砲雷撃戦(物理)するには提督は必要ですか? ~はい。提督は脳筋仕様の化け物です~   作:elsnoir

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弐拾壱話 第弐フェーズ開始

★無人島近辺海域

side:渚

 

 第壱フェーズを終え、戦力を整え、翌日再び出撃。そして今度は第弐フェーズ。無人島を占拠する深海棲艦を叩く。無人島には第壱フェーズの時とは数の規模が違った。おそらく倍以上と思われる。だがやることは変わらない。敵を倒すことだけだ。

 

「全艦に通達!これより第弐フェーズに移行する!やることは一つ!連中を沈めてやれ!!」

「「「「「了解!!」」」」」

 

 轟音が響く。開幕の知らせだ。いつも通り砲撃は牽制。接近してからが本番だ。視界の先にはイ級エリート。向こうは絶えず砲弾を放ちづけている。放たれた砲弾を一つ一つかわしていき、確実に距離を詰める。砲身が届く範囲に入れば終わりのお知らせ。今、そのお知らせが届くころだ。

 

「喰らえっ!!!!」

 

 右手に握る36cm連装砲を振るい、一撃を叩きこむ。砲身が口の中にめり込む。砲身が口の中に入ったことを目視し、引き金を引き、一撃を叩きこむ。砲弾が内部で爆ぜ、イ級ごと爆発する。次々と深海棲艦を葬り去っていく。

 

「敵主力を捕捉!!」

 

 通信。榛名の声だ。

 

「クラスは姫。陸上型深海棲艦、港湾凄姫!三式弾の準備を!」

 

 前方には白い巨躯。その周りに飛行甲板や、クレーン、砲などが見える。そして深海棲艦でありながら、陸上に体がある。こういった深海棲艦を大体は鬼、姫などと呼ぶ。同時に陸上型深海棲艦が多い。そして陸上型深海棲艦に有効なのが、この三式弾。これは一つの砲弾の中に無数の子弾が詰まっている。もともと対空用のものだが、陸上型深海棲艦に有効なダメージを与えることが可能である。

 

「まずは一撃、放て!!」

 

 右手に持つ主砲を構え、引き金を引く。同時に他の艦娘たちも艤装から砲弾を放つ。放たれた砲弾は白い巨躯に向かって飛んでいく。空を切り裂いた砲弾は直撃する前に爆ぜ、無数の子弾をさらに放つ。だが、それらは何かに弾かれ、爆ぜた。

 

「やはりバリアか」

「一気に攻撃を仕掛けましょう!」

 

 榛名の声に応じて、全員が砲弾を放つ。敵がは陸上にいるため魚雷は無効化される。ただ魚雷は海面を通るもの。もし一撃当てるのであれば海を通さなければいいのだ。

 

「これでも喰らえっ!!」

 

 一度両手に持つ砲をホルスターにひっかけ、両腰に装備されている四連装魚雷に指をかけ、引き抜く。そして前方に見える白い巨体に向けてぶん投げた。渚の手から放たれた魚雷は空を切る。くるくると回転しながら放たれた魚雷はバリアに直撃する。そしてバリアに直撃し、爆ぜた。爆ぜた魚雷がほかの魚雷を誘爆し、大きな爆発を起こす。

 

「突っ込む!」

 

 全速力で海面を滑り、港湾凄姫に近づく。いまだに煙でお互いの状況は見えない。

 

「はっ!」

 

 海面を蹴り、跳躍する。高く飛び上がり港湾凄姫の斜め上まで飛ぶ。左手に20.3cm連装砲を握る。右手は何も持たず、大きく開く。そして後ろに引き、

 

「一撃粉砕ッ!!パイル、バンカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 掛け声とともに右手を押し出す。押し出された右手はバリアに触れる。振れると同時に周囲に電流のようなものが発生した。次の瞬間、ガラスが割れるような音を立て、バリアが壊れた。

 

「ッッ!?」

「ぶっ壊れろおおおオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 今度は左手に握る連装砲で顔面を殴りつけた。殴りつけた瞬間に、みしりという音が鳴る。手を押し出し、力をさらに加える。そして顔面に零距離の砲撃を叩きこむ。爆音と同時にがきんっ、という何かが折れるような音が鳴り響く。

 

「アアアアア!!!」

 

 港湾凄姫が左手を薙ぎ払い、渚を吹き飛ばす。巨大な手に吹き飛ばされた渚は空中で受け身を何とかとり、海面に着地する。

 

「ごほっ!」

 

 口から血を吐き出す。吐き出された血は海面を赤く染める。あれだけ巨大な手で薙ぎ払われたのだ。それだけのダメージはある。

 

「提督!」

「かはっ………まだ…行ける……さっさと倒すぞ!!」

 

 もう一度血を吐き出し、口元を袖でぬぐう。視線を前に向ける。先ほど殴りつけた港湾凄姫は巨大な右手で顔の右側を押さえていた。

 

「……ユルサナイ……シズメテヤル……!」

 

 港湾凄姫の右目からは青黒い液体が流れている。先ほど殴りつけた砲身が目をえぐったようだ。同時に額にある角は真ん中でへし折れていた。

 

「…沈めるのはこっちの方だ!」

 

 ホルスターにひっかけた36cm連装砲を右手に持ち、構えた。


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