迎えないはずの

その場所には、太陽に良く似た、桃色の光が輝きを放っていた。・・・太陽の代わりに、

ここを照らしている様な。そんな光。・・・ある人は、『円環の理』とも呼ぶが、その場に

居合わせていた少年と、心からの幸せを願う彼女には、それを理解する事はなかった。

 

皮肉な事に、心の傷を負っている少年には、その光は眩しく感じられていた。

暖かい光。それは・・・自分を、自分自身を、この世界に導いた存在が放っていると思ったからだ。

 

もし少年が思っている通りの存在がその光を放っているのなら・・・。

少年は、怒りが込み上げてくるのだ。元より神はもう、居ないと絶望した彼が怒るのは・・・。

 

(・・・そうやってずっと見てるだけかよ・・・)                   

自身と彼女を、淡い光で照らす‘‘それ’’に対する怒りの一部である。

 

(人を勝手に呼び出しておいて、それっきり俺に任せる。・・・それだけかよ)

・・・確かに少年は約束した。そして、約束を叶えるためにも行動している。

しかし・・・。

 

(神様気取りか。例えどんな奇跡を起こせるとしても・・・。お前がそうやってずっと

 見てるだけ、ってふざけた事をし続けて良い理由にはならないはずだろうが・・・)

・・・確かに感謝はしている。・・・が、少年の中には、感謝より怒りの感情の方が大きい。

  いや、‘‘それ’’に出会う前より、ずっと思っていた事があったのだ。

 

(・・・例え『概念』って存在になったとして・・・。お前の事をずっと助けたかった奴の気持ちを

 無視して・・・。イザとなったら、『はい世界変わっちゃったので守ってください』って

 声出さずともそいつがそうすると分かっていて・・・。そんなの、あんまり過ぎるだろう?)

 

・・・・・・・・・・・・が。少年には今の自分の思いが、矛盾している事が分かっている。

 

・・・どんなに考えても仕方ない事だと、少年は『今』を見た。

 

――きっとそれが出来ないからこそ、自分はここに居るのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・『彼女』の人生を一部を垣間聞きながら・・・。

 

あのふざけた奴(インキュベーター)のために犠牲になった彼女達を、

救ってみせると誓った。・・・この力で。

 

 

 

 

・・・そして、その犠牲となった一人の姉が・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「・・・ありがとう」

 

そう言い、目を閉じた。

 

 

その言葉を深く心に刻み込み、俺は部屋を後にした。

 

・・・この力で誰かを救えるなら、救おうと決心してまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




25話でした。 


===武器説明===

・パイルバンカー形態  『MP消費-10』=全弾24発

翔一が重装兵の装甲を貫き、尚且つリスクが少ない方法で倒す際に考え出した形態。
所謂ロマン武器。パイルはトリガーを離さない限り、5mまで伸び続ける。
ちなみにパイルの太さは普通の中学生の腕程度。先端が尖っており、尚且むき出しなので、
トリガーを引かなくてもナックル代わりにする事ができる。

・ナイフ形態    『MP消費-0』=全弾∞発
実物と同じく様々な用途に使われる。切れ味抜群、殺傷力も低くはない。


・グレネードランチャー(スモーク) 『MP消費-30(SM《スモーク》弾-10』全弾7(24)発
魔力で強化したグレネードを撃ち出す暴れん坊。
バズーカほどではないが高い攻撃力、破壊力を持つ。
展開前に弾を選択する事も出来、通常弾、炸裂弾、スモーク弾の三種がある。

・ダンボール  『MP消費-0』
言わずともダンボール。翔一は危険と思い展開を中止してナイフを展開したが、
素材は紙、なのに魔力強化のおかげで破れたり穴が開く事はない程材質が強化されている。
今回、使った場所が悪くあまり効率良く機能しなかった。


区切りの良いところで前編後編に別れさせて頂きました。


使い魔と翔一の対話シーンは独自解釈です。

えっ?使い魔と話できちゃいけないだろって?

・・・覚えているであろうか。

薔薇園の魔女ゲルトさんの使い魔であるアントニーが
まどか達に向かってなんかブツブツ言ってたのを。

・・・要するに、使い魔だって話せる事が出来るんだろう!
細かい事は気にするなっ!!!(逃避)




対話の最初ら辺の『匂い』というのはオリジナル設定。
魔女ってどうやって魔法少女や人間の事判断してるのかな~と思った末に付けました。

使い魔が言っていた『内側の希望~』などは、
魔女になってしまった魔法少女視点での独自解釈。

公式設定じゃなく女神の決断での設定ですけど、魔女からして見れば
結界ってのは住処でもあるし、同時に最後の居場所なんだろうな って思って
書きました。公式では「そんな事ないよっ」って公言されても女神の決断では
こういう設定、という事で割り切ってくれると嬉しいです。

翔一君が某女神さんにイチャもん付けてたけど作者も実際そう思っているので書きました。

「なにこれ・・・ふざけてるの・・・?
 ・・・結局ほむらはまどっち救えずに最後まで戦うはめになるじゃんっ!
 今までのほむらの苦労、まどっちさんが契約して全部台無しだよっ! 
 しかもまた戦う事になって、最終話のラストだと孤独に一人で戦ってたじゃん!? 
 不幸どころじゃねーぞ!? お願いしますから劇場版で何とか救われる様に!!」

↑が作者の心情。

ある意味アンチなのかも知れませんが、


読者様の中にも、↑みたいな事を思ってる人は居ると思います。居なくても作者は思う。
・・・そう思うだろ?あんたも ・・・思わないのか? ・・・思ってるんだろ?

後、10日程用事で更新できないと思われます。 出来るだけ早く済ませるつもりなので、
待っててくれると、それはとっても嬉しいなって、作者は思うのでした。

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