魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮)   作:カボチャ自動販売機

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前話で二十万字を越えました!



幼馴染みと妹と婚約者と雪花①

「まさか雪花が二人の弟だったなんて…でも言われてみれば似てるかも」

 

 

兄さんのおかげでどうにか乗り越えたと思ったのも束の間、生徒会室から速攻で逃げようとしたぼくの肩に手が置かれる。

 

 

「雪花…何逃げようとしてるの?」

 

「そうですよ、まだお話は終わってませんよ?」

 

 

目に光がない。ちょっ肩痛い!ミシミシ言ってるよ!

 

 

「ぼく、ちょっと用事があって兄さんたちの家に行く約束してるから今日のところは」

 

 

これは本当のこと。嘘は吐いていない。いやー残念だなー!ぼくもお話したかったのにー。

 

 

「気にするな、急ぎじゃないし明日でもいいさ。久しぶりの再会で積る話もあるだろうからな」

 

 

兄さーん!?アイコンタクトで裏切り者!と非難すると自業自得だ、俺を巻き込むな、と突き放される。鬼!悪魔!涙目でどうにかするよう頼むが完全に無視だ。酷い。

 

 

「……セッカは二人と一緒に住んでいないの?」

 

「ああ、色々あってな」

 

 

皆、兄さんの色々を勝手に解釈したらしくそれ以上聞いてくることはなかった。複雑な家庭の事情にズカズカと踏み込んでいくような人間はこの場にはいない。兄さんも分かっていたからこその発言だったのだろう。

 

 

「そう、じゃあセッカ借りるわ」

 

「ああ、好きにしてくれ」

 

「でも生徒会室を私用でいつまでも使っているわけにもいきませんし、場所を変えましょうか」

 

 

この場には味方がいない。兄さんはぼくを売ったし、姉さんはぼくがリーナのことを話していなかったからか拗ねてしまい目も合わせてくれない。ほののんと五十里先輩はさっさと帰っちゃったしね。どうしよう、このままリーナとあーたんに連れていかれたらもう家に帰れないような気がする。

 

 

「なら、ぼくの家に来る?」

 

「セッカの家…良いわね、行ってみたいわ」

 

「私も賛成です」

 

 

ふふっ家に帰れば水波ちゃんがいる!これでぼくにも味方が増えて二対二、何故か機嫌の悪い二人を相手に一人は辛いからね。完璧だ!これで今日は乗り越えられる!

 

 

「お兄ちゃんおかえりなさーい!」

 

 

そう思っていた時期がぼくにもありました。

 

 

 

 

 

玄関を開けた瞬間、オシャレした水波ちゃんが抱きついてきた。そりゃさ、いつもは毒ばっかり吐いてくる水波ちゃんがお兄ちゃんとか言いながら満面の笑みで抱きついてきたら嬉しいじゃん、頭撫でるじゃん。

 

 

「セッカがメイドにお兄ちゃんと呼ばせるような変態になってるなんて…」

 

「そうです、デレデレしちゃって」

 

「まあお兄ちゃんは私にデレデレですからね」

 

 

そしたらね、なんか地獄になった。

怖いよ!三人に囲まれてつい正座しちゃってるよ!なんで!?どうしてこうなった!?特にリーナ!誤解だよ!いや微妙に誤解じゃないんだけど、その蔑むような目を止めて!あーたん、デレデレしていたのは認めよう。ぼく、デレデレしてました!でも兄妹のスキンシップだから!兄妹ならこれくらい普通だから!うん、普通だから!

 

 

「みみみ水波ちゃん!ぼくお腹空いちゃったなーなんて…言ってみたり」

 

 

不穏な空気をどうにかしようと、勇気を振り絞って発言した。今日は沙世さんがいないから水波ちゃんが作ってくれているはずだ。もし出来ていなくても、水波ちゃんは戦線離脱することになる。

 

 

「そうですね、お兄ちゃん。じゃあお皿を並べてもらえますかお兄ちゃん」

 

 

やけにお兄ちゃん連呼するの止めて!いつもは中々言ってくれないくせに!どうしてこの状況でそういうことするかなっ!ほら、二人からの視線が痛い!刺さってる!なんか刺さってるよ!

 

 

「お二人もどうぞ、量は多めに作ってありますから」

 

 

兄さん助けて!ぼく一人じゃどうしようもないよ!この三人に対抗することなんて不可能だよ!

 

 

「お兄ちゃん、こっちのお皿もお願いします」

 

「…また」

 

「……これはどうするべきでしょうか」

 

 

ぼく、ここで死ぬかもしれない。




修羅場は続く。
でも次話でリーナ視点を挟むかもしれません。


さて、明日も0時に投稿します。

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