砲雷撃戦(物理)するには提督は必要ですか? ~はい。提督は脳筋仕様の化け物です~   作:elsnoir

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★特別話 冬イベ 艦娘編

side:長門

 

 提督が支援艦隊を攻撃している間にこちらは主力艦隊を叩く。自分の背後で艦載機が放たれる。敵のヲ級も艦載機を放つ。

 

「突撃するわ!」

 

 五十鈴が空に向かって弾丸を放つ。艦載機を撃ち落とす。いくつかは落としそびれたが、ダメージは抑えた。

 

「さあ、行くわよ!」

 

 通信から霧島の声が響く。霧島を旗艦とした支援艦隊が攻撃を開始した。遠距離から砲弾が放たれる。回避されることもあったが、弾丸が敵艦に直撃する。ネ級を沈め、戦艦水鬼に小さなダメージを与える。

 

「あとは頼んだわよ!」

 

 支援艦隊が撤退していく。これからが本番だ。

 

「大井っち!」

「北上さん!」

 

 二人の声が響く。彼女たちの手から魚雷が放たれる。魚雷は一直線に海を切り裂き、ル級とネ級に飛んでいった。ル級は水しぶきを上げ沈んでいった。ネ級は中破しただけに終わった。

 

「全主砲、斉射!」

 

 腰に着く艤装が動き、照準を定める。そして砲弾が放たれた。戦艦水鬼に直撃した。目立ったダメージはない。カウンターを当てるかのように相手も砲弾を放つ。狙った先は五十鈴だった。

 

「きゃぁ!」

 

 一撃で大破していた。

 

「くっ」

 

 たて続きに金剛も撃つ。ル級に飛ぶ。金剛が撃つと同時にル級も放っていた。その弾丸は海面に直撃し、少しの爆風が金剛を襲うだけに終わった。逆に金剛の放った砲弾は直撃し、大破していた。後ろから鈴谷も撃つ。ヲ級に向かって直撃したが特にダメージはなかった。そこにネ級が砲を放つ。今度は金剛に向けてだ。金剛に直撃した。たびたび重なった戦闘でダメージが来ていたのか、小破してしまった。ヲ級が艦載機を放つ。空に艦載機が放たれる。

 

「甘いな!」

 

 主砲から三式弾を放つ。砲弾から無数の弾丸が飛び、艦載機を撃ち落としていく。

 五十鈴がかろうじて撃てる艤装から砲弾を放つ。ネ級に当たったが大きなダメージはない。

 

「艦載機の皆さん、お願いします!」

 

 千歳が艦載機を放つ。艦載機が飛び、大破したル級に向かっていく。そして射程内に入った瞬間に、魚雷を落とす。魚雷が海面をきり、ル級を沈めた。これで残るは戦艦水鬼、ヲ級、ネ級のみだ。

 

「これでどうっ!」

 

 鈴谷が撃つ。一直線に空を切った砲弾はヲ級に直撃する。砲弾は顔面に当たり、中破させることができた。その撃った鈴谷を戦艦水鬼が狙っていた。

 

「鈴谷!!!」

「えっ」

 

 金剛が声を上げていた。そのころには戦艦水鬼が撃っていた。

 

「しまっ」

 

 鈴谷の前で大きな爆発が起こった。鈴谷の前に金剛が立っていた。艤装が壊れ、服も破けている。

 

「鈴谷…大丈夫ですカ?」

「大丈夫…でも、金剛が!」

「私のことは大丈夫デース。それより戦いに集中するネ!」

 

 大破しながらも砲弾を放つ金剛。そこに長門も砲弾を撃ち込む。敵の装甲が堅すぎる故、なかなかダメージが入らない。そして再び千歳が艦載機を放つ。今度は中破したネ級に向かってだ。同じく魚雷を放ち、ネ級に直撃する。直撃したネ級は爆発し沈んでいった。

 

「榛名!あとは頼んだぞ!!」

「はい!!!」

 

side:榛名

 

「勝手は榛名が許しませんから!!」

 

 主砲を戦艦水鬼に向けて放つ。やはり大きなダメージを与えることはない。戦艦水鬼が砲を構える。目標は島風。

 

「ダメですぅ!」

 

 雪風が海面を滑り、島風をかばった。

 

「雪風ちゃん!?」

「大丈夫です…まだ沈みませんからっ!」

 

 二人のやり取りをしり目に、大井と北上がヲ級に向けて砲撃を当てる。直撃はするものの、大きなダメージはない。島風と雪風も砲撃するが、やはりダメージは少ない。矢矧も戦艦水鬼に向けて一撃を撃つ。ダメージは通らない。

 

「魚雷、お願いします!」

 

 榛名の声に答え、矢矧、北上、大井が魚雷を装填し、魚雷を海面に放った。大井の放った魚雷はヲ級へ。残り二人の魚雷は戦艦水鬼へ。魚雷はヲ級に直撃し、爆発した。戦艦水鬼にしてもやはり痛手とはならない。魚雷を放ったころにはすでに夜になりかけていた。

 

「夜戦……行きましょう!」

 

 自分たちの背後で第一艦隊が撤退していく。ここからは自分たちがやるしかない。暗い視界の中、狙いを定める。敵は中破。こちらは誰も大破していない。

 

「ナキサケベ!!」

 

 戦艦水鬼が声を上げる。その時と同時に空が光る。

 

「光!?」

 

 空にゆっくりと落下していく光があった。照明弾だ。

 

「こちら渚、支援艦隊は叩いた!」

「さすがね!」

 

 矢矧が感嘆する。この照明弾、渚が撃ったものだ。

 

「シズンデイケ!!!」

 

 戦艦水鬼が榛名に向けて砲弾を放った。

 

「ああっ!」

 

 直撃する。そう思うしかなかった。巨大な爆炎が上がる。

 

「榛名!!!!」

 

 矢矧が声を上げる。煙が晴れたころに立っていたのは榛名とはまた違う影。

 

「榛名っ、無事か!」

「てー…とく…?」

 

 渚が目の前に立っていた。左手に持つ飛行甲板は完全に大破して使い物にならなくなっていた。少し軍服も裂けている。自分の服も少しだけ裂けていた。

 

「無事だな。まだやれるな!?」

「…はいっ!榛名は大丈夫です!!」

 

 左手に持つ甲板を海に捨てる。

 

「いい加減に沈んだらどう!」

 

 矢矧が装填されている砲弾を全て放つ。そこに島風と雪風が魚雷をすべて叩き込む。中破まで追い込んだ。

 

「「全砲門っ!」」

 

 榛名と渚が声を上げる。

 

「「開けぇっ!!!!」」

 

 榛名は装填されている砲弾を。渚は右手の主砲と背に着く艤装から砲弾を、太ももに着く魚雷を、足に着く噴進砲からロケット弾を装填されている分全て放った。無数の弾丸、砲弾、魚雷が戦艦水鬼を襲う。直撃し、巨大な水しぶきを上げる。水しぶきの中でも赤い瞳が見えた。

 

「北上っ、大井っ、一気に決めろ!!」

「りょーかいっ!行くよ大井っち!!」

「決めましょう、北上さん!!」

 

 二人の手から装填されている魚雷が放たれる。海面を切り裂き戦艦水鬼に向かっていく。その魚雷に何もすることができなかった戦艦水鬼は直撃し爆発した。

 

「やったあ!!」

 

 艦娘たちが喜びの声を上げた。

 

「お疲れ様っ」

 

 矢矧が声をかけてきた。

 

「ああ。お疲れ様」

 

 この後無事に帰路につき、鎮守府に戻った。

 

 

★鎮守府 港?

side:渚

 

 体がくたくただった。あれだけの装備を扱っていれば疲れるのも当然だった。

 

「あっ、あの…提督?」

 

 港で一人立っていたら後ろから榛名に声をかけられた。

 

「ん?どうした?」

「あの…ですね」

 

 榛名は少し顔を赤くしていた。

 

「もしよかったら…榛名のチョコレート……もらっていただけますか?」

 

 榛名の手にはきれいにラッピングされた小さな可愛らしい箱があった。

 

「…ありがとう」

 

 そのチョコレートを手に取る。

 

「そ、それではっ!」

 

 榛名は足早に去っていった。

 

 

★鎮守府 提督の私室

 

「………んあ?」

 

 外を見る。眩しい。

 

「……………なんかすごい盛大な夢だったな…」

 

 どんな夢だったか具体的には思い出せない。ただ盛大で最後には少し甘かった気がする。身支度をし、軍服を身にまとう。そして帽子を取ろうと机に近づいた時に、見慣れない小さな箱があった。夢の中で見たような小さな箱。たしか榛名が渡してきた箱。丁寧にラッピングされていた。夢と同じ色で同じ形のものだ。

 

「…………まさかな」

 

 そのチョコレートを手に取り、執務室に向かった。




盛大な夢落ちでした。私は丙作戦でクリアしました。資材が足らなかったのです(盛大な言い訳)。

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