魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
そしてぼくはテスト前だというのに、なんでこんなほわっとしているのか。
「ちーちゃん、お姉さんどうにかならない?」
救出から丸一日経つというのに部屋に引きこもって出てこない。まあ命の危険があったわけだし普通の女子高生なら仕方ないかもしれないけど。
「こうなっちゃったら無理よ。トイレに出てくるのを待つしかないわね」
「そんなに待てないよ、紗世さんが外で待ってるんだ…仕方ない。時間ないし手荒になっちゃうけど」
ちーちゃんのお姉さん、小春先輩の部屋は今時珍しくアナログな鍵、鍵穴式だったのでピッキングして開ける。
「はい、開いたー」
「…貴方そんな技術どうして持ってるの?」
「子供のころ沙世さんに教えてもらった」
「…その人、家政婦さんなのよね?」
「嗜みだって」
頭を抱えるちーちゃんを置いて小春先輩の部屋に入る。小春先輩は布団を頭から被っているのだろう。その姿は見えずベットの上が丸く膨れている。
「先輩、安全なところに移動させるんで失礼しまーす」
「ちょっと何するの!離しなさい!」
小春先輩を持ち上げて外へ運ぶ。暴れているが布団でぐるぐる巻きにしたためモゴモゴと動いているだけだ。そして外で待機していた沙世さんの運転する車に押し込んでちーちゃんも乗り込み発進する。
「どこに向かうの?」
「五輪の別宅」
「…五輪って十師族の?」
「うん、セキュリティは最高だし、何より戦略級魔法師が居てくれるから」
一緒に愛媛に行ったとき澪さんが戦略級魔法師だと知った。同じ戦略級魔法師でも兄さんとは大違いだ。兄さんには澪さんを見習ってもっとぼくに優しくて欲しい。
◆
「ごめんなさい、澪さん。ご迷惑おかけします」
「気にしないでください。私のことを頼ってくれて嬉しいですよ。…でも『澪さん』は止めてください」
「うぅ、分かりましたよ…澪姉さん」
五輪家の別宅に着いてすぐ、全員で澪さ…澪姉さんに挨拶する。なんか愛媛に行って以来、澪姉さんと呼ばせようとしてくるんだよね。可愛いからいいんだけどちょっと恥ずかしい。
「貴方、九島家だけじゃなくて五輪家とも繋がりがあったの?」
「高校を卒業したら五輪家の養子になるかもしれないんだ。この前本家に挨拶にも行ったよ」
「…これが終わったらなるべく貴方には関わらないようにするわ」
「酷い!?」
小春先輩を内側からは鍵のかけられない部屋に押し込んでちーちゃんを部屋に案内する。案内と言っても邦人さんに着いていってるだけだど。
「あーちゃん先輩は今大事な時期で学校を休めないから沙世さんに迎えに行ってもらったよ。学校はセキュリティが固いし安全だけど帰りは危険だからね」
「その危険な帰り道を家政婦さん一人で大丈夫なの?」
「武闘派家政婦さんなんだよ」
「そんなの聞いたことないんだけど」
「ちなみにそこの執事さん、沙世さんの夫だから」
用意された部屋に入ろうとするちーちゃんにちょっとしたイタズラ心で教えてあげる。
「…何かごめんなさい」
何故か謝りながら入っていった。
さて、後はあーちゃん先輩を待つだけだ。ここに狙われる危険のある人を全員集め終わったら…いよいよ本番。こちらから仕掛けなくてはずっと狙われたままになってしまうのだ、なんらかの交渉をしてこの件を終わらせる。
切り札はある。
実質、四葉との対決が始まる。
今話は予想外に時間がなかったこともありこんな感じですが次話で戦闘あるかもです。
ちなみに黒服の集団をボコったのは沙世さんです。一人でボコりました。その辺は次話で説明出来たらいいなーと思います。
さて明日も0時に投稿します。
テスト前日だけどね!