ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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メリークリスマス! 今日は気合を入れなきゃいけないと思った。


まあ、パーティがあるけど紅一点すらないしなぁ・・・




冗談はこれぐらいにして、遅れて申し訳ありません。

年末の仕事量はいつもバカにならない・・・・ 


第115話 剛腕譲らず

初回をまずは無失点に抑えた大塚が悠々とベンチへと向かう。

 

「立ち上がりはいつも隙がないな。さすがのピッチングだ」

片岡監督からの一言。大塚の立ち上がりのスキのなさに言及する。

 

「立ち上がりは余計に意識しますよ。まあ、力を抜いて、くいっ、と投げれば、たいていは何とか」

 

よくわからない表現で解釈する大塚。投手出身である片岡監督もよくわからなかった。

 

「そうか、その感覚が俺には詳しくはわからないが油断はするなよ。相手はいつもお前を助けてくれる心強い野手陣だからな」

 

「心得ています」

 

 

1回の裏。対する降谷も負けていなかった。

 

先頭打者の倉持には最後までストレートで勝負をし、空振り三振に奪う。

 

―――――くっそ!! 駆け引きも何もないぞありゃ!!

 

悔しがる倉持を背に、2番木島。

 

倉持もきわどいコースをカットしようと粘ろうとしていたが、御幸はそれを見てゾーン勝負で早々に追い込み、高めのやや釣り球で倉持を誘い出したのだ。

 

――――変化球はある程度ストレートが走ってから。こいつのストレートなら、1巡目は何とかなる。

 

御幸は、降谷のストレートの球威をある程度計算に入れ、彼の立ち上がりをよくするリードを心掛けていた。

 

それはかつて、クリスが一度だけ降谷とバッテリーを組んだ時のリードでもあり、彼の初先発の時もそうだった。

 

 

――――当てられるなよ、降谷。お前の相手は打者だけだぞ

 

 

 

2番木島はゾーン勝負を見るや、積極打法で降谷に食らいつきにかかる。

 

しかし、馬力が違う。

 

初球高めのストレートに空振りを奪われた木島。こちらも

 

 

「こっちも150キロかよ!! いったいどこの公式試合だよ!!」

 

「150キロ右腕の投げ合いが同じチームで行われているとか、意味が分からないぞ」

 

ギャラリーからもあきれの声。

 

 

そして、2球目のSFFが引っ掛かり、ワンバウンドした後の3球目。

 

 

ドゴォォォォンッッ!!!!!

 

 

御幸のミットを鳴らす、アウトローに決まるストレート。左打者の木島には遠い、アウトローに決まる150キロのストレートは彼を愕然とさせた。

 

 

―――――アウトローにストレートが決まるならっ

 

踏み込んで打つ。追い込まれた彼は冷静ではなかった。

 

 

加速するような剛球からの4球目。

 

 

 

「!!!!」

 

ボールが来ない。それは降谷が初先発の時に投げたボールではなかった。

 

 

―――――さらに遅い、チェンジアップだと!?

 

 

体勢を崩されてしまった木島。バットは周り、ボールには全くタイミングが合わなかった。

 

 

「ストライクっ!! バッターアウトォ!!」

 

 

―――――スライダーの特訓をやめさせて正解だ。チェンジアップが増えたことで緩急がさらに生きる

 

 

ストレートに途中まで見える落差のあるチェンジアップに加え、減速するスローボールに近いチェンジアップ。同じチェンジアップでも、用途が違う。

 

今の降谷に必要なのは、新しい系統の球種を覚えることではなく、同系統の球種を増やすことだ。これなら、ある程度感覚も似てくるはずだと御幸は予想し、降谷に試させたのだ。

 

これは、スライダーを複数持つ大塚や、左右にフォークを落とせる丹波の投球スタイルを参考にした、降谷の強化案であった。

 

 

3番三村は初球ストレートにつまり、ショートゴロ。

 

こちらも盤石の立ち上がりを見せた。

 

 

 

 

だが、序盤の勝負はここからだ。

 

 

2回表、先頭打者は御幸。

 

 

 

「ストライクっ!! バッターアウトォ!」

 

 

のはずが、大塚の多彩な変化球を必要以上に警戒した御幸。まさかの3球三振。

 

 

ストレート、ストレート&ストレート。

 

ストレートの威力を確かめるような大塚の投球。1球もかすらなかった。

 

 

――――くっそぉぉ!! 東条に対するリードを見ているのに!! 

 

日頃大塚をリードしていた御幸の主観が邪魔をして、狙い球を絞れきれなかった。

 

 

5番白洲も三振に打ち取られ、ツーアウト。

 

 

―――――金丸は思い切った打撃が持ち味。追い込まれるまではストレートに強い。

 

 

そして追い込まれたらストレートに対する強さが落ちるものの、変化球への対応力が上がる。

 

 

―――――縦スライダー。

 

 

「うっ!!」

 

寸前でバットを止めた金丸。ストライクからボールになる球を彼は初球から我慢してきた。

 

 

―――――なるほど、追い込まれても粘れる自信があるのか、それとも追い込まれた場面を想定しているのかは知らないが

 

大塚は金丸の意図を予測する。そして対する金丸も

 

 

 

―――――追い込まれた後のバッティング。この練習相手に、大塚ほど効果的な投手はいない。悪いが踏み台になってもらうぜ!!

 

 

あえて、金丸は大塚にその勝負を求めていた。

 

 

2球目のストレートもファウル。粘ろうとしているわけではないが、とらえきれない。

 

 

―――――ネクストバッターサークルで見る限り、御幸先輩を三振に取ったストレートとは違う。やっぱ腕の角度が違うのか?

 

 

今のストレートも140キロ後半は出ているだろう。しかし、東条や御幸をねじ伏せたストレートではない。

 

 

4球目まで粘り、追い込まれた金丸。そして大塚は、そんな金丸の意図を汲んでか、変化球を投げ分けてきた。

 

 

―――――3球目のストレートのファウルの後、スライダーが外れ、外のドロップカーブだと?

 

初球の縦スラへの反応を見て、少しだけ口角が上がった大塚。金丸を見下しているわけではない。

 

 

―――――なるほど、そう来るか

 

 

その言葉は、口にしなくてもわかっているかのような。

 

 

――――ここまでおぜん立てしてくれているんだ。食らいつく、そしてきわどいところはファウルで勝負を伸ばす!!

 

 

金丸はファウルで逃げる、という言葉を使わなかった。ファウルをすることで、勝負を伸ばす、勝負はこれからだという意識を持とうとしている。

 

 

ファウルで逃げる、その言葉だけで大塚に負けてしまう。気持ちに負けという言葉をちらつかせたくなかった。

 

だからこそカーブをカットし、勝負を伸ばす金丸。

 

 

 

しかし、

 

 

―――――くっ

 

 

2ボール2ストライクからの6球目に宝刀のSFFがさく裂。バットに掠ることすらできずに三振に打ち取られる。

 

 

「これが、大塚のSFF。投げられたのは初めてだけど、ここまで落ちるのかよ」

 

振った瞬間、振り終わって当たらなかったということが分かって、初めて大塚が落ちるボールを投げたという事実を認識するほど、キレがあった。

 

 

「というか、よく捕れるな、狩場」

 

 

「まあな。ブルペンだと御幸先輩一人じゃ捌き切れないからさ。自然と縦のボールを止める練習はできたっていうか」

 

けろりと言ってのける狩場。

 

 

―――――俺たちの代の正捕手がいま決定したな

 

金丸は直感でそう思った。

 

 

 

課題を持って勝負に向かうもの。課題を克服するために勝負するもの。

 

課題を見つけ、その探求心と成果を求めるもの。

 

それぞれの意図が絡み合う紅白戦。その序盤戦は静かなものだった。

 

 

 

そのころ、バックネット裏では

 

「やはり二人ともいい投球をしますねぇ。降谷は制球難が嘘のようだし、大塚はさらに一皮むけたようだし」

 

太田部長は二人の剛球投手の成長を感じていたのだが

 

吉川はいつもとは違う隣にいる人物を前に、かなり緊張をしていた。

 

――――青道高校を全国常連校に育て上げた名将、榊英二郎監督。

 

彼女が小さいころ、目の前にいる男がこの高校を率いていた。

 

「――――」

なんていえばいいのだろう。どんな話を振ればいいのだろうか。

 

春乃が戸惑いの表情を見せていることを察した榊はというと

 

「嬢ちゃんも遠慮しなくてええよ。今は試合を見ようや」

 

彼女の様子を汲んだ榊は気軽にそういう。

 

「すみません。テレビの向こう側にいた人が、こうして隣で観戦しているなんて、なんだか現実味がなさ過ぎて」

 

 

「それは俺も同じよ。青道が久しぶりに全国に出て、こんな生きの良い投手たちがやってくるなんてなぁ。」

 

目の前で好投を続ける両投手を見ている榊。一歩ずつ、青道高校も、そして入ってきた選手たちも育ててきた経緯があった。レベルが上がり、高校の知名度も上がり、また全国の陽の目に出てきた懐かしいチームを、彼は楽しげに見ていた。

 

 

「いい投手じゃないか。テレビの前で躍動していた、奴らの活躍を間近で見られるんだ。こっちもいいものみさせてもらってるよ」

 

 

彼が見始めたのは、ちょうど打者大塚対降谷の対戦だった。

 

 

「ほぉ、投手で4番か。そこまでの打力なのか?」

 

「ええ。3回戦では逆転サヨナラスリーラン。準々決勝では決勝点になるフォアボールに長打。チームバッティングも一発も狙えるパワフルな打者でもありますよ、彼は」

 

「逆転サヨナラたぁ、大したもんだ。そういう場面だとどうしても力んじまうのが球児だ。」

 

 

 

ちょうどそのとき、降谷のSFFを真芯でとらえた大塚が長打を放ったのだ。

 

「低め、とはいえ少し中に入ったな。高さ、キレは悪くないが、あの打者を見る限り、外に届くからなぁ」

 

大塚の手足の長さを考慮すれば、少し中に入りすぎたとつぶやく榊。

 

 

 

しかし、マウンドで悔しがる降谷を見て、彼は微笑む。

 

「いい球を打たれて消沈するんじゃなく、悔しがる。まるで若い時の鉄心を見ているようだな」

 

あの負けん気の強い、悪たれ小僧に似て、とまるで孫を見るかのような温かい目で降谷を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

その後、さらに力むと予想されていた周囲の目を見事に裏切り、山口をストレートで抑え込み、内野フライに抑える。

 

そして、

 

「ストライクっ!!! バッターアウトォ!」

日笠にはSFFで空振り三振。初めてのヒットを長打で出したものの、そのあとをしっかり抑え込んだ降谷。

 

狩場に対しても、ストレートでねじ伏せ、このイニングをゼロに抑える。

 

 

「むぅ」

大塚に打たれたボールをいまだに悔しがっていた。

 

「気にすんな。もう少し外によるべきだった俺のミスだ。」

そんな彼の様子を見ていた御幸が、悪いのは彼のボールではなく、自分のリードだと励ます。

 

その後、膠着状態が続く紅白戦。下位打線から始まる3回表は三振2つで片づけられたレギュラー陣。

 

大塚は、そこまで三振を狙っていたわけではなく、ストライクを3つとる感覚で投げていた。微妙にニュアンスが違うが、三振というイメージではなく、ストライクを3つとる。

 

ゆえに、三振が多くなるにもかかわらず、球数もかさんでいなかった。

 

レギュラー組の指揮を執っていた落合は、

 

―――――むう。ここまでアクセル全開だと、本当に点が取れんどころか、ランナーすら出ないなぁ

 

 

大塚と狩場は、こちらが狙い球を講じれば、それを逆手にとる必要もないほどカードを一度にたくさん出してくる。

 

多彩な変化球を持っているからこそできる芸当だ。

 

降谷、御幸バッテリーはアウトローを踏み込んでくる相手に対し、緩い球を効果的に使うことで的を絞らせないことに成功している。

 

 

 

バックネット裏では、吉川が目を丸くして榊のある言葉に反応していた。

 

「悪たれ、小僧って…監督が!?」

 

あの強面、規則に厳しい監督にそんな学生時代があったなど、予想できるはずもなかった。

 

「入学当初は目つきも悪い、敬語は使えない。手の付けられん悪たれ小僧だったよ。だが、奴は負けん気がとにかく強かった」

 

大塚の長打をいまだに根に持っている降谷。その悔しさをぶつけるかのように関をストレート2球で追い込み、SFFで3球三振。

 

 

 

そんな青い投球を続ける降谷を見て、余計に若かりし頃の片岡監督を思い出す榊。

 

「生意気な奴だったが、練習はまじめどころか、俺の教え子の中じゃ一番の距離を走ったぐらいだったな。奴の闘争心は、それだけ周りの奴に比べ抜きんでていた」

 

そう、それはまるで炎のようだった、と榊は語る。

 

その後は語るまでもない。そこから青道の鉄心こと、魂のエース、片岡鉄心の活躍が始まっていったのだ。

 

 

2年生の夏に準優勝にチームを導き、3年春には選抜ベスト8。プロの上位指名も予想されていた彼のとった選択は、当時の周囲の目を驚かせるものだった。

 

「でも、監督はプロではなく指導者の道を選んだんですよね…」

吉川は、プロを最初から目指している大塚のことを一瞬考え、彼と同じようにプロから注目を浴びた選手がプロに行かないという想像をした。否、想像できなかった。

 

母校に対する情熱があったとしても――――――

 

「どうしようもなかった自分を変えてくれた高校野球に恩返しがしたい、18になる若造が迷いなく言い切りやがったんだ。周囲の目はもう関係ねぇ。プロを勧める圧力も全部、俺も背負わせてもらったよ」

 

あいつの選択を俺は誇りに思う、と榊は言う。

 

「………」

吉川はもう何も言えなかった。そこまでの情熱を監督は高校野球にもっている。プロという道だけではない。プロになれるものは限られ、プロに行くか行かないかも自由なのだ。

 

それこそ、プロ野球に居続けるのか、メジャーに挑戦するのかという命題でさえ、変わらない。

 

「そんな話を聞いてしまうと、監督と話すときはいつも緊張しちゃいますね」

こんなすごい人が、監督だということ。彼女はそれを誇りに思うし、この人は頂点に駆け上がるべきだ、部員全員が連れて行かなきゃいけないと強く思った。

 

「あいつはそういう目は苦手だからな。できれば自然体でいてくれや。奴もそのほうが気が楽だろうし」

 

 

「わかりました――――っ」

 

内心では、監督に対する苦手意識が完全になくなっていた春乃。当初は外見に圧倒されていたが、それでもこんなエピソードを聞かされて、素晴らしい人物に自分たちは巡り合えたことを幸せに感じていた。

 

 

 

―――――女子マネージャー全員にも慕われているとは。お前にまだ嫁さんがいないのが信じられんなぁ、鉄心

 

 

榊は、春乃の目から察することのできる片岡監督手の尊敬のまなざしを認識し、いまだ独身であることに違和感を覚えた。

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに、5回が終了。結局大塚は一度も打者を塁に出すことなく、10奪三振と圧倒。ノーヒットに抑える。

 

対する降谷も、フォアボールを出さず、大塚と木島のヒットのみに抑え、こちらも9奪三振。後半は浅く握るSFFで打たせて取る投球で球数を節約することを試し、その過程で木島に甘い球を痛打されたが、ピンチの場面で大塚を外野フライにおさえこんだ。

 

「力押しは勘弁。手がしびれるよ」

苦笑いの大塚。捉えたと思ったが、詰まらされていたことを痛感する。

 

 

 

 

6回表からマウンドに上がった金田が立ち上がりを狙われ、1失点。先頭打者の前園に痛烈な長打を打たれ、降谷には進塁打となる大きな外野フライを打たれる。

 

その後は麻生をフォークで三振に抑えるも、ツーアウト3塁の場面で打者は東条。

 

大塚に圧倒されたままだった東条がここぞとばかりにアピール。

 

ここで金田は、低目のフォークを拾われタイムリーを浴びてしまう。

 

 

金田の球種の少なさが課題となった。

 

 

――――フォークだけだと、さすがにストレートに力がないと。

 

心の中でその課題を考える狩場。

 

だが、課題について深く考える時間はない。その直ぐ後、狩場にこの試合で見せ場が生まれたのだ。

 

失点直後の場面。東条がランナーとして出ている時のことだ。

 

ランナーとして、東条がスチールを敢行。3球目の1ボール1ストライクのカウントで走ってきたのだ。

 

2球目、春市の変化球に空振りした事を踏まえ、彼はフォークの連投を予想したのだ。

 

だが、彼は知らない。狩場の目が怪しく光っていたことを。

 

 

 

 

 

 

―――――え、盗塁の刺し方?

 

 

ある日、御幸に聞いた盗塁の刺し方。

 

――――常日頃から低い弾道、素早い挙動、とってから投げる時間の短さと正確さ。反復練習の繰り返しだろ?

 

 

 

これを読んでいた狩場。要求したのはウエストしたストレート。

 

 

 

 

金田のストレートを捕球し、そのままミットを持った手をスライドさせ、右手にボールを託す。

 

とってからどの位置に左手を持ってくるのか。その感覚をずっと磨いてきた。だから目で見なくてもわかる。その一瞬でその感触をつかんだという感覚がわかる。

 

もうすでに右手はボールをつかんでいる。それを言葉にしないうちに理解する。

 

 

刹那、低い弾道で右手から放たれた正確な送球が二塁木島に到達する。

 

反復練習の成果。御幸のような強い肩は持っていない。だが、それに至るまでの速度をできる限り、上げてきた。

 

 

「アウトぉぉぉぉ!!!」

 

東条を刺すことに成功し、金田を助ける好守備。このビッグプレーによってレギュラー組は攻撃の流れを断ち切られるのだ。

 

 

「金田。レギュラー組だからって臆してちゃだめだ。ここは強気に投げよう。」

 

できる限り強気に、投手を盛り立てる気概を持て。御幸を見ていると、そういうイメージが自然とついていた狩場。

 

だからこそ、ひたすら投手を鼓舞するワードを続ける。

 

「お、おう」

 

「東条のあれは事故だったけどさ。フォークの切れはよかったし、小湊でさえ初見で空振りしたんだ。初見のあいつらには十分使えるボールだ。次のイニングは積極的に使うぞ」

 

アウトこそ奪えていないが、小湊はこのフォークの軌道に戸惑いを感じていた。だからこそ読み取れる確信めいた断言を発する狩場。

 

まあ、低目大好き東条は論外。彼に対し狩場が変化球を使いすぎただけなのだ。

 

大事なのは、これらの結果からの考察。抽象的な言葉の後に、直接的な成果を出す。投手が乗れるように。思い切って腕を振れるように。

 

目に見える事実ほど、信頼出来るものはない。

 

「おう!!」

 

「俺はちゃんと止めるからな。ワンバウンドでも大丈夫だ」

 

 

最後に、自分の強みであるワンバウンドでも止められるという安心感を投手に与える。特に落ちるボールの使い手は、それができない捕手だと腕が緩んでしまう。

 

―――――自分は大丈夫だということを、言葉と行動で示せ

 

「リードされているが、このままでは終われない。塁に出て、ひっかきまわしてやろう」

 

 

6回の裏に沢村が登板。9番金田から。

 

「ストライクっ!! バッターアウトォぉ!!」

 

金田を三振に取る沢村。スライダーの切れがすさまじく、いつも以上に調子がいい。

 

 

―――――そうですね。左打席で、イン寄りに立つとどうなるのか。反応が見たい

 

大塚のそんなつぶやきからあった倉持の左打席。

 

沢村に一矢報いるきっかけは、ここから始まる。

 

 




降谷君は浅いSFFと減速するチェンジアップを覚えました。といっても、浅く握ったのと、沢村のチェンジアップをパクっただけです。握りはOKに近いです。

最初のすとんと落ちるチェンジアップは巨人のミスターメイの握りに限りなく近いです。


そして現在降谷君の先発能力が格段に上がりましたが、まだ課題があるのです。

準決勝あたりで明らかになると思います。

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