永久の軌跡   作:お倉坊主

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閃Ⅲのプレイ開始当初は、アートブックでトワの叔母夫婦とか出ていて「やべーどうしよ」とか思っていたんですけど、それ以上のショックによって全てを吹き飛ばされたのはいい思い出(?)です。


第34話 待ち人

 七月の自由行動日。待ちに待ったその日に、やはり多くの生徒は帝都の夏至祭に行くことを選んでいた。地方出身者はせっかく行ける距離で噂の夏至祭がやるのだからと興味もあって。帝都や近郊出身者も例年のこの行事を楽しみにして。理由や連れ合いは異なれど、そんな面々で当日のトリスタ駅より出発した列車は混雑していた。

 その御多分に漏れず、トワも列車に揺られて帝都に向かっていた。近くには誰もいない。彼女は一人であった。混雑している中で席を取るのを遠慮してか、乗降口近くの窓際で流れる風景を眺めつつぼんやりしていた。気のせいか、どこか物憂げな表情にうかがえる。

 そんなトワを人知れず見つめる三つの影。追跡対象を視界に収めつつも、可能な限り距離を取った席に彼らは陣取っていた。その中でも町娘のような恰好をした金髪の女性が、一際食い入るようにその姿を血走った目でねめつけていた。

 

「連れはいない……ちっ、やはりトリスタの人間ではなかったか」

「ゼリカ、殺気漏れてんぞ」

「おっと、いけない」

 

 言うまでもなく、トワを尾行するためにやってきたクロウ、アンゼリカ、ジョルジュである。

 トワを夏至祭に誘うのに失敗したことでオペレーション・トワ・リターンズは始まらずして頓挫した。だが、そこで挫けるような彼らではない。トワが言った「他の人」とはいったい誰なのか。それを突き止めるためにこっそり後をつけてきたのであった。

 

 特にアンゼリカの熱の入りようは凄まじく、自分のみならず男子二人にまで全身に変装を施す徹底ぶりである。ちなみに服やウィッグは質屋《ミヒュト》で仕入れた。物凄く面倒くさそうな顔をしながらクロウとジョルジュに向けられる店主からの同情の視線に二人は耐えかねて目を逸らしたものだ。

 若干くすんだ色の金髪のウィッグを被った農村の青年風なクロウに指摘され、町娘風のアンゼリカは居住まいを正す。知り合いによくよく見られればばれるだろうが、ぱっと見では別人に思える。そんな風に三人の変装は仕上がっていた。

 

「それより設定は分かっているだろうね。私はアリス、君たちはクリストフにベーア。農村から夏至祭見物に来た兄妹とその父親だ。いざという時はそう言い繕うように」

「……なあ、ここまでやる必要あるのか?」

「念には念をよ、兄さん(・・・)

「やめろ。それはマジでやめろ」

 

 途端、普段の雰囲気からガラッと印象を変えたアンゼリカがそう呼ぶものだから、クロウは思わず真顔で拒否していた。猫の被りようは置いておくとしても、彼女に兄呼ばわりされるのは冗談抜きで鳥肌ものである。本気の拒絶にアンゼリカは「じゃあクリストフね」と譲歩した。

 

ベーア()か……名前といい恰好といい、僕だけチョイスに悪意を感じるような……」

「何か言ったかい?」

「いや、何でもないさ。はは……」

 

 茶髪に同色の付け髭、そして丸眼鏡を装備したジョルジュが小声でつぶやくが、深くは口にしなかった。どことなく、どこかの黒幕系弁護士に似ているのは気のせいだろう。

 

「それにしてもアンは何というか、凄いね。印象が違いすぎるというか」

「まあ、多少なりとも社交界に顔を出すこともあるからね。そういう時は猫を被らなければいけない相手もいるというだけさ。柄ではないんだが」

 

 貴族社会の付き合いにはあまり興味がないアンゼリカだが、仮にも四大名門の令嬢である以上は必要最低限やらなければならないこともある。そういう時に立場上、本来の好き勝手な態度で接するわけにもいかない相手には貞淑な女性の皮を被っていくこともあったわけだ。彼女の意外な演技力はどうやら必要に駆られてのものだったらしい。

 だが、変装技術の方はどうなのか――というところで、クロウは考えを打ち切った。聞いてもろくでもない答えが返ってくることだろう。具体的には家出した際の追っ手から逃れるためとか。

 

「それはともかく、目的を確認しておくとしよう」

 

 表情を引き締めたアンゼリカが話を本題に移す。その真剣さに二人も思わず姿勢を正す。

 

「今作戦の主目的はトワを誑かした屑の特定、その抹殺にある」

「待て待て待て」

 

  真顔で殺人予告をかます彼女に慌ててストップをかける。一見、冷静であるようでいて全く見当違いだったらしい。アンゼリカは絶賛大暴走中であった。

 

「散々それはあり得ねえって言っただろうが。あのトワがそんな安い女に見えるか?」

「くっ……では誰との約束だというんだ! 士官学院の誰でもなかった。トリスタの人間でもなければ、よからぬ男の毒牙に掛かったのではないかと心配になって当然だろう!」

「気持ちは分からないでもないけど、抹殺は流石に……」

 

 あの衝撃の放課後から、トワが一緒に夏至祭へ行く人物については当然調べ回った。しかし、クラスメイトも生徒会も教官も誰も知らないという。学院関係者ではなくトリスタの街に住む人かとも思ったが、こうしてトワが一人で帝都に向かっている以上はそうではないのだろう。

 不透明な事態にアンゼリカの懸念が強まるのも理解できなくはない。それでもクロウやジョルジュとしては、いくら精神的に不安定だからといってトワが男に靡くとは思えないのだが、根拠に欠ける説得では彼女は納得せず殺る気満々でこの場に臨んでいた。

 このままアンゼリカを放っておけば明日の帝国時報の一面を飾りかねない。ログナー家息女、帝都の夏至祭を血で汚す。動機は痴情のもつれ。目も当てられない惨劇だ。

 

「とりあえず落ち着けって……始末するかどうかはともかく、トワが誰と会うか確認する必要があるのは確かだ。それからは後で考えてもいいだろ? もしかしたら男じゃないかもしれないしよ」

「……いいだろう。ともあれ、まずはトワの追跡に専念するとしよう」

 

 クロウとしてもそんな仲間の醜聞を目にするのは御免こうむりたい。なんとか宥めすかして対象の抹殺は検討事項とする。阻止に至らないのは仕方がない。相手が男性でないことを祈るのみだ。

 どちらにせよ、トワの約束相手が何者なのかは把握しておくに越したことはない。現状の心を閉ざした彼女と夏至祭に行く人物だ。素性はどうあれ、トワの心を開くきっかけを握っている可能性は高い。アンゼリカが凶行に走らないよう抑えつつ、件の人物とコンタクトを取りたいところだ。

 そのためにも、なんとかトワの尾行を成功させなければ。そう気を取り直したところで、車内のスピーカーよりアナウンスの音声が響く。

 

『まもなくヘイムダル、ヘイムダル。お忘れ物のないようご注意ください』

「……行くとしよう。ミッションスタートだ」

「ああ。慎重に、そして確実にね」

「さーて、鬼が出るか蛇が出るか……」

 

 ヘイムダル駅に着くや、祭りの熱気に誘われるようにして乗客は波となって街中へと繰り出していく。その中に混じって歩いていくトワを追い、クロウたちもまた帝都の雑踏に混じる。

 くれぐれもトワに気取られないよう、三人は慎重に慎重を重ねて尾行を開始した。

 

 

 

 

 

「ライカ地区か。ここが待ち合わせ場所なのかな?」

「そうみてえだな。動く様子がねえ」

 

 トワの後をつけること数十分。導力トラムの中でカモフラージュに買った帝国時報を読んだり、町娘になり切ったアンゼリカと鳥肌を立たせながら兄妹を演じつつ、どうやら気付かれることなく目的地までたどり着くことが出来たらしい。学術機関やヴァンダール流の道場が立ち並ぶ街区に降り立ったトワは、そこにある帝国博物館の前で約束相手を待っているようだった。

 クロウたちは路地からこっそりその様子を確かめつつ、トワの待ち人がやってくるのを待ち受ける。その様子を薄い青髪の少年が訝しげに眺めながら通り過ぎて行ったりもしたが、そんな些事に気を止めていられるほど彼らに余裕はない。ようやく件の人物のご登場とあって、そこには妙な緊張感が漂っていた。

 

「しっ……どうやらお出ましのようだ」

 

 そして待ち構えること数分。トワの表情がにわかに明るくなったことで、三人は約束相手の到来を悟る。彼女が手を振る先にいる人物を確かめるべく、路地からゆっくりと顔を覗かせた。

 そこにいたのは、碧髪が印象的な大人の男性だった。歳の頃は三十代半ばから四十台といったところか。そこはかとなく童顔に感じる面立ち、フレームレスの眼鏡、きちんとしているが少しくたびれた出で立ち。研究に没頭しがちな学者然とした男性は、手を振るトワに片手をあげて応じながら現れた。

 

「……大人の人だったんだ。夏至祭に行くって言うから、若い方かと思っていたけど」

「学術院の方から歩いてきたな。見た目通り学者か?」

 

 正直、意外の一言であった。アンゼリカの妄言を真に受けていたわけではないが、それでも夏至祭に行くとなれば歳の近い相手だと思っていた。ところがどっこい、この場に現れたのはきちんとした一人の大人。どう見てもトワを誑かすとかそういった類の印象は受けない。

 クロウの言う通り、男性がやって来た方向は帝國学術院――エレボニアでも最高峰と謳われる学府があるところだ。身なりからしても学術関係者ではないかと推測するが、確たる証拠はない。仮にそうだとしても、そんな人物が何故トワと知り合いで夏至祭に行く約束をしたのか謎である。

 

「関係が見えてこないな。アン、ここはもう少し……アン?」

 

 悪い人には見えない。だが、分からない点は多々ある。もうしばし尾行を続けるべきだろう。

 殺気だっている友人にそう伝えようとして、反応がないことに疑問を覚える。目を向けた先でジョルジュは顔をひきつらせた。

 

「ぬぐぐ……! トワとあそこまで仲睦まじくするとは不埒な男め……!!」

「嫉妬全開かよ。まあ、仲がよさそうなのは確かだが」

 

 ハンカチを噛み締め、およそ淑女が浮かべるべきではない表情で歯軋りするアンゼリカ。妬み恨みの感情色濃い彼女にクロウは呆れつつも、仲睦まじいという点については同意した。

 気付かれないように距離を取っているため会話の内容は聞こえてこないが、言葉を交わすトワと男性の様子は傍から見てかなり親密に映った。クロウたちと同様、いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。最近はトワが意気消沈していたこともあって、彼女の笑顔を目にするのは随分と久しぶりのことのように思える。きっと心を許している相手なのだろう。

 そんな相手がいたことに対する安堵、自分たちに頼ってもらえない悔しさ。それらが入り混じった複雑な感情を抱きながらも、彼らはトワの真意を見極めるべく行動を続ける。

 

「そろそろ動くみたいだ。トラムに乗らないでくれると助かるけど……」

「そればっかりは女神に祈るしかねえ。くれぐれもバレないように行くぞ」

「勿論だとも。あの男の正体を知るまでは死んでも死にきれない」

 

 夏至祭の帝都を歩き始めるトワと男性。そんな二人を追い、クロウたちもまた尾行を再開した。

 

 

 

 

 

 幸いにして、トワと男性は導力トラムに乗ることはなかった。特段の目的があるわけではないのだろうか。気ままに歩きながら、時折気になった店や催しに顔を覗かせているように窺える。尾行する分には楽だが、考えが読めずもどかしい気分だ。

 のんびりと帝都観光する二人を追ってどれくらい経っただろうか。昼時に差し掛かり飲食店が混雑し始めるころ、彼女たちは住宅や店舗が立ち並ぶヴェスタ通りに辿り着いていた。

 そこで追跡対象が見せた動きに、クロウたちは首を傾げることになる。

 

「雑貨店に入っていったね。そろそろ昼食をとると思っていたけど」

「飯を食うようなところじゃねえな……土産物を見繕うにしても別の店がありそうなもんだし」

 

 通りに面した雑貨店の中に消えていったトワと男性。観光で訪れるにしては妙なチョイスだ。何か気になるものが目に入ったのか、それとも。

 

「あいにく店内までは踏み込めない。大人しく出てくるのを待つとしようか」

 

 いくら変装しているからといって、狭い空間に一緒にいたらバレる可能性は高い。導力トラムでは人が多かったからなんとか演技で誤魔化せたが、あれは見たところ個人の雑貨店だ。とてもではないが紛れ込めるほどの人入りはないだろう。

 一つの雑貨店にそれほど時間をかけるとも思えないし、昼時も近い。間を置かずに出てくるだろうと三人は出入りが確認できる場所で待ちの構えを取ることにした。

 

 

 

「……遅い」

 

 が、事は想像通りには運ばなかった。トワたちが雑貨店に入ってから既に小一時間が経過している。それでも尚、二人は一向に姿を現す様子を見せていなかった。

 アンゼリカが苛立たし気につま先で地面を鳴らす。もう昼時は過ぎ去ろうとしている。クロウたちも、ジョルジュが近くのパン屋から見繕ってきたもので腹ごしらえを済ませていた。だというのに雑貨店の中に消えたままトワたちが何をしているのか、彼女は気になって仕方がなかった。

 

「はっ……ま、まさか店内でいかがわしい行為に――」

「はいはい、失礼な妄想を働かせないようにね」

 

 気になるあまり突飛な方向に想像を巡らせるアンゼリカをジョルジュが窘める。いくら素性がよく分からない男性でも、見た限りの立ち居振る舞いはきちんとした大人のもので、トワに対して邪まな態度を見せてもいなかった。妄想力逞しいアンゼリカの邪推は的外れだろう。

 クロウとしてもジョルジュと同意見だ。呆れの溜息を一つ吐き、再び雑貨店へと目を向ける。

 

ハーシェル(・・・・・)雑貨店、ねぇ」

 

 最初はただの雑貨店とあまり気に留めていなかったが、こうも長居しているとなると何らかの関係を疑いたくなってくる。彼女の姓と同じ店名、そこに何かヒントがあるのだろうか。

 

「そういえば、あの人……」

「あん? どうした、ジョルジュ」

「気のせいかもしれないけどさ。トワとあの男の人、顔の輪郭とかちょっと似ている気がしてね」

 

 ジョルジュの言葉に二人の容貌を並べて思い浮かべる。女性と男性、年齢差、それらによる差異は勿論ある。だが、指摘された通りに細かい部分や全体の雰囲気を考えると――なるほど、確かに似通っている部分があることも否定できない。

 思えば、あの親密そうなやり取りの様子もただの友人にしては近すぎる関係に見えた。それが友人ではなく、もっと近しい間柄であったとするならば今の状況にも納得いく。

 

「あいつ、この前の帝都実習でそれらしいこと話していたか?」

「いや……まあ、あの時はあの時でシグナさんがいたけど」

 

 以前の帝都実習でのことを思い返すが、それに類する話を聞いた覚えはない。とはいえ、現状では最もあり得る可能性だろう。仮にそうだとすると自分たちは凄く野暮なことになるのだが。

 

「何をごちゃごちゃ話している! トワたちが出てきたぞ!」

 

 そのことを深く考える前に、アンゼリカの急かす声が響く。ようやく雑貨店から姿を現したトワと男性が、店員と思しき人物と挨拶を交わしてから再び帝都を歩き始める。

 思い浮かんだ可能性を口にする前にアンゼリカはずんずんと先に進んでいってしまう。ここまで来たら最後まで付き合うしかない。男子二人で肩を竦め、彼らもトワたちの後を追うのだった。

 

 

 

 

 

 トワたちを追いかけるうちに帝都の東側へと移動し、次第に人波が遠のいていくのを感じる。トワたちがやって来たのはマーテル公園、その外れの方であった。中央のクリスタルガーデンでは皇族も出席する帝都庁主催の園遊会が開かれているため、付近は立ち入りが制限されているのだ。

 立ち入り制限がされているところに近づいていくのはマスコミか熱心な皇族ファンくらいのもの。現在のマーテル公園はクリスタルガーデン付近以外、至って静かなものだった。かすかに聞こえてくる華やかな催しの音色を耳にしながら、トワと男性はベンチに座ってゆっくりしている。

 

「どうにか声が聞こえないものか……君たち、読唇術の心得はないのかい?」

「無茶言うなっつの」

 

 その様子を観察する、茂みに身を隠したクロウたち。最初から尾行している時点で言っても仕方がないのだが、こうなっては完璧に不審者の振る舞いであった。アンゼリカは全く意に介していないのに対し、クロウとジョルジュは内心微妙な気分である。

 人気がなければこれまで以上に接近は困難になる。風に乗って話し声が聞こえてこないかと耳を澄ますアンゼリカであったが、届いてくるのはクリスタルガーデンから響いてくる音楽の調べのみ。トワと男性がどのような話をしているのかは依然として不明だ。

 尾行を続けていても一向に関係性が見えてこない――男子二人は薄っすら察しているが――現状にアンゼリカは歯噛みする。もどかしさは彼女の危ういブレーキを破壊しかけていた。

 

「くっ、こうなればあの男を拘束して口を開かせるしか……!」

「そういう物騒なのは勘弁してくれないかな。頼むから」

「問題ない。人がいないこの場所なら騒ぎにせずに済ませてみせよう」

「問題しかねえよ、このアホンダラ」

 

 根本的なところで男性に敵愾心を抱いているものだから、いちいち出てくる言葉が暴力的でいけない。問題視しているところも憲兵のお世話になるか否かという点しか考えていやしない。クロウとジョルジュとしては頭を抱える思いである。

 

「そもそも口を開かせて何を聞くっていうの?」

「それは無論、トワに何のつもりで近付いてきた――」

 

 はた、とアンゼリカは口を止める。自分は今、誰の問いに答えたのだろうかと。

 クロウはやられたとばかりに天を仰ぎ、ジョルジュも眉間を抑えている。アンゼリカがゆっくりと振り返ったそこには、すっかり見慣れた小さな妖精の姿があった。

 

「どちら様でしょうか? 私は農村から観光に来たアリスというもので」

「私と普通に話している時点でバレバレなの」

「おっしゃる通りで」

 

 無駄な演技をするアンゼリカをばっさりと切り捨て、ノイは深々とため息を吐いた。ぐうの音も出ない正論である。三人は降参とばかりに諸手を挙げる。

 

「ちなみに、どれくらいからバレていたんだ?」

「ずっと同じ気配がついてきているのはライカ地区から分かっていたけど、クロウたちだって当たりがついたのはヴェスタ通りあたりからなの」

「割と最初の方から気付かれていたんじゃないか……」

 

 本人たちとしては変装まで施してきた尾行が、とっくの昔に露呈していたことも地味に凹まされる。トワの異様な気配探知能力は承知していたが、こんな平時にまで機能するとは思っていなかった。どうやら彼女は想像より用心深いらしい。

 そうしてノイの前に降伏したクロウたちに、聞き慣れた声が背中から投げかけられる。

 

「や、やっぱりクロウ君たちだった……どうしたの? そんな恰好して」

「トワの友達か。はは、少なくとも怪しい人じゃなくて良かったじゃないか」

 

 再び視線を元に戻せば、ベンチに座っていたはずのトワと男性もこちらに近づいてきていた。きっとマーテル公園に来たこと自体、クロウたちを誘い込む罠だったのだろう。二人に気を取られている隙に、いつも通り姿を消したノイが後ろに回り込んで確保。こればかりは小さな姉貴分のことを失念していたクロウたちの失態であった。

 トワは想像通りの追跡者だったことに肩を落としており、その隣で男性は呑気に笑っていた。どうやら怒っていたりはしないようだ。呆れてはいるかもしれないが。

 尾行が失敗した以上、もはや取り繕うことに意味はない。開き直ったアンゼリカはウィッグをかなぐり捨ててトワに向き直る。

 

「こうなれば直接問い質すまで! トワ、その男は君の何なんだ!?」

 

 男性を指さし、血反吐を吐かんばかりの形相で問い詰める。彼女は色々と必死であった。

 問われた相手といえば、男性と並んでぱちくりと目を瞬かせる。その表情は、むしろどうしてそんなことを聞いてくるのかという疑問が浮かんでいた。

 

「何って……お父さんだけど」

「えっ」

 

 瞬間、アンゼリカの時が止まった。

 お父さん、つまりパパでありファーザーである。支離滅裂な思考が脳内を駆け巡り、数秒の時間を要してようやくその意味を咀嚼していく。口を半開きにしたまま唖然と男性を見つめると、彼は彼で何某かに納得したように頷いている。

 

「なるほど、そういうことだったのか。ちょっと誤解されちゃっていたみたいだね」

 

 じゃあ改めまして、と言葉を区切った彼が浮かべた笑みは、トワのそれとよく似ていた。

 

「初めまして。トワの父、ナユタ・ハーシェルです。君たちのことは娘の手紙でよく聞いているよ」

 

 そんなにこやかな挨拶に対し、アンゼリカは言葉にならない悲鳴を上げるのであった。

 

 

 

 

 

「大っ変申し訳ありませんでしたぁっ!!」

 

 腰を九十度に曲げた見事な最敬礼で謝罪をかますアンゼリカ。それが向けられる先、男性改めナユタは娘と並んで困ったように頬を掻く。あまりにもそっくりな所作であるものだから、眺めるクロウとジョルジュは二人が親子であることに強い納得を覚えていた。

 ちなみに変装は既に解いている。露呈した以上、違和感の酷い恰好をする理由もない。

 

「別に謝らなくていいんだけど……まあ、適当に飲み物買ってきたから一息つこうか」

「あ、すみません。わざわざ」

「そんじゃ、ありがたく」

 

 娘の友人への心づけばかりに、近くの屋台で飲み物を奢ってくれたナユタに口々に礼を言う。二人は簡単なものだったが、アンゼリカは無駄に仰々しかった。

 

「無粋を働いた我々にも親切にしてくれるとは……流石はトワの御父上だ」

 

 くっ、と涙をこらえる様子は些か大袈裟だと言わざるを得ないが、クロウたちが無粋を働いたという点は否定できまい。形だけ見れば、親子水入らず帝都の夏至祭を観光して回っていたというのに、そこに友人とはいえ他人が割って入ってしまったのだ。アンゼリカに至ってはナユタを不審者として散々に扱き下ろしていた始末。盛大にやらかしてしまったのは確かであった。

 それを大して気にした様子もなく、気さくに声を掛けてくれるナユタはトワと負けず劣らず懐が深い。アンゼリカが感激するのも分からなくはない――かもしれない。

 

「無粋ついでにお義父さんと呼ばせていただいてよろしいでしょうか?」

「どさくさに紛れて何を言っているんだい、君は」

 

 しかし、いくら尾行していた件を許してもらったからといって、これは図々しすぎるだろう。反省しているのかどうかよく分からないアンゼリカの頭にジョルジュの突っ込みが刺さった。

 

「もう、アンちゃんったら……」

「はは、面白い子たちじゃない。元気がいいのは良いことだよ」

「アンゼリカは元気がどうとかいう問題じゃないと思うの」

 

 そんな奇天烈な発言を軽く流せるあたり、この親子も大概図太かった。トワはこれまでの付き合いでアンゼリカの突飛さには慣れているとしても、元気がいいで済ますナユタは色々な意味で大物だ。ノイが呆れた様子で口を挟むのも無理はなかろう。

 想定外な形であったが、結果的にはトワの約束相手を突き止めることが出来たクロウたち。その人物の正体が父親だったのは安心ではあった。盛大に勘違いしていたアンゼリカは別格にしても、気落ちしていたトワが誰と会うのか不安だったのは三人とも同じ。胸のうちに溜まっている靄の一部が晴れた気分である。

 とはいえ、父親だったらそれはそれで気になることが出てくるというもの。トワの出身地が出身地であるだけに、それは尚更であった。

 

「しっかしまあ、親父さんとは思わなかったぜ。てっきり親戚かなんかだと思っていたが……娘と夏至祭観光の為に、はるばる離島から出向いてきたのか?」

 

 トワの故郷、残され島はエレボニア南西岸より更に先の離れ小島だ。帝都に辿り着くだけでも丸一日以上はかかる。とても気軽に出向ける距離ではない。娘と観光しにわざわざ、というのも考えられなくはないが、それなら父親だけというのも変な話に思えた。

 そんな疑問のとおり、ナユタも夏至祭観光だけを目当てに帝都にまで足を向けたわけではない。むしろ夏至祭はついでであり、本来の目的は別にあった。

 

「毎年、夏至祭近くに帝國学術院で開かれる学会があってね。僕自身が出席するのと、ヴォランス博士――僕の先生なんだけど。その人の代理として顔を出しているんだ」

「博士もいい加減歳だから、あまり遠出できないの。だから代わりにナユタがってわけ」

 

 その説明に納得すると同時に思い出す。そういえば、トワがそんなことを言っていたなと。

 

「博物学者なんでしたっけ。フィールドワークが主だそうですけど」

「正確には、博物学を専攻に考古学と天文学も齧っているんだ。お父さん、そのあたり混ぜこぜにしてやっているから分類としては怪しいんだよね」

「好きなことをやって来ただけだからなぁ。一応、博士号の論文の時はちゃんと書いたけど」

 

 しれっと言っているが、博士号というのはそんな簡単に取れるものではない。少なくとも趣味の範疇で可能なことではないはずだ。本人の口ぶりは簡単であっても、実際は並々ならぬ熱意と努力の積み重ねがあったのだろう。それを苦にした様子がないのは偏にナユタの気質ゆえか。

 この子にしてこの親ありとでも言うべきか。何となくトワが大らかに育った理由が透けて見える心地である。要するに二人は似たもの親子ということだ。

 

「そういうわけで帝都に来る用事があるけど、今年は娘も近くに在学しているからね。久しぶりに顔を見るのも兼ねて夏至祭に誘わせてもらったんだ」

「手紙見たときはびっくりしたけどね。いきなり来たんだもん」

 

 半目のトワに「ごめんごめん」と両手を合わせるナユタ。そうこう言いながらトワもこうして父親の誘いに応じていることから、きっと満更ではなかったのだろう。仲がよさそうで何よりである。

 

「な、なんか本格的にお邪魔しちゃった気分になってきたんだけど……」

「言うなっての……そういや、昼時に寄っていた雑貨屋は何だったんだ?」

「ああ、あの随分と長いこといたところか」

 

 こうも良好な親子仲を見せつけられると、いたたまれない気分が再発してくるジョルジュ。それが分からないクロウではなかったが、彼はこの際図々しさを押し通すことにした。当人たちが気にしていないのだから、この場で解消できる疑問は片付けてしまおうということである。

 そんなクロウにアンゼリカも同調する。流石にトワの《力》のことにまでは踏み込めないが、尾行する中で気になったことを聞くくらいは大丈夫だろう。親子の姓と同じ店名を掲げる雑貨店はその最たるものであった。

 案の定、嫌な顔をすることもなく答えは簡単に返ってきた。

 

「マーサの店のことかな? あそこは僕の従妹夫婦がやっているところでね。トワはまだ顔を会わせたことがなかったから、挨拶ついでに昼食も厄介になっていたんだ」

「実習の時は忙しくて余裕がなかったから、ようやく挨拶出来てよかったよ。はとこのカイ君はなんだか余所余所しかったけど……」

「照れ隠しじゃないの? あれくらいの歳の子はだいたいあんな感じなの」

 

 やはりというべきか、あの雑貨店は親戚が経営しているところだったらしい。ナユタの従妹ということは、トワから見れば従叔母。そしてその夫とはとこに顔を見せてきたとのこと。トワは学院に来るまで残され島から殆ど出ることがなかったというから、これが初対面だったようだ。はとこの反応は芳しくなかったようだが、ノイの口ぶりからしてそれも微笑ましい程度のものに窺える。

 それから色々と聞いてはみるものの、答えは平々凡々なごく当たり前の親子の団欒の一幕のみ。尾行していた自分たちが馬鹿だったんじゃないかと思わされる。拍子抜けもいいところな結末に、クロウたちは脱力して肩を落としていってしまう。

 

「はは……ごめんよ。娘のことで余計な心配をかけてしまったみたいで」

「いえ、ナユタさんが謝ることでもないですけど」

 

 変装を施したりと気合が入っていたのはナユタも察していたのか。自身の手紙が招いた想定外の事態に苦笑いを浮かべて謝意を示す。もとはといえばアンゼリカの盛大な勘違いが大事になった原因なので、それは彼のせいとは言えないのだが。

 要はただのすれ違いだ。十分に言葉を交わしていなかったからこそ、こうして珍妙な事態に陥ってしまっただけで、最初から誰と会うのか知っていればこうはならなかっただろう。

 

「それにしたってクロウ君たちもわざわざ変装して尾行してくることなんてなかったのに」

「そりゃあ、最近お前の様子がおかしいから――」

 

 だから問題の根は、結局はトワが学院の皆のことを避けるようになってしまったことに帰するのだろう。クロウの一言で彼女も思い至ったのか、表情を強張らせると口を噤んでしまう。それにつられるようにしてクロウたちも気まずい雰囲気にならざるを得なかった。

 事情を知らないナユタからしてみれば、いきなりどうしたのかと思うところだろう。ところが、彼は少し考える様子を見せると不意に思わぬ提案を口にした。

 

「そうだ。せっかくだし、四人で夏至祭を回ってきたらどうだい?」

「えっ」

 

 突然のことに、逆にトワやクロウたちの方がどういうことかと戸惑ってしまう。そんな四人の様子などお構いなしにナユタは言葉を続けた。

 

「察するに、もとはトワを夏至祭に誘うつもりだったんだろう? 僕はもういいから、クロウ君たちの方でトワと楽しんできてくれないかな。マーサたちと夕飯の約束もしているから夕方までになるけど」

「その通りっちゃその通りだし、ありがたいのも確かなんだが……」

 

 元を辿ればトワを夏至祭に誘おうとしてことには間違いない。彼女を元気づけようと空回りながらも色々と考えてきたのも確かだ。それが想定外の事態でおじゃんになったと思っていたところに、その想定外の根本たる父親から後押しが入る。ありがたくはあっても、どちらかといえば困惑の方が勝ってしまっていた。

 

「トワもちゃんと友達と楽しんでくるといい。僕もサンセリーゼの学院に通っていた身だからね、学生時代の思い出の大切なものだよ」

「そ、それはそうかもしれないけど……」

 

 困惑しているのはトワも同じだった。そんな娘に対してナユタは教え諭すように言葉を重ねる。言っていることはもっともだが、いきなりのことに気持ちが追い付かない。

 それに彼も四人の間に蟠りのようなものがあることは彼も漂う雰囲気から察しているはずだ。それを承知の上で言っているのだとしたら、尚更その意図がつかめない。四人がその申し出に対して反応が覚束ないのも無理はない話だった。

 

「ちょっとナユタ! どういうつもりなの!?」

 

 それとは別に声を荒げるのがノイだ。咎めるような色を含む彼女に、ナユタは肩を竦めた。

 

「友達同士で仲良くしてほしいという親心だよ。あまり大人がしゃしゃり出ても仕方ないだろ?」

「だ、だからって……」

「ちなみに、ノイは僕と一緒だからね。たまには妹分から目を離してやりなよ」

 

 有無を言わせないナユタに対してノイは口をまごつかせるも、結局は諦めたようにがっくりと項垂れる。反論しても無駄だと悟ったらしい。意外と頑固なところも親子の共通項か。クロウたちからしてみれば、ノイの苦労が偲ばれるところであった。

 お付きの姉貴分を丸め込んだナユタは四人の方に向き直る。その瞳に宿る深い思慮の光と慈しみを湛えた笑みの前に、トワたちは語るべき言葉が見つからなかった。

 

「シグナからも少し聞いているけど、試験実習だっけ? 今月末にはまた忙しくなるそうじゃないか。この機会にしっかりと楽しんで、また学院のことを頑張れるようにしたらいい……ああ、そうだ。少しくらいはお小遣いを出してあげなきゃね」

 

 そう言われ、とどめとばかりにミラまで押し付けられてしまっては断ることなどできはしない。ぎこちない空気を残しながらも、トワたち四人は連れだって帝都の街並みに繰り出していくのだった。

 

 

 

 

 

「……本当にどういうつもりなの? ナユタ」

 

 トワたちの背を見送りながらノイが問いかけてくる。そこに疑念の他に、若干の怒気が混じっているのは仕方のないことかもしれない。他ならない相棒からの頼みを不意にした形になるからだ。これくらいは甘んじて受けるべきだろう。

 

「私たちじゃどうしようもないからナユタにお願いしたっていうのに、これじゃあ意味がないの」

「それについてはまあ、申し訳ない。悪かったよ」

 

 ナユタは何も帝都に来る用事があったからトワを夏至祭に誘ったわけではない。そのこと自体は嘘ではないが、本当の理由は無二の相棒からの頼みにあった。

 精神的に沈んでしまったトワをどうすることもできなかったノイは、手に負えない事態を前にして秘密裏に残され島へ連絡を取っていたのだ。近くにいすぎるノイや学院の友人で解決できないなら、他の身内に頼るしかない。そこでちょうど帝都に出向く用事があった父親であるナユタが、夏至祭に誘うことで娘の気分転換と相談に乗れたらと思って手紙を送ったのである。

 事情を知らないなどとんでもない。彼は一から十までトワたちに何が起きたかを把握していた。それでも四人だけで夏至祭に送り出したのは、ある種の確信が彼の中にあったからだ。

 

「でもさ、ノイ。僕たちがいくら言葉を重ねたって、結局はあの子が足を踏み出さなきゃ何も変わらないんだ。それは君も……あの子自身も分かっていると思う」

 

 トワは小さい頃から聡い子だった。今回の件にしたって、ナユタがわざわざ手紙を送ってきた本当の理由を薄々感じていたのだろう。午前中、一緒に夏至祭を回っている中で表情に申し訳なさと遠慮が混じるのをナユタは見て取っていた。

 だから、きっと理解はしているのだろう。自分がどれだけ人に心配をかけているかも、その場で足踏みをしているだけでは何も変わらないことも、トワは分かっている。

 

「それは、そうかもしれないけど……」

「そんな心配しなくても大丈夫だよ。クロウ君にアンゼリカさん、ジョルジュ君も皆いい子たちだし、トワの為に色々と考えてくれていたみたいだ。悪いようにはならないよ」

 

 必要なのは、切っ掛けとほんの少しの勇気。

 その点、トワの友達たちが追いかけてきてくれたのはありがたいことだった。どうやら四人は三か月という短い期間で随分と濃密な日々を過ごしてきたらしい。彼らに任せておけば、切っ掛けは自然と訪れる。ナユタはごく当然のようにそれを確信していた。

 そして肝心のトワ自身についても、父親である彼はあまり心配していなかった。

 

「トワだって大丈夫さ。本人は何も変われていないだなんて思っているかもしれないけど、そんなことはない。島から出て、学院で色々なことを経験して……あの子も変わってきている」

 

 自覚はないかもしれない。一緒にいるノイも近すぎて気付いていないかもしれない。だが、しばらく目にしていなかったナユタは娘の成長を確かに感じ取っていた。故郷から殆ど出たことのなかった子が外の世界を目にしていって、自分が知らないうちにもどんどん大きくなっている。それが少し寂しくて、とても嬉しかった。

 

「……そうかな?」

「そうさ」

 

 だから自信をもって答える。トワは必ず立ち直れると、ナユタは欠片も疑っていなかった。

 

「僕たちはあの子に背負わせてばかりだ。仕方のないことでもあるけれど……それがあの子の重荷になってしまっていることは間違いないし、一緒に背負えない自分が恨めしい」

 

 硬くなり、皺の増えた自分の手のひらを見やる。それは若かりし頃より力強くはなれたかもしれない。だが、娘よりも先に朽ち果てることを運命づけられた手であった。いつまでも子の手を引いて先を導いてやることはできないし、その両手に抱えるものを代わってやることもできない。

 一つの命として抗うことのできない未来。怒り嘆いても変わりようはなく、いつしかその時は必ずや訪れる。だからナユタがトワのためにできることは既に定まっていた。

 

「だから、せめて信じて見守ってあげよう。トワが、トワ自身の道を見つけられることを」

 

 かつて自分たちが選び取った未来への道。迷い、苦しんだ末に手にした答えの先を歩んできて、降りかかる苦難もあった。それでもこの道を選んだことに後悔はない。

 トワにもきっと、そんな道が見つけられる。ナユタは愛娘のことを誰よりも信じていた。

 




本文中の説明だけでは分かりにくいかもしれないので、こちらにハーシェル家の家系図を挿絵として張っておきます。これくらいの辻褄合わせで済めば楽だったものを……おのれジョルジュぅ!

【挿絵表示】


【ナユタ・ハーシェル】
言わずもながら、那由多の軌跡の主人公。残され島出身で港町サンセリーゼの学院に通っている。学院の夏休みにシグナと共に故郷に里帰りするのだが、そこで起きた遺跡の落下、そしてノイとの出会いを皮切りに彼の壮大な冒険が始まることになる。

【ヴォランス博士】
遺跡の研究に並々ならぬ熱意を注ぐ初老の学者。遺跡が落下する現象が起きる残され島に強い興味を抱き、帝国からはるばるやって来た。また、博物学を専門としており残され島に博物館をオープンする。テラで手に入れたコレクションアイテムをナユタが寄贈していくことで展示も充実していくことになる。

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