ハイスクールD×D 最強の天才   作:不安全ピン

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すいません。遅くなりました。
定期試験があったもので・・・
お詫びに今回は、少し長めです。
展開は遅いですが・・・


天才の挨拶

「やあ。どうも」

 

その日の放課後、俺の教室に祐斗がやってきた。

ただ、その挨拶は俺だけに向けられたものではなかった。

 

「・・・何の御用ですかね?」

 

学園一のイケメンに対して良い感情は抱いていないイッセーは、冷たく返す。

そのイッセーだが、今日は一日、注目の的だった。

祐斗とは違う方向で有名人なイッセーが、これまた有名人で、学園の二大お姉さまと呼ばれるリアス・グレモリー先輩と一緒に登校してきたのだ。そりゃあ不自然だろう。

一部では、イッセーがリアス・グレモリー先輩を脅したなどとも言われている。

まあ、あのバカにそんな度胸はないと思うがな。それにタイミング的に昨日、イッセーも襲われたのだろう。となると、俺の体に起きた異変がイッセーにも起きたと考えて間違いないだろう。リアス・グレモリー先輩も『悪魔』の関係者か。

 

「あれ?リアス・グレモリー先輩から聞かされていると思うんだけど」

 

ビンゴ。やっぱりリアス・グレモリー先輩も『悪魔』の関係者だ。

 

「っ、・・・そうか。わかった」

 

祐斗の言葉に一瞬驚いたイッセーだったが、すぐにおとなしく従った。

 

「ありがとう。それじゃあ、天井君も」

 

「え?才斗もか?」

 

祐斗の言葉に驚くイッセー。

まあ、こいつは俺があの場に一緒にいて、殺されたなんて知らないからな。

 

「・・・まあ、色々あってな」

 

俺は適当にはぐらかした。

今説明すると、ややこしいことになるし、俺も『悪魔』に関して詳しい情報がない。

 

「とりあえず、ここは人目に付くから場所を変えよう」

 

そんな俺の意思を読み取ってか、裕斗がそんなことを言った。

確かに、祐斗が教室に入ってきてから女子からの注目がすごい。

 

「・・・わかった」

 

イッセーが祐斗の提案に了承した。

答えるまでに時間があったのは、裕斗の女子からの人気に嫉妬したのだろう。

小さい男め。

 

「別にいいぞ」

 

俺も特に異論はなかったので頷いた。

昨日の今日でまた襲われる可能性もあったが、そのリスクを冒してでも情報がほしい。

 

「それじゃあ、僕についてきて」

 

俺とイッセーは、祐斗に連れられて教室を後にした。

 

 

 

 

祐斗に連れられて向かった先は、校舎の裏手にある旧校舎という建物だ。

その名の通り昔、学園で使われていた校舎なのだが、俺は前から違和感を感じていた。

長年、使われていないにしては、綺麗でガラス窓とかも割れていない。

一度、中に入って調査しようと思ったが、扉が開かず諦めた。

 

「ここに部長がいるよ」

 

俺が開けることのできなかった扉をあっさり開けて、祐斗は言った。

イッセーは不思議そうにしていたが、俺は予想通りだった。学園内で人目に付くことなく、集まれる場所と言ったら限られる。その中でも椅子や机などの設備がある場所と言ったらここぐらいだろう。

廊下も綺麗で、使われていない教室も掃除がされているところを見ると、即席の集会場所という訳ではなく、いつも使っているようだ。

 

「この部屋だよ」

 

俺が情報収集に勤しんでいると、祐斗がそう言って、とある教室の前で停まる。

どうやら目的地に着いたようだ。

ん?扉になにかプレートが掛けられているな。

 

『オカルト研究部』

 

・・・帰りたい。

 

「帰りたい」

 

おっと、つい口に出してしまった。

そんな俺を見て祐斗が苦笑いで言ってきた。

 

「そ、そんなこと言わないで・・・」

 

「だって、木場君・・・」

 

「あれ!?なんか、他人行儀じゃない!?」

 

俺がさりげなく精神的距離を置いたことに、祐斗が愕然とした。

しょうがないだろう。オカルトって・・・

 

「ま、まあ、とりあえず入ろうぜ」

 

俺が祐斗をからかって遊んでいると、見かねたイッセーがそう提案してきた。

お前、イケメン嫌いじゃなかったのかよ・・・?

 

「そうだね!さ、さ、入ろう」

 

絶好のチャンスと思ったのか、祐斗が高めのテンションで扉を開ける。

もう少し、遊びたかったのに・・・

 

「部長、連れてきました」

 

祐斗が中に入って、そう呼びかける。

俺とイッセーも後に続いて中に入った。

 

「なっ!・・・」

 

イッセーが驚いているが、無理もないだろう。

室内の至るところに謎の文字が書き込まれている。床や壁だけでなく、どうやって書いたのか分らない天井にまで書いてある。

その中でも一番特徴的なのが、床に書いてある巨大な魔法陣のようなものだった。

これがしっかりとした言語なら、文法や文字の規則性である程度解読できるが、魔法陣に使われているとなると、言語的意味のない模様という可能性もある。そうなるとお手上げだ。

 

「か、彼女は!?」

 

イッセーが前を見て驚きの声を上げた。

その視線を追ってみると置いてあるソファーに誰か座っている。

彼女は確か・・・

 

「と、塔城小猫ちゃん!?完璧なるロリ顔にロリ(ボディ)!!そして、超がつくほどの無表情と無口で一部の男子(ロリコン)だけでなく、女子の間でも「可愛い!」と人気の高い学園のマスコット、塔城小猫ちゃんじゃないか!!」

 

・・・長々と説明、どうもありがとう。そして、言葉には気を付けた方がいい。「完璧なるロリ顔にロリ(ボディ)」の部分で塔城小猫から殺気が飛んできた。

 

「こちら、兵藤一誠君」

 

裕斗が、苦笑いでイッセーを紹介した。

 

「・・・」

 

無視して手に持っていた羊羹を食べる塔城小猫。そりゃあ怒るよな・・・

 

「な、なぜ・・・」

 

なぜって、イッセー・・・そりゃあ、お前がバカだからだよ。

 

「えーと、こちらは、天井才斗君」

 

「よろしく」

 

「・・・どうも」

 

俺の挨拶には普通に応えてくれた。良かった、同類(バカ)だと思われてなくて・・・

シャー

部屋の奥から何か、水の流れるような音が。

室内の奥を見ればそこには、シャワーカーテンがある。この時点で、裕斗たちがただものじゃないことに、確信が持てる。

俺がそう考えていると、カーテンに人影が写った。女性、というかリアス・グレモリー先輩だ。

身体つきでわかる。・・・いやらしい意味じゃないぞ。

俺と同じように、元浜も体を見ただけで誰かわかるし、スリーサイズもわかる。

あいつは、あふれ出る煩悩によるものだが、俺の場合は人体の構造を理解した上での冷静な観察によるものだ。

その証拠に、俺は身長や体重もわかるし、女性だけでなく男性でもできる。

 

「・・・いやらしい顔」

 

塔城小猫の声だ。一瞬、俺に向けられたものだと思ってギクリとしたが、横を見て分かった。イッセーだ。確かにいやらしくて、見苦しい。

 

「部長、これを」

 

カーテンの向こうからもう一つ声がした。女性のようだが、もう一人いるのか?

 

「ありがとう、朱乃」

 

どうやら着替えているようだ。それにしても朱乃か、どこかで聞いた名前だな。

そんなことを考えていると、カーテンが開いて、中から制服を着込んだリアス・グレモリー先輩が出てきて、俺たちに微笑んだ。

 

「ごめんなさいね。昨夜、イッセーの家にお泊りして、シャワーを浴びれなかったから」

 

なるほど。それがイッセーと一緒に登校して理由か。大方、けがをしたイッセーの治療でもしていたのだろう。

俺が一人納得していると、カーテンの奥からもう一人の女性が出てきた。彼女は確か・・・

 

「ひ、姫島朱乃先輩!?リアス先輩に負けないぐらいのわがまま(ボディ)に、いつも笑顔を絶やさないニコニコフェイス!!そして、絶滅が危惧される黒髪ポニーテール!!和!まさしく和を体現した佇まい!!リアス先輩と並ぶ、学園の二大お姉さまと呼ばれる、姫島朱乃先輩じゃないか!!」

 

・・・またまた説明、ありがとう。それはそうと、イッセー。お前はなぜ、名前を二回言うんだ?

 

「あらあら。初めまして、名前は今、兵藤君が言ってくれましたが、改めて。姫島朱乃と申します。以後、お見知りおきを」

 

イッセーが言った通り、ニコニコとした笑顔で挨拶してくる。でも、なぜかその笑顔が、俺には作り物に見える・・・

 

「こ、これはどうも。兵藤一誠です、こ、こちらこそ、初めまして」

 

「初めまして、天井才斗です」

 

俺たちの挨拶が終わったのを確認すると、リアス・グレモリー先輩は一つ頷いて口を開いた。

 

「これで全員揃ったわね。イッセーと天井才斗君。才斗って呼んでもいいかしら?」

 

「はい。構いませんよ」

 

「そう、じゃあ改めて。私たち、オカルト研究部はあなたたちを歓迎するわ」

 

「え、あ、はい!」

 

「・・・はい」

 

イッセーは元気よく返事していたが、俺は何かあると思って、頷くのに躊躇してしまった。

だが、そんなことは気にせず、リアス・グレモリー先輩は可愛らしい、だが、どこか小悪魔のような笑みで言った。

 

「悪魔としてね」

 

驚いているイッセーを無視して俺は思った。

 

やっぱりか~

 


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