魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

93 / 157
来訪者編、上、中、下があるだけに長くなりそうです。




アンジー・シリウスの敗北

都内で起きている連続変死事件、通称『吸血鬼事件』。

死因は全員、衰弱死。かすり傷以外の外傷は一切無く薬物反応も全て陰性、そして傷かないにもかかわらず、被害者の体格から推定される血液の約一割が失われていた。

 

その犯人とされる『吸血鬼』にレオが襲われた、というのだ。放課後、そのお見舞いにやってきた達也達はレオの証言から『吸血鬼』の正体を予想する。

 

 

「多分、レオが遭遇した相手は『パラサイト』だ」

 

幹比古が講義口調で語り始める。

 

 

「人に寄生して人を人間以外の存在に作り変える魔性のことをこう呼ぶんだよ」

 

「それが吸血鬼の正体か」

 

 

そしてこれを期にエリカは報復のため動き出す。周囲の人間を巻き込んで。

 

 

 

 

達也にちょっかいをかけて返り討ちにあったり、ほぼ正体がバレていることに気がついたり、東京に潜伏しているという脱走兵の処分を言い渡されたり、USNA大使館でミーティングをしたり、アンジー・シリウスとしての任務を遂行中に先日知り合ったばかりの学友、レオが路上に倒れていたり、結局任務は失敗したり。

今日なんてエリカに右肩を折られたし!あんなに強いなんて聞いてない!達也には訳のわからない技術だか魔法だかで術式を無効化されちゃうし!日本の高校生はどうなっているのかしら!雪花が言ってたチートなの!?あっ痛い!興奮してきたら肩が。痛し辛いし帰りたいし!泣きそう、色々泣きそう。

 

任務とか吸血鬼とか学校とか色々なものを全部吹っ飛ばしたい気分だった。

 

とはいえ何もかも吹っ飛ばすなんて出来るはずもなく私は今日も学校に行った。

臨時生徒会役員、なるものに勧誘されたものの正直なところあまりやりたくはない。私には任務があり放課後に時間を取られるのはあまり好ましくない。

 

私は今日も任務があるわけだし。

 

 

 

白覆面と全く楽しくない鬼ごっこ、それが私の任務。その任務の途中遊び相手(ターゲット)が銃で腹部を撃たれた。銃弾の飛んできた方向には拳銃を構えた達也の姿。なんで私の邪魔ばかりするのかしら!

 

腰から単一用途の武装デバイスを引き抜き情報強化の魔法を発動させる。銃身を通過する銃弾の諸属性を強化する魔法だ。

 

しかしその銃弾は一瞬で微塵に分解された。

 

嘘!?なんで!?その動揺が私に隠しきれない隙を作ってしまったのだろう。

 

偽りの姿が剥がれていく。

 

無意識に銃弾を放つ。しかし五発の弾丸はやはり達也に届くことはなく塵と消えた。

そして今度は拳銃そのものがバラバラになり、魔法で破壊される。訳がわからない。私は一瞬、たしかに動きを止めてしまった。

 

 

「止せリーナ!俺は君と敵対するつもりは無いっ」

 

 

その空白を狙ったのだろう。けど、正体がバレてしまった以上達也はここで始末するしかない!

パレードで位置の情報を偽装し本体の居場所を掴ませないようにしながらダガーで攻撃する。座標を特定出来なければ魔法をかけることはできない。このパレードを破るためには幻影を破壊し、新たな幻影が形成される前に本体の位置を見つけ出して攻撃するか、五感に頼らずイデアにおける本体の座標を割り出して攻撃するかの二択。魔法の発動の速さには自信がある。特にこの魔法は誰にも負けないという程の自信があるのだ前者の方法で破られることはないだろう。そして後者も恐らく達也には無理だ。そんなことをこの戦闘中に行えるような実力と能力があるのなら私はとうの昔に無力化されているはずだ。

 

このまま押しきる!

 

気合いを入れて五本目のダガーを投げるがかわされる。そして達也が何やら円筒形の缶を軽く上へ放り投げた。

 

「ジ」

 

何のまねかしらと不思議に思ったのは一瞬だった。私は直ぐに対物障壁を展開する。なにせその缶は小型の投擲榴散弾だったのだから!ジーザスなんて言っている暇もない。

 

そして直ぐに達也が飛び掛かってくる。新たに形成しようとした対物障壁はまたも謎技術で消し飛ばされる。完全に不意を突かれた私はそれ以上の抵抗は出来ず仰向けに押し倒された。

 

が、これで終わる私ではない。

 

 

「アクティベイト、『ダンシング・ブレイズ』!」

 

 

達也の手がマスクに触れたと同時に、叫ぶ。投擲済みのダガーが私の声に反応し達也を襲う。そして体に突き刺さった…と思った瞬間、全てのダガーが細かな砂と化して消え散った。

 

 

「腐食……いえ、分解……?」

 

 

私の疑問に答える声はもちろんない。その代わりに達也が強引に仮面を剥がしにくる。激しく首を降って抵抗するもその手を振り解けない。

 

 

「後悔するわよ、タツヤ!」

 

「捕獲に成功したはずのターゲットに逃げられた時点で、たっぷり後悔している」

 

唇を噛み締めて睨み付ける。仮面が外された、もう達也は処分するしかない。だから私は─悲鳴をあげた。

 

 

「誰か、誰か助けてっ!」

 

 

この悲鳴は合図。警官に扮した仲間が四人、達也を囲む手はずになっている。いやなっていたはずだった。

 

 

 

『助けを呼ぶ声聞きつけて、正義の味方大参上!』

 

 

 

何故か、変態が一人増えた。




正義の味方とは一体誰なんだろうか(棒)

そしてレオは退場。まあ彼はほら、うん、きっとそのうち良いことあるよ(適当)

雪花サイドの話は飛ばした部分も合わせて追々やっていきます。

さて、明日も0時に投稿します。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。