カイザー亮 LP1900 手札2枚
場 サイバー・ダーク・ホーン、キメラテック・ランページ・ドラゴン
伏せ 二枚
エド・フェニックス LP1300 手札0枚
場 無し
伏せ 一枚
一時休戦によって、戦いはほんの2ターンの間だけ停滞したが、その効果は亮のエンド宣言と共に消えた。
これから再び亮とエドによる互いの持つ力の全てを出した、総力戦が繰り広げられる…………と、観客どころかエドの対戦相手たる亮すらがそう思っている。或はこのデュエルをTVで見ている他の四天王たちも同じかもしれない。
しかし恐らくはDDやマッケンジー校長などの『エド・フェニックス』に極々近しい人間しか知らないことだが、エド・フェニックスは未だに己の全ての力を出してなどいないのだ。
「ふふ……」
「何が可笑しい?」
「いや僕としては『こっち』はHERO使いである遊城十代とのデュエルまでとっておきたかったんだがね。流石にあのカイザー相手にこっちの切り札を温存したままというのは分が悪い」
「なに? お前はHERO使いではなかったのか!?」
「勿論そうだ。僕がHEROデッキの使い手なのは嘘じゃない。だから僕の奥の手というのも無論『HERO』さ。といっても遊城十代や宍戸丈の『HERO』じゃない」
「馬鹿な。そんなHEROがこの地球上に存在するはずがない!」
十代や丈など周りに二人もHERO使いがいたお蔭で、亮はこの地球上に存在するほぼ全てのHEROカードについて知っている。
異なるモンスターと融合することで真価を発揮するE・HERO、二体のHEROが力を重ねることで誕生するV・HERO、仮面を被ることで新生するM・HERO、そして二体のM・HEROが融合することで誕生する混沌の戦士C・HERO。これがHEROカードの全てだ。他のHEROなど亮の知る限り他に存在しない。
「それがあるんだよ。未だ嘗て誰も知らない『運命』を支配する最強のHEROが! 僕のターン、ドロー! 強欲な壺で二枚カードをドロー。僕は手札のD・HEROダイヤモンドガイを攻撃表示で召喚する!!」
【D-HERO ダイヤモンドガイ】
闇属性 ☆4 戦士族
攻撃力1400
守備力1600
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する時、
自分のデッキの一番上のカードを確認する事ができる。
それが通常魔法カードだった場合そのカードを墓地へ送り、
次の自分のターンのメインフェイズ時に
その通常魔法カードの効果を発動する事ができる。
通常魔法カード以外の場合にはデッキの一番下に戻す。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
エドが自らの気高い誇りを言霊にして、誰も知らないHEROの名前を呼んだ。
アメリカンコミックのヒーローをイメージしているE・HEROとは赴きの異なる、英国のヒーローを思わせるダイヤモンドの戦士がフィールドに出現した。
「D-HERO!? こんなHEROがあったのか!?」
「D-HERO ダイヤモンドガイはHEROというカテゴリーを世に送り出した僕の父が、人生の最期に生み出した遺作……。その力は地球上に存在する全てのHEROをも凌ぐ!」
「!」
「ダイヤモンドガイのエフェクト発動。1ターンに1度、デッキトップを確認し通常魔法なら墓地へ送る。違った場合はデッキの一番下に戻す。
このエフェクトにより僕はデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードは通常魔法、終わりの始まり。よってこのカードを墓地へ送る」
【終わりの始まり】
通常魔法カード
自分の墓地に闇属性モンスターが7体以上存在する場合に発動する事ができる。
自分の墓地に存在する闇属性モンスター5体をゲームから除外する事で、
自分のデッキからカードを3枚ドローする。
終わりの始まりは一気に三枚ものカードをドローする、強力なドローソースであるが、厳しい発動条件により投入できるデッキの限られたカードだ。
D-HEROダイヤモンドガイの属性は闇。もしD-HEROが闇属性ばかりのHEROならば、このカードが入っていても不思議ではない。
「僕はリバースカードを一枚セット。ターンエンドだ」
「……通常魔法を墓地へ送り、リバースカードを伏せただけでターンエンドとはな。D-HEROの力を見せてくれるのではなかったのか?」
「焦らなくても次の僕のターンには、厭だと言われてもたっぷり見ることになる。Eを超えたDの力を!」
「ならばお前のターンが来る前に片を付けるまでだ。俺のターン、ドロー。強欲な壺でデッキよりカードを二枚ドローする。
手札より融合を発動。場のサイバー・ダーク・ホーン、手札のサイバー・ダーク・キール、サイバー・ダーク・エッジを融合。
そちらが地球上最強のHEROで来るというのであれば、俺はサイバー流裏デッキ最強のモンスターで迎え撃つまでだ。
サイバー流の歴史の闇に封じられし悪しき機械の竜よ。無間の地獄を踏破し、今こそ我が戦列に加わるがいい! 現れろ、鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン!」
【鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン】
闇属性 ☆8 機械族
攻撃力1000
守備力1000
「サイバー・ダーク・ホーン」+「サイバー・ダーク・エッジ」+「サイバー・ダーク・キール」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在する
ドラゴン族モンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。
また、このカードの攻撃力は自分の墓地のモンスターの数×100ポイントアップする。
このカードが戦闘によって破壊される場合、代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊する。
三体のサイバー・ダークが合体して、一つのモンスターとして生まれ変わる。三体のサイバー・ダークが複雑に絡み合い合体した姿は、どこか不気味で、振れただけで心臓を潰すほど危険なオーラを漂わせていた。
「サイバー流の看板は三体のサイバー・ドラゴンの融合体であるサイバー・エンド・ドラゴン。なら裏サイバー流の切り札はサイバー・ダーク三体融合ということか」
「その通り。変幻自在にして剛力無双。〝融合召喚〟を極めたサイバー流に隙は無い。サイバー・ダーク・ドラゴンのモンスター効果! このカードが特殊召喚に成功した時、墓地に眠るドラゴン族モンスターを引きずり出し装備カードとする!
サイバー・ダーク・ドラゴン! 俺の墓地にいるラビードラゴンを引きずり出し糧としろ!!」
引力に引き込まれるように墓地で眠りについていたラビードラゴンが引きずり出され、サイバー・ダーク・ドラゴンがそれに絡みつく。
下級サイバー・ダークには装備できるのはレベル3以下という制限がついていたが、サイバー・ダーク・ドラゴンにはそのような制限はない。
「これによりサイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃力は2950ポイントアップ。更にサイバー・ダーク・ドラゴンは自分の墓地にいるモンスターの数×100ポイント攻撃力をアップさせる!
俺の墓地にあるモンスターカードの数は12枚。よって1200ポイントアップ! ラビードラゴンも合計してサイバー・ダーク・ドラゴンの攻撃力は5150だ!!
キメラテック・ランページ・ドラゴンの効果でサイバー・ジラフとサイバー・ドラゴン・ツヴァイを墓地へ送る。バトル! サイバー・ダーク・ドラゴンでダイヤモンドガイを攻撃! フル・ダークネス・バースト!!」
「罠発動、体力増強剤スーパーZ! このエフェクトにより、僕はダメージを受ける前にライフを4000ポイント回復させる!」
【体力増強剤スーパーZ】
通常罠カード
このターンのダメージステップ時に相手から
2000ポイント以上の戦闘ダメージを受ける場合、
その戦闘ダメージがライフポイントから引かれる前に、
一度だけ4000ライフポイント回復する。
エドLP→1300→5300→1550
サイバー・ダークの魂を削る一撃は一瞬でダイヤモンドガイを消滅させるが、エドのライフを削り切るには足りなかった。
けれど亮の場にはまだ三回攻撃が可能なキメラテック・ランページ・ドラゴンが残っている。
「キメラテック・ランページ・ドラゴンで相手プレイヤーを直接攻撃! エヴォリューション。ランページ・バースト! サァンレンダァ!!」
「フッ。厄介なそのモンスターには退場してもらうよ。速攻魔法、死者への供物! 次の僕のターンのドローをスキップすることを代償に、フィールド上のモンスター1体を破壊する!」
「なに!?」
【死者への供物】
速攻魔法カード
フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊する。
次の自分のドローフェイズをスキップする。
地面から這い出てきた包帯がキメラテック・ランページ・ドラゴンを包み込み、死者の怨念がそれを締め殺した。
ドローというデュエリストにとっては大きすぎる代償はあるものの、速攻魔法でモンスターを破壊できる効果は強力である。
「またしても仕留めきれなかったか。俺はターンエンドだ……」
エド・フェニックスが口端を釣り上げた。
このターンで決着をつけきれなかったのは亮にとって最大の失策だったといえる。何故ならばエドが〝逆転〟するという〝運命〟は前のターンに決まっていたのだから。
終わりの始まりが訪れる。
遊矢は柚子とユートは瑠璃と融合じゃないユーゴはリンと其々深い仲っぽいのに、まったくセレナと関わりがなさそうなユーリ。しかもOPに未登場でフュージョン・ドラゴン(仮名)の登場はいつになるかまったくの不明。OCG化は更に不明。ユーリは犠牲になったのだ……シンクロ編への移行、その犠牲にな……。
あと異世界との開戦を宣言しても塾の宣伝を忘れないひみかちゃんは経営者の鏡。