永久の軌跡   作:お倉坊主

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任天堂の岩田 聡社長が7月11日に胆管腫瘍でお亡くなりになったと先日、発表されました。私は面接に向かう電車の中で訃報を知ったのですが、しばらくは文面が信じられず呆然としていました。正直、今も信じたくない気持ちで一杯です。
星のカービィや大乱闘スマッシュブラザーズといった私個人としても思い出深い作品を作り上げただけでなく、会社の顔として様々な広報活動をしてきた岩田社長は間違いなくゲーム業界の偉大な人物の一人でした。そんな方が55歳というまだまだこれからという年齢でお亡くなりになってしまったことが残念に思えて仕方がありません。
一人のゲームファンとして、この場を借りてご冥福をお祈りさせていただきます。そして今まで沢山の「楽しさ」を作ってくださりありがとうございました。


第13話 実習の終わり

「――それで、現れた魔獣を退治しました。報告は以上です」

「…………」

 

 語るべきことを語り終え、口を閉ざしたトワは少し冷や汗を流していた。

 多くのおとぎ話は悪者を倒してめでたしめでたし、というのが終幕を飾るものだろう。だが、現実は物語と違う。悪者がいなくなった後も現実は続き、そして悪者に立ち向かったことが手放しに褒められるわけではない場合もあるという点で。

 ふう、と大きな溜息が室内に響いた。目の前の老人、元締めが疲れた様に吐いたそれに、並ぶ四人はやや気まずそうにするか誤魔化すような苦笑いを浮かべるしかない。遠く聞こえる大市の喧騒は何の慰めにもなりはしなかった。

 やや沈黙の後、元締めは顔を上げる。その表情は怒っている訳ではなかったが、どこか疲労感が滲み出ているように思えた。

 

「……調査を許可し、君たちを送り出したのはワシだ。町に被害を与えかねなかった魔獣を退治してくれたのも感謝しておる。それについて責めるつもりは無い」

 

 口にする言葉にも説教の色は混じっていない。ただ疲れたような口調で「ただまあ、なんだね」と続ける。

 

「もう少し身の安全を考えてくれると助かるよ。老人の心臓には堪える」

「あ、あはは……申し訳ありませんでした」

 

 返す言葉もなくトワは頭を下げる。実習先の責任者に思いがけない心労を掛けていたことを理解して、今度からはあまり無茶をしないようにしようと思う彼女なのであった。

 もっとも、姿を消しつつも傍らにいるお目付け役がそれを聞けば「怪しいものなの」と言ったことだろうが。

 

 

 

 

 

 ルナリア自然公園前で突如として現れたヌシを間一髪ながら打倒したトワたち。考えるべきこと、話さなければいけないことは多くあれども、まずはケルディックに戻ろうということで一致した。状況が落ち着いてからでも遅くは無いだろうと。

 そうして戻ったケルディックで待っていたのは血相を変えたオットー元締め。最初はその様子に困惑したが、よくよく考えてみれば当たり前のことだ。

 管理人のジョンソンが領邦軍の応援を頼みに行けば、自然と町の顔役である元締めにも話が届く。そして元締めは実習地における責任者でもある。言うなれば、実習のために学院からトワたちを預けられているのだ。その預かった学生が強大な魔獣と対峙していると聞けば気が気ではないだろう。

 加えて、戻ってきた時のトワたちの恰好は酷いものだった。大きな怪我は無かったが、服は土埃にまみれ身体には擦り傷がところどころ。トワに至ってはヌシの返り血でべったりと濡れており、一見してさぞショッキングな光景に映ったに違いない。

 一先ずは安全の確保と自分たちの無事を伝え、宿屋で取り急ぎ汚れを可能な限り落としてから再び元締め宅を訪れたのであった。そこでようやく調査の結果についての詳細な報告を行うことになり、話は冒頭に戻る。

 

「何はともあれ、君たちが無事でよかった。もし何かあればヴァンダイク殿に申し訳が立たんからな」

「ご心配をおかけして申し訳ない。仕方ない面もあったとはいえ、無茶はしないという約束を反故にすることになってしまいました」

「まさか、あんな魔獣が出てくるとは思ってもいなかったからな。まあ勘弁してくれや」

 

 まるで正反対の態度のアンゼリカとクロウの言葉に元締めは苦笑いを零す。どうやら彼も、ようやく気持ちが落ち着いて余裕が出てきたようだ。

 

「君たちがこの町を守ろうとして戦ってくれたのは話を聞いて承知しておる。責めるなどという筋の通らぬ真似をするつもりは無いよ。むしろ町を救ってくれたことに礼を言わせておくれ」

「そう言ってくれると、僕たちとしてもありがたいです。お役に立てたようで良かった」

 

 元締めが付けた調査の条件を完璧に無視していたことに多かれ少なかれ申し訳なさはあったので、彼が咎めることも無く礼を言ってくれたのに一同はホッとさせられた。今回の一件で、実習中に危険な事態に陥った際のことも考えられるようになるだろうが、この分なら実習自体の取り止めになることはなさそうだ。

 元締めの顔から険が取れたことでトワも緊張が解ける。そうして他のことにも頭が回るようになり、ふと「そういえば」と切り出した。

 

「周辺の農家の方は大丈夫でしたか? 管理人のジョンソンさんが避難させてくれたとは思いますけど……」

「ああ、それなら問題なかったとも。ジョンソン氏に連れられて一度町まで避難はしてきたが、君たちが魔獣を退治してくれたおかげですぐに帰ることが出来た。農作業にも影響はなかろう」

「それなら踏ん張った甲斐もあるってもんかね。確か領邦軍の応援も頼みに行った筈だが、そっちはどうなったんだ?」

 

 素直に喜べばいいものを相も変わらず捻くれた物言いをするクロウ。そんな彼が口にした領邦軍の件に、トワはそれを半ば忘れ去っていたことに気付く。ヌシと相対するのに必死で頭から抜け落ちていた。

 自然公園からケルディックに戻る道すがら領邦軍とは出くわさなかった。町へ入った途端に元締めが駆け寄ってきたが、その際に視界の端で物々しい雰囲気でいたような気がする、といった程度だ。彼らはいったいどうしていたのだろうか。

 問われた元締めは「うむ」と一つ頷く。別段、深刻な様子ではなさそうだ。

 

「ジョンソン氏の要請に従って領邦軍も防衛のための準備を進めていた。彼らも町に危機が迫っているとなれば動かずにはおられんからな。もっとも、君たちのおかげでお役御免になり拍子抜けしておったが」

 

 くつくつと笑みを漏らす。拍子抜けした隊長の顔でも思い出しているのだろうか。それにつられるように小さく笑いながらジョルジュが口を開いた。

 

「はは……こちらとしては早急に応援に来てくれた方が助かったんですけど」

「まあ、準正規とはいえ軍隊だ。組織であるからには出撃するにしても色々と手続きが必要になる。そこら辺が民間の使い手である遊撃士との機動力の差に繋がっているのだろう」

「遊撃士は緊急の事態になれば、一個人の判断で行動に移せるからね。民間人の保護という大原則に従うものなら、だけど」

 

 軍隊と遊撃士の機動力の差はよく引き合いに出されるが、その差はついて当然のものなのだ。

 軍隊は国を守るための組織。そのために様々な兵器が備えられており、保有する戦力は民間とは比べ物にならない。だが、強大であるから故にその制御は厳重に行われる。結果として様々な指揮系統、許諾申請が必要となり、行動が遅くなる。

 対して遊撃士は、規模は大きいと言っても民間の組織。保持する戦力は個人の範疇に留まり、戦車などを持っている訳でもない。しかし同時に行動が厳密に管理されるという訳でもなく、支部における判断、喫緊の時は個人の意思で動けるのが最大の強みだろう。

 言ってしまえば、求められる状況がそれぞれ異なるのだ。それを理解すればお互い協力できると思うのだが、軍隊と遊撃士の関係は良くない国が多いと聞く。トワとしては残念なところだ。

 

「まあ彼らも機を逸しはしたが、今は念のために自然公園周辺のパトロールに出てくれている。彼らとの関係が今後どうなるかは分からないが、少なくとも魔獣被害の心配はもうあるまい」

「そう、ですね。ヌシの片方が倒れたからには自然公園の方も落ち着くでしょうし……」

 

 閑話休題、肝心の魔獣被害の件に話が移る。当面の不安が取り除かれた元締めの穏やかな表情に対し、応じたトワは解決する見通しを口にしながらも、少し陰りを見せる。

 それを不思議に思った元締めに「どうかしたのかね?」と問われ、彼女は遠慮がちに口を開いた。

 

「いえ……私たちが倒したヌシ、どうして森の奥から出てこなくちゃいけなかったんだろうって」

 

 どれだけ傷付いてもヌシは森に帰ろうとしなかった。それはつまり、もう帰るべき場所がなかったということ。あれだけ強大な魔獣が追いやられるなど、いったい何が起こればそうなるのか。トワは町に戻ってからもずっと気懸かりにしていた。

 

「言われてみりゃそうだな。自分から縄張りを捨ててきた訳でもあるまいし、まだ何かあんのかね?」

「うーん……正直、憶測でしか語れないね。あの魔獣はヴェスティア大森林の奥から出てきた可能性が高いんだろう? そんな奥地の状況を確かめるのはちょっとやそっとじゃ出来ないと思う」

「それは分かっているんだ。ただ少し気になるだけだから……」

 

 ヌシがどのような経緯でルナリア自然公園の方まで出てきてしまったのかは分からない。少なくとも自発的な行動ではないだろう。だが、それ以上を知る余地は今のトワたちには存在しない。自然公園の管理人のジョンソンでさえ把握が不可能だったのだから当たり前だ。

 そのことはトワも理解している。だから気になりはしても、困難であろうと口にするジョルジュに素直に頷く。しかし、その表情はどこか物憂げだ。

 そんな彼女に、ふと思いついたかのようにアンゼリカが問い掛けた。

 

「もしや、例のヌシのことを気の毒にでも思っているのかい?」

「……うん、そうだね」

 

 言った本人としては冗談のようなつもりだったのだろう。素直に頷いたトワに少し目を見開いた。

 

「おいおい、お前のお人好しは魔獣にまで発揮されるのかよ。そんなことまで気にしていたら身が持たねえぞ」

 

 心の底から呆れた声を漏らすクロウ。だが、それは正しい反応とも言える。

 魔獣は人々に危害を与える存在。だから人は手に武器を持ち、それらを退けることで自らの安寧を確保する。その倒すべき敵に対してまで、どうして情けを掛けようというのか。普通の感性を持った人物であればそう言うだろう。

 トワもその理屈を理解していない訳ではない。ただ同時に、それでもと言ってしまうのが彼女の感性であった。

 

「倒さなくちゃいけない状況なら、ちゃんと倒すよ。あのヌシも、町に被害を出さないために倒さなくちゃいけなかった。だから倒したことを後悔している訳じゃないんだ」

「じゃあ何を……」

「でも、あのヌシだってこの世界に生きていた一つの命には変わらないと思うの」

 

 口を挟みかけたジョルジュはその言葉に二言を封じられる。口調にも、語る彼女の瞳にも冗談の色は無かった。

 魔獣は確かに人を襲う。その理由が何であれ、人は時に戦わざるを得ないこともあるだろう。

 だが、それは魔獣も同じことなのだ。ある時は人間の都合で自然が脅かされることがあるように、魔獣にも魔獣の都合がある。七耀石に惹かれる本能に従ってのものなのか、縄張りへの侵入者を撃退しようとしてのものなのか……ただ生きるために、がむしゃらに突き進んだ結果なのか。

 いずれにせよ人間からしたら迷惑にしか感じないだろうが、魔獣もいたずらに人間を襲っている訳ではない。彼らの摂理に従い、この世界で生きてきた結果として命を奪い、奪われる。ただ、それだけなのだ。

 窓の向こう、陽の沈み始めた外を見る。自分が命を奪った魔獣が斃れているだろう方へ思いを馳せるように。

 

「生きるために戦った。それは私たちも、あのヌシも変わらない。それが自然なことによる結果なら仕方ないけど、もし何かのせいで起きてしまった出来事なら悲しいなって……」

 

 ヌシが魔獣同士の争いに敗れて縄張りを捨ててきたというのなら、それは弱肉強食という自然の摂理に従ったものだ。仕方ないと割り切る事も出来る。

 だが、仮にヌシが誰かの人為的行為によって追いやられたというのなら、それは不幸な出来事というしかない。平穏であったはずの日々を奪われ、あまつさえ命を失うことになったのだから。もしもの話でしかないが、有り得ない話でもない。トワはそれが悲しかった。

 

「ふむ……言っていることは分からなくもないが」

「ぶっちゃけ気にし過ぎだと思うぜ。魔獣の一匹二匹のことで気に病んでいたら切りがねえ」

「く、クロウ。もう少し取り合ってあげても……」

「ううん。いいの、ジョルジュ君。自分でも変わっているとは思うから」

 

 フォローしようとするジョルジュを言葉で押し留める。トワ自身、この死生観とでも言うべきものに共感してもらえるとは思っていなかった。

 

「人と魔獣も変わらぬ、か……ある意味でそれは人同士の間でも言えるのかもしれんな」

「え?」

 

 だが、歳を重ねた老人は一概に世迷言とも思わなかったらしい。思わぬ反応にトワの口から間の抜けた声が出る。

 

「領邦軍や貴族との付き合いがあると時に思うのだよ。彼らが本当に同じ人間なのかと。増税の話然り、あまりに勝手な都合を振りかざされてしまわれるとね」

「それは……」

「ああ、別に貴族制度のことを否定している訳でもないのだよ。貴族があってこそ今の帝国があることも確かだ」

 

 愚痴を零すように貴族に思うところがある様子を見せる元締めに、本人も思うところがあって故か反応を示すアンゼリカ。元締め自身は体制批判をしたい訳ではないと言葉を加えたが。

 

「ただ今のトワ君の話を聞いていて、ワシたち商人と貴族の都合もまた違うのだろうと思ってな。話が上手くいかぬも当然だと納得したのだよ。こちらの道理で説得しようにも、向こうには向こうの道理があるのだから」

 

 商人にとって税とは商売の第一目的である利益に多大な影響を与えるもの。その影響を可能な限り少なくし、より多くの利益を上げたいと思うのが自然な考えだ。

 対して貴族にとって税とは収入源だ。領地運営において切っても切り捨てられない重要な要素であり、その寡多は領地の財政に直結する。多くの貴族は自身の地位を高め、家門の隆盛を築くことを目的としているのであって、そのためには財力が必要となる場面も多々ある。そのために税を引き上げる、という選択は彼らにとって当然のものなのかもしれない。

 商人には商人の理屈が、貴族には貴族の理屈がある。片方にそれを押し付けようとすればもう片方が反発するのは当然のことであり、結果として権力で押さえつけられてしまうことが多いから不和が生まれ不満が積み重なる。商人と貴族に限らず、どのような場合にも言えることだろう。

 生まれ、立場、考え方、その違いだけで人は衝突してしまう。お互いの都合に従い行動した結果、相手の都合が邪魔になるのだから。それは先の魔獣の話と何も変わらないのではないか、元締めはそう言った。

 

「……言っていることは分かります。でも、それでも人間同士が争うことしか出来ないとは思いたくないです」

「無論だとも。ワシたちは獣には無い理性と言葉を持つ。分かりあえる手段があるのにそれを使わないのは愚かで、それこそ悲しいことだ」

 

 理解は出来ても納得は出来ないトワ。その言葉に元締めも頷く。

 今の話は一定の事実であるが、同時に極論でもある。全てがその通りであるとしたら人の社会は成り立っていない。人は争うだけでなく、分かり合うことも出来るからこそ今の世界がある。

 

「だがよ、実際に増税があったら商人は有無も言えずに受け入れるしかねえんだろ? 文句を言おうにも貴族が耳を貸すとは思えねえ。結局、分かり合うなんて夢物語みてえなもんじゃねえか」

 

 しかし、現実問題として商人と貴族には隔たりがある。それを遠慮もなく指摘するクロウは、どこか冷たい部分が顔を覗かしていた。その瞳に浮かぶ色は諦観だろうか。

 そんな彼から元締めは顔を逸らさない。彼の言うことが事実だとしても、それでも真っ直ぐと向き合い続ける。

 

「確かに分かり合う道は険しく、遠い。時には諦めたくなる時もあろう。だが、それでは何も良くはならぬと思うのだ。言葉を交わし続けた結果が分かり合うには及ばぬ折り合いや妥協であるとしても、ワシは少しでも良い方向に持っていきたい――それが、このケルディックの元締めの役目であろうからな」

 

 微笑みをたたえ、元締めはそう言い切った。言い返された側は「参ったね、こりゃ」と諸手を挙げる。

 

「君たちはまだ若い。たとえ困難にぶつかろうとも、諦めずに立ち向かってみるといい。年寄りからのささやかなアドバイスだ」

「ご助言、感謝します。必ずや胸に留めておきましょう」

「はは、そこまで大層なものでもないのだがね。それに帰りがけに説教臭い話にしてしまった」

「そんなことないです。お話して下さって、ありがとうございました」

 

 元締めは謙遜するが、トワはそれでも感謝した。一つの町を束ねる人生の先立ちが語る諦めないことの大切さ、それがとても価値のある言葉であるように彼女には思えた。

 もう少し話していたい気持ちもあるが、鉄道の時間も迫ってきている。そろそろお暇するべきだろう。トワは再度頭を下げた。

 

「改めて、今回はありがとうございました。おかげさまでとても有意義な実習にすることが出来ました」

「いやいや、お世話になったのはこちらも同じだ。ポール氏の件に続いて強大な魔獣まで。正直、実習の監督を引き受けたていどでは釣り合いが取れんよ」

「はは……そこまで言われると面映ゆいところがありますけど」

 

 赤らんだ頬を掻くジョルジュに元締めは「当然の礼だとも」と続ける。

 

「君たちには感謝してもしきれん。今度は学業も抜きで遊びに来てくれたまえ。その時は是非ともおもてなしさせてもらおう」

 

 満面の笑顔と共に、元締めは最大限の感謝を伝えてくれた。それを見たからこそトワは思う。

 ――自分たちがやったことは間違いではなかった。

 問題が立て続けに起きて、無茶もたくさんした初めての試験実習。だがそれでも、自分たちの行いは誰かのためになることが出来た。その確信を持ってトワたちは帰途に着くのだった。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 夕日に照らされるケルディックを発ち、学院へと帰るべく一路トリスタへ。鉄道に乗ってからしばらくして、既に日は沈んで夜空に星が輝き始めていた。鉄路を進む揺れが、実習で疲れた身体にはどこか心地よく感じられた。

 夜ともなれば乗客もまばらであり、見渡してみても空いている席が目立つ。その中でもトワたちは更に人気の無い車両をわざわざ選んで乗っていた。理由は言わずもがな、である。

 えーと、とトワが遠慮がちに話を切り出す。他の三人からの注視にやや冷や汗が浮かんでいた。

 

「まずは実習お疲れ様。色々あったけど、ひとまずは無事に終わって良かったね」

「終わった気になるのはまだ早いかもしれないけどね。帰ったら帰ったでサラ教官への報告とかレポート提出とかもあるだろうし」

「帰るまでが遠足ならぬ実習ってか? 面倒だな、まったく」

 

 ぼやくクロウだったが、その気怠さは一瞬のこと。「まあ、んなことはどうでもいい」と続ける表情は真剣なそれだった。

 

「そろそろあの妖精のこと、話してもらうぜ。そのためにこんな人気の無いところをわざわざ選んで座っているんだからよ」

「君が落ち着くまで待ってというからその場では我慢したが、流石の私もこれ以上お預けを喰らうのは勘弁なのでね。気になって仕方がない」

 

 アンゼリカも口調はいつもの通りながら、そこに飄々とした雰囲気や余裕といったものは感じられない。特に口にすることは無くとも、目線で話を促すジョルジュもそれは同じだ。

 三人の様子はおかしいものではない。むしろ当然だろう。誰だって突然、自分の常識外の存在が目の前に現れたら困惑し、その正体を突き止めようとするだろう。それが仲間と密接な関係にあるとなれば尚更だ。

 トワは観念して大きく溜息を吐く。そして何も無い筈の虚空に声を掛けた。

 

「ノイ、もう出てきていいよ」

「……やれやれ、ばれるにしても先のことだと思っていたのに」

 

 アーツを解除し、虚空から妖精――ノイが姿を現わす。唐突に出現した身の丈30リジュほどの存在にジョルジュが「うわっ」と肩を揺らす。

 さて、どこから話したものか。ノイのぼやきを聞き流すよう努めながら、やや警戒する三人を前にトワは考える。

 

「初めまして。私はノイ・ステラディア。この子の……姉貴分兼お目付け役みたいなものなの。よろしくお願いするの、人間さんたち」

「は、はあ……こちらこそ、どうぞよろしく」

「……ふふ、こんな可愛らしい子によろしくお願いされたら応じずにはいられないね。よろしく頼むよ」

「姉貴分兼お目付け役ねぇ……まあ、よろしくお願いされとくけどよ」

 

 が、考えがまとまる前にノイは勝手に喋りだす。出だしを慎重にしようとしていたトワは、普通に自己紹介を始められて思わずガクッとなる。

 確かに自己紹介は大切だが、もっとこう、それらしい滑り出し方というのがあるのではないか。そんな風に思わないでもなかったが時すでに遅し。仕切り直すように咳払いを一つして話に加わる。

 

「ノイには私が生まれた時からお世話になっているの。だから姉貴分っていうわけ」

「なるほど。ちなみに、昨日の隠し事もその小さな姉君に関することだったのかな?」

「ああ、あれはノイがお腹が減ったっていうから――」

「んんっ! それはともかく」

 

 今度はノイの方から咳払いの音。言葉を中断させられたトワは仕方ないなぁ、と肩を竦める。どうやら初っ端から姉貴分の威厳を崩したくはないらしい。無駄な努力ではないかとも思うのだが。

 

「姿を現わすことになったからには仕方がないの。色々疑問があるだろうし、質問があれば聞いてあげる。答えられる範囲で答えてあげるの」

 

 聞きたいことがあれば答えるという受け身の姿勢を示し、ノイは自身のサイズに丁度いい窓縁に腰かける。トワもその方針に異は無かった。

 正直、自分たちは話していないことが多すぎる。それらを上手く纏めて説明できる自信は無いし、同時に全て(・・)を話すことが出来ない事情もある。ならば三人の方から気になることを聞いてもらって、それに答える方がこちらとしてもやりやすい。

 そうした事情もあっての提案なのだが、示された側は何を聞くべきか迷ってしまうだろう。何より、想像の埒外の存在が現れたことによる戸惑いは大きい。ジョルジュは未だ浮足立った様子であり、アンゼリカも表面上は落ち着いているが、内心は困惑と好奇心が入り乱れているように窺える。

 

「じゃあ聞くけどよ」

 

 しかし、ただ一人、冷静さを保ったままでいたクロウが口を開く。その鋭利な視線は、ノイという存在を見極めようとしているようだった。

 

「お前とトワの関係は分かったが、肝心のお前自身は何者なんだ? ノイさんとやらよ」

「あはは……まあ、そこは当然疑問に思うよね」

「こっちとしちゃ、いきなり妖精なんていうおとぎ話じみた奴が出てきて頭が痛いんだ。茶化すんじゃねえぞ」

「もちろん、そんなことはするつもりないの」

 

 まずは目の前の存在がどういうものか知ろうとしてか、ノイの素性を尋ねてくる。基本的で、だが重要な問いだ。自然、アンゼリカとジョルジュも耳を傾ける。

 そんな彼らに対して、トワは早速答えあぐねてしまった。

 

「ええっと、ノイは《テラ》を管理する《星の観測者(アストロラーベ)》の《神像》で……って言っても分からないよね」

「トワ、ここは《残され島》のことから話した方がいいの。あと、そこまで詳しく話していたら切りがないから」

 

 途端に三つも意味の分からない用語が出てきたことで疑問符を浮かべる面々にトワは苦笑い。ノイの助言に従って順を追って話すことにする。

 

「じゃあ、まずは私の故郷のことから話させてもらうね。残され島っていうんだけど、知っているかな?」

「僕は聞いたことないけど……」

「ふむ、そういう名前の島があると聞いたことがあるようなないような」

「……かなり昔に聞いた覚えがあるが、よく知らねえな。遺跡が落ちてくるとかどうとかいう話をされたと思うが」

 

 他の二人が芳しい反応を示さない中、幼少の頃の記憶を引っ張り出してきたのか断片的ではあるが、確かに自分の故郷のことを知っていたクロウに「わっ」とトワは喜びの声を漏らす。

 

「クロウ君、よく知っているね。凄く辺境だから本土の人なんて滅多に知らないのに」

「くっ……チャランポランにまた良いところを取られるとは」

「んだと、このスケコマシ」

「ちょ、ちょっと待った」

 

 いかにも演技臭い悔しそうな様子を見せるアンゼリカにクロウが反応したところで待ったの言葉が入る。先ほどから気持ちが落ち着かないのか、どこか疲れた様子のジョルジュである。

 彼が何を思って話を止めたのかは明白だ。クロウの断片的な情報に口を挟まずにいられないものが含まれており、それをトワが否定しなかったからだ。

 

「遺跡が落ちてくるだって? 本当にそんなことが起きるのかい?」

「本当なの。正確に言えば、そういう現象が起きていた、だけどね。今は昔ながらの呑気な島なの」

「まあ、そういうところも含めて説明するから、もう少しリラックスして聞いてくれると嬉しいな」

 

 解答者二人の答えを聞いて、ジョルジュは大きく息を吐いて座席に深く身を沈めた。もう気を張り詰めているのも馬鹿らしくなったのだろう。

 この中では常識人な友達に心労を掛けることを申し訳なく思いつつ、トワは改めて説明することにした。

 

「残され島はサザーランド州南西端の港町、サンセリーゼから1760セルジュ先、シエンシア海に浮かぶ群島の一つだよ。帝国領の最南西端にあたるね。漁業と農業が主産業の、辺鄙だけど温かで長閑な島。それが私の故郷」

「さっきクロウが言った通り、遺跡が落ちてくる異常現象で学者さんとかには有名な場所でもあったの。もっとも、三十年前までの話だけどね」

 

 三十年前。そのキーワードに察しがついたのだろう。聞き手の反応は顕著であった。

 

「もしや、農家のご老人が話していた流星の異変とやらに関係が?」

「うん。詳しい話は省くけど、あの異変で現れた構造物の名前はテラっていってね。残され島に落ちてくる遺跡はそれの一部が経年劣化して崩れたものだったんだ。だから遺跡の落下現象は厳密に言うと二十九年前を最後に起きなくなったって訳」

「なるほどな。道理で異変に詳しかった訳だ……その最後の落下現象っていうのは何だったんだよ?」

「異変の一年後、再接近したテラ自体が残され島の近海に墜ちたの。大本が墜ちてきちゃったんだから、その後に落下現象が起きなくて当然なの」

「はあ、その構造物自体が……え?」

 

 ノイのさらりとした答えを反芻したジョルジュの顎が落ちる。自分の口で繰り返してみて、その事実がどれだけ途轍もないことか理解したのだ。クロウとアンゼリカもこればかりは度肝を抜かれたような表情を浮かべる。

 サイロ老人は巨大な構造物――テラが宙に浮かんでいたと言っていた。月より近いとはいえ、遥か上空に位置するものがはっきりと目に見えたのだ。並の大きさとは思えない。

 段々と想像の及ばないスケールの話になってきたことを感じながら、ジョルジュは恐る恐る尋ねた。

 

「ち、ちなみに、それはどれくらいの大きさなんだい?」

「えっと、面積だけで言うなら《オルタヴィア》と《リズヴェルド》、《ハインメル》に《ラ・ウォルグ》を全部合わせて……だいたい小国一つか二つ分くらいかな」

 

 小国の一つか二つ分、少なくともリベール王国の国土面積と同程度の大きさの物体。あまりにスケール違いの話に聞いている側は頭が痛くなってきているようだった。

 

「そんな大きさだから落下制御するのも大変だったんだから。私としては二度とやりたくないの」

 

 そんなところに立て続けてノイの聞き捨てならないぼやきが入るものだから、彼らには心休まる暇もない。もはや驚く気力も無いといった様子でクロウが億劫そうに口を開く。

 

「んだよ、その落下制御っていうのは……結局、お前は何なんだ?」

「私はテラを管理する《星の観測者(アストロラーベ)》の神像、要するにテラの管理者の一人なの。生まれはだいたい1200年前で君たちよりずっと年上なんだから」

「まあ、七耀教会からの扱いに従って言うなら人格を持った古代遺物(アーティファクト)の一種になるね。本人は不服みたいだけど」

 

 無駄に年上アピールをする姉貴分に苦笑しつつの補足に、当の本人は「当たり前なの」と文句を零す。

 作り手と家族同然に過ごしてきた彼女のことだ。今更になって道具扱いされるのは不愉快なのだろう。まして、それが教会という自身のことを与り知っている訳でもない組織からのレッテル貼りであるのだから尚更だ。

 とはいえ、そんな事情まで目の前の三人に理解出来る筈もない。一先ずは今の話を何とか呑み込んだアンゼリカが、大きく息を吐きながら切り出した。

 

「……つまり、君はそのテラとかいう巨大な遺跡の管理者で、三十年前の異変の当事者でもあった訳だ。トワがそこら辺の事情に詳しいのも、その影響ということと」

「ま、大体そんな感じなの」

 

 アンゼリカからの確認にノイは頷く。彼女自身が何者であるかということ、そして何故トワが異変について詳しかったかについては、これで最低限知ることが出来ただろう。

 だが、同時にこれが教えることの出来る限界でもあった。ノイが「じゃあ、そういうことで」と幕引きに掛かる。

 

「今の私たちから教えられるのはそれくらいなの。質問はこれでおしまい」

「はあ? おいおい、そりゃねえだろ。どうしてそんな御大層な奴がトワのお目付け役なんかやっているのかとか、まだ話すことは山ほどあるだろうが」

「こっちにだって話せない事情っていうものがあるの。トワが言っていたでしょ。どうして異変の詳細が世間には知られていないのかって」

「確か、社会に混乱を招きかねないとか……あっ」

 

 思い出した言葉からジョルジュはノイが言う事情を理解したようだ。その考えをトワは一つ頷いて肯定する。

 

「無用な混乱を避けるために、残され島の人々はこのことを無闇に触れ回ることを禁じられているんだ。七耀教会との盟約によってね」

「七耀教会……噂に聞く、女神の秘蹟を管理するという封聖省とやらが関わっているのかな?」

 

 アンゼリカの踏み込んだ問いに「ノーコメントで」と返す。だが、それは事実上の肯定でもあった。

 封聖省とは典礼省、僧兵省と並ぶ七耀教会の一部門であり、主に古代遺物に関わる案件を扱う部署である。七耀教会では力を持ったままの古代遺物を「女神からの早過ぎた贈り物」としており、安全のための保管などといった名目で回収を進めている。その実行部隊が封聖省という訳だ。更に言うならば、内部に星杯騎士団というものを擁しているのだが、それは今語るべきことではないだろう。

 ともあれ、テラも規格外の存在とはいえ古代遺物には違いない。事態の収拾を図るために、過去に残され島へ教会関係者が訪れていた。その時に交わされた盟約により、島の人々は外部の人間に真実を伝えることを禁じられたのである。

 

「私としては従う義理なんかないと思っているんだけど、別に騒ぎにしたいと思っている訳でもないからね。一応は約束を守っているの」

 

 不承不承という様子を見せながらもノイは言う。

 教会に管理されるような謂れは無い。だが、彼女とその主たちはこの時代に生きることを決めた。ならば混乱を招かぬためにも、多少の制約は甘受しなければ。そうした事情があってのこととトワは教え聞かされていた。

 ともかく、その盟約により詳しい話をすることは禁じられている。ノイのことが露見したから最低限のことは教えたが、これ以上の説明は憚られた。

 

「うーん……気になるところではあるけれど、教会が関係しているなら仕方がないか」

「ごめんね。ちゃんと話せたらよかったんだけど」

「まあ、そういう決まりなら仕方ねえ。お前がぽろっと漏らすのをじっくり待つとするさ」

「あはは、あんまり期待しないで欲しいな」

 

 強かな姿勢を見せるクロウに苦笑する。実際、口八丁で聞き出してきそうなのが怖いところではある。ただ、それ以上にトワは申し訳なさを感じていた。盟約という、それらしい理由を隠れ蓑にしていることを。

 

「……本当に、ごめんね」

 

 その小さな呟きを、誰か聞き届けることが出来ただろうか。次の瞬間、ノイの声によってそれは有耶無耶にされた。

 

「じゃあ私の話は一段落したところで、今度はこっちから言わせてもらうの」

「え? 何かあったかな?」

 

 突然の姉貴分の宣言に、トワは何のことか分からずに愚直に問うてしまう。直後向けられた白い目線から地雷を踏んだことを察知するも、言ってしまったものは口の中には戻ってこない。

 

「あのねえ、あの元締めさんだって散々心配していたのに、私が何も言わないとでも思っているの? 戦うのは仕方がなかったにしても、あそこで無理に足止めしなくても後退しながら助けを待つことも出来たの。不完全な連携で危なっかしかったし、下手したら大怪我していたの。それでも何もなかったって言うの?」

「あ、あう……すみません」

 

 反論を許さぬ様子で説教をしてくるノイにトワは身を縮めるしかない。お小言は後でいいから、と言ったのが今になって現実となった形であった。

 その様を見て、他の面々は苦笑混じりながらも微笑ましい表情となる。この実習でトワのしっかり者な一面を垣間見ることになったが、こうして叱られてしょぼくれる姿があることも知って親しみを感じたからだろう。

 ただ、それだけでは収まらず悪戯心が湧いたのだろうか。クロウがからかうように笑った。

 

「はは、お人好しで良い子のトワも姉貴分には敵わねえか。こりゃいいこと知ったぜ」

「……何を他人事みたいに言っているの」

 

 が、小さい体から威圧感のある声を出したノイに「は?」と笑みが固まる。お説教のターゲットが移った瞬間であった。

 

「クロウこそ自分がどうなりそうだったか分かっているの? 私がいなかったらヌシに撥ね飛ばされていたの。突っ立っているままだったら攻撃に巻き込みかねなかったし、もう少し身の安全を考えるべきなの!」

「い、いやまあ分かっちゃいるが、結果的には土壇場で戦術リンクが繋がったおかげで巻き込まれずに済んだわけだし……なぁ?」

「あっ、そういえば、その時だけ繋ぐことが出来たみたいだったね」

 

 言い訳がましく戦術リンクのおかげで咄嗟に屈むことが出来た話をするクロウ。同意を求めるようにトワの方を向けば、彼女は彼女で今更になってそのことを思い出していた。それだけヌシの相手に集中していたということだが、自分たちの本来の役目の一端が果たされたにも関わらず淡白なことである。

 しかしながら、その話は言い訳になるどころか更なる火種を生み出すことにしかならなかった。

 

「ほう、昨日はあれだけ捻くれたことを言っていた男が、一瞬とはいえよく戦術リンクを結べたものだね。方針転換とか何とか言っていたが、素直に絆されたと認めた方がいいんじゃないかい?」

「うるせえっ! んなこと誰が認めるかっつうの! あれは偶々だ、偶々!」

 

 ニヤニヤと嗜虐心が滲み出る笑みを浮かべたアンゼリカに反駁するクロウ。自分がそんな安っぽい男と思われるのが嫌なのか、随分と必死な様子で偶々と強調する。その必死さが、傍から見れば余計に絆されたことに真実味を与えていると彼は分かっているのだろうか。

 いや、分かっているのだろう。分かっていて、敢えてそうしている。道化の仮面を被り、わざと滑稽に振舞っているのだろう。その冷たい本質を奥に隠して。

 

「偶々って偶然に助けられたってことじゃない! やっぱりクロウにはお説教が必要なの!」

「お断りだ! 第一、お前はトワのお目付け役なんだろうが。俺に構ってんじゃねえ!」

「どっちかというとクロウの行動の方が目に余るの。ばれたからには遠慮なく言わせてもらうんだからっ!」

 

 それでもいい。言葉尻を取られてノイと喧々諤々に言い合う彼を見て、トワはそう思う。

 冷たいクロウが本当の彼だったとしても、お調子者の彼が周りに合わせた偽りの姿であっても、彼が本当に楽しいと思えるのであれば、それでいい。その気持ちさえ本物であるならば、この光景は自分たちにとって嘘にはならない筈だから。

 

「あはは、二人とも程々にね」

「いや、一応は他の車両にお客さんが居る訳だし止めた方がいいんじゃ……?」

 

 何より、わざわざ雰囲気を悪くするより楽しい方がずっと良いに決まっている。相変わらずクロウとアンゼリカは仲が悪いし、ノイが加わったことで色々と変化もありそうだけど、それでも行きの列車よりは遥かに良い。

 お小言に怒鳴り声、笑い声や遠慮がちな制止の声を車内に響かせながら列車は走る。線路は地平の先まで続き、その行く先はまだまだ長そうだった。

 




【残され島】
主人公ナユタが暮らす島。サンセリーゼという港町から1760セルジュ先、シエンシア海に浮かぶ群島の一つ。漁業や農業といった一次産業が主だった生活の糧である模様。付近では遺跡が落下してくるという不可思議な現象が起きる。

【テラ】
那由多の軌跡における冒険の舞台。上層は四つの区画に分かれており、更にその下に中層、下層が存在する。二つの月の一つとして長きに渡って地上の遥か上空に存在していた。
拙作では大きさを小国一、二個分としているが正確には不明。原作では宇宙の彼方に旅立っていったが、改変して最終的に残され島近くに落着したことにしている。

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