日本人のマセガキが魔法使い   作:エックン

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不死鳥の騎士団本部へ

ルシウスさんが訪ねてきてから、俺の状況は一変した。

ルシウスさんが訪ねてきた次の日に、ゴードンさんから話を切り出された。

 

「……ダンブルドアから、俺とお前に指示が出た。しばらくは姿をくらまして安全な場所に身を寄せるように、と。別々に過ごすことも推奨されている。俺はマグル界に、お前は両親の遺した部屋に隠れるべきだとな」

 

どうやらルシウスさんからの誘いを断ったことで本格的に俺の命が狙われる可能性があるそうだ。少しずつだが確実に事態が悪い方に動いていることを実感する。

ゴードンさんはダンブルドア先生からの指示には不満があるようだった。

 

「もしお前が望むならだが……」

 

ゴードンさんは顔をしかめながら、遠慮がちに口を開いた。

 

「俺もお前と同じ場所に身を寄せよう。安全とは言え、窓もなければドアもない場所にジッと一人でいるのは健全ではない。ただ身を隠すことだけを指示されて、次の指示が何もないのだ。いつまで身を隠せばいいのか、どうやって次の指示を受けるのか、そんなことも分からない。……仮にも命を狙われている人間を一人にするというのも、俺は納得がいかない」

 

そんなゴードンさんに、俺は安心させるように笑いかけた。

 

「俺は一人でも大丈夫だよ、ゴードンさん」

 

ゴードンさんは少し驚いた顔をした後、不満そうな表情になった。

 

「だがな……」

 

「本当に大丈夫なんだ。一人でいる事くらい、どうってことない。むしろ俺の所為でゴードンさんまで危険な目に遭う方が気が気じゃない。……ゴードンさんも、自分の身を大事にして欲しい」

 

俺がそう言うと、ゴードンさんはそれ以上何も言わなかった。

そうして話を打ち切ると、俺はすぐにでも部屋に隠れる準備を始めた。

部屋に持ち込むありったけの荷物を用意し、そのままホグワーツに行ける支度まで済ませる。

ペットの森フクロウであるシファーには、友人達への手紙を添えて送り出した。手紙の内容はいつも通りの近況報告に加えて、しばらくは連絡が取れなくなるが気にしないで欲しいというもの。

シファーにはグリーングラス家への手紙を最後に渡すように指示をした。そしてダフネへの手紙にホグワーツに行くまでの間、シファーを預かって欲しいとのお願いも付け加えておいた。

 

これで、部屋にこもる事の気がかりはなくなった。

 

ゴードンさんからの話を受けて翌日、俺は部屋にこもる準備が整った。

ゴードンさんも宿を閉め、マグル界へ亡命する準備が完了したようだった。

ゴードンさんは最後まで俺と一緒にいる事を申し出たが、俺がゴードンさんに自身の安全を第一にして欲しいという意志を変えなかった。

準備を終えたゴードンさんを見送る為に、俺は宿の外に出た。

ゴードンさんは荷物を持って宿の外におり、休業中の看板を張り付けた宿を見て寂しそうな表情になった。

 

「……お前とも、しばらく会えなくなるな」

 

「全部終わったら会えるよ。その時、また宿屋を再開して欲しいな。……俺、この宿をすごい気に入ってたんだ。静かで、落ち着く場所だから」

 

「そう言ってくれるのは嬉しいがな。……全部が終わるのが、いつになるかは分からないだろう?」

 

気楽な調子で話す俺に、ゴードンさんは寂しそうな表情のままだった。

 

「お前の父親との約束、俺は守れなかったな……」

 

ゴードンさんは、俺の父親との約束である俺の面倒を見るという約束にこだわっていた。

 

「もう十分、果たしてくれたと思うな。ゴードンさんがいなかったら俺は身寄りがなかったし……。一人で生きていくための場所まで用意をしてくれたわけだし」

 

俺の慰めは、ゴードンさんには何の意味もない様だった。

 

「だが、お前はまだ子供だ。そんなお前をたった一人で置いて行かなくてはならないなんてな……」

 

ゴードンさんは、そう言いながら辛そうに笑った。

 

「……不条理な世界だ。こんな子供に、一体何をさせようと言うんだ」

 

ゴードンさんの言葉は、思わず口から洩れたもののようだった。

 

 

 

ゴードンさんが宿を去ってから、俺はすぐに荷物を持って両親が遺した部屋へと引きこもった。

部屋に引きこもり続けるのは簡単な話だと思っていた。

しかし引きこもる時間が長ければ長い程、自分が想像していた以上の精神的な疲労は避けられなかった。

窓もなければドアもない。日の光を浴びずにいると時間感覚が麻痺してくる。時計がなければ夜なのか昼なのか分からなくなるのは、そう時間はかからなかった。

そして閉鎖された空間で過ごし続け、それがいつまで続くか分からないでいるのは確かに苦痛であった。外の事も分からず、ただ待ち続けるというのは気が休まるものではなかった。

本を読んだり課題をこなしたり時には軽く体を動かしたりと、気を紛らわせるために積極的に動くも、ふとした時には外の事を考え、何もできずにただ待っている時間が歯がゆく思う。

 

部屋にこもって一週間が経ち、数えきれないほどのため息をついて椅子に座っていた時だった。

唐突に暖炉から緑の炎が噴き出した。

驚き思わず身構える。警戒しながら暖炉の様子を見ていると、炎の中から男性が現れた。

 

「いやはや、ここに一週間も籠りっぱなしというのは辛い物だろう? 私も経験させてもらったことはあるが、家に窓が必要なのだと身に染みて分かったよ」

 

炎の中から出てきた男性は明るく陽気な声で話始めた。

それは知っている人物だった。呆然とその人物の名を呟く。

 

「……シリウス・ブラック」

 

名前を呼ばれたシリウス・ブラックはにっこりと微笑んだ。

 

「久しぶりだね。君に借りを返しに来たんだ」

 

 

 

 

 

両親が遺したこの部屋に来ることが出来る人物は、今のところ四人だけ。

俺、ゴードンさん、シリウス・ブラック、そしてポッター。

部屋にこもる俺に何か伝達をするには、俺以外の三人の誰かを経由しなくてはならないのは簡単な話だった。

マグル界に亡命をしたゴードンさんが暖炉ネットワークを使えるわけがなく、またポッターも普段はマグルの親戚の家で過ごしている為に暖炉での移動なんてできるはずがない。

必然的にシリウス・ブラックが俺への伝達役となるわけだが、俺はそこまで頭が回ってはいなかった。突然のシリウス・ブラックの登場に言葉を失ってしまった。

呆然とした俺をシリウス・ブラックじゃ楽しそうに笑った。

 

「そこまで驚いてくれるとは、来たかいがあったね」

 

「……いえ、考えてみればブラックさんしかここに来られない。俺への伝令役はブラックさんしかできないということに考えが回らなかったんです」

 

俺の返事を聞いてシリウス・ブラックは少し顔をしかめた。

 

「私のことはシリウスと呼んでくれないか? 家名で呼ばれるのは、好きではなくてね。それに君は私の命の恩人だ。そうかしこまらないでくれ」

 

「ああ、ではシリウスさんと……」

 

「敬称もいらない。シリウスでいい」

 

シリウスはそう言うと満足そうに笑ってから、部屋を懐かしそうに見渡した。感傷に浸っているようだった。

 

「思えば君がこの部屋を使わせてくれたから私はこうして生きていられるわけだ。……改めて、ありがとう」

 

シリウスはそう言いながら俺に微笑みかけた。俺はあいまいに頷いた。

 

「今度は君を助けるために我が家を使って欲しいと思っていてね。君を我が家に招待しようと思う」

 

「……これからあなたの家に行くんですか?」

 

「ああ、そうだ。そこはここと同じくらい安全な場所なんでね。さ、これを読んでおくれ」

 

そう言いながら、シリウスは懐からメモ書きを取り出して俺に渡した。

そのメモ書きにはこう書かれていた。

 

『不死鳥の騎士団の本部は ロンドン グリモールド・プレイス 十二番地 に存在する』

 

両親のメモに似たものを感じた。このメモを見たものでなければ、その場所に訪れることが出来ない魔法がかかっているのだろう。

メモの内容を確認してからシリウスへ返却すると、シリウスは陽気な口調のまま話始めた。

 

「ここが我が家だ。お察しの通り、このメモを見たものにしか入ることが出来ない。ああ、厳密には秘密の守り人であるダンブルドアから教えてもらわなければ、だけどね。この部屋よりも居心地は悪くなってしまうとは思うが、窓はあるし、外の状況も分かるようになる」

 

「……窓があるというのは、素敵ですね」

 

「そうだろう? ここは日の光が入らないからね」

 

シリウスはニヤリと笑い、俺も少し笑った。

久しぶりの人との会話だ。気持ちが段々と晴れていくのが分かった。

 

「それにここに来れば一人じゃなくなる。一人でいるよりもずっと健全だ。この場所には常に私やウィーズリー一家がいるからね。ロンやジニー、モリ―とも顔見知りだろう? そして、君にとってとても嬉しい人も待っている」

 

「俺にとって嬉しい人?」

 

シリウスはそう言いながら、少し意地悪そうな表情になった。

俺は少し怪訝な表情をしてしまったが、シリウスは気にした様子はなかった。

 

「まあ、ここで話を続けるよりも我が家に行った方が話が早い。早速行こうか」

 

そう言いながらシリウスは暖炉に向かってフル―パウダーを投げ込み、暖炉に緑の炎を灯した。

そしてこちらに手招きをした。

 

「ようこそ、わが家兼不死鳥の騎士団本部へ」

 

俺は招かれるまま、緑の炎へと足を進めた。

 

 

 

感じていた浮遊感がなくなると同時に、地に足が付く感覚があった。

そのまま歩くと視界が広がり、古いながらも豪勢な食堂に移動できたことが分かった。

そしてそこには何人かの人物がいた。

食堂にいる人を確認すると、そこにはシリウスの言う通り俺が会えて嬉しい人物がいた。

 

「ルーピン先生!」

 

驚きと歓喜で声を上げると、ルーピン先生もまた嬉しそうに笑い返してくれた。

シリウスの言う嬉しい人物とはルーピン先生の事だったのか。そう思いシリウスの方を見ると、シリウスは少し驚いた表情をしていた。俺がルーピン先生との再会をここまで喜ぶとは思っていなかったようだった。

そのことを不思議に思ったが、まずはルーピン先生との再会を素直に喜ぶことにした。

 

「また会えて嬉しいです、ルーピン先生」

 

「久しぶりだね、ジン。私も会えて嬉しいよ」

 

ルーピン先生は微笑みながらそう言うと、傍に立つ人達を手で示した。

 

「君に彼らの事を紹介しないといけないね。もっとも、ここにいるのは不死鳥の騎士団のメンバー全員というわけではないが……」

 

ルーピン先生がここにいる人達の紹介に入ろうとしていたのを、俺は少し困った顔になりながら止めた。

 

「すみません、ルーピン先生。そもそも、不死鳥の騎士団とは何なのでしょうか?」

 

俺の質問に、ルーピン先生は驚いた表情になった。

 

「おや、向こうでシリウスから何も聞かなかったのかね? 君がいた所も安全な場所だから、説明をしっかりと受けてからここに来るものだと思ったが……」

 

そう言いながらルーピン先生がシリウスの方を見ると、シリウスは肩をすくめた。

 

「いやなに、向こうであれこれ言うよりは実際に見せた方が早いと思ってね」

 

「……シリウス、君は説明が面倒で私に丸投げするつもりだったのだね?」

 

ルーピン先生は呆れた様に笑った。シリウスはニヤリと笑うだけだった。

ルーピン先生は俺に向き直ってから、少し真面目な表情をして話を始めた。

 

「それではここがどんな場所なのか、我々が何のために集まっているのかを説明しようか。……君の事も、みんなに紹介が必要だからね」

 

そうして、ルーピン先生は俺に不死鳥の騎士団について説明をしてくれた。

 

不死鳥の騎士団を簡潔に説明すると、ダンブルドアが率いる闇の帝王へ立ち向かうための秘密同盟。魔法省が闇の帝王の復活を認めない為、現在は秘密裏で活動をしている。

メンバーは前回の闇の帝王との戦争の際に立ち向かった人やダンブルドアの思想に賛同する人、ダンブルドアに恩義がある人と、何かしらでダンブルドアとつながりのある人達だという。

活動内容については不死鳥の騎士団のメンバーにしか話せないとのことで詳細は聞けなかった。ただ今も少しずつ闇の帝王復活を信じ共に立ち向かう仲間を増やしているとのことだ。

 

不死鳥の騎士団の総数は現在五十人を超えるが、俺の目の前にいるのはシリウス、ルーピン先生を含めて五人だった。ルーピン先生はこの場にいる初めて会う騎士団のメンバーの説明をしてくれた。

背の高いスキンヘッドの黒人の魔法使い、キングズリー・シャックルボルト。人を落ち着かせるような低く深い声をしていた。

気の強そうな堂々とした態度の魔女、エメリーン・バンス。俺の事を少し疑わしそうにしていた。

短く強烈な紫色の髪をして、キラキラと光る黒い目の整った顔の若い魔女、ニンファドーラ・トンクス。バンスとは対照的に、トンクスは俺に対してとても好意的な態度であった。

ルーピン先生は三人の紹介を終えると、今度は三人に俺の事を紹介し始めた。

 

「ジンの事も、少し話さなくてはならないね。彼はハリー達と同じ学年のホグワーツ生だ。アキラ達の息子だと言えば、分かるかな?」

 

父親の名を聞いて、シャクルボルトは納得したように頷き、バンスとトンクスは驚いたように目を見開いた。

そんな三人の反応をものともせず、ルーピン先生は俺の紹介を続けた。

 

「彼をここで匿うことになったのは、彼がルシウス・マルフォイからの誘いを断ったからだ。ここに匿わなくては彼は攫われるか殺されるか、よい事にはならないとダンブルドアはお考えだ」

 

「ルシウス・マルフォイからの誘いを断った? それは本当なのかい?」

 

バンスは疑うような口調で声を上げた。

それに対しては、シリウスが嬉しそうに返事をした。

 

「本当だろう。ダンブルドアからの情報だし、彼は信頼がおける人物だとは私も知っている。二年前に私を助けてくれたのは彼だからね」

 

バンスはなおも疑わしそうな表情であったが、トンクスは面白そうに笑った。

 

「ああ、だからシリウスは張り切ってたんだ。命の恩人を家に招くチャンスだものね。ねえ、バンス。私は彼が気に入ったわ! いい子なのは間違いないわよ!」

 

トンクスの言葉を聞いて顔を顰めたバンスに、今度はキングズリーが声をかけた。

 

「いずれにせよ、ダンブルドアが決めたことです。ダンブルドアが信じるというのなら、我々も信じる他ないでしょう」

 

バンスは他の二人から説得するように宥められ、それ以上声を上げることはなかった。

少し何か言いたげではあったが、ため息を吐いただけだった。

それを見てシリウスは満足げに笑うと、席を立ちあがり俺を手招いた。

 

「さて、これから多くの騎士団員がここを訪れる。ここで会議をすることになっているからね。君には悪いが、会議は騎士団員以外の人には参加させないようにしているんだ」

 

「……当然のことですね」

 

物わかり良く返事をする俺に、シリウスは苦笑いだった。

 

「そう言ってくれて、助かるよ。君の泊まる部屋は三階にある。荷物を運ぶといい。ああ、二階に上がれば案内してくれる人がいるはずだ。部屋は古くて少しばかり薄暗いが、窓もない部屋で一人いるよりはずっと楽しいはずだよ」

 

シリウスはそう言って俺を立ち上がらせ、俺を部屋の外へと追いやった。

俺は大人しく荷物を持って階段を上がっていると、バタバタと二階の部屋から人が出てくる気配があった。

顔を上げると、見知った顔がいくつもあった。

ロナルド・ウィーズリー、ジニー・ウィーズリー、フレッド、ジョージ。彼らは何か期待したような表情で階段の上から身を乗り出して俺を見ていた。

階段を上がる人物が俺であることを確認すると、全員が酷く驚いた表情だった。

 

「おっどろき! 君も騎士団の本部に呼ばれたんだ!」

 

フレッドが嬉しそうに声を上げて俺を歓迎し、その様子にロナルドとジニーが驚きで目を剥いた。

ジョージは俺を確認すると、一度に階の奥に引っ込んだ。

 

「おーい、出て来いよ。君も驚く人がここに来てるぜ!」

 

ジョージがそう言いながら連れてきた人物は、俺を見てひどく驚いた表情になった。

俺もその人物を見て、驚きで固まった。

 

「ジン! 貴方もここに呼ばれたのね!」

 

ハーマイオニーがいたのだ。ハーマイオニーが俺を見て驚きと喜びの声を上げた。

俺も驚きで固まったまま、曖昧に頷くことしかできなかった。

 

 

 

 

 

俺の部屋は三階にあるフレッドとジョージの部屋の隣の部屋をあてがわれた。

部屋に荷物を置くと、直ぐにフレッドとジョージが部屋に押し掛けてきた。

 

「君が呼ばれるって言うのは、正直かなりの予想外だったんだ」

 

フレッドはそう言いながらベッドに腰かけた。俺の訪問を楽しんでいるようだった。

 

「そして兄弟達にとっては、僕らの仲がいいというのはもっと予想外だったんだろうな。君と僕らの関係、誰にも言ってなかったからね。ああ、ハーマイオニーにも言ってなかったよ、僕らが悪戯グッズ作成の共犯だってね」

 

ジョージは悪戯っぽくそう言った。ロナルドとジニーの驚いた表情を思い出してか、くすくすと笑っていた。

 

「まあ、もう隠すことでもないと思うね。むしろ話すべきかもしれない。君が冗談の分かる奴だってことを知ってもらうだけで、お互いに過ごしやすくなるってもんさ」

 

ジョージの言葉に、俺は少し笑った。

 

「そうだな。もう仲がいい事もバレたんだ。知り合った経緯くらい話してもいいな。……部屋の事も、二人が話したいなら話してもいいさ」

 

そう言うと、フレッドとジョージは全く同じ表情で顔を顰めた。

そして、ジョージが口を開いた。

 

「部屋の事は、まだ黙ってたいなぁ。あそこ、今や僕らの研究材料や成果の宝庫だからね。勝手に使われたら困るものも置いてるんだ……。兄弟に知らせようものなら、勝手に持ち出されるのが関の山だ」

 

「そっか。いや、ならいい。元々二人の研究に俺も参加させてもらう為に紹介した場所だしな。二人の意思を尊重するよ」

 

そう言うと、二人はホッとしたように笑った。

そして二人は立ち上がると、俺を下の階に連れて行こうとした。

 

「みんな、君の話を聞きたがってるんだ。君が本部に来ることになった理由」

 

「そう、僕らもそれが気になってる。それに折角の機会だ。弟や妹と仲良くなってくれよ。そっちの方が、僕らも気が楽なんだ」

 

誘いに少し躊躇していた俺を二人は容赦なく無理やり立たせると、部屋から追い出すように背中を押した。

 

「おい、引っ張るなよ……。分かった、行くから、自分で歩くから引っ張らないでくれ」

 

二人に引きずられる形で俺は下の階に行くことになった。

二人とじゃれ合いながら思う。誰かといることは気分を明るくしてくれる。

シリウスの言う通り、一人でいるよりもずっと健全な生活ができそうだった。

 

 

 

フレッドとジョージに追いやられ、二階のロナルドの部屋で俺は不死鳥の騎士団の本部に連れられた事情を話すことになった。

俺が闇の魔術の才能を持っていて、闇の帝王にとって利用価値がある事。

その為にルシウス・マルフォイから誘いがあったが、それを断ったため命を狙われている可能性がある事。

そのことを考慮したダンブルドアの指示でシリウスが俺を迎えに来て、ここで匿ってもらうことになった事。

一通りの話をハーマイオニー、フレッドとジョージ、ロナルドとジニーに話した。

 

反応は様々であった。

 

ルシウス・マルフォイの誘いを蹴ったと聞いた時、フレッドとジョージは口笛を吹いて囃し立てた。

ハーマイオニーは心配そうに気遣ってくれた。ルシウスと敵対することでドラコ達とも敵対する関係になり、それが俺にとって負担になるのではと優しく声をかけてくれた。

ロナルドは複雑な表情をした。この話をどこまで信じていいのか分からない、という態度だった。フレッドとジョージとの仲を隠していたことも気に入らないようだった。

ジニーもロナルドと似たような表情だった。困ったように顔を顰めて考え込んでいた。

 

「いずれにせよ、あなたも新学期まではここに滞在するってことよね? それ、すごくいい事だと思うの! ダンブルドアも仰っていたでしょう? 団結することが大事だって。まずは明確な味方同士で団結をしなくちゃ。ほら、私達、団結するにはまだまだお互いの事を知らなすぎるでしょう?」

 

ハーマイオニーは俺への不信感があるロナルドとジニーに向けるように、そう明るく言った。

そしてロナルドが何かを言う前にハーマイオニーは立ち上がり、俺に明るく声をかけた。

 

「荷物の整理がまだでしょう? 手伝うわ! それが終わる頃には夕食になると思うの。ウィーズリ-おばさまが呼びに来るまでに、あなたの荷物の整理を終らせましょう!」

 

そう言ってハーマイオニーは俺を部屋からだし、再び俺を三階へと連れて行こうとした。

部屋から出る際にチラリと部屋に残った奴らの顔を見た。

フレッドとジョージが俺にウィンクをし、ロナルドとジニーへと話しかけていた。

二人は俺への不信感を拭おうと動いてくれるのだと分かった。

 

階段を上がりながら、ハーマイオニーは俺に明るく話しかけてきた。

 

「あなたからの手紙、読んでいたわ! 私の家に届いた手紙は全部、両親がここに送ってくれていたの。最後の手紙にしばらく手紙を送れそうにないって書いてあったから心配だったのだけど、ここに来ることになっていたなんてね!」

 

ハーマイオニーは俺の訪問を心から喜んでくれていた。

それが嬉しく思わず笑みがこぼれる。

 

「俺もハーマイオニーがいてくれて嬉しいよ。ウィーズリー家がいるのは聞いていたけど、まさかハーマイオニーまでいるなんてな。……そう言えば、ポッターはいないのか? てっきりポッターも一緒かと思ってたんだが」

 

そう言うと、ハーマイオニーの表情が曇った。

 

「ハリーはまだマグルの親戚の家にいるわ。近いうちにハリーもここに来るとは思うのだけど……」

 

ポッターはまだここにはいないようで、そのことをハーマイオニーは気にしているようだった。

 

「ハリーは、きっと私達に怒ってる。……ハリーには今何が起きているかを教えてはならないとダンブルドア先生からきつく言い渡されているの」

 

「それは、魔法界でポッターとダンブルドアがやり玉に挙げられていることや、不死鳥の騎士団の事も知らないということか?」

 

「ええ、きっとそう……。手紙を出してはいるけど、それはハリーにとってあまり意味のないものになってるの。だから私達はハリーに早くここに来て欲しいの。早く説明してあげて、不安を取り除いてあげたい……。あなたが来た時、てっきりハリーが来たかと思ったの」

 

「ああ、だからあんなにバタバタと階段から覗いてきたのか」

 

どうやら他の奴らもポッターが来たと思って期待した表情だったのだろう。

そのことの合点がいった。

そうして話をしながら俺の部屋につき、荷物の整理を始める。

課題や教科書などをひっぱりだし、普段着をクローゼットにしまう。部屋は人が泊まれるくらいに整理はされていたが、所々の掃除や古い家具の整理が終わっておらず、荷物の整理にもやや時間がかかってしまった。

荷物の整理をしながらも、ハーマイオニーと騎士団本部での過ごし方について話をしていた。

 

「ここにいる間にロンとしっかりと話をして欲しいの」

 

「ロナルド・ウィーズリーと?」

 

「ええ、ロンと。……それと、多分ジニーとも話が必要だわ」

 

ハーマイオニーも、ロナルドとジニーの二人が俺に対して不信感を持っていることは感じ取ったらしい。

 

「二人ともあなたの事を知れば、仲良くなれるはずなの。私達、団結する必要があるわ。あなたにもロンとジニーの事をよく知って欲しいのよ。……フレッドとジョージとは、既に打ち解けてるのが気になるけど。一体、二人とはいつ知り合ったの?」

 

「ああ、フレッドとジョージとは一年生の頃のクリスマスからの付き合いだ。あいつらの作る悪戯グッズに興味があってね。時々、開発に協力させてもらってるんだ」

 

「嘘でしょう! あなた、悪戯グッズの開発に関わってたの?」

 

ハーマイオニーは随分とショックを受けたように声を上げた。思わず笑う。

 

「カナリアクリームは俺も関わってたんだ。あれ、随分と売れたんだって?」

 

「それは……売れてけど……。あなた、隠れて校則違反になるようなことをしていたってこと?」

 

「いや、俺が関わっている時は特に校則違反もしてはいなかったな。けど確かに、二人が校則違反をしているかは分からないな。そんなに危険なことをしている印象はなかったけどなぁ」

 

校則違反をしていなかったと聞いて、ハーマイオニーは少しほっとしたような表情になった。しかし、直ぐにまた不貞腐れた様な表情になった。

 

「でも隠れて悪戯グッズを作ってたのって、感心しないわ」

 

隠れて悪戯グッズを作っていたことに、ハーマイオニーは納得がいかないようだった。

そんなハーマイオニーに笑いかけながら鞄に残っていた最後の服をクローゼットに押し込むと、ちょうど部屋のドアが開いた。

ウィーズリー夫人だった。

ウィーズリー夫人は俺を見ると、優しく微笑みかけた。

 

「夕食ができたから呼びに来たのよ。ああ、エトウ君、お久しぶり。あなたの事は聞いていたわ。新学期までここに滞在するんですってね? 人手が増えるのは助かるわ。ここは広くて、まだまだ掃除の手が回ってないのよ」

 

「お久しぶりです、ウィーズリーさん。しばらくの間、お世話になります」

 

「そうかしこまらないで。それに、ここは私の家でもないのだから!」

 

ウィーズリー夫人は笑いながらそう優しく俺に声をかけてくれた。

ウィーズリー夫人は表情こそ明るいが、最後に会った時よりもやつれているようだった。そして目の周りがはれぼったく、まるで泣きはらしたかのような顔をしていた。

そのことについて触れることは出来ず、大人しくハーマイオニーと共に下の食堂へ降りる。

階段を下りながら、ハーマイオニーは俺に声をかけた。

 

「ねえ、ここは安全よ。色々と心配なことはあると思うけど、せめてここにいる間は楽しく過ごしましょう? ……折角の、夏休みですもの」

 

ハーマイオニーはそう言って、少し控えめに微笑んだ。

去年の対抗試合の時にした約束を思い出した。夏休みに一緒に遊ぼうという約束だ。

ハーマイオニーはその約束を、ここで果たそうと思っているようだった。

 

「……そうだな。分かった。ロナルド・ウィーズリーやジニー・ウィーズリーとも上手くやるよ」

 

そう返事をすると、ハーマイオニーは嬉しそうに微笑んだ。

そんな笑った顔を見て、少し嬉しくなる。俺はハーマイオニーの笑った顔に弱いらしい。

ハーマイオニーの笑った顔を見て、せめてここにいる間は他の人達と打ち解ける努力をすることにした。

 

 

 

 

 

ジニーにとって、ジンというのはひどく評価に困る人物であった。

命の恩人ではあるが、同時に強い苦手意識も持っていた。

ジニーとジンが話したのは、三年前の秘密の部屋の騒動の時だけ。その時の会話は、今も覚えている。

 

『ポッターが来なかったら、俺はお前を殺してたよ』

 

彼が何でそんなことを言ったのか、当時はよく分からなかった。今思えば彼なりの気遣いだったのだとは思う。自らの意志で彼を襲ってしまったことを嘆く自分に、気にするなと言うための。

ただ今も引っ掛かっているのは、その言葉がかなり本気であったということだ。

 

秘密の部屋の騒動以降、ジニーはジンの事が怖くてたまらなかった。何を考えているのか分からないのだ。

だが、そのことは誰にも相談はできなかった。命の恩人を貶めるようなことを言いふらすのはジニーとしても気が進まなかった。

時が経ちジンがハーマイオニーと仲が良く穏やかで親切な人であることをなんとなく知って、一層に気味が悪くなった。

穏やかな態度の裏で、人を殺しても平気なのではないかと勘繰ってしまうのだ。

 

ドラコの様に分かりやすく嫌な奴で、ブレーズの様に分かりやすく嫌いなタイプであればよかった。

それであれば嫌うことや苦手に思うことに罪悪感はなかった。後ろめたくもなかった。

そして、フレッドとジョージに壁を感じることもなかっただろう。

 

ジンが騎士団本部を訪ねてきた日、ハーマイオニーがジンを部屋へ案内している間にフレッドとジョージからジニーとロンに話をされた。

 

「お前達はジンの事、信用ならないって思ってるだろ? 大丈夫だよ。あいつは話が分かる奴だから」

 

フレッドからそう切り出されても、ジニーは納得がいかなかった。そして、それはロンも同じようだった。

ロンが不満げに、フレッドに返事をした。

 

「でもあいつはスリザリンで、マルフォイの親友だ。……ここに招くのだって、やりすぎなんじゃないかって思うよ」

 

「至極まっとうな意見だな」

 

ジョージはそう言いながら感慨深げに頷いて見せた。そんなおどけた様子も、ジニーは少し不満だった。

 

「けど、あいつ自身が言ってたろ? マルフォイと決別したんだ。あいつは完全にこっち側だって、思うけどなぁ」

 

「スパイだって可能性はないの?」

 

「ダンブルドアが信じてるんだろ? それに、僕達二人もその線は薄いと思ってるよ。……あいつは本当にお人好しの部類だから」

 

「なんでそんなに信じられるのさ」

 

ジニーが言いたいことは、ロンが代弁する形となっていた。ジニーも強く頷きながらロンの意見に賛同をする。

フレッドとジョージは少し困ったように顔を見合わせると、フレッドが口を開いた。

 

「そうだなぁ……。あいつがお人好しだって、ジニー、お前なら分かると思ってたんだけど」

 

「それは……そうだけど……」

 

命を救われたことを言われ、ジニーは弱った表情になった。

ジニーとしては命の恩人だと分かった上で信用できないと思っているが、それはあまりにも身勝手な意見だと思い言葉にはできなかった。

そんなジニーと、まだ顔を顰めているロンに今度はジョージが声を上げた。

 

「ジニーの命の恩人で、シリウスの命の恩人。ついでにロン、お前だって命を救われたんだろ?」

 

ロンもジニーも、フレッドとジョージの言葉を受けて返事に詰まった。

フレッドとジョージの言うことは正しく、二人にはきっと命を救われたのに信用しきれないジニーやロンが不義理な人間に映っているのだろう。そう思と、居心地が悪かった。

だが、いまだ納得しきれないジニーとロンにフレッドとジョージはそれ以上強く言わなかった。

 

「ま、時間はあるし、自分達でジンと話してみろよ」

 

「あいつが中々、話の分かる奴だってことはそれでわかるさ」

 

そう諭すように言ったフレッドとジョージに、ロンは不満げにポツリと呟いた。

 

「……僕は、あいつが良い奴かどうかじゃなくて信用できるかどうかが知りたいだけだ」

 

ジニーはその言葉にものすごく同意で、強く頷いた。

そんな二人にフレッドとジョージは苦笑いだった。

 

「なら、なおのこと話さないとな」

 

ジョージの言葉に、ロンとジニーはそろって苦虫を噛み潰したような表情になった。

それからジニーにとって、ジンが来てからの騎士団本部は少し息苦し空間になってしまった。

 

 

 

ジンは何かと、ジニーと話そうとしているのは分かった。

それも至極どうでもよく、ありふれたことをだ。

屋敷の掃除を任され、ジンとジニーが初めて二人になり掃除をしている時も、ジンの方から話しかけられた。

 

「……今年でお前は四年生か。そうすると夏休みの課題では、誘い薬のレポートがあったか?」

 

「……ええ、あったわ」

 

「ああ、そうだよな。あれは常温三日で気化し、甘い香りと共に効果が増幅される。そのことも踏まえて有用性と保存方法を書くと、加点されると思うぞ」

 

「……ご忠告、どうも」

 

ジンは話題に迷った挙句、課題や本の内容の話をした。

その時点でハーマイオニーと気が合う理由は分かったが、それ以上の事は分からなかった。

今のところ、フレッドとジョージが気に入るような話の分かる奴だとは思えなかった。

 

初めて二人になった時の会話はつまらなく、話した時の感想は「こいつモテないな」というものだけだった。

 

そうフレッドとジョージに伝えると、二人は爆笑するだけで何も言わなかった。

その態度が、二人がジンの事をとても信頼しているが故のものだと分かり、また少し兄弟との壁を感じて寂しくなった。

 

唯一ジンへの不信感を共感できるロンは、ジンが来てから気難しい態度で話しかけにくかった。

ロンはジンを話題に出すのもあまり気に入らないらしく、ジニー以上にジンに壁を張っていた。

ロンはそんな態度なので、ジニーとしてはジンへの不信感や愚痴というのはフレッドとジョージ以上に話しにくいものだった。

 

いつの間にか、ジンがいるというだけでジニーにとっては相当なフラストレーションになっていた。

態度は少し刺々しくなり、母親にまで注意された。それが気に入らなく、また一層に態度が悪くなってしまった。

 

そんなジニーが気兼ねなく話ができる数少ない人間が、トンクスだった。

仕事から早く上がったトンクスと食堂で二人になった時、ジニーは溜め込んだものを吐き出すようにジンへの不信感や不満を吐き出していた。

 

「私、エトウって何を考えてるか分からなくて苦手なの。……あの人が来てから、本部が息苦しいわ」

 

トンクスはそれを聞いて少し驚きながらも、ジニーを責めることなく笑いながら返事をしてくれた。

そんなトンクスの態度が、ジニーにとっては救いだった。

 

「確かに、あの子は表情が乏しいね。怒ったり苛立ったりした様子も見せないけど、楽しそうな様子もあまり見ないね」

 

「そう! あんまり笑わないから楽しいかどうかもさっぱり。よく話しかけてくるけど、なんか取り入ろうとしてるみたいであんまり気分良くないわ。それに、話もつまらない。ユーモアがないの」

 

「おお、そうなの? 私、あまり話したことがないから気になるなぁ。ねえ、ジンってどんな子なの?」

 

「掃除中にする話題が、魔法薬学のレポートの加点方法について。そんな話を淡々とする人よ」

 

「わぁ、すっごい。まさか本気でそんな話をするの? そのままじゃ彼、ビンズ先生の跡継ぎになっちゃうわよ」

 

「本当よ。掃除しながらレポートの話なんだもの。苦痛で仕方なかったわ」

 

ジニーの話にトンクスはケラケラと笑い、その様子にジニーは自分の中に溜め込んだストレスが消えていくのが分かった。そして、楽しく明るい気持ちが湧いてきた。

 

「でも私はいい子だと思うなぁ、あの子」

 

ただトンクスがジンに好意的な意見を述べ始めたので、その気持ちはすぐに萎んでいった。

そんなジニーの感情の機微を悟ったのだろう。

トンクスは声を上げて笑った。

 

「ジニー、本当にジンの事が苦手なんだね。そっかそっか。それじゃあ、本部も息苦しくなっちゃうなぁ」

 

ジニーはそう言って笑うトンクスに少し不満だった。

トンクスは笑った後、突然に立ち上がった。立ち上がった拍子に椅子を倒し、大きな音が鳴った。

ジニーが驚いて目を見開いていると、トンクスはキラキラとした笑顔でこう言った。

 

「よし、ジニー! ジンへの苦手を克服してあげる。ついでに、悪い子じゃないって教えてあげるよ!」

 

トンクスはそう言うと、ジンを呼びに食堂を出て行った。

ジニーはぽかんと口を開けて見送るしかなかった。

 

 

 

 

 

部屋で本を読んでいると、突然のノックと共にドアが開けられた。

ドアの方を見ると、トンクスが輝くような笑顔で立っていた。

 

「よ、ジン! 暇だったら下で話さない?」

 

「……ええ、構いませんが」

 

「いいね、それじゃあ行くわよ! あと、そうかしこまらないでよ。私にはもっとフランクな態度でいいわ!」

 

そう明るく言い切ると、トンクスはスタスタと一階に向かっていった。

本を閉じて後を追い、トンクスに続いて食堂に入る。

食堂には相変わらず楽しそうに笑うトンクスと、呆然とした表情のジニーがいた。

ジニーがいたことに驚き俺も呆然として固まっていると、トンクスはもっと楽しそうにした。

 

「さあ、ジン、ジニー! 仲良くなるためのいい方法があるの!」

 

「……それは、何ですか?」

 

俺の質問に、トンクスは輝くような笑顔で言った。

 

「恋バナしましょう!」

 

頭の中が真っ白になった。

 

 


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