カイザー亮 LP4000 手札5枚
場 無し
エド・フェニックス LP4000 手札5枚
場 無し
「僕のターン、ドロー!」
最初は飄々としていたエド・フェニックスもいざデュエルが始まると雰囲気が変わる。
史上最年少、つまりは〝若い〟ではなく〝幼い〟と呼ばれる年齢からプロリーグという魔窟で戦ってきた経験は、決して四天王にも劣らぬものだ。
(さて。エド・フェニックス……確かアメリカ・アカデミアのマッケンジー校長が親代わりで、あのDDが後見人という話だが)
エドが今日使用するという真のデッキがなんなのかは、亮は勿論のことマスメディアも知りはしない。亮が昨日軽くインターネットで調べてみたところ、ファンの間では激しい論争が繰り広げられていたが、どれもはっきりとした答えはなかった。
だがエド・フェニックスの真のデッキがどのような内容であるかで、亮がとるべき戦術も代わって来るだろ。
エドは自分の手札を確認すると、ニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「僕が発動するのはこれだ! 魔法カード、融合! 手札のE・HEROスパークマンと沼地の魔神王を融合する!」
「なに? HEROだと!?」
E・HEROは亮にとっては自分の無二の親友が使うデッキの一つであり、学生時代に最も注目した後輩の魂のデッキだ。カイザー亮という男にはサイバー流の次に身近なデッキと言えるだろう。
そして亮の知るHERO使いの中にまた新しい名前が加わる。エド・フェニックスという男の名が。
「沼地の魔神王は融合素材の代わりになることができるモンスター。僕はこのカードをE・HEROフェニックスガイの代わりに使用する。カモン! E・HEROシャイニング・フェニックスガイ!!」
【E・HERO シャイニング・フェニックスガイ】
炎属性 ☆8 戦士族
攻撃力2500
守備力2100
「E・HERO フェニックスガイ」+「E・HERO スパークマン」
このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、自分の墓地の「E・HERO」と名のついた
カード1枚につき300ポイントアップする。
このカードは戦闘によっては破壊されない。
二体のモンスターが融合して出現したのは、どこかシャイニング・フレア・ウィングマンの面影のあるHEROだった。
ただシャイニング・フレア・ウィングマンがHEROらしい輝きを灯しているのに対して、シャイニング・フェニックスガイの輝きにはどことなく影がある。
もしかしたらこれは純粋なHEROではなく、ダークヒーローをイメージされているのかもしれない。
「融合HEROを出してきたということは、やはりお前のデッキは」
「そうだ。僕のデッキは遊城十代や宍戸丈と同じHEROデッキだ」
「…………」
情報アドバンテージで遅れをとっていた亮にとって、エドのデッキが知り尽くしているHEROデッキだったことは運が良いことなのかもしれない。事実、前に丈のデッキ構築を手伝った過程で『シャイニング・フェニックスガイ』の能力についても把握している。
シャイニング・フェニックスガイは墓地のHEROの数だけ攻撃力を上昇させる効果に、戦闘破壊耐性をもったモンスター。これを取り除くことは除去方法が戦闘中心のサイバー流にとっては搦め手を必要とされるだろう。ただ別に攻略不能な相手ではない。
けれど亮のデュエリストとしての直感は警鐘を鳴らしていた。エド・フェニックスの全身から発せられる底知れぬ気迫。デッキから感じられるプレッシャー。あれは丈のHEROとも十代のHEROとも異なるものだ。
(まさかエドのデッキには俺の知らないHEROも――――)
「先攻は最初のターンに攻撃はできない。僕はリバースカードを二枚セット。ターンエンドだ」
「…………」
「さぁ。御手並み拝見させてもらいますよ、カイザー」
エド・フェニックスがHERO使いだったことには衝撃を受けたが、亮のやることは変わらない。いつも通り全力でデュエルをするだけだ。
アカデミアの生徒としては後輩のエドだが、プロとしてはエドの方が先輩である。よって初手から出し惜しみはなしだ。
「俺のターン、ドロー。このカードは相手の場にのみモンスターがいる場合、手札より特殊召喚が可能。サイバー・ドラゴンを特殊召喚」
『おおっと、融合HEROを召喚してきたエド・フェニックスに対してカイザー亮! いきなりサイバー流の象徴的カード、サイバー・ドラゴンを召喚したぞ!』
『ですがサイバー・ドラゴンの攻撃力は2100です。シャイニング・フェニックスガイを戦闘破壊することはできません』
そんなことは解説者に説明されるまでもなく亮とて承知している。
シャイニング・フェニックスガイを倒すのは、あくまでも別のカードだ。
「俺はサイバー・ヴァリーを通常召喚。更に魔法カード、精神操作を発動。相手モンスター1体のコントロールを得る」
「!」
【サイバー・ヴァリー】
光属性 ☆1 機械族
攻撃力0
守備力0
以下の効果から1つを選択して発動できる。
●このカードが相手モンスターの攻撃対象に選択された時、
このカードをゲームから除外する事でデッキからカードを1枚ドローし、
バトルフェイズを終了する。
●このカードと自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を
選択してゲームから除外し、その後デッキからカードを2枚ドローする。
●このカードと手札1枚をゲームから除外し、
その後自分の墓地のカード1枚を選択してデッキの一番上に戻す。
【精神操作】
通常魔法カード
相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターのコントロールを得る。
この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、生け贄にする事もできない。
戦闘には強いシャイニング・フェニックスガイもコントロール奪取には無力だった。
精神操作でコントロールを得たモンスターは攻撃することも生け贄にも出来ないが抜け道はある。
「サイバー・ヴァリーのモンスター効果。このカードと自分フィールドのモンスターを除外することでカードを二枚ドローする。
精神操作が封じているのはあくまでも生け贄。除外することは可能だ。俺はサイバー・ヴァリーとシャイニング・フェニックスガイを除外しカードを二枚ドロー!」
「シャイニング・フェニックスガイへの対処と手札交換を同時にやってのけたか。成程、斎王が注意を払うだけはある」
「バトル。サイバー・ドラゴンでプレイヤーを直接攻撃。エヴォリューション・バースト!」
「罠発動、ガード・ブロック! このカードの
「易々と通してはくれんか。バトルを終了。カードを一枚伏せターンエンドだ」
「僕のターン、ドロー」
三枚もの手札を消費して出したシャイニング・フェニックスガイをあっさり除去されたわりに、エドには動揺らしい動揺は見受けられなかった。
ということはこれをリカバリーする手段が手札の中にあるという証左である。亮の予感を裏付けるようにエドはカードを発動させた。
「僕は強欲な壺を発動。カードを二枚ドローし、融合回収のエフェクトにより僕はスパークマンと融合を回収する!
それじゃあさっきのお返しといこう。僕は精神操作を発動。このエフェクトにより僕はサイバー・ドラゴンのコントロールを得る!」
「なに?」
シャイニング・フェニックスガイが亮のフィールドへやって来たのと同じように、サイバー・ドラゴンが繰糸に捕まってエドのフィールドへ引きずられていった。
「精神操作の抜け道は除外だけじゃない。僕は融合を発動、手札のスパークマンと場のサイバー・ドラゴンを融合。カモン! 光のHERO! E・HERO The シャイニング!
さらに僕はミラクル・フュージョンのエフェクト発動。墓地のスパークマンと沼地の魔神王を融合! カモン! E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン!!」
【E・HERO The シャイニング】
光属性 ☆8 戦士族
攻撃力2600
守備力2100
「E・HERO」と名のついたモンスター+光属性モンスター
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、ゲームから除外されている
自分の「E・HERO」と名のついたモンスターの数×300ポイントアップする。
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
ゲームから除外されている自分の「E・HERO」と名のついた
モンスターを2体まで選択し、手札に加える事ができる。
【E・HEROシャイニング・フレア・ウィングマン】
光属性 ☆8 戦士族
攻撃力2500
守備力2100
「E・HERO フレイム・ウィングマン」+「E・HERO スパークマン」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在する「E・HERO」と名のついた
カード1枚につき300ポイントアップする。
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
並び立つ『シャイニング』の名をもつ二体の融合HERO。レベルはともに8の最上級。前のターンに除外されたシャイニング・フェニックスガイを合わせれば、これで三体目の光のHEROだ。
亮のフィールドのサイバー・ドラゴンすら利用した怒涛の連続融合に、さしもの亮も目を見開き驚愕した。
「E・HERO The シャイニングは自らのエフェクトにより除外されている『HERO』の数だけ攻撃力を300ポイントアップさせる。除外されているHEROはシャイニング・フェニックスガイとスパークマンの二体。よって攻撃力が600ポイントアップし、その数値は3200。
そしてシャイニング・フレア・ウィングマンは墓地のHEROの数だけ攻撃力を300ポイントアップさせる。だが僕の墓地にはHEROは存在しない。よって攻撃力の変動はなしだ」
どちらにしても3200と2500のモンスターが並び立つというのは驚異だ。パワー・ボンドを使えば軽く凌駕できる数値だが、今はエドのターンであるし、亮のフィールドにモンスターはいない。
傍から見れば絶体絶命の窮地、大観衆の九割以上がこのターンで決着がつくと思っているだろう。しかし、
「バトル! シャイニング・フレア・ウィングマンで直接攻撃――――」
「手札から速攻のかかしを捨てる。これによりバトルフェイズを終了させる」
「簡単には勝たせてくれないか。僕はこのままターンを終了する」
【朗報】ARC-VのOPに250円のドラゴンを召喚するニートを確認
とまぁ元ジャックがARC-Vに出演するのは知っていましたが、OPにまで出てくるということは、GXに出てきたペガサスとか迷宮兄弟のようなゲストではなく、がっつりストーリーに関わってくるようですね……。というかあれじゃまるで元キングがラスボスのようだ……。あれですかね? 元祖エンタメデュエリストの転倒王者元キングが、遊矢にキングのポーズでも教えるという展開でしょうか。