ソードアート・オンライン ー閃光の弟の嫁は黒剣士ー   作:雄大

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皆様おひさしぶりです。
リアルが少しだけ落ち着き久々に更新することができました。
これからも頑張っていくのでよろしくお願いいたします。


第2話 絶望のチュートリアル

いきなり光に覆われたと思ったら、いったいこれはどういうことだ?

広大な石畳に瀟酒な中世風の街並み、そして遠くにそびえ黒光りする巨大な宮殿。

改めて周りを見渡すが、間違いない。ここは《はじまりの街》、ゲームのスタート地点である中央広場だ。

それもここに来たのは俺だけじゃない。

共に光に覆われたキリトにクライン。

さらに多数の他プレイヤーたちまでいる。

アバターの制作で作られた眉目秀麗な男女たちはざっと見一万人近くはいる。

突然の出来心に誰もが戸惑いを隠せないようだ。

ざわざわと疑惑と怒りと不安の声が発っせられていく。

恐らく、現在ログインしているプレイヤー全員がここにいるのだろう。

「なあ、これはどういうことなんだ?」

 

クラインはともかくβテスターであるキリトならばこの状況の意味を知っているのではないか。

そう思いながらキリトへと問いかけた。

 

「わた…… あ、いや、お、俺にもわからない。さっきのは強制テレポートだと思うけどぉ……」

 

キリトも動揺しているのか少し慌てたように言った。

なんだ? 最初、キリトの奴はなんて言とうとしてんたんだ。

目だけ明後日の方向を見ながら気味の悪い笑顔でアハハと笑っている。

ちょっと怖いぞ……

「ちょっ、二人とも!!」

 

「うわ、なんだよ!」

 

突然、俺の後ろ首を何度も叩きクラインが大声で叫んだ。

痛いわけではないが何度も叩かれると頭が揺れるから止めろ!

文句の一つでもつけようと振り返ると海賊風味の男、クラインは大口を開けマヌケ顔になっていた。

「おい、どうしたんだよ。せっかく作った偽のイケメン顔が台無しだぞ」

 

「作った言うな! つーか俺のリアルでの容姿がイケメンかどうかなんてお前は知らねーだろ! いや、それよりも…… 」

 

あれを見ろ! とクラインの指す百メートル上空を見上げる。

すると俺たちは驚きの光景を目にした。

二つの赤色の英文が交合にパターン表示され第二層の底が 染め上がっていく。

[Warning]と[System Announcement] ……?

なんだ、運営からのアナウンスが流れるのか?

そう思いやっと帰れるのかと安堵した時だった。

空を埋め尽くす表記から巨大な血液のようなドロリとした雫が垂れ下がった。

すると雫は空中で止まりグョニョグニョと動きだし、やがてそれは人の形へと変わり真紅のフード付きローブに身を包んだ巨人のアバターとなった。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

巨人は俺を含む一万人のプレイヤーの頭上で両手を左右に広げると妙に落ち着きのある低い声が広場に響いた。

私の世界だと…… つーことはこいつはやっぱ運営側のアバター、もしくはGMか?

しかしローブの話し方からはただのゲームの製作者とは違う。

まるで自分が神だと言っているような物言いだ。

不信感を抱いている俺の耳にローブの声が届いた。

 

『私の名前は茅場昌彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

茅場…… それって……

「ソードアート・オンラインの開発者…… !」

 

そうだ。茅場昌彦といえば量子物理学者でありながら天才ゲームデザイナー呼ばれこの世界とナーブギアを作った者。

その男が今、俺たちの頭上にいる。

大物の突然の登場により、俺の中の疑問と興奮はぐちゃぐちゃに混じりあっていく。

混乱している俺の精神に追い討ちをかけるように茅場を名乗る巨人は驚くべき言葉を発した。

 

『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合でなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』

 

「し、仕様、だと……」

 

クラインが割れた声をもらした。

低音の感情のないようなアナウンスは続く。

 

『この世界からの自発的なログアウトは不可能となった。もし外部の人間の手によりナーブギアを外されるようなことがあれば……』

 

先程までのざわめきも消え、重苦しい静寂が支配する中にそれは告げられた。

 

 

『ナーブギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』

 

 

「…… は?」

 

何を言っているのか直ぐには意味がわからなかった。

理解したくもないし信じたくない。

否定的な考えが頭に巡る俺の耳にキリトの震えた声が突き刺さるように聞こえた。

 

「それって死ぬってことじゃ……!」

絶望を顔に浮かべるキリトにクラインは叫ぶ。

 

「あ、ありえねえだろ! ナーブギアつったってただのゲーム機じゃねーか。脳の破壊なんて無理に決まってる……」

クラインの声が徐々に小さくなっていくのがわかった。

信じる気はない。そうは言っても開発者である茅場こ言葉と奴の雰囲気から感じる恐怖感と微かな可能性に怯えているのかもしれない。

だからこそ否定の言葉を口に出すのだろう。

「いや、出来ないとこはないんだ……」

 

「え?」

 

体を震わせながら言うキリトにクラインが目を見開く。

「信号素子のマイクロウェーブは電子レンジと同じものだ。リミッターさえ外せば脳を焼くことだって…… できる」

 

「で、でもよぉ、電源を切れば……」

 

「いや…… ナーブギアには内臓バッテリーがある。人間の脳を焼には充分な程な」

 

信じたくはないという気持ちがありながらも俺は現実をクライン、そして自分自身へと突きつけた。

それでも尚、クラインは呻くように言った。

 

「だとしても…… だとしてもよお! そんなの無茶苦茶じゃねえか! 瞬間停電でもあったらどうすんだよ!」

 

そんなクラインの叫び声に答えるかのように茅場のアナウンスが再開された。

 

『より具体的には、十分間の外部電源絶大、二時間のネットワーク回線切断、ナーブギア本体のロック解除または分解または破壊の試み、以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件はすでに外部世界に告知されている。しかし残念なこたに警告を無視した家族友人などがナーブギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果』

 

わずかな間を置き。

 

『残念ながら、すでに二百十三名のプレイヤーが。アインクラッド及び現実世界からも永久退場している』

 

どこかで小さな悲鳴が上がった。

だが大半は叫ぶこともなく放心するものばかりだ。

俺も信じたくないという気持ちが更に上がっていく。

体が震え、視界が定まらなくる。

無意識に現実逃避しようとする意識が俺の心を揺らがす。

しかし奴の、茅場の言っていることは真実なのだろう。

さっきの悲鳴がその証拠だ。きっと見てしまったのだ。

目の前で人が消えるのを。

 

「信じねぇ…… 信じねぇぞオレは」

 

現実を受け止めきれず固い石畳へと座り込んだクラインは掠れた声を放った。

 

「ただの脅しに決まってる。どうせこんなのイベントだ。こんなのはオープニングの演出なんだろ。そうだろ」

 

願望ともとれるクラインの枯れた声。

周りのブレイヤーたちから疑心、恐怖、怒りの目を向けられながらも茅場は気にも求めず実務的で無機質なアナウンスを続けていった。

 

『諸君が、向こう側に置いてきた肉体の心配をする必要はない。現在、あらゆるテレビ、ラジオ、ネットメディアはこの状況を、多数の死者が出ていることも含め、繰り返し報道している。諸君のナーブギアが強引に除装されることはないだろう。体のほうも病院へと運ばれ厳重な介護体制のもとに置かれるはずだ。諸君には、安心して……ゲーム攻略に励んでほしい」

 

「ふ、ふざけてるのか…… !」

 

俺の中の何かが震えているのが感じた。

それは怒りからか恐怖からか。

いや、そのどちらもだろう。

俺は心の限り叫ぶ。

 

「こんな状況下で呑気に遊んでろってのかよ!」

俺の叫びに呼応するようにキリトも吼える。

 

「そうだ! こんなものはもうゲームでも何でない!」

 

周囲からも次々に非難の声が茅場へと上がっていう。

それでもなお、茅場は坦々と穏やかに告げた。

 

『しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとってソードアート・オンラインは、すでにただのゲームではない。もう一つの現実と言うべき存在だ。…今後、ゲーム内において、あらゆる蘇生手段は機能しない。ヒットポイントがゼロになった瞬間、諸君のアバターは永久に消滅し、同時に』

 

茅場が続ける異常とも思える内容を俺は即座に予想した。

それでも信じられないと最後の希望を持って耳を傾ける。

 

『諸君らの脳は、ナーブギアによって破壊される』

 

最後の希望もたたれた。

俺はその場に倒れそうになるのを必死に抑え右上へと視線を移す。

そこには「Cloka」という文字。

左上には表示されているのはヒットポイントの残量。

342という数字。

 茅場の言うことが真実とするならばこの数字がゼロになった時、俺はナーヴギアによって脳を焼かれ、死ぬ。

電子レンジの要領で簡単にあっけなく死んでいく。

それを理解した瞬間、何故か俺の脳裏にあれだけ鬱陶しく思っていた姉貴の姿が横切った。

それは笑顔でいる時や俺をしかりつける時のような元気な姿ではない。

俺の死体を前にして泣く彼女の姿。

今度こそ本当に倒れそうになる。

仮想世界ではありえない吐き気が込み上げてくる。

本当に俺は死んでしまうのか?

そんなわけにいくか…… 絶対に死んでたまるか。

 

「そんな話を聞かされて誰がゲームをプレイするっていうんだ! 全員でこの街に引きこもっていりゃあいい話じゃねえか!」

 

我ながら情けない言い分だと思った。

だがそれは全員が思っていたことだろう。

周囲からざわざわと、そうだ、その通りだとった声が上がった。

しかしそんな俺たちの心を惑わすような託宣が冷淡に注がれた。

 

『諸君がこのゲームから解放される条件は、たった一つ。先に述べた通り、アインクラッド最上部、第百層までたどり着き、そこに待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすればよい。その瞬間、生き残ったプレイヤー全員が安全にログアウトされることを保証しよう』

 

この城。

それはつまりあの空に浮かび続けるアインクラッドのことだろう。

冗談じゃないぞ……

俺の怒りを代弁するかのようにクラインが喚いた。

 

「クリア第百層だぁ!? できるわけないだろ! ベーターじゃ、ろくに上がれなかったて聞いたぞ!」

 

クラインの言っていることは真実なのだろう。

酷く表情を強張らせたキリトが俺を見てコクリと頷く。

まるで悪夢のように連続した絶望に俺が固まっていると茅場は感情を削ぎ落としたかのような声で言った。

 

『では、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であるという証拠を見せよう。諸君らのアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれたまえ』

 

 俺は迷うことなくほぼ自動的にメニューウインドを開き、続いてアイテム欄からあるアイテムを出現させる。

所持品リストの一番上にあるのはーー

《手鏡》。

意味不明と思いつつもアイテムを手に取り自分の顔を見た。

そこに映るのは俺のコンプレックスである癖っ毛を無くしたアバターの姿。

これがいったい何なんだと俺たちは首を傾げ呆然とする。

その時。

突然、俺やキリト、クラインと広場にいたプレイヤーたちの周りを白い光が包んだ。

そのまま視界がホワイトアウトし、二、三秒すると光は消えた。

いったいなにがともう一度、鏡を見るとそこには現実世界の俺がいた。

といっても癖っ毛くらいしか違いはないためすぐには気づけなかったが驚いた拍子に鏡を落としてしまう。

隣をみるとクラインの姿も大きく変わっていた。

さっきまで若々しい比較的イケメンの部類に入っていたクラインの顔は大きく変貌しむさ苦しい無精髭の目立つ男になっていた。

 

「お前…… クライン!?」

 

「そ、そうだけど…… ショウマ、お前のその頭どうした? さっきまでストレートヘアーだったのに」

間違いない。

鏡を手にしたプレイヤー全員が現実の姿になっている。

今だ状況を掴めない目をパチクリと瞬きをし続けるクライン。

そういえばキリトはと顔を向けるとそこには女の子が立っていた。

 

「え……?」

 

「な、なんで…… どうして!」

信じられないと首をふる彼女だがキリトなのは間違いない。格好でわかる。

しかし大きく違うのはキリトのその容姿。

勇者顔だった逞しさはどこかに消え去り女の子らく愛らしい小顔にくりっとした瞳、そしてふわりとした長い髪に変わっていた。

その姿は間違いなく美少女のそれだった。

 

「キリト…… お前女だったのか」

 

「はあ!? それキリトかぁ!?」

 

唖然とする俺にパニックに陥ってたため必用以上に驚くクライン。

キリトはそんな俺たちに答えることなくしばらく顔を俯いていたがやがて顔を上げ酷く悲しそうな表情になり震える声で言った。

 

「ごめんね…… 騙して……」

 

それだけ言うとキリトは人混みをかき分けその場から消えてしまった。

「おい、キリト!」

 

俺は止めようと叫ぶが既にキリトは何処かへと行ってしまった。

 

「どうなってんだよ。わけわかんねえぞ、おい! なんでこんなことになったんだ!」

 

ゲームはデスゲームとなりログアウト不可能。それに加えて友人の秘密とその友人の悲しみの顔。

連続して起こる意味不明とも取れる状況にクラインは茅場に向かって怒りをぶつけた。

それに答えるかのように茅場の声が降り注いだ。

 

 『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は――SAO及びナーヴギア開発者の茅場明彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と』

 

 茅場はいままで感情を窺うことができない言葉から一転し憧憬を滲ませたものになっていた。

 

 『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、既に一切の目的も、理由も持たない。なぜなら…この状況こそが、私にとっての最終目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』

 

短い間に続いて無機質さを取り戻した茅場の声が響いた。

 

『……以上で《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』

 

その言葉を最後に茅場は、ローブのアバターは空を埋めるシステムメッセージに溶け込むように同化していく。

そのまま一面のメッセージと共に消滅した。

同時に不気味な静寂も消え今まで停止していたNPCの楽団が演奏を始めた。

ゲーム本来の姿を取り戻していたはずの世界。

しかしゲームのルール、内容は以前よりどうしようもなく異なってしまった。

そしてこの時点になってやっと彼らは、いや俺を含めたプレイヤー集団が現実を完全に理解する。

広大な広場をびりびりと震動させるほどの声が響いた。

 

「嘘だ! こんなの嘘だ!」

 

「ふざけんじゃねえぞ! ここからだせ!」

 

「嫌ああ! 帰して! 帰してよぉぉぉ!!」

 

悲鳴、怒号、絶叫、罵声、懇願。そして咆哮。

俺も今にも叫びたい衝動にかられていた。

たがあまりの絶望に声も出ない。

ただただ後悔の念が俺にまとわりつく。

親の束縛から逃れるために、ただの現実逃避だと自覚しつつも自由を求めてSAOをプレイした。

そのはずが今の俺は囚人と変わらない。

この世界に囚われ自由を奪われた愚かな男。

そんな呆然と立ち尽くす俺の腕を掴む手があった。

一瞬クラインかと思い振り返るがそこにいたのは先程この場から飛び出した少女、キリトだった。

「キリト……」

 

自分でも驚くくらいの掠れた声だった。

そんな俺を見て口を紡ぎ悲しそうに表情を暗くするもキリトは勇気を出すかのような声で言った。

 

「二人とも、こっちに来て……!」

 

俺、そしてクラインも腕を掴まれ荒れ狂う人垣を縫って早足に歩き始めた。

俺を掴む華奢な手から改めてキリトが女の子だったということを知る。

やがて人の輪を抜け、広場から放射状に広がる幾つもの街路の一本に入った。

そこに停まっている馬車の陰へとキリトに引っ張っられるまま飛び込む。

 

「ショウマ、クライン」

 

キリトは周囲を確認すると真剣な声音で俺たちの名前を呼んだ。

俺たちは黙ってキリトの話を聞く。

「いい? よく聞いて。私はすぐにこの街を出て、次の村に向かう。この世界で生き残るには今のうちに次の村を拠点にした方がいいの。それに危険ポイントの避け場所も知っているから安全に辿り着ける。だから二人も一緒に来て」

 

キリトの言葉に俺は驚いた。

突然あれだけの絶望を突きつけられてもなお、キリトは希望を捨てていない。

逃げることも恐怖することもなく今出来ることをやろうとしている。

そんなキリトの姿が俺には輝いて見えた。

だがクラインはそんなキリトに申し訳なさそうに言う。

 

「すまねぇ、キリト。俺は行けねえよ…… 広場には俺の仲間がいるんだ。あいつらをおいてはいけねえ。だからよぉ俺のことは気にしないで次の村に行ってくれ」

 

「……! そっか……」

 

キリトは悲しそうな顔になりがらも頷き俺の方へと顔を向ける。

 

「ショウマは…… どうするの?」

 

「俺は…… 正直ここに残って安全に暮らしたいよ」

 

「……」

 

「でもそれじゃあダメだ。引きこもっていたって何も変わらない。それどころか目的も失って腐っていくだけだ。だから俺は…… 戦うよ。自分が自分でいるために」

 

それが俺にとっての最大の勇気の言葉だった。

キリトの決してあきらめない姿を見て俺の心は奮い立つことができたんだ。

 

「それにキリトみたいな可愛い女の子を…… 一人にしてちゃ、おけねーからな」

 

沸き上がる恐怖を脱ぎ捨て精一杯表情を明るくしてキリトに冗談をぶつける。

するとキリトの顔は真っ赤に染め上がってしまった。

「か、可愛いって……! そんな……!」

 

「ははっ、いいコンビじゃねえか。お前ら!」

 

クラインも暗い雰囲気を壊すように俺たちを囃し立てた。

俺も笑い、恥ずかしそうに顔を背けていたキリトもやがて笑いだした。

しばらく笑い合うとクラインはどこか寂しそうな真剣な表情になる。

 

「……それじゃよ。また、会おうな」

 

「ああ…… またなクライン!」

 

俺は拳を前につき出す。

クライン、そしとキリトも何も言わずに三人でコツンと拳をつき合わせた。

 

「またね、クライン」

 

「ああ! キリト、ショウマ、必ず生きて!」

 

それを最後にクラインは俺たちから背を向け仲間たちの

もとへと向かって行った。

その場に残った俺たち二人は顔を向け合う。

 

「行こう、ショウマ」

 

「ああ、よろしく頼むぜキリト……!」

 

俺たちは走る。

かつて憧れていたこのクソッタレな世界から抜け出すために。




久々の執筆なのでいろいろと大丈夫かと心配になります。
とはいえ一先ずは更新できたので一安心。
次回もお楽しみに。
ご指摘、感想など待っています。

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