魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
放課後、兄さんとぼく、姉さんは実験棟の空き部屋にピクシーを連れ込んだ。尋問のためである。ツッキー経由で美術部から借りた人形画のモデル用の制服に着替えさせて校内を移動させたので特に騒ぎにはならなかった。はふ、達也様に見られながら着替えるの…良い!なんて呟く変態がいただけだった。猫被れてないよ!
「犠牲者の血が失われていたのはパラサイトの仕業か?」
「はい」
「…何故、人の生き血が必要だった?」
「失血は意図したものではありません。増殖に失敗した副作用です」
「……詳しく説明し「お兄様!その前に聞かなければならないことがございませんか!?」」
姉さんが兄さんの言葉を遮るなんて事態はそうそうない。つまり今はそれだけの事態が発生しているということだ。
「何故か、ピクシーの声が私の声と同じに聞こえるんですが私だけでしょうか!?」
「いや、俺にもそう聞こえている」
そう、ピクシーの声が姉さんなのである。
「お兄様、今日の私は妹モードなんですよ」
この台詞はピクシーだ。どうやら妹モードというのはぼくが設定したお兄ちゃん大好き!というような妹ではなく姉さん、司波深雪をモデルとしたもののようだ。うん、お兄様大好き!な妹モードだね。
「あーいやそもそもピクシーはここまでスムーズに話せなかったはずだし、声を変えることも出来なかったはずだ。それにテレパシーなしで表情を変えられるようだしな」
止めて、こっち見ないで!そうだよ!ぼくだよ!ぼくがやりました!
「ピクシー、その声は止めろ。サイキックの使用も許可しているんだ、無理ならテレパシーで良い」
「分かりました。デフォルトの声で話します」
デフォルトの声に戻ったピクシーにどこか安心した様子の姉さん。まあ、あのピクシー、どんな変態発言するか分からないからね。自分の声で、それも兄さんの前では絶対されたくはなかったのだろう。あのピクシーは怪しい、と着いてきた姉さんは正解だったようだ。
「先程のご質問にお答えしますが、我々の増殖プログラムはまず、自分の一部を切り離し『
分解体は血液中の
置き換わった血液は同化に伴う肉体の変容に使用され、同化に失敗すると、分離体と共に生気としてレシピエントの体外に排出されます」
あのピクシーが真面目に話している…だと!?何の前触れ!?と考えるのは失礼だろうか、いや正しい。
「肉体への浸透が完了すれば、その情報体である幽体も掌握でき、幽体は精神体への通路でもあります。幽体を経てレシピエントの精神体にアクセスし、これと一体化できれば増殖は成功です。しかし残念ながら、成功例はありませんでした…あっそろそろ真面目モード無理かも」
耐えて!頑張って!応援してるから!確かにぼくも真面目な空気って長くもたないけど!ぼくにだけ聞こえるように小さく呟いたピクシーを目で応援する。
「理由は?」
「不明です。私もそれを知りたかった…まあ今はどうでも良いですけど。もっと
それはきっと考えなくて良いことだよ!妄想と書いて考えるとは読まないんだよ!
心の中で声を上げながら、その後も続く尋問をぼくはハラハラとしながら見守る。
「…仲間はこの国に何体いる?」
「この身体に宿る直前の時点で七体、自分を含めて八体でした」
「パラサイト同士で交信は可能か?」
「出来ます」
「交信が可能な範囲は?」
「国境の内側であれば交信可能です」
「他のパラサイト現在位置は?」
「仲間との接続が切れているので、不明です」
尋問の成果は大きい。分からなかったことが次々と明らかになっていく。恐らくUSNA軍も掴んでいないような情報ばかりだ。色々
「はぅ…そろそろ無理っぽ」
情報は有益なんだけど、ピクシーさんが限界だ。そろそろ変態が顔を出してしまう。
尋問はまだまだ続くというのに。
今話はピクシーさん控えめ?でしたが、次話は…うん。
さて、明日も0時に投稿します。