ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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文化祭が始まっています。この話は完全にオリジナルとご都合主義です。


第7話 躍動の前夜祭

東を三振に取ったことに今は一様に驚いていた。しかし、それはその前に投げた沢村が彼を三振に取っているので、それも解らなくもない。

 

だが、あの御幸一也が後ろに逸らしたという事実が、グラウンドの空気を凍らせた。

 

「角度をつけすぎたかな。すいません、まだ本調子でなくて、制球に不安があるんですよ。」

大塚がそのように説明する。

 

「………………すげぇぇ………何だよ今の球。フォークなのか?」

沢村が感嘆の声を上げる。

 

「まあフォーク系の落ちるボールだ。通常のSFFは落差が小さく、打ち取るためのボール。だが、アイツのSFFはフォークと同等の落差だ」

 

しかも、歩幅が以前よりも小さくリリースポイントが高い為、より角度がつくSFFはそれだけ落差もでかくなる。

 

「初見であれは厳しいかぁ~。けど、次は止めてやるよ」

御幸もすぐに気分を切り替え、大塚の変化球を称賛しつつ、捕手としてのプライドを口にする。

 

「アイツよりも結構キャッチング上手そうだし。あの時よりも早くとってくれそうですね。」

大塚は以前に再会したかつてのチームメイトの事を思い出していた。

 

 

 

――――本気なのか、東京で野球をやるって………

 

――――うん、いいリハビリの先生がいるようで、東京に引っ越すことになったんだ。親の都合も兼ねてね。

 

――――確かに………今の栄治を取ろうという学校は神奈川にはいない。あんな大怪我をして…………くっ! 俺が横浦に掛け合う!! あの人たちもお前のポテンシャルを!!

 

 

―――これ以上世話になる事は出来ないよ。こうして、キャッチボールしてくれるだけでもね。

 

まだ球速はあの時に届かない。まだあの時のMaxに満たないストレート。やはりリハビリで下半身の粘りが消えかかっている。それに、最近骨がようやくつながったところなのだ。

 

――――………そんな顔をしないでよ、同じチームにはなれないけど、甲子園まで勝ち進んだら、また会えるさ。

 

――――エイジ…………約束だぞ!! 俺は横高の捕手のスタメンを勝ち取る!! だから、また野球をしよう!! 今度はバッターとピッチャーとして!!!

 

かつての相棒にこう言われたのを覚えている。

 

――――ああ、約束だ

 

 

 

「……………ようやく第一歩、なのかな…………」

三振に取った後、大塚はこのダイヤモンドの中心に戻れたことに万感の思いを感じていた。

 

 

またこの懐かしい場所に戻ってこれた。それがうれしくて、勝負をしているうちに、投げていること自体に感動していた。

 

「……………栄治…………」

沖田は、彼が名残惜しそうにマウンドにいる姿に、何を思うのだろう。

 

悔恨の念? それとも彼が復活した事への歓喜?

 

「…………あ、そろそろ戻りますね。」

 

大塚がマウンドを降りた後、一同は改めて学校見学を再開するのだった。

 

 

 

 

「ただいま…………」

家に帰った沖田は、ひどく疲れた様子で、妹の薫にも心配されていた。

 

「お兄ちゃんただいま!! でもすごい疲れてそう………」

 

「いや、ちょっといろいろとな……本当に、いろんなことがあった」

今日その日起きたことを思い出すように、目を閉じ、感慨にふける沖田。

 

「あ、帰ったのね、道広。」

母親も帰宅した息子を出迎える。そして、疲れているが、充実した顔、何かに吹っ切れた顔を見て、笑顔になる。

 

「どうだった、青道高校」

 

「…………いろんなことがあった。何か言わなきゃいけない相手が、でもその勇気がなくて………でも、俺は今日、ちゃんと向き合う事が出来た」

 

「そう…………」

 

まさに奇跡だった。彼がこうしてあの頃と同じように投手をして、あの打者を三振にとって、自分と同じように第一歩を踏み出したこと。

 

それが同じ高校であるという偶然。

 

「俺………やっぱり野球を続けたい。アイツと一緒に、野球をやってみたくなった。野球を諦めるという選択肢がなくなったんだ。そしてプロの世界で、アイツと改めて勝負がしたい…………」

 

この3年間は同じチームで、そしてプロ入り後はまた違うチームになる可能性が高い。だが、今度は彼からホームランを打ちたい。

 

「………野球、続けていてよかったわね」

 

「はい…………」

 

 

 

 

「そうか………お前は青道に行くんだな………」

電話の主、黒羽金一は、盟友が他県の強豪校に行くことを聞いた。

 

「ああ。それに今日は懐かしい選手にも会えた。あの時、一番強いと感じた選手だったんだ」

大塚がライバルと感じた選手。それはあの試合で唯一彼から強い打球を放った選手―――

 

 

 

「沖田が!? けど、なんでまた………アイツも、野球を続けていたんだな。」

黒羽とて、盟友を壊されて何も思わないわけではなかった。まるで自分が犯罪をしたかのように、懺悔する彼の姿に、何も言えなかったのだ。その後再び全国大会で尾道と巡り合った時、彼が他県へと転校したことを気にかけていたのだ。そこまで彼の心に影を落としていたのだと。

 

「なんだか、一人にすると心配だから、アイツの面倒も見ようと思うんだ。彼、凄い真面目そうな性格しているし、損をよくしそうなタイプだろうから」

大塚も普通に話してみて、沖田の事を気に入っていた。

 

 

「まっ、推薦が結局青道以外ないのがなぁ………世の中見る目ないぜ………」

黒羽はこの世間の評判に色々と文句があるようだ。

 

「仕方ないさ。実戦を離れて久しい投手が、そんな争奪戦になるわけがない。公式戦はおろか、練習試合にも出ていないのだからね。」

 

実戦はその後磨けばいい。今は、体力をとにかくつける事。失った体力を取り戻すことに重きを置いていた。

 

成長期のこの時期に、そうしたランニングや体作りは効果があったようで、黒羽と再会した時に「お前、背が伸びたな…………」といわれるぐらいに高身長を得たのだ。

 

「まあ、無事推薦を受けたし、後は甲子園で戦うだけだな」

 

「そっちも、東海大に不覚を取るなよ?」

 

「そっちも稲実を倒してこいよ」

 

「「………アハハハハハ!!!!」」

考えていることは同じだったらしく、二人は大笑いした。

 

その夜、久しぶりの長電話でスマートフォンの電源が危険ゾーンに入ったが、盟友二人のキャッチボールは二人の今後が明るいことを互いに示していた。

 

「けど、俺は寮じゃないぞ」

 

「え?」

黒羽は意外だった。大塚はすむところは最低限あればいいと常日頃から言っていたのだ。

 

「だって、家近いし。まあ、友人の部屋に泊まるかもね」

自転車ですぐであり、友人の部屋に突入するのは楽しみだしされるのは嫌なのだ。

 

「お前、性格悪くなったなぁ………」

苦笑いの黒羽。

 

「図太くなっただけだよ。」

 

 

こうして青道にかつて名を轟かせていた二人の選手が入学する。

 

 

そして11月に青道の文化祭が開催されていた(同時並行でオープンキャンパスが今年のみ同じ日に。特別進学クラス受験者対象)。このシーズンにはどの高校も文化祭を開催。何はともあれ、3年生の最後の思い出づくりの一つであったり、新入生には初めての文化祭。東京という地理もあって、人手で賑わっていた。

 

「お前、普通に飯食いに来ただけだろ………」

 

「いいじゃないか。お祭りごとは楽しいだろうしさ」

 

「って、お前ら来てたのかよ!!」

そこには、沖田、大塚、沢村の三人が青道高校にやってきていたのだ。

 

「むしろ長野のお前がここにいることに驚いているんだが」

 

「うんうん」

 

「ディズニーの帰りに、なんかあの女の人に誘われた」

 

「「は?」」

 

なんでも、沢村は青道への推薦が決まってお祭り騒ぎらしい。だから、沢村はガールフレンド兼お目付きの蒼月若菜と一緒に東京にきたという。

 

「お前、リア充だったのか………」

沖田が衝撃を受けた顔をしている。

 

「うん、栄純がモテるとは思ってなかった」

大塚もあのバカみたいな性格で女にもてることに驚いていた。大塚は女性とデートをする時間もなかったので、リア充ではない。ただ単に忙しかったのだ。

 

「リア充? モテる? 何を言ってるんだ?」

そして沢村は鈍感男の典型みたいなセリフを吐きやがった。

 

「一遍爆発しようか、なぁ栄純!? 全国のモテない男に謝れ!!」

 

 

「栄純~~~!! こんなところにいた………」

そこへ、栄純の目付兼彼女?の女の子がやってきた。

 

「(か、可愛い………)」

沖田はその彼女を見た第一印象がそうだった。そして、そんな女子と知り合いの沢村に嫉妬する。

 

「へぇ、結構可愛いね」

大塚もまあ笑顔のまま。というより、あまり沖田ほどきにしていないようだ。

 

 

「あの……栄純とは、知り合いなんですか?」

 

「そうだよ、一応推薦組。まあ、テストでよほどのことをしない限り大丈夫な身分」

大塚が説明を入れる。

 

「そうなんだぁ………さっそく友達が出来たんだね、栄純!」

ニカッ、と太陽のような綺麗で純粋な笑顔に、沖田は顔を赤くする。

 

「どうしたんだよ、道広? 顔がトマトみたいになっているぞ?」

煽る気満々の、煽る気は実際にはないという罠。沢村は、沢村だった。

 

「五月蠅い黙れェェェ!!」

そんなことを言いながら沖田はどこかへ走り去ってしまった。

 

「????」

沢村は、なぜ沖田が怒ったのかを理解できなかった。

 

「あの……うちの栄純が迷惑をかけます………」

苦笑いの女性。

 

「大丈夫、大丈夫。アイツはすぐに戻ってきますよ。ところで、君は栄純の何なの? 恋人?(黒い笑み)」

大塚が沖田不在の中、暴走した質問をする。そんな質問を振られて、その彼女もまた、赤面してしまう。

 

「おい若菜? お前もおかしいぞ?」

沢村もさすがに心配して、若菜と呼ばれた女子に飲み物を買いに行くと声をかける。だが、かみ合わない親切を見た大塚は、顔がにやけるのを我慢している。

 

「う、ううん!! 私は大丈夫!! えっと、私は蒼月若菜。栄純とは同じ中学で、今日は日程が空いたので、東京にやってきたんです」

 

「初めまして、俺は大塚栄治。まあ、エースの座は渡さないけどね」

 

「なんだと!? 俺が絶対エースになるんだ!!! いくらお前でも絶対に負けねぇぞ!!」

怒っているわけではないのだが、沢村は大塚の発言に食って掛かる。

 

「まあ、中学3年時の実績はほとんど同じ。後は実力。入学前からの競争だな」

大塚が煽る煽る。

 

「望むところだ!!」

沢村も闘志に目を燃え上がらせ、大塚を見る。

 

「栄純……大塚君…………」

 

「とまぁ、見ていて飽きないし、楽しい奴は歓迎だよ」

 

「ほっ………」

 

「けど、今のままではハンデがありすぎる。栄純には“野球知識”が圧倒的に足りない。プレーはどうかはわからないが、それでも知識だけでも詰め込んでここに来いよ」

 

そして、大塚はバッグの中から、一冊の本を取り出す。

 

「………野球入門書?」

沢村がタイトルを読む。そして、大塚はもう一つのA4のホッチキス止めの紙をクリアファイルの中に入れて手渡す。

 

「あと、栄純の投げ方を見て、改良できる部分があると思った。後は俺の趣味かな」

本当は高島礼に預けようと思っていたが、本人がちょうどそこにいたので、手間が省けた。

 

「うわぁぁ………これ、写真つき………それに握り方まで………」

若菜はすぐに紙を見て分かったようで、感嘆の声をもらす。

 

「いいんですか、栄純に渡しても?」

ライバルに塩を送る行為に、若菜は戸惑う。

 

「まあ、体が出来ていない奴でも負担無く投げられる変化球は覚えていて損はないよ。エースを争う投手が変化球無しなのは、なんか恰好がつかない」

 

「うっ………」

凄い変化球をいくつも持っている大塚にそう言われ、沢村は何も言えない。実際、大塚の決め球に衝撃を受けた彼は自分も何か変化球が欲しいと思っていたのだ。

 

大塚の東を空振りに取った―――そもそも勝負にすらなっていなかったあの変化球。

 

「まぁ、来年の初日が楽しみだね。それにそろそろ沖田を探しにいくよ。栄純はまぁ、彼女さんとデートでもすればいいと思うよ」

 

「///////////」

若菜は最後にそう言われ、顔を赤くする。

 

「お、おう!! 見てろよ!! 絶対に驚かせてやるからな!!!」

 

 

その後、沢村は彼女を連れて文化祭に来ていることがばれ(御幸が第一目撃者なのでお察し)。特に上級生の選手に散々追い回されたらしい。

 

しかし、一緒にいた若菜はその状況をどこか楽しんでいたりもしていた。それもそうだろう、その内野手が言うには逃げる時もずっと手を繋いで逃げていたというから。

 

 

 

大塚は、食堂でいろいろと食事をして家に帰ろうとしたが、御幸に捕まった。沖田は少し壊れたのか、可愛い女子をナンパをしようとしたが、野球部の太田部長に捕まった。

 

 

「まったく、いたいけな後輩を捕まえてどうしたんですか、御幸先輩?」

 

「どこが可愛げのある後輩だ………文化祭に来ているんだ、それならいろいろ案内してやったのにな」

 

「はは、すいません。ところで、沢村がなんか追い回されているんですけど、どうしたんですか?」

遠くでは、沢村が若菜とともに小さい高校生に追い回されていた。そして若菜は少し笑みをこぼしていた。

 

「うん? リア充撲滅キャンペーン」

さらっとそんなことを言う御幸。自分もモテていることを棚に上げて、この仕打ちである。

 

「うわぁ………先輩もワルですね(笑)」

大塚はそれ以上何も言わず、ニヤニヤしていた。

 

「あっはっはっは! お前も捕手が向いているかもなぁ」

御幸も、それを咎めない大塚の物言いに満足したのか、大笑いする。

 

「そう褒められるのは嬉しくないですね(笑)」

 

「笑ってるぞ?」

 

「ねぇねぇ、御幸。何少年と悪巧みしているの? 俺も混ぜてくれない?」

 

そこへ、桃色の髪の学生が二人の前にやってきたのだ。背も御幸に比べ低いが、彼の言動を聞く限り先輩のようである。

 

「あ、小湊先輩お疲れ様です。それが聞いてくださいよ、先輩」

ニヤニヤしっぱなしの御幸。

 

話を聞いた小湊先輩は、

 

「いいねぇ、そういうノリは嫌いじゃないね。これは来年が楽しみだよ。君のスプリット、確実に当ててみせるから精々今は笑ってなよ」

そしてこの黒い笑みである。

 

「これは宣戦布告ですかぁ。来年が楽しみであると同時に怖いですね、アハハハ(笑)」

 

「フフフフフ(笑)」

 

「やべぇぇ、来年が楽しみ過ぎるwwww!!」

 

 

私服の少年に、巷で話題の御幸一也、背は小さいがイケメンの小湊先輩が揃って黒い笑みを浮かべているのが文化祭後に話題になった。

 

 

混ぜるな、危険

 

 

「今日は楽しかったよ。入学後は色々と手を貸してあげることにするよ。」

 

「それは心強い。実力を示してからチームに貢献しますね。その時はよろしくお願いします」

 

「俺、アイツらをリードするのかよ。やっば、興奮するwwww」

 

 

その後、沖田は間違って直前の特別進学コースの説明会に紛れ込んでしまい(イベントを短縮するために、今年のみ並行して実施している)

 

「(なんで、こんなピリピリしたところに入ってしまったんだ、俺のバカァァァ!!)」

互いに互いをけん制し合う受験生の中に放り込まれた、この中では草食動物の沖田。そのでかい図体のくせして、縮こまってしまう。

 

 

「沖田がいない。帰ったのかな?」

普通科を見学していた大塚は、辺りを散策することに。すると、

 

「ん? ハンカチ? こんなところになんであるのかな?」

女物のハンカチが床に落ちており、大塚はそれを拾う。

 

「不用心だなぁ、でも、こういうのはこういう場所でよくあるよね」

落し物は学校の学務課に持っていけばいい。もしくは職員室に届ければいいと考えた大塚は、それをポケットにしまい、職員室を目指す。

 

そこで、

「すいません高島先生。今度はこんな面倒事を」

 

「いいのよ、あの時はその………私が悪かったわ。こういう面倒事を解決するのが先生の役目よ。落し物ありがとうね」

たまたま職員室にいた高島先生にハンカチを手渡し、大塚は職員室を後にする。

 

 

「うーーん、午前は悪巧みだったけど、いいことをすると気持ちが晴れるなぁ」

大塚はこれでもう帰ろうと思ったのだが、

 

バーーン!!!

 

「え?」どしん

曲がり角で何か柔らかいモノにぶつかり、少し衝撃を受けるが倒れるほどではない。

 

「きゃぁぁぁ!!!!」ずてん

対する当たった物体―――女子生徒は、転んでしまい、しりもちをついている。どうやら知らない制服のようなので、今日の文化祭に来ていた学生なのだろう。

 

「……………」

尻餅をついている女子生徒は、「イタタ………」と呻き、まだ視界がふらついているのか、起き上がれていない。

 

大塚はその女子生徒に手を指し伸ばそうと、手を差し出し、体勢を低くするが、

「あ………」

大股を開いていたので、スカートの中が見えてしまったのは不可抗力である。とりあえず視線を外し、女子生徒を起こすと、

 

「す、すいません! 急いでいたので………そ、それでは!!」

すぐに立ち上がり、大塚に謝るとその場を急いで走り去ってしまった。嵐のような出来事で、嵐のような子だったと思った大塚。

 

「うん、沢村ならビンタだったね、アレ。沖田なら急所を蹴りあげられるところだったかも。」

やはり大塚も大塚だった。

 

 

なお、色々と逃げるのに時間のかかった沢村と若菜は、予定の電車に乗り遅れ、今日は東京で過ごすことに。

 

仕方ないので、ホテルで一泊をすることになり、テレビの使い方がよくわからない沢村がスイッチを片っ端から押して、とんでもないのを出してしまったが、そんなことは大塚も沖田も知らない。

 

「ニュースが見れない!! 天気予報も見れない!! どうなってんだこのテレビ!! つかえねぇじゃねェか!!」

ポチポチとボタンを押すが、自分が思っていないところへといくので、沢村のイライラはたまる。

 

「うん……私も詳しかったらいいんだけど、説明書見よう?」

 

「あともうちょっとなんだ!! あともうちょっとで………(ぽちっ) ……………あれ?」

 

「…………ひ……………あ…………」

 

「…………………………ナニコレ………?」

沢村は目が点になる。あまりのことに、理解が追い付いていない。

 

「…………………あ…あ…………あ……………」

一方の若菜。とんでもないのを見せられて、思考が硬直している。

 

 

「イヤァァァァァァ!!!!!!!!」バシンッ!

 

「フゲラッ!!!」

 

沢村が手痛いビンタをされたのはお約束。

 

しかし、この事がきっかけでお互いを意識するようになったのでよかったのか悪かったのか。

 

 




沢村が大塚の魔の手により、野球入門書を手に取った!

沢村の野球レベルが上がった!

やる気が上がった。疲れがたまった。


沢村がリモコンの操作ミスをした。

沢村のやる気が下がった。疲れがたまった。若菜の評価が上がった。

次回から入学編ですね。







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