砲雷撃戦(物理)するには提督は必要ですか? ~はい。提督は脳筋仕様の化け物です~   作:elsnoir

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壱拾六話 大船の案

★鎮守府 会議室

side:渚

 

「さて、まず状況からだ」

 

 自分の背後にはPCから出力されたスクリーン。そしてそこには本土とここのあたりを示した巨大な地図。

 

「現在俺らが獲得している制海権は大体このくらい」

 

 PCを操作する。スクリーン上で白い丸が現れた。自分の鎮守府を中心にいくつか広がっている。

 

「俺たちの制海権はこの白い部分だ。そしてこれから」

 

 スクリーン上でこの島と本土をつなぐように太い灰色の直線が引かれた。

 

「大体このあたりの制海権を取得するのが目的だ。輸送ルートを完全に復帰させるのが俺たちの仕事。この制海権を取得すれば大体輸送ルートは回復するはずだ」

 

 スクリーンを切り替える。

 

「これからの問題だ。まず作戦をいくつかのフェーズに分ける」

 

 スクリーンが切り替わり、いくつかの項目になる。

 

「まず第壱フェーズ。この島と本土を直線状でつなぐと無人島がある。その無人島の制海権をとれとは言わない。無人島までの制海権を取得する」

「無人島の攻略は次のフェーズってことね」

 

 矢矧が呟いた。

 

「そうだ。第弐フェーズは無人島の攻略となる。ここでは敵深海棲艦の小さな泊地があるはずだ。大きな戦闘が予測される」

「姫、鬼クラスのお出ましってことね」

「だろうな。そして第参フェーズ。ここからが問題だ」

 

 スクリーンを切り替える。無人島の全体図が現れた。

 

「上に聞いて無人島の航空写真を送ってもらった。この写真によればちょうど真ん中が大きく開いている。ここに俺たちの泊地をつくる」

「「「「「!!」」」」」

 

 会議室にざわめきが走る。

 

「これは俺たちだけでは対応は不可だ。妖精さんに頼るのが一番いい形かもしれないが、妖精さんには工廠や入居施設の砲に回ってもらう」

「なら誰が」

「それはこの島の人の力を借りる。優秀な大工の方々がたくさんいるらしいからな。よって第参フェーズはこの島にいる大工の方々、並びに協力してくれる方々を無人島に連れて行く。連れて行く際はボートに乗っててもらう。資材は俺たちがボートに乗せて運んだり、船に乗せたり、現地で回収したりだ」

 

 苦労するのはこの第参フェーズと思われる。

 

「そして第四フェーズ。泊地の作成。これはさっきも言った通り、大工の方々と協力してくれる方を中心に泊地の作成に入る。俺は泊地作成の手伝いに回る。何人かの艦娘は他で料理作ったり、食材確保したりと何かしらやってほしい。そのメンバーはまたあとで選び、報告する」

「泊地を作っている間、提督は鎮守府を留守にする。誰が指揮を執るの?並びにその間は何をしていればいいの?」

 

 矢矧が言う。

 

「すまないが、その点はまたあとで話す。秘書艦にでもやってもらおうかと考えたが……秘書艦すら決めてないな…」

 

 今更になるが重大な事実に気づいてしまった。

 

「秘書艦は明日決めることにしよう。今日は作戦のフェーズを説明した後に演習にしよう」

「………」

「矢矧、冷たい目で見ないでくれ………それで、最後のフェーズだ。第六フェーズ」

 

 画面を切り替える。無人島から本土を映している。

 

「情報によれば無人島と本土をつなぐラインは数多くの深海棲艦がいるようだ。これらを殲滅し、完全に本土と無人島をつなぎ、輸送ルートを再びつくる」

「図を見るだけではそこまでの距離ではないようね」

「ああ。本土と無人島は大体に三十分で行ける距離だ」

「そうなれば、一度で殲滅するつもり?」

「ああ。一度の出撃で極力撤退しないで殲滅する。この部分にも姫または鬼もしくはそれ以上のクラスのやつがいる。」

 

 よっぽどのことがなければ撤退はしないつもりだ。

 

「そう。それで編成とか戦い方とかあるの?」

「正面突破で制海権トータル!」

「「「「「……………」」」」」

 

 渚以外沈黙する艦娘。

 

「なんだ、大船に乗ったつもりでいろ!俺がいる!」

「……きっと泥船ね」

「……もしかしたら羽の付いたカヌーかもしれないわ…」

「言い方を変えればいいんだろ!だったらタイタニックに乗ったつもりでいろ!!」

「「「「「それ沈む大船じゃないですか!?」」」」」

 

 

●艦娘の日記

side:矢矧

 

 とうとう作戦が動き出すころね。早くでもこの島の人達を安心させなくちゃ……それ以前にこの戦い方で本当に制海権がとれるかどうか心配だけどね…


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