魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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冬休みになったら執筆時間が増える!そう思っていた時期がぼくにもありました。

実は今日、完成したのギリギリです。0時七分前に完成しました。投稿が間に合って良かった。


砕かれた希望

達也が使っているツイン・シングルの部屋に部屋の主である達也は勿論、吉田幹比古、西城レオンハルト、千葉エリカ、柴田美月の所謂いつものメンバーが集まっていた。

 

 

「ミキ、チョッとは落ち着いたら?」

 

「僕の名前は幹比古だ」

 

 

エリカとのお約束をこなし幹比古は空いているベッドにどっかり腰を下ろした。

 

 

「達也、もう一人って誰なんだい?古葉って名前しか聞いてないんだけど」

 

「誰それ?達也くんの知り合い?」

 

「弟だ」

 

「へー弟ねー…って弟!?達也くん弟もいたの!?」

 

 

「ああ、ちなみに深雪の弟でもある」

 

 

驚いたのは声をあげたエリカだけではない。達也以外の全員が目を丸くしている。

 

 

「でも名字が違うわよね?」

 

「エリカちゃん!」

 

 

きっと何か複雑な家庭の事情で名字が違うのだ、と思っていた美月がエリカを咎める。が実際のところ名字が違うことに大した理由はない。

 

 

「美月別にいい。俺も理由は知らないが家庭の事情とかではない」

 

「なんか古葉くんの気持ち分かるかも。優秀な上がいると下は肩身が狭いしね」

 

 

兄と姉に劣等感を抱き司波姓を名乗らなかったのだと解釈したエリカが優秀な兄達を思い浮かべながら言う。

 

 

「あいつは一科生だぞ?」

 

 

エリカの想像を理解した上で達也が返す。

 

 

「学年首席にして生徒会メンバーな絶世の美少女の姉と二科生ながら入試のペーパーテストで一位、風紀委員に抜擢されこうして急遽九校戦にも出場することになった兄…弟としてこれほど高い壁はそう無いわよ」

 

「あいつは魔法技能でいえば深雪と同等程度だろうし学力で言うなら俺以上かもしれないんだが」

 

「達也くん…ブラコンもだったの?」

 

「……それはもう言われたよ」

 

 

達也としてはブラコン()という発言に異を唱えたいところではあったがエリカに付き合っても疲れるだけだと分かっていたため押し黙る。

 

 

「で、なんでいままで紹介してくれなかったんだ?仲が悪いってわけでもないんだろ?」

 

「本人から口止めされていたんだ。まあ単に機会がなかったというのもあるがな。なんせ雪花は一度も学校に登校していない」

 

「一度も登校していないって…良く退学にならなかったね」

 

 

魔法科高校でなくても一学期を理由もなく丸々休めば退学ということもありえる。

 

 

「ブランシュによる襲撃によって学校側も対応に追われていたからな。一人の生徒を気にしている余裕はなかったのだろう」

 

「そもそもなんで学校来ないんだ?」

 

 

レオの当然ともいえる疑問に達也は頭を抱える。先程のミーティングルームでも答えたことであるがこうして改めて考えてみるとやはり自分の弟はおかしいのだと実感させられるからだ。

 

 

「ただの引きこもりだ。学校に入学したのも念のためと言っていた」

 

 

全員が微妙な顔をした。答えた本人である達也すらもである。

ここにいるメンバーは皆、二科生。本気で試験に挑みそれでも補欠としてやっと入学を許された者たちなのだ。念のため、で一科生になれた雪花に思うところはある。

 

 

「…やっぱりあんたらの弟ね」

 

 

エリカの呟いた言葉が誉め言葉でないことを理解した達也は顔をしかめた。

 

 

 

四人が雪花について話していた頃、その当人はといえば。

 

 

「きゃー!可愛い!小さい!」

 

「肌すべすべ!赤ちゃんみたい!」

 

「やめて!ちょっ!服脱がそうとしてる人いるでしょ!?助けて姉さん!」

 

女の子にもみくちゃにされていた。

そして女の子の中には二年、三年の先輩も混ざっているため深雪も助けることができずにいた。

 

 

「なんか深雪がちっちゃくなったみたいな感じだね!」

 

「いひゃい!いひゃい!」

 

雪花の両頬を伸ばしながら明智英美が言う。

 

「本当だね、ちょっとこれ着せてみようか?少し大きいかもしれないけどきっと似合うよ」

 

「それミラージ・バットの衣装だよね!?着ないよ!?止めて!服脱がせようとするなぁああ!!」

 

 

里美スバルが自らの衣装を片手に雪花に迫る。複数の女の子に両手足を固められている雪花は逃げることも出来ずにジタバタと手足を動かしながら口で抵抗を試みる。が、味方であったはずの深雪までもがいつの間にか向こうに取り込まれスバルと共に着替えさせようとしていた。身体中に女の子特有の柔らかいものが当たっているがその感触を楽しむ余裕はない。雪花にしてみれば刻一刻と死刑が近づいてきているような気分なのだから。

 

 

「話せば分かるよ!ほら考えて!ぼくは男、それは女物!はい解決!ぼくは着ないよ!絶対着ないよ!」

 

 

涙目で良く分からないことを言い空しくも最後の抵抗をする雪花に深雪とスバルはにっこり笑顔で言い放つ。

 

 

「可愛いに性別は関係ない」

 

 

 

雪花の希望は砕かれた。

 




全然話が進まないという。

今話は幹比古の希望が砕かれると思わせておいて実は雪花、という裏切りをやりたかっただけの回です。
気がついたらこうなってました。


さて、明日も0時に投稿します。

明日こそ彼には派手に散ってほしいです。

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