双六で人生を変えられた男   作:晃甫

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 二ヶ月も間が開いてしまいました。
 しかも収まりきらず……。
 当初の予定は三話だったはずが、どういうわけか五話に。


# 青年は中枢へと向かう

 

 大統領との面会を終えた織村は空港から乗ってきた特別車両に押し込まれ、再びワシントン・ダレス空港へと向かった。

 聞くに織村の最終目的地はこのホワイトハウスから車で移動するには時間がかかりすぎるようで、国内便を使用して移動するということらしい。

 移動の車内には織村の他に三人、いずれも護衛のSPであるが最初の疑念の眼を向けてきた三人ではない。大統領が気を利かせて交代させたのか単に勤務時間の都合で変更になったのか定かでないが、少なくとも今回の三人は友好的なようだった。運転している一人を除けば、しきりに織村にISについての質問を投げかけてくる。

 その質問の中にナターシャ・ファイルスについての質問が無かったのは織村にとって幸運だった。どうやらアメリカ国内でのナタルの人気は予想を超えたものだったようで、移動の景色の中に混じって彼女の看板なんかがひっきりなしに視界に飛び込んでくるのだ。

 

(大変な女を好きになったかもしれねえなぁ、こりゃ)

 

 とは言え、織村はナタルがIS学園を卒業するまでは彼女とこれ以上どうこうなろうとは考えていない。何せナターシャは飛び級で学園に入学してきたのだ。その年齢は今年で十四、今手を出せば立派な犯罪者の仲間入りである。

 故に彼女との交際は出来ればひた隠しにしたまま彼女の卒業を待ちたかったのだが、ばっちりと大統領の耳には届いていたらしい。しかも情報の出処はナタル本人、なんでも二人は以前からの知り合いなのだとか。大統領と知り合いとかどんな交友関係を構築しているのか非常に気になるが、それ以上踏み込むことはプライバシーにも関わってくるためにしない方が良いと判断。

 ISに関連しての会話をSPと交わしながら空港に到着した織村は、そのまま案内されて用意された飛行機へと乗り込む。

 行き先はミシガン州にあるメトロポリタン・ウェイン・ガウンティ空港。アメリカで十番目に利用客の多い空港だ。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ワシントンを南下してやってきたのはミシガン州にあるメトロポリタン・ウェイン・ガウンティ空港。その空港を出て向かった先はデトロイトだ。南北をエリー湖とヒューロン湖に囲まれているアメリカ中西部有数の世界都市であるこの街には、アメリカ最大の自動車メーカーであるゼネラルモーターズ社の本社があり、自動車の街と言われている。

 そんな街の一角に聳え立つ巨大な施設の前に、織村は立っていた。今回は荷物も全て所持した状態で車を降りたのでその手にはスーツケースが握られている。

 

「それではミスター織村。私たちはここで失礼させていただきます」

「ああ、ありがとうな」

「いえいえ、これが仕事ですので。それでは」

 

 護衛のSPたちに礼を言うと、彼らを乗せた特別車両はすぐに街の中へと消えていった。

 一先ず中に入ろうと考えて歩きだそうとしたところで、建物の影からこちらに走ってくる少年に気がついた。

 

「……?」

 

 首を傾げる織村に向かって駆け寄ってきた少年は、かなり訛りの強い英語で何かを叫んでいる。余りにも訛りが強すぎて織村も何を言っているのか正確に把握できないままにその言葉を聞いていると、今度は背後から別の少年が近づいていることに気が付いた。顔は動かさないまま気配だけを察知したので向こうは織村が気がついていることに気がついていないだろう。

 忍び足で近づいてきた少年はそろそろと織村のスーツケースへ手を伸ばす。

 

(ああ、成程。そういうことか)

 

 スーツケースの取手に少年の手が触れた瞬間、顔は前の少年へ向けたままその腕を掴む。

 

「っ!?」

「Don't have the face which isn't believed, boy(信じられないって顔してるな、少年)」

 

 明らかに東洋人だと分かる風貌をしている人間が英語を話したことにも驚いたのだろう。スーツケースを持ち去ろうとしたスキンヘッドの少年は眼を丸くしていた。

 

(置き引きか。俺も無用心だったな、まさかこんなガキどもが当たり前みたいにやるなんて)

 

「Hey,Because I'll overlook, go quickly.(オラ、見逃してやるからとっとと行け)」

 

 掴んでいた手を離すと、二人の少年たちは何かを叫びながら暗い路地裏へと消えていった。その後ろ姿を見つめていると、不意にガラガラと何かが開く音が届く。

 振り返れば眼前の施設の門が開かれ、中から黒のスーツを着たブロンド髪の女性が歩いてきた。首を傾げる織村の前にまでやってきたその女性は胸ポケットから名刺を取り出し、それを織村へと差し出す。

 

「織村一華さんですね。私はこのIS開発研究・訓練機関の第二研究室室長、セリナ・フォスターと言います。今日貴方を内部まで案内させていただくことになっていますので、どうぞよろしくお願いします」

 

 丁寧に頭を下げられ、反射的に織村も頭を下げていた。

 

「織村一華です。えーとフォスターさん? 日本語上手いですね」

「ありがとうございます。所内の人間は全員日本語を習得していますので、言語の面で不便は感じないと思います」

「そりゃ安心だ」

 

 そう返した織村は、監視員の立つ門を跨いで施設の敷地内へと足を踏み入れた。都心の中心部を円状にくり抜いて強引に建物を詰め込んだような構造をしているこの施設は、アメリカ国内に二箇所あるIS専門の研究機関の一つであり、唯一その訓練も行っているところでもある。

 日本にIS学園を設立しろと要求したのはアメリカだと言われているが、その実際はアメリカという後ろ盾を持っている途上国や先進国が要求してきたものだ。アメリカ自体、日本に相応の情報開示は求めたものの何も専門の養成所まで作れとは言っていない。正確には、大統領は言っていない。アメリカ政府の一部が他国へ日本の印象操作などを行った形跡は見られないが、現状を見れば一部の政治家たちが何を言ったのかは察することができるだろう。

 そういった経緯もあり設立されたIS学園は世界中の国籍の学生が集まっているが、この訓練機関に居るのは全員がアメリカ人である。年齢は十歳から十八歳までの少女が全体の約九割。残りは二十までの少女だ。その人数は少なく十四人。いずれもIS適性A以上だそうだ。

 

「そういやフォスターさん。さっき俺のスーツケースが置き引きされそうになったんだが、この街ってあんまり治安はよくないのか?」

 

 ガラガラと引かれるスーツケースに視線だけを向けて問いかける。

 その問いに、フォスターは首を縦に振ることで答えた。

 

「ここデトロイトは治安が悪いことでも有名ですよ。アメリカ国内の百ある都市の中でも犯罪率は最悪です」

「アメリカ一治安の悪い都市ね、」

「昔起きた暴動がその発端なんですけどね。今もダウンウンには浮浪者が溢れていますよ」

 

 歩みを止めないままに、彼女は続ける。

 

「この治安の悪さを抑制、改善するためにアメリカ政府はISの専門機関をデトロイトに置いたんです」

「ISによる犯罪の抑止か。妥当な判断だな」

「実際この機関が出来てから犯罪率は多少は軽減されました。と言っても、本当に僅かなものです」

「ま、本当にISで生身の人間を傷付けるわけにはいかねえよな。そうなっちまったら叩かれるのは政府だ」

「それを浮浪者たちは分かっているんですよ。だから犯罪は無くなりません」

 

 困ったものです、と彼女は小さく息を吐いた。日本では置き引きしようものなら直ぐ様警察が駆けつけてくるだろうが、ここでは数が多すぎて圧倒的に警察の人手が足りないのだとか。

 

「と、すみません。長話が過ぎました。ここから先がIS研究区画になります。今日は見学も兼ねて見ていこうと思いますが、先に荷物を部屋に置きにいきますか?」

 

 親切心からだろうフォスターの言葉に、織村は小さく首を横に振って答えた。

 

「いや、大した荷物じゃないしこのままで結構だ」

「そうですか。ではこのカードを首に掛けて下さい。中に埋め込まれたチップで扉のロックが解除されるようになっています」

 

 渡されたカードには自身の名前と顔写真、何桁かの数字が羅列されていた。言われるがままにそれを首に駆け、織村はフォスターの後に続いて建物の中へと入っていった。

 内部からの情報を遮断するためなのか、窓などは一切見当たらない。

 細長い通路を歩いていくと、再び扉。どうやらここから先が研究区画と呼ばれている場所らしい。フォスターがやったのと同じように自分のカードを認証台に当て、扉の先へと踏み込む。

 

「ここはISの基礎理論研究が行われいる区画ですね。ここで考案されたデータが開発室へと回されて、それを元にパーツが作成されます」

 

 十人ほどの男女がそれぞれいくつも液晶のあるパソコンを前に格闘していた。遠くからでは詳細なデータまで見ることは出来ないが、どうやら一番手前の男性は駆動系パーツの領域向上を思案しているようだ。

 

「思ったより人数が少ないんだな」

「いえ、ここに居るのは一部ですよ。外から見て分かるとおり、この機関は四つの開発研究区画と一つの訓練区画で構成されています。この場所は第四研究室と呼ばれる場所で、先程も言ったようにISの基礎理論の研究、構築が主な仕事です。ここで考案された理論やデータを受けて第三研、通称開発室と呼ばれる区画で試作品が作成されるんです」

「つうことはほぼデスクワークなんだな、ここの人らは」

「そうなりますね、あ、彼女が第四研の室長です」

 

 そう言って示されたほうを見れば、所員の前で資料片手に説明を続けている女性の姿があった。肩に届かないほどの黒髪をカチューシャでオールバックにしたその女性はこちらに気がつくやいなや、白衣の裾をはためかせながらこちらへ小走りでやって来た。

 間近で見るとその顔つきが純粋なアメリカ人のものではないことに気がつく。

 

「やーセリナ! その色男ってもしかして例の彼かい?」

「ええ、そうよスー。彼が世界で二番目の男性IS操縦者、織村一華さん」

「おー! 近くで見るとおっきいなあ君! あたしスージー・コックス、中国系アメリカ人(チャイニーズアメリカン)なんだ。ここの研究室の室長やってんのよろしくね!」

 

 差し出したわけでもないのに両手を掴まれぶんぶんと上下に振られる。この他者の追随を許さないフリーダム具合。どことなくテンションも天災と似ているなと織村は思った。

 

「織村一華です。よろしくコックスさん」

「やだなー堅いって、スーでいいよ。これからここの一員になるんでしょ? 遠慮なんかいらないって!」

「は、はあ」

「スー、貴方のテンションが高すぎて織村さんが引いているわ」

「おっとこりゃ失敬! そんじゃあたしは仕事に戻るよ、明後日までに第三研に可動領域拡張のデータ送んなきゃいけないんだ」

「そう、頑張ってね」

 

 おうともさー、と息巻いて彼女は自らのデスクへと戻っていった。なんともまぁ自由気ままな人間だ。

 フォスターが言うにはあれでもかなりの頭脳の持ち主であるらしい。確かにそうでなければISの理論構築など行える筈がないのだが。

 第四区画は基本的にこういったパソコンの並んだ部屋が幾つかあり、その都度必要に応じて使用しているらしい。部屋を抜けて突き当たりのエレベーターに乗って、フォスターは三階のボタンを押した。

 

「三階にはなにが?」

「第三区画と繋がっている連絡橋があるんです。そこを通って区画内、第三研へ行きましょう」

 

 エレベーター特有の浮遊感を味わいながら、三階へと向かう。

 停止したエレベーターを出ると、目の前に幅二メートル程の連絡橋が続いていた。建物の外装と同じく白く塗られたその通路をフォスターを先頭に歩いていく。地上約十メートルの高さにあるこの連絡橋を歩いたことで、織村はようやくこの敷地内の建物の位置を把握した。門の正面にあった第四研から第三研、そして恐らく第二研と第一研であろう区画は全て連絡橋で繋がっており、正方形を作っている。それらの中心にある他と比べればやや小さな建物が何なのかは今は不明だが、それも追々フォスターに説明を受けることになるのだろう。

 

 第三区画と呼ばれた建物の内部は一変して工場のような空間だった。ワンフロアぶち抜きなのは第四研から送られてきたデータを元に試作品を作るため、それなりに大掛かりな設備が必要だからだ。

 ここの室長は現在私用で出払っているとのことなので、作業を横目に見ながら次の区画へと向かう。

 第四区画と第三区画とを繋いでいた連絡橋と同じものを通り抜けると、そこはもう第二区画だ。

 

「そういやフォスターさん。自己紹介のとき、」

「ええ、私がこの第二研の室長です。驚かれましたか?」

「いや、出来る女性の雰囲気出てるから驚いたりしないけど、秘書とかの方が向いてそうだとは思うよ」

「お上手ですね織村さんは。ナタルもそれにコロッとやられたのかしら」

「ぶはッ!?」

 

 フォスターのいきなりの発言に織村が咳き込む。

 それを面白そうに眺める彼女は第二区画を進みながら言葉を続けた。

 

「安心してください。そのことは極一部の者しか知りませんから」

「情報漏洩は重大な問題だと思うんだが」

「出処が本人ですからどうしようもないですね」

「どんだけ言いふらしてんだあいつ……」

 

 思わず頭を抱える織村を横目に見ながら、フォスターは自らの受け持ちでもある第二研のおおまかな説明を始めた。

 ここ第二研は先程通ってきた第四研や第三研とは異なり、それぞれの目的の為の部屋がそれぞれ独立している。基本の仕事は第三研から送られてくる作成されたパーツのテスト、そしてパーツとパーツの組み合わせなどを考えることでISとして完成させる。リスクテストなども行った上で改善点を洗い出すことだ。ISとしての形はこの第二研で完成し、何も不具合が生じない限りは第一研へと仕事が回ることはないらしい。

 そう言われてようやく織村は気が付いた。

 ということは、現在のアメリカのIS製作において実質的なトップは今目の前にいるセリナ・フォスターだということだ。

 

「勿論全ての権限が私にあるわけではありません。第二研の全員の意見を纏める立場にあるだけですから」

「いやそれが十分すごいことだと思うんだが」

 

 謙遜気味に微笑むフォスターから視線を移して、第二研の内観を見渡す。パーツの作成が第三研で既に終わっているため、そういった作業に割り振られた部屋はなさそうだ。代わりに様々な試験機器がずらりと並べられている。

 作成されたパーツのテスト、と一口に言ってもその内容は多岐にわたる。それは構造上の欠陥や使用上の強度を確認するためのものであったり、使用者への負担を軽減させるためのものであったり。今眼の前で行われているのがどんなテストであるのか一目で判断することは出来ないが、この第二研が特大重要な位置づけにあることは織村もすぐに理解した。

 いくつかの場所を見てまわり、織村とフォスターは次のフロアへと進んでいく。

 第二研から繋がる連絡橋の先に見えるのが第一研と呼ばれる場所だが、フォスターの話によればそこの室長は少しばかり変わっているようだ。

 

「変わっているというか、変人というか……」

 

 言葉を濁すフォスターを見て、織村は心持ち不安になった。

 彼女をして変人と言わしめる人間である。まずまともではないだろう。流石に束を上回る奇人変人っぷりはないだろうが、それに迫る人種は少ないながらも存在しないわけではない。

 

「いえ、悪い子ではないんですよ」

「悪い子……?」

 

 言葉のニュアンスに違和感を覚えながら、織村は第一研の区画へと足を踏み入れた。

 

 第一研の区画内に、部屋はたった一つしか存在していなかった。

 建物の中央に置かれた二つのデスク、その正面に設置された何十ものディスプレイ。

 二つのデスクに着いているのは、白衣を纏った少女と女性だった。

 デスクで何がしかの作業を行っていた女性はフォスターと織村がやってきたのを見るとすぐに席を立ち、こちらに歩いてくる。フォスター同様、歩き方に品を感じさせる女性だった。

 銀縁の眼鏡を掛けた織村よりも明るい茶髪のその女性は、二人の前にまでやってくるとぺこりと頭を下げる。

 

「初めましてミスター織村。第一研のヴィクトリア・ベルと申します」

「どうも、織村一華です」

 

 相手につられて頭を下げる。

 

「気軽にヴィッキーと呼んでください」

「……はい?」

 

 下げていた頭を反射的に上げる。正面に立つ女性は、どこまでも無表情にもう一度言った。

 

「気軽にヴィッキーと……」

「ヴィッキー、ヴィッキー。あなた表情に出にくいんだから脅迫にしか見えないわ」

 

 どうすればいいか分からない、というように顔を強ばらせる織村に、すかさずフォスターがフォローを入れる。

 どうやらこの女性、言動と表情がどこまでも一致しない女性であるらしい。というか、感情が表に出てこないのだそうだ。

 そんな彼女は無表情のまま、言葉を続ける。

 

「貴方に会えるのをとても楽しみにしていました。今後共よろしくお願いします」

「はぁ」

 

 そう曖昧な返事を返すしかなかったのは、やはり彼女が顔色の一切を変化させずに無表情だったからだった。

 と、ここまでベルの後ろにこそこそと隠れていた少女が、ひょっこりと顔を覗かせる。

 そしてこう切り出した。

 

「フン、日本人ってどうしてこう曖昧な返事しかできないのかしら。ヘラヘラしててバッカみたい」

 

 ピシリ、と織村の動きが止まる。

 

「あーやだやだ。こんなのがウチの国家代表なんて、あのおっさんどうかしてんじゃないの?」

 

 あのおっさん? と疑問に思う織村に、横からフォスターが大統領のことだと教えてくれた。

 というかこの少女は一体どこの誰なのだろうか。この第一研に居る以上は関係者なのだろうが、いくらなんでも幼すぎる。海外の子供は大人びて見えるともいうが、目の前の少女はどう見ても十歳くらいにしか見えなかった。

 ブロンドの腰にまで届く髪はよく手入れされているのか美しく、顔つきもそんじょそこらの少女より余程整っている。端的に言ってしまえば美少女なのだが、今しがたの罵倒にも似た言葉と大きめの白衣がそれを台無しにしていた。

 どうみても背伸びをしている小学生にしか見えないのである。

 

「なぁフォスターさん。このチビ一体なんなんだ?」

 

 織村の指摘に、言葉を返したのはフォスターではなく。

 

「チビって言った!? ねえ今チビって言った!? お母さんにもお姉ちゃんにも言われたことないのに!!」

「よかったなチビ。人生で初めての相手だぞ俺は」

 

 うがーっ! と癇癪を起こす少女を前に、フォスターも苦笑いを浮かべるしかないようだった。

 

「認めないわよ! 私はアンタがお姉ちゃんのボーイフレンドだなんて絶っ対に認めないんだから!!」

「あん? お姉ちゃん?」

 

 確認の意味合いも兼ねて、織村が隣のフォスターへと視線を向ける。

 その意味を正確に理解している彼女は、一つ頷いて。

 

「遅れながら紹介しますね。彼女はエマ・ファイルス。第一研の室長です」

 

 そう紹介された少女、エマは鼻息荒く織村を睨み付けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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