双六で人生を変えられた男   作:晃甫

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#38 天才と天災

 

 ――――篠ノ之束は天才である。

 誰が言いだしたのか、天災とも言われている。それは決して過大評価などではないということは本人のみならず世界中の人間が理解していた。並大抵の研究者や科学者では思いつきすらしなかったISという存在をたった一人で作り上げ、各国の中枢にお手製のパソコンたった一つで潜り込む。何処かの国の重役は言う。今や篠ノ之束を敵に回すということは、全世界を敵に回すよりも重いと。その言葉を正銘するかのように、彼女を侮蔑した国の首都は瞬く間に崩壊した。恐ろしく速く、正確に都市の全てを麻痺させて、凍結させてしまった。当時十七歳の少女がである。

 IS学園を卒業後、彼女は監視を嫌うという理由から日本を離れて世界各地を飛び回るようになった。当然一般人の作った監視衛星になど追跡できない手法を用いて。

 更識楯無や織斑千冬といった彼女にとって非常に大切な存在の元を離れてまで世界を飛び回った彼女の理由を世間の人間は知らない。各地に新開発した爆弾を仕掛けたのだとか絶対に見つからない無人島を探すためだとかくだらない憶測は飛び交ったが、その真実は今も本人以外の知るところではない。

 

「さぁ、そんなところで蹲ってないでさ。皆に置いてかれちゃうよ」

 

 普段の彼女を知っていれば仰天するであろうとびっきりの笑顔を浮かべて、束は眼前で鼻を抑える少年へと手を差し伸べる。

 昨日帰ったはずの彼女がどうしてこの場にいるのかという疑問は尤もであるが、今はそれよりも重大な問題があることに気がついているだろうか。束が、あの篠ノ之束が。実験動物としか認識していなかった四人目に、剰え己から手を差し出している。基本的に人間との接触を嫌う彼女からすれば信じられない行動である。更識楯無や織斑千冬、一夏に箒といった多数の例外は存在すれど束が心を開く人間というのは両の手で足りてしまう程少ない。他の有象無象のことなど見えていないも同然だ。

 何を考えているのか思考が読めない。ただ一つ、碌でもないことを考えているのだけは確かだった。

 しかし、そんな束を正に天恵と思う少年がここに一人。言うまでもないが、皿式鞘無である。

 

(……っ、キタ。これだ、これだよ! 俺が待ってた主人公的ポジションはよぉ!)

 

 昨日の織村との模擬戦で大破した専用機。それは全てこの為の布石だったのだ。既存の専用機を破壊することで天才科学者たる篠ノ之束のチューニングを受ける。言うなれば昨日の敗北はパワーアップフラグ。

 すべてが繋がったと、鞘無は心の内で確信する。このタイミングで束が現れたこと、自身だけが部屋に一人隔離されているような状況にあること。それらは全て己がこの事件を解決に導くためだったのだと。であるならば、ここで選ぶ選択肢などたった一つしかなかった。

 

「……束さん。俺を、俺たちを連れてってくれ。アイツらのいるところに」

 

 束さん、と呼ばれた瞬間束の表情がひどくヒクついたような気もしたが、そんな微細な変化になど鞘無が気づくはずもなく。まるで漫画の主人公にでもなったかのような心境で右拳を熱く握り締めた。

 引き痙った表情を刹那に切り替えて、鞘無の言葉を受けて束はニンマリと笑う。弧を描く口元には隠しきれない思惑が現れているような気がした。

 

「……あれ? 君外で今なにが起きてるか知ってるわけ?」

 

 ギクリ、と鞘無の心臓が早鐘を打った。原作の知識を有しているから知っているのだなどと間違っても口にすることは出来ない。そうしたが最後、実験動物にされてしまうような気がしたからだ。必死にそれらしい理由を頭の中で考える。

 

「あ、あぁ。外が騒がしいし、他の生徒たちが戻ってきてるだろ? 何か緊急事態が起きてるんだと思ったんだ」

「ふぅん」

 

 しどろもどろの返答を示す鞘無を細めた目で見つめる束。しかしそれ以上の追求をすることなく、束は腰に手を当てて言う。

 

「さぁ、善は急げ。ちゃちゃっとやっちゃおうか」

 

 束の思惑など露知らず、戦線へ復帰できることを喜ぶ鞘無はその言葉に大きく頷いた。

 

 当然のことながら、あの束がただの善意で他人が制作したISに手を加えるような真似などするはずがない。こうした手段に出たのには二つの理由がある。まず一つに単純に都合が良いと思ったからだ。世界にたった四人しか存在を確認されていない男性のIS操縦者。他の三人はともかく、この鞘無の存在は束にとって看過できるものではなかった。

 更識楯無と織村一華の場合は超能力なんていう理解の外のものを駆使しているし、千冬の弟である一夏はそうなるように束自身が仕組んだ。どのような経緯であれ、この三人が女性に動かすことの出来ないISを動かせるのにはきちんとした理由があるのである。楯無に関してはIS自体を起動させられるわけではないが。

 では、四人目はどうか。

 IS学園のカメラ映像を見る限り、ISは確かに起動していた。それを操縦できているのだから、ISに乗れるというのはどうやらガセではないらしい。では、どうやって。ISというのはその認知度とは半比例するように内部の構造には謎が多い。例を挙げるなら核たるコア、それにセカンド・シフトなどだろうか。コアに関しては製作者たる束以外には一切干渉することが出来ない完全なブラックボックスである。操縦者と機体との親和性がある一定のラインを超えることで発動されるとされているセカンド・シフトも、その具体的な条件などは明らかになっていない。

 そんなISを、四人目と呼ばれる少年が操縦できていることが束には信じられなかった。頭脳は決して悪くはない。学園での筆記試験を見てもいくつかの高得点はある。だが彼には決定的に足りないものがある。ISを起動させるに至る、そのトリガーだ。

 

(かーくんやチンピラみたいに超能力なんてものを使ってるなら分かる。でも、コイツはどうしてISを起動できる……)

 

 真っ先に思い浮かぶのは鞘無も超能力を有している可能性と、実は女性である可能性。だがどちらも現実味は低いと束は見ていた。

 解けない問題程苛立ちを助長させるものはなく、こうして束は行動を起こすことにしたわけだ。

 鞘無の機体を調整するというのはただの口実で、実際は内部に極小のカメラや計測機器などを仕込む魂胆だった。一応専用機に関しては問題なく操作できるレベルまで修復するつもりではあるが、明らかなグレードアップなどするつもりはない。

 そんな束の内心を知らない鞘無はどこからか湧き出ている闘志を滾らせている。道化にすら劣るかもしれないとしても、一つの駒として利用する分には問題ないだろう。束はそう結論を下して差し出された待機形態の専用機を受け取って窓から飛び降りた。窓の先ではどういう理屈でか浮遊している巨大な人参型のラボが待機しており、慣れた動きで束はその中に入っていく。

 

 コンソールを起動させて、早速作業に取り掛かる。

 

(アメリカとイギリス。どっちの研究機関も、そう簡単に突破できるレベルのセキュリティじゃなかった)

 

 手は動かしたまま、束は思案する。

 イギリスとアメリカの二箇所の研究機関。勿論束にしてみれば突破することは造作もないが、一般人があのレベルのセキュリティを突破するのはかなり困難だと思われる。何せ国お抱えの機関である。警備が甘い筈がない。その国の持てる技術を総動員させて組み込まれたセキュリティなのだ。それをああも簡単に突破して専用機を強奪した襲撃者。

 これが二つ目の理由だ。

 鞘無の機体に仕込むカメラを通して襲撃者の正体を暴く。場合によっては始末する必要が出てくるかもしれない。

 

「……気に入らない、気に入らないね。私の行く手を阻むようなヤツらは、皆いなくなっちゃえばいいんだ」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 さて、作戦開始まで一時間を切ろうとしていた。

 日本海上空でサイレント・ゼフィルスを迎え撃つにはどう考えても直ぐに移動を開始しなければ間に合わない。そのことはセシリア、シャルロットも重々承知しているようで、全員が集まっての状況説明を終えた途端それぞれが機体調整に入り、現在海岸に専用機を纏った状態で待機している。ふむ、二人共準備は万端のようだ。

 セシリアはブルーティアーズに強襲用高機動型パッケージ『ストライクガンナー』を装備した状態である。これは六基あるブルー・ティアーズの射撃性能を封印してスラスターとしての性能のみに特化させたものだ。

 横に立つシャルロットが装備しているのは防御パッケージ『ガーデンカーテン』。これは本来防御特化型のパッケージだが、左右の肩と背中の部分に一基ずつ増設スラスターが装備されているので機動型パッケージとしても使用可能である。但しセシリアのストライク・ガンナーと比較すると幾分のパワーダウンは否めないため、俺のアシストも所々で必要になってくるだろうが。

 さてさて。そんな俺はと言えば、相も変わらず真っ黒な執事服を身に付けている。突き刺すような太陽光が地味にきつい。いや能力を使えば快適に過ごせるんだろうがそこまでしてしまうとあのモヤシのようになってしまう。そこまで俺は軟弱ではないのだ。やせ我慢と言われてしまえばそれまでだが。

 二人が準備を整え終えたことを確認して最終確認。

 

「これより状況を開始する。目標は現在中国南東を移動中。このまま行けば約一時間程で日本の領海内に侵入するだろう。俺たちは富山県を北上した地点で目標を迎撃する」

 

 俺の言葉に二人は頷く。

 二人は元々こういった不測の事態にも冷静に対処できる人物だ。直情型はこういう時に厄介事を持ち込むと決まっているが、セシリアとシャルロットに限ってそれはないだろう。不安点を挙げるとすればサイレント・ゼフィルスの迎撃を買って出たセシリアであるが、私情を挟まないだけの思考能力は十分残っている筈である。

 何事も決めつけは良くないが、ふわふわとした仮説ばかりを並べ立てても仕方ない。こうしている間も敵は待ってくれない。

 

「よし、いくぞ」

「はい。では捕まってください更識先生」

 

 そう言って手を差し伸べるセシリアの言っていることが、俺には理解出来なかった。そんな俺の態度を見てセシリアも不思議に思ったのか、きょとんとしている。

 

「……ん?」

「え? いえ、あの。私の機体に捕まてって移動するのではないのですか? 先生の『黒執事』に飛行能力は無かったと思うのですけど」

「ああ! ああ! そういうことか」

 

 セシリアの言いたいことをようやく理解してポン、と手を打つ。そういえば公式戦じゃあコレを使うことなんて無かったしセシリアが知らないのも無理はない。というか知っているのは千冬と束くらいだと思うな。セシリアの横でシャルロットも要領を得ないと首を傾げている。

 そんな二人を前に、俺はくるりと半回転。

 途端、二人の表情が驚愕に染まった。

 

「俺の黒執事にはこういうのがあってな。飛行もなんら問題ない。なんならストライク・ガンナー装備のそのブルー・ティアーズ置き去りにしてやろうか?」

「なんかもうムチャクチャですわ……」

 

 背中から発生している小さな竜巻四本を前に、セシリアが呆然と呟いた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「一華。お願い、イーリを」

「ああ。……分かってる」

 

 現状を知ったナタルの衝撃は織村にも計り知れないものだった。自身が祖国を離れた隙に敵に襲撃され、それどころか親友とその専用機を強奪されてしまったのだ。元の出身は違えど織村とて今や大国アメリカの一員である。そんな彼でさえ少なくない衝撃を受けているのだ。生まれも育ちもアメリカである彼女が内心でどれだけ傷ついているのかなど、考えたくもなかった。

 本当ならナタルも自分が、と戦線に出ていきたいところだろう。国家代表に名を連ねる彼女は戦力として申し分ない。だが、今彼女の手元に専用機はない。前回のモンド・グロッソを戦った後機体は回収され、新型として生まれ変わるべく本国で製造されていたのだ。その新型というのがイーリス・コーリングとの姉妹機、『 金の美徳(ゴールド・デュミナス )』と『 銀の福音( シルバリオ・ゴスペル)』だ。

 もしかすると敵は、この状況を待っていたのかもしれない。ナタルが本国を離れ、専用機もない今のこの状況を。織村の腕にしがみつきながら、ナタルは彼の胸に顔を埋めた。

 

「彼女を、 銀の福音(あの子 )を……助けてあげて……」

 

 消え入りそうなナタルの声を聞いたのは、いつ以来のことだろう。

 織村はほっそりとした彼女の肩を優しく抱きながらそんなことを思った。あれは確か、自身がIS学園を卒業し一足先にアメリカへと旅立つ日の朝だったと記憶している。いつも朝はナタルの方が先に起きて食事の準備をしているのに、その日だけは彼女はベッドから、俺から離れようとはしなかった。後から聞けば笑い話だが、俺と最低でも二年間は離れて暮らさなければならないのを今更になって実感し落ち込んでいたらしい。

 今のナタルはあの時とは比べ物にならないほど憔悴している。が、掛ける言葉はあの時となんら変わらないものだった。

 

「大丈夫だ、安心しろ」

 

 自分でも多少ぶっきらぼうだなとは思う。だがそれ以上の言葉など見つからないし、それ以上の言葉など不要である。少なくとも織村とナタルの間にはそれだけの信頼関係が存在している。

 織村の言葉を受けて、ナタルはゆっくりと顔を上げる。

 

「――――うん、任せたっ」

 

 全ての不安を吹き払うかのように、ナタルは笑ってみせた。

 

 

 

 

 

 日本海へ飛び立っていく三人を見送るようにしていた一夏がその視線を落としたのは、隣に座る簪がこちらを見ていることに気がついたからだ。

 見渡す限りの青い海を前に浜辺に腰を下ろす二人は、命を懸けた作戦の前だというのに何処か浮いた印象を抱かせる。

 一度は一夏に視線を向けていた簪はふい、と視線を元に戻し、一夏もそれに差して何かを言うこともなく大海を眺める。前方を見る二人の間に、沈黙だけが続く。

 

「……怖いの?」

 

 唐突に、そう口を開いたのは簪だった。

 

「怖いって、なにが?」

「自分自身が」

 

 質問の意味が理解出来ないと返した一夏の言葉に、間髪入れずに簪の言葉が返ってくる。最初の質問など会話の切り出しでしかなかったのか、今の言葉に疑問は一切含まれていないようだった。簪はほぼ確信を持って先の質問をした、ということになる。

 いつの間にか再び視線を向けられていたことに気がついて、自然と目が合う。ジッ、と向けられた視線にこれは言い逃れなんて出来ないなと一夏は早々に断念して、小さな息を共に言葉を吐き出した。

 

「……俺さ、思っちまったんだよ」

「何を……?」

「更識先生から任務の話を聞いたとき、心の中でこのチカラを存分に振るえるって。それを後から自覚して、怖くなった」

 

 このチカラは相手を叩き潰すためにあるわけじゃないのに。

 このチカラは自身の大切な者とその小さな世界を守るために磨いてきたものなのに。

 

「俺がISを動かせるって分かってIS学園に入学して、無意識に悦に浸ってたのかもれない。姫無さんや簪と同じ場所に立てるって、舞い上がってたのかも」

 

 一夏の独白を、簪はただ黙って聞いている。

 

「この前のトーナメントで優勝して、多分天狗になってたんだ。あれだって殆ど姫無さんのお陰でだってのに。俺のチカラは代表候補相手にも通用するって過信してた」

「……それに気がつけただけで、今は十分」

「かもな。もしも気づかないまま戦線に出てたら、俺多分撃墜されてたと思う」

  

 自嘲気味に笑う一夏に、簪は先程とは違った視線を向ける。

 ――――この少年のこういうところはほんと、お姉ちゃんにそっくりだ。

 誰かに言われるでもなく、己の過ちを過ちとして確りと受け止めることが出来る。言葉で言うのは簡単でも、行動に移すとなるとなかなかに難しいことだ。

 大切な人を守れるようになる為に強さを求めるのは、師匠である更識楯無と。ひたむきに努力を積み重ね、一歩ずつ高みへと昇っていくのは姉である姫無とそっくりだ。ここまで似ていては無意識に笑いそうになる。

 

「? なんだよ簪。そんなニヤニヤして」

「…………してない」

「いや完全にしてたろ」

「してないもん」

 

 頑なな態度を崩さない簪に、一夏は苦笑する。気がつけば嫌な緊張もどこかへと行ってしまっていた。それを自覚して簪のフォローには助けられてばかりだと内心で感謝した。

 

「絶対、この任務成功させるぞ」

「当然」

 

 どちらかが言い出したわけでもなく、二人は拳を突き出してコツンとぶつけ合った。数秒して、小さく笑い合う。

 

「準備は、出来てるみたいだな」

 

 数分後、旅館から織村が姿を現した。先程までの部屋着とは違い、一夏や簪と同様に特注のISスーツを身に纏っている。織村は一夏と簪の二人を交互に見て首肯、状況説明の為に小型のタブレットを取り出した。

 

「目標は現在も太平洋上空を時速2450キロで移動中。このまま行けば残り五十分程で視認できる距離になる。ここら一帯の海域は織斑、山田、篠ノ之が封鎖してるから間違っても船舶が通ることはないと思うが一応注意しておけ。作戦内容はさっき更識が言ったように一撃必殺(ワンアプローチ・ワンダウン )、俺と織斑が前衛、更識は後衛で織斑のフォロー。万が一俺たち二人を突破するようなことがあれば撃墜しろ」

 

 織村が示す作戦内容は至ってシンプル。一夏は零落白夜で、織斑は彼の持つ最高の攻撃で。擦れ違いざまに一撃を叩き込むというものだ。銀の福音は軍用ということもありその機動力は現行機の中でもトップクラス。白式であっても一度引き離されては追い縋るのは難しい。暴走状態の銀の福音の目的が男性IS操縦者だというなら旋回して再び見えることになるだろうが、そう何度もチャンスがあるわけではないのは確実だ。

 内心では無傷での回収を望む織村だったが、そう全てが上手くいくとは思っていない。最悪イーリスさえ無事に回収することができれば機体の方は修復不能に陥ろうが構わなかった。

 作戦内容を把握して、三人は其々の専用機を展開する。織村と一夏の専用機はそのままだが、簪の専用機『打鉄弐式』にはシールドパッケージ『不動岩山』が装備されている。これは広範囲防壁を展開できるようにするためのものでもあり、間違って本土に攻撃が向かないようにするために保険の意味も込められている。

 

「……時間だ。行くぞ」

 

 時計を確認して織村が呟く。その言葉に続くようにして、三機は太平洋上空へと飛び立った。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 篠ノ之束は天災である。

 それは誰もが疑いようのない事実であり、また不変である。

 天災とは彼女一人のことを呼称するのであり、彼女以外を天災と呼ぶことはない。

 

「確かに天()なんてバケモンはアンタだけだろうよ、ドクター篠ノ之」

 

 パソコンのモニタだけが室内を照らす中、その女性は咥えていたタバコを灰皿に押し付けた。

 

「でもさ、天()っつーのはアンタ一人だけじゃないんだぜ」

 

 

 

 

 

 




 追記:次話からちょいちょいヨルムンガンドのキャラクターの補足を入れる可能性有。その回に登場したキャラの限られます。

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