ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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やっぱり声の補正があるのか、当時は反応がすごかったですよね


第99話 梅宮の力

初回をノーヒットに抑えた青道のエース大塚。今度は青道の攻撃に入る。

 

 

先頭打者は、1番倉持。自慢の足を駆使したセーフティバントを警戒されている為か、三塁手のチャージが確認されている。

 

 

その背後にはバックアップの為にショートが絶妙な位置に存在するために、配球次第ではその穴にすら打つことも難しいだろう。

 

 

――――やっぱ警戒されてんな

 

守備シフトを見る限り、研究されていることが分かる。

 

 

マウンドの鵜久森のエース、梅宮は不敵な笑みを浮かべたまま。

 

 

―――――緩急だよな、やっぱこの投手の胆は

 

 

 

初球アウトローに決まるスローカーブ。左打席に立った倉持には外にすっぽ抜けたような軌道から、ゾーンに入ってきたのだ。

 

 

「ストラィィクッッ!!」

 

昨今ではあまりカウントを取れないカーブ系でまず先手を取ってきた梅宮。その制球力に値するメンタルも兼ね備えている。

 

 

――――これが入るのかよ。やっぱ絞らねェとな

 

 

 

2球目は高めの速球。おあつらえ向きの配球だが――――

 

 

「ストライクツーっ!!!」

 

 

空振り。スローカーブを見せられた後の威力のあるストレート。球速表示には139キロと表示されていた。

 

 

――――ストレート。かなりキレてるじゃねぇか

 

 

大塚曰く、カーブを制球できる投手はバランスがいいと言われている。

 

 

今日の大塚は本人曰く調子が悪く、ドロップカーブ、SFF、高速縦スラが使える状態にないという。

 

 

それを苦も無く扱えることが、この投手のフォームの安定感を物語っている。

 

 

 

続く3球目はインローのボールゾーン見せ球。思わず仰け反る倉持。当てられるわけではないが、反応してしまう。

 

―――――高めの速球の後にピンポイントに―――――っ

 

 

続く4球目は――――

 

 

「ストラィィィクッっ!! バッターアウトォォォ!!」

 

 

アウトローストレートに見逃し三振。振ることが出来なかった。

 

 

「倉持先輩っ!! 振らないんじゃヒットは生まれせんぜ!!」

外野で下級生の左腕が何かを言っているが倉持はそれすら聞き入れる余裕すらなかった。

 

 

「――――――――――」

 

言葉が出ない。ここまで4スミを上手く使われては、ヒットも打てない。

 

 

2番白洲に対しては―――――

 

 

「なっ!?」

 

 

ここでスローカーブではなく、さらに遅い球を投げてきた梅宮。ここで思わず声が出てしまう。

 

 

梅宮の手からボールが消えた、否、視界から外れたのだ。

 

 

そのボールの軌道は常識はずれな高高度な軌道を描き、ミットに収まる。

 

 

「ボールっ!!」

 

 

「な、なんだよ!? 今の―――!!」

ベンチの沢村がまたしても騒ぐ。

 

 

 

「―――――スローカーブ!? でも、それにしては――――」

 

そして球速表示版にはスピードが出てこない。つまりは計測不能。

 

 

 

「御幸先輩、アレは――――」

 

 

「ああ。超スローカーブでもなく、超スローボール。プロでも投げる投手は滅多にいない。イーファスピッチともいうな」

 

 

 

「い、いーふぁす!? なんですかそれ!?」

 

「沢村、まったく同じフォームであの球を投げられるか?」

 

「無理っすよ!! あんなの暴投になって―――――どうやって――――」

 

沢村の常識を壊す、超軟投派投手。スローカーブに続き、イーファスピッチすら見分けがつかない。

 

 

緩急に関して言えば、大塚のさらに先へ、さらに特化した投手。

 

 

白洲は先ほどの球に目が慣れてしまい、ストレート2球で追い込まれてしまう。そして、

 

「くっ」

ストレートに詰まらされ、内野ゴロ。力のない打球を難なくさばかれ、これでツーアウト。

 

 

 

だが、ここで3番沖田。

 

 

―――――まだあの球は投げてないのか、

 

初球イーファスピッチ。

 

 

「っ」

 

速球を待っていた沖田は反応せず、バットを動かさない。

 

 

「ボールっ!!」

 

 

続く2球目―――――

 

 

先程よりも鋭い軌道。スローカーブがゾーンに伺ってくる。

 

「ストライィィクッッ!!」

 

外角に手が出ない沖田。

 

 

―――――あの球でも厄介なのに、こんな変則投手がいるのかよ

 

 

恐らく速球、間違いなく速球が来ると解っているのに、

 

 

「くっ!!」

 

 

「ファウルボールっ!!」

ストレートにかろうじて当てるのが精一杯な沖田。厳しい表情で梅宮を睨むが、その実力を認めないわけにはいかない。

 

 

―――――ストレート自体もいい、東京はファンタジーすぎるぞ

 

 

優秀な投手がここ数年はあまりにも東京に集中し過ぎている。他の県外の高校ではエースを張れるほどに。

 

 

それこそ、西邦の投手よりもレベルが上だ。

 

 

 

不利な状況で追い込まれた沖田見ていたベンチは梅宮に対する認識をさらに修正しないわけにはいかない。

 

 

 

「沖田が振り遅れるストレート。体勢を崩されてはないが、球質もいい」

白洲がベンチのメンバーに話す梅宮のストレート。それは緩急抜きにとても回転の良いストレートであると証言する。

 

 

「ああ。正直緩急だけだと考えてたら、ストレートに仕留められちまう。」

倉持も白洲に続き、梅宮のストレートの質に警戒を強める必要があるという。

 

 

「沖田もストレートで追い込まれ、来るか、あの球が」

 

 

 

 

 

「フフ、イーファスは見せ球。無駄に警戒を強めてくれればいい。後は、この打者を仕留めることで、」

松原はベンチにて戦況を眺める。強打者沖田は攻守の要。守備面で彼の守備を崩すのは難しいが、攻撃を止めれば勝率を上げることが出来る。

 

 

「初回の流れを取り戻せる。梅宮の実力を警戒し、」

 

 

梅宮が並の投手ではないと悟らせ、彼得意のストライク先行投球をよりしやすくするための、圧倒的な結果を鵜久森は求めている。

 

 

「接戦に持ち込めるっ!!」

 

 

 

 

勝負球の4球目。

 

 

――――来るかっ、あの球が!!

 

 

 

バットを構える沖田、

 

 

 

―――――実力を見せつける絶好のチャンスっ!!

 

 

 

切り札を切る梅宮。

 

 

 

内角やや低め、その場所へとピンポイントに投げ込まれるそのボールが、

 

 

 

――――インコースっ!! 

 

 

 

更に厳しいインローへと向かう事で、

 

 

 

―――――急激に曲がる!? 消えッ――――――

 

 

 

沖田の視界から消える、バットから逃げていく。

 

 

 

 

「っ!!!」

ベンチにいた数名が思わず立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストライィィィクッっ!!! バッターアウトォォォォ!!!!」

 

 

 

 

 

空振り三振。この勝負球で沖田を三振に打ち取った梅宮。青道きっての巧打者を打ち取り、

 

 

「銅鑼ァァァァ!!!!!!」

 

 

 

『銅鑼ァァァァァ!!!!!』

 

梅宮の雄たけびに続き、ナイン全員が吠える。

 

 

 

 

「アレだよ、あの球だよ!! 稲実を打ち破ったのは!!」

 

 

「ああ!! あの球だ。カーブ系か!? スライダー!!?」

 

 

巧打者沖田を打ち取ったことで、この試合は序盤では動かないことを鮮烈に印象付ける。

 

 

2回の表、鵜久森の攻撃。先頭打者はチームの要、梅宮聖一。

 

 

――――こいつはストレート系に強い。成宮のストレートを打ち返したんだ。

 

本調子ではない大塚のストレートではスタンドに持っていかれてしまうだろう。

 

 

故に、初球変化球。

 

 

 

「ストラィィィクッっ!!!」

 

 

まずはボールになる縦スライダー。低めのボールに簡単に手を出してしまう梅宮。カウントを取った青道バッテリー。

 

 

――――この高さは振る。制球を間違えなければ、変化球で抑えられる!!

 

続く2球目は

 

 

「ストライクツー!!!」

 

 

カウントを取る横スラが外角低めに決まり、これで2ストライク。先ほどとは違う軌道のスライダーに戸惑う梅宮。

 

「おお!! 夏に比べて、スライダーがいろんな方向じゃねェか!!」

 

騒ぐ梅宮。追い込まれているにもかかわらず、無邪気に反応する。

 

 

「これが一流の投手か!!」

 

 

「―――――(典型的な野球バカか。やりづれぇな)」

マスクを被る御幸はそんなことを言われてもコメントしようがないので無視する。

 

 

――――遊び球に一球アウトコースにボールのストレート。見せ球でいい。

 

 

御幸が外に構える。頷く大塚。

 

 

 

「ボールっ!!」

 

ややボールがシュート回転し際どいゾーンに。やはりストレートがシュート回転する。体の開きが早いのか、腕の角度に誤差があるのか、まだムラの見られるストレート。

 

 

ベンチで見ていた松原は――――

 

「南朋。やっぱストレートは本調子じゃないみたい。」

鵜久森のキャッチャー、嶋敦也は大塚の調子を捕手目線で分析していた。

 

「敦也。捕手目線でも解る? アレならまだ絶望感はないんだよね。あのストレートは明らかに次の球の布石。問題はどの変化球が来るか。」

 

 

カーブ系、SFFが来ない。ならば恐らく――――

 

 

「ぐわっ!」

思いっきりタイミングを狂わされた梅宮前のめりになりながらも、パラシュートチェンジに当ててきたのだ。

 

 

「!!!!」

まさか初見で当てられるとは思っていなかった大塚。びっくりした顔で力なく転がるゴロをさばき、梅宮を抑えるが、

 

 

「―――――――っ」

明らかに悔しそうな顔をしていた。

 

 

――――あれに当ててくるのか、いや、違う。

 

 

この打席、打席の梅宮は故意的に重心を後ろにしていたのだ。つまり、相手は緩急に狙いを定めている。

 

 

――――このストレートを狙い目にしていない? それとも……

 

 

チェンジアップを狙っているのか。

 

 

続く打者は犬伏。弱点はインコース高め。手足の長い打者には有効なインコースの使い方が重要となる。

 

 

「ストラィィクッ!!」

 

まずは横スライダー。カウントを取るバッテリー。速球系を初回で見せたために、恐らく警戒しているであろう速球の変化球をあえて使わず、変化球でカウントを稼ぐ。

 

 

そしてここまでくれば次も変化球だと読んでくるだろう。

 

 

「ストライクツーっ!!」

 

 

ここでインコースのストレート。真ん中内寄りから内に入ったストレート。シュート回転は治らない。

 

 

――――ふらなきゃなんにもなんねェ!!

 

 

犬伏がバットを短く持ち、

 

 

「ファウルっ!!」

 

高めの釣り玉に手を出す。御幸としては三振を奪いに来たボール。だが、簡単に当てられたのだ。

 

 

「!!!」

 

しかもストレートを引っ張られ、レフト線に切れる痛烈なファウル。

 

大塚の表情が若干強張る。

 

 

しかしそれでも犬伏のインコースを突く――――

 

 

――――こいつがフロンドドアかよ!?

 

 

「ストライィィィクッっ!! バッターアウトォォォ!!」

 

 

見逃し三振。インコースボールゾーンからストライクに切り込むカットボールでアウトを取る大塚。

 

これでツーアウト。相手は6番の嶋。

 

「んじゃ、南朋。狙い球を絞って、だよね?」

 

「その通りだよ、敦也」

 

 

 

――――6番嶋。強打の梅宮、犬伏とは違い、しっかりとランナーを返す、鵜久森のポイントゲッターの一人。

 

 

どちらかというと、流し打ちの巧い、最後までボールを見てくるタイプだ。

 

 

 

―――――まずはカーブ。目線を変えて、出方を伺う。

 

 

大塚の投じた第一球。ドロップカーブが、

 

 

「!!」

 

 

初球真ん中低め。投げた瞬間に思わず大塚も表情をこわばらせる。

 

 

カキィィィンッッ!!

 

 

痛烈な打球が大塚の真横を掠める。反応したが、腕を出すよりも先に打球はセンター方向へと飛んで行った。

 

 

「初球打ち!!」

 

 

「鵜久森、まずは先制のランナーを出したぞ!!」

 

 

そしてリードを広くとる嶋に、大塚の集中力が奪われる。

 

 

――――くっ、捕手の癖になんてリードだ。

 

 

――――ランナーは気にするな。まずはスライダー。牽制を1回。

 

 

「っとっと」

大塚の鋭い牽制素早く戻る嶋。そして返球と同時に以前と変わらぬリードを取ってくる。

 

 

その後、もう1回牽制を入れるも、

 

 

―――――クソッ、何度もそのリードかよ

 

そして、走者に気を取られたバッテリーに気取られないよう内寄りに立つ二宮。

 

 

 

ダッ!

 

 

投球と同時にスタートをかけてくる嶋。バッターはストライクゾーンのスライダーを打ちに来た。

 

 

「スチールっ!?」

御幸がこのカウントで!?という顔をするが、

 

 

「ストラィィィクッっ!!」

 

 

7番二宮はスイッチヒッター。そして今回は左打席に入っている。右投げの御幸にとっては利き腕方向に立っていることになる。

 

更に、内寄りに立っている為、やや窮屈な状況。

 

「!!!」

 

 

―――――視界が――――っ!!

 

 

7番二宮のスイングが目に入る。

 

強肩の御幸も、目標を一瞬でも遮られれば、僅かな硬直時間が生まれてしまう。

 

 

 

 

「セーフっ!! セーフっ!!」

 

 

御幸がスローイングするも、間一髪のセーフ。これで1死二塁。

 

 

あの御幸が得点圏に走者を許すという事態を招く結果となった。

 

 

「うおっ!! ここで初球スチール!!」

 

 

「御幸から盗塁を成功させたぞ!!」

 

 

 

観客も強肩捕手の御幸から二塁を陥れた鵜久森に歓声を上げる。

 

 

 

――――これが、本当に高校生のプレーか!?

 

1,2番にも小技を使える選手がいるとは聞いている。だが、この6番と7番はレベルが違う。

 

 

稲実戦では逆転打を浴びた成宮から止めとなる連続タイムリーを放ち、息の根を止めた選手でもある嶋と二宮。

 

しかも、嶋はランナー一塁二塁の状況で投げてきたストレートの後のチェンジアップを狙い撃ち、続く二宮は初球のストレートを確実に捉えたのだ。

 

 

 

 

勝負強く、打点をしっかりと残すタイプが二人いる。

 

 

厄介な打者だと御幸は考えた。

 

 

―――――だが、変化球に強くても、

 

 

「ファウルボールっ!!」

 

 

インコースに切れ込むシンキングファスト。打球は左斜め後ろへと飛ぶ。芯で捉えられていない。

 

 

―――――動く球は捉えきれていないな。

 

 

そして、ここでチェンジアップは厳禁。緩い球への対応力は稲実戦で見ている。

 

 

――――縦のスライダー。ここで振らせるぞ。

 

 

「ボールっ!!」

 

 

しかし二宮はこれを見送り、バットを出さない。これでカウント1ボール2ストライク。

 

 

―――――まだ相手カウントに有利な状況。また振らせに来るかな? 

 

「タイム」

ここでタイムを取る御幸。マウンドに立つ大塚の下へ向かう。

 

 

 

「え・・・?」

まだ序盤でいきなりマウンドに来られるとは思っていなかった大塚。

 

 

「ちょっとテンポが速くなってるぞ。投げ急ぐな、自分のペースで投げろ、大塚」

 

 

御幸から見ても今日はテンポが速すぎるように見える。メンタル面でいろいろあるのは知っているが、それが原因で体の開きも早くなっていたのだ。

 

それが、今日のやけにシュート回転するストレートの最大の原因である。

 

「―――――すいません。切り替えが全然できていませんね――――」

申し訳なさそうに謝る大塚。だが、それを手で制す御幸。

 

「馬鹿、ここで謝るなって。ボールの力自体はあるんだ。弱気は最大の敵だぞ」

 

 

「はい――――」

 

 

マウンドからホームへと帰っていく御幸を見て、大塚は自省した。

 

―――――どうにもならないことなのに、馬鹿か俺は―――――

 

 

自分への怒りが募っていた。

 

 

 

一方、内野陣では

 

 

――――大塚? 雰囲気が戻って、いや―――――

 

沖田は、大塚の調子がおかしいことに気づく。横浦戦で見せたあのオーラが完全に消え去っているのだ。

 

 

 

――――俺も、解るよ。けど今は打者に集中しよう、大塚君

 

春市も、同じ悩みを抱える者として彼の心情が痛いほど理解できる。だからこそ、それを割り切る強さが必要だと考えている。そして、それを大塚に求めていた。

 

 

――――嫌な凡退をして、初ヒット。今日は投球リズムも違うし、明らかにおかしいぞ、アイツ

 

 

 

――――この雰囲気や。この雰囲気が、大塚を狂わせとる

 

上級生の倉持と前園も、大塚の異変を敏感に感じ取っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ベンチの鵜久森では

 

 

 

 

 

 

――――帝東戦では強気なリードをして、大塚の失点を招いたし、

 

 

無茶な要求をして、沢村、降谷の時にはセーフティなリードだった御幸を考え、二宮は5球目も変化球だろうと読む。

 

 

 

大塚がなかなか投げない。二塁ランナーを見て牽制をいれたり足元を気にする動作をするのだ。

 

ゆったりと時間を使う彼の姿に、松原は訝しむ。

 

――――リズムが変わった? さっきのタイムで何か変わったかな

 

 

そして、リラックスした状態でセットに入る大塚。

 

 

 

ここで大きく足を上げた大塚。クイックが遅い。そう判断した嶋はスタートをかける。

 

 

その巨体をバランスよく動かそうと苦心する大塚のフォーム。その変化を一番感じるのは勿論バッターだ。

 

 

―――――腕が遅れて―――――っ!!!

 

 

二宮からすれば、手足の長い大塚がいつまでたってもボールを放してくれない、そんな感覚に襲われ、

 

 

低目に伸びてくるストレートが綺麗にインローに決まった。

 

 

 

「ストライィィクっ! バッターアウトォォォ!!」

 

 

御幸は強気のリードを崩さない。この勝負所でインコースストレート。シュート回転がおさまった綺麗なフォーシームが見事に決まる。

 

 

 

大塚のメンタルに介入し、この状況で大塚の投球を立て直したのだ。

 

 

――――初めて納得のいくストレートが投げられた。

 

 

体の開きが直ってきたのだ。これにより、馬力を逃がさない球質の良いストレートに戻りつつある大塚。

 

 

だが、まだ馬力自体が元に戻っておらず、球速も143キロ。

 

 

 

 

最後はストレートでピンチ脱出。

 

 

 

 

 

 

しかし青道としては一人一人がはっきりと意図のあるプレーをしてくることが何よりも恐ろしかった。

 

 

自ら考え、自ら行動する。サインプレーもある高校野球だが、力のある選手というのは自己判断で最善策へと近づくことが出来る選手、結果を出せる選手である。

 

 

「大丈夫。まだ球速が出ていない今ならまだ間に合う。甘い球も決してないわけじゃない。」

 

 

松原がチャンスで凡退した二宮に声をかける。

 

 

「相手は一流の投手、どんどん挑戦して、攻め込んでいこう。」

 

 

「そうだぜ! 俺達はチャレンジャーなんだからな!!!」

 

 

「南朋……」

 

二人の言葉に感じ入る嶋。嶋の気持ちは入部したころから変わらない。

 

 

――――やっぱ、こいつらがエースとマネージャーのチームに入れてよかった。

 

 

 

先にピンチを招いた青道。だが、まずはシュート回転を抑え、球質を取り戻した大塚。

 

 

死闘は終わらない。

 

 




大塚がスロースターターになっている事実。

プロスピで再現すると

動揺、スロースターター、尻上がりは必ず付くと思う。


沖田君の苦手な投手の共通点がこの試合で浮き彫りに。

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