バクラ LP4000 手札5枚
場 無し
牛尾哲 LP4000 手札5枚
場 無し
「先攻はオレ様だ。オレ様のターン、カードドロー。首なし騎士を攻撃表示で召喚」
【首なし騎士】
地属性 ☆4 悪魔族
攻撃力1450
守備力1700
反逆者に仕立て上げられ処刑された騎士の亡霊。
失ったものを求め、出会った者に襲いかかる。
その名前の示す通り首のない騎士が、鎧をがちゃがちゃと鳴らしながらフィールドに這い出てくる。
アイルランドには首のない男の精霊としてデュラハンという存在が語られているが、こちらは自分の首を失ったまま所有していないという点で異なるだろう。
「首なし騎士だぁ? 今時誰も使ってねえ時代遅れのクズカードじゃねえか。そんなカードじゃこの俺のデッキは倒せねえ」
「クククククッ。随分とデッキに自信があるようでなによりだ。そうでなけりゃオレ様も奪い甲斐がねえってもんだからよ。チンケな貧乏人から金を盗んでも仕方ねえ。盗むんなら王族の財宝が一番そそるってものだぜ。つってもテメエは王って柄でもねえ。精々が木端役人ってところだな」
「よく吼えるじゃねえかクズ野郎。よーし、お前の罪状に名誉毀損に侮辱罪も付け加えといてやるぜ。覚悟しておきな、十年は豚箱入りだ」
「随分とお優しいじゃねえか、お役人様。たかが十年で釈放してくれるってわけかい。オレ様の生きた時代なら極刑ものだ」
「時代? 何言ってやがるんだ?」
「オレ様はリバースを三枚伏せる。ターンエンドだ」
「訳の分からねえことを言いやがって。俺のターン、ドロー!」
デュエルモンスターズの一般化に伴い増加傾向のデュエルモンスターズ関連の事件。それに対処するために、警察内部から腕利きのデュエリストを集めたのが
それに選ばれた牛尾は雑魚などでは断じてない。デュエルモンスターズを悪用するマフィアなどとも激しい戦いを繰り広げてきたこともあって、或は下手なプロデュエリストをも凌駕するといえる。
故に牛尾は本能的に目の前にいる敵――――バクラの危険性に感付いていた。もしかしたら学生時代のトラウマが再燃しているだけかもしれないが。
「悪くねえ手札だ。お前みてえなクズは知らねえだろうが、俺達のような
しかも
「権力ってやつか」
「更におろかな埋葬を発動。デッキからカードを一枚墓地へ送る。俺が墓地へ送るのはシャドール・ビースト。こいつの効果で一枚カードをドローだ」
「待ちな。オレ様もこの瞬間、リバースを発動する。便乗!」
【シャドール・ビースト】
闇属性 ☆5 魔法使い族
攻撃力2200
守備力1700
「シャドール・ビースト」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードがリバースした場合に発動できる。
自分はデッキから2枚ドローする。
その後、手札を1枚捨てる。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
【便乗】
永続罠カード
相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時に発動する事ができる。
その後、相手がドローフェイズ以外でカードをドローする度に、
自分のデッキからカードを2枚ドローする。
便乗は相手がドローフェイズ以外でドローする度に、カードを二枚ドローする一見強力なドローエンジンだが、これには発動した時にはドローできないという最大の弱点がある。
ただこれで相手のドローソースを牽制することはできるし、一時休戦などとコンボすれば一気にカードを三枚ドローすることも可能だ。
「狡いカードを使いやがるぜ。まずは小手調べだ。手札よりクリバンデットを召喚。カードを二枚伏せターンエンド。そしてエンドフェイズ時にクリバンデットのモンスター効果を使うぜ。
こいつをリリー……おっと、まだ一般では生け贄だったな。生け贄にし自身のデッキから五枚のカードをめくる。その中から魔法・罠カードを一枚選んで手札に加え、残りは墓地へ送る」
【クリバンデット】
闇属性 ☆3 悪魔族
攻撃力1000
守備力700
(1):このカードが召喚に成功したターンのエンドフェイズに
このカードをリリースして発動できる。
自分のデッキの上からカードを5枚めくる。
その中から魔法・罠カード1枚を選んで手札に加える事ができる。
残りのカードは全て墓地へ送る。
クリバンデットはまだ一般流通していないカードの一つだが、デッキの一番上から五枚という制限はあるが、デッキサーチと墓地肥しを行う優秀なカードである。
墓地にモンスターがいけばいくほど強くなるオカルトデッキの使い手であるバクラも、墓地を肥すことの重要性は理解していた。
だが牛尾がセキュリティより支給された『スペシャルデッキ』にとって、これはただの墓地肥しにはならない。
「俺がめくったカードはシャドール・ドラゴン、影依融合、シャドール・リザード、バトルフェーダー、暴れ牛鬼……。俺は影依融合を手札に加え、残り四枚を墓地へ送る。
へっ。今日はラッキーデーだぜ。効果によってデッキから墓地へ送られた時、シャドール・ドラゴン、リザードの効果が発動するぜ」
「デッキから墓地へ送ることで発動するモンスター効果だと? シャドールってのはシャドール・ビースト固有の名前じゃなく、シャドールってカテゴリーのカードだったってことか」
カテゴリーデッキということは、バクラのオカルトデッキにも投入できるカードは少ないだろう。
少々やる気をなくすバクラだったが、牛尾の使ってきたシャドールというテーマは、バクラにとっても初見のものだった。未知のカードにバクラの目つきが鋭くなる。
「シャドール・リザードの効果。こいつで俺はデッキからシャドール・リザード以外のシャドールを墓地へ送る。俺はシャドール・ファルコンをデッキから墓地へ送るぜ。
さらにシャドール・ドラゴンの効果によりテメエの伏せている右のリバースカードを破壊する」
【シャドール・リザード】
闇属性 ☆4 魔法使い族
攻撃力1800
守備力1000
「シャドール・リザード」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードがリバースした場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを破壊する。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから「シャドール・リザード」以外の「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。
【シャドール・ドラゴン】
闇属性 ☆4 魔法使い族
攻撃力1900
守備力0
「シャドール・ドラゴン」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードがリバースした場合、
相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを持ち主の手札に戻す。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、
フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
バクラの伏せていた『死霊の巣』が消し飛び、牛尾のデッキからはカードが一枚墓地へ送られる。
他のカードと同じく『シャドール』とついていたのだ。恐らくシャドール・ファルコンも墓地へ送られることで効果が発動するモンスターなのだろう。バクラはそう判断した。
「そして最後に墓地へ送られたシャドール・ファルコンの効果発動。こいつを墓地から裏守備表示で特殊召喚する」
【シャドール・ファルコン】
闇属性 ☆2 魔法使い族 チューナー
攻撃力600
守備力1400
「シャドール・ファルコン」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):このカードがリバースした場合、
「シャドール・ファルコン」以外の自分の墓地の「シャドール」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを裏側守備表示で特殊召喚する。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。
このカードを墓地から裏側守備表示で特殊召喚する。
墓地から出て裏守備になる際、ほんの一瞬だがバクラの目にもシャドール・ファルコンのソリッドビジョンが見えた。
一見すると単なる鳥獣族モンスターかと思ったが、よく見れば全身には数多の繰糸があり、体も機械仕掛けときている。種族が魔法使い族となっているのは、シャドール・ファルコンが何者かに操られている人形に過ぎないという暗示なのかもしれない。
「しかも
「御名答。次のターン、この俺のスペシャルな融合モンスターでお前はジ・エンド。めでたく豚箱行きだ」
「そいつはどうかな。このエンドフェイズ時、オレ様もこのカードを発動していた。永続罠、ウィジャ盤!」
「なっ! ウィジャ盤だとぉ!?」
ウィジャ盤とは霊界との交信に用いる、死者のメッセージを伝える文字盤。
バクラの背後にダーク・ネクロフィアの怨霊が現れ、彼女がプランシェットを滑らせ、最初のメッセージを告げる。
「ウィジャ盤が示した数字は『D』。さらにこのエンドフェイズに新たにデッキより死のメッセージカードが場に出現する。ウィジャ盤が示すのは……『E』だ」
【ウィジャ盤】
永続罠カード
相手のエンドフェイズ毎に、手札・デッキから
「死のメッセージ」カード1枚を「E」「A」「T」「H」の順番で魔法&罠カードゾーンに出す。
自分フィールド上の「ウィジャ盤」または
「死のメッセージ」カードがフィールド上から離れた時、
自分フィールド上のこれらのカードを全て墓地へ送る。
全ての「死のメッセージ」カードが
自分フィールド上に揃った時、自分はデュエルに勝利する。
【死のメッセージ「E」】
永続魔法カード
このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールド上に出す事ができない。
ダーク・ネクロフィアがプランシェットを滑らせ示したDとE、二つのアルファベットが霊体の髑髏に抱えられ闇に浮かび上がった。
あまりにも不気味過ぎる光景に、さっきまでは余裕風を吹かしていた牛尾も青褪める。
「な、なんなんだよ……こりゃ」
「ウィジャ盤はエンドフェイズ毎に新たな死のメッセージを告げていく。サービスに教えといてやるぜ。ウィジャ盤がこれから続けていく文字はA、T、H……。簡単な英語の問題だぜ、役人様よぉ~。繋げて読めば何になる?」
「D・E・A・T・H……………で、
「そう。DEATHの五文字が完成した時、テメエは死ぬ。ククククッ。テメエに残されたターンは3ターンだ。ヒャーハハハハハハハハハハハハハハッ!!
牛尾さんのデッキは『シャドール』でした。ネフィリムが禁止になる前に、最後の輝きを見せます。対してバクラは初代クオリティーのオカルトデッキ。
というわけで次回はガチガチのファンデッキなバクラのオカルトデッキVSガチガチのガチデッキな牛尾さんのシャドールの正面対決です。