ダイヤのAたち!   作:傍観者改め、介入者

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本作の高校生はどこに向かうか。

来年以降はまだ未定です。


神木の新人王を変更。岡本達郎を新人王にしました。




番外編
番外編 2011年 架空ドラフト


10月27日。

 

それは若者たちの運命を決める日でもあった。2011年ドラフト会議。今年は社会人、大学生に即戦力がそろっており、高校生組には厳しい年になるかもしれないといわれている。

 

特に、大学ビッグスリーを中心に大学生投手は即戦力投手がずらり。野手のほうでは六大学野球屈指のスラッガーが頭一つ抜けているか。他にはパンチ力と走力を兼ね備えた野手や、リードオフマンタイプがいる。上位候補は限られているが、今年もタレントぞろいの大学生野手。しかし、やはり今年の大学生は投手が育っていた。

 

 

社会人では守備に強みを持つ選手が多く、センターラインで苦労している球団は是非とも獲得したいところ。守備の名手が特に多く、即戦力候補。一方投手にもパワーピッチャーや変則投手の実力派がずらり。今年も社会人は即戦力の看板に偽りなしといえる。

 

最後に高校生だが、今年の夏は下級生の台頭が目立つ大会となったことは否めない。やはり、高校生ドラフトの軸を握るのは、今年のNO1右腕の神木鉄平だろう。最速152キロのストレートに加え、切れ味鋭い変化球を誇りつつも、制球力の評判総じて高い。

 

ついで評価の高い右腕は甲子園でSFFの名手といわれた歳原、最速153キロの速球が武器の蒲田、甲子園出場こそないものの、高い評価を得ているのは九州の健田翔太だろう。一方左腕は甲子園未出場の松元、今本らがいる。しかし、右の充実ぶりに比べるとスケールの小ささは否めない。後は一芸に秀でた原石が埋まっている高校生投手。磨き方次第でいくらでも化ける魅力はある。

 

一つ残念なのは、今大会で評価を上げた丹波光一郎の進学だろう。上記の候補者の大半を燃やし尽くした横浦打線相手にHQSを達成した投手であるからだ。横浦打線を抑え込めた投手は、公式戦では神木鉄平以外に例がなく、指名届を出せば、面白い結果になっていただろう。東都リーグへの進学を決め、4年後に成長した姿を見たいものである。

 

 

この記事を読んだ丹波は、驚きのあまり顎が外れそうになったという。

 

「うぉい!! 丹波のあごがぁぁ!!!」

 

「2回目は洒落にならんぞ!!!」

結城らが何とか落ち着かせることで事なきを得たが、丹波はこれをモチベーションに、大学での飛躍を誓った。

 

 

 

そして、高校生野手の中でも上半身一つ抜け出ているのは横浦高校の坂田久遠だろう。あの松井秀喜以来の逸材といわれる超高校級スラッガーは上位指名が必至といわれている。将来の大砲候補どころか、来年にはデビューができるほどの実力者だ。坂田に次ぐ評価を受けているのが、甲子園経験はない強打の内野手鷹橋周平、坂田のチームメイトの岡本を中心に、スラッガー候補も充実。なかなか面白い世代といっていいだろう。

 

 

「うーむ、気難しい説明だな。」

岡本が知恵熱を出しながら今年のドラフトの総評を見て、唸っていた。

 

「そうだな。社会人や大卒辺りは飛ばし読みをしていたからよくわからんが、高校生組にとっては厳しいものになりそうだ」

坂田久遠も前評判では即戦力に流れる傾向にあるため、上位指名は厳しいという見方だった。

 

「始まりますよ、先輩方!!」

黒羽はカメラが写っていますよ、と声かけをして二人に注意を促す。

 

『第一巡選択希望選手 千葉ロッテ』

 

 

ここで、やはり大学ビッグスリー、最速153キロ左腕を指名した千葉ロッテマーリンズ。先頭をきったのは、やはり大学ビッグスリー。

 

『第一巡選択希望選手 広島デミオーズ』

 

次いで大学ビッグスリーの一角。大学通算30勝300奪三振の即戦力投手を指名。ドラフト前から一位指名濃厚といわれていた。

 

『第一巡選択希望選手 楽天ゴールデンファルコンズ』

 

ここでロッテと重複。大学No1左腕がここで重複してしまう。

 

「やっぱ、あの投手の球は速いしなぁ」

 

「達郎、カメラは動いているんだぞ」

 

「あ、悪い」

 

 

こんな二人のやり取りを見て、なんJはサーバー落ち寸前を繰り返していた。

 

―――こいつら、マジで俺らと同じ感覚でドラフト見てやがる

 

――――緊張感なさすぎだろ

 

――――大物だろ、こいつら大成するぞ

 

などといったコメントが多数寄せられた。

 

 

『第一巡選択希望選手 大阪サーベルタイガース』

 

『神木鉄平 投手 前橋学園高校』

 

 

「おっ!! やっぱり一位指名か!! さすがだな、神木!!」

坂田が神木の一位指名に興奮し、思わず立ち上がったのだ。

 

 

何度も言うが、彼らの前にはカメラがあります。

 

「おまっ!! 人には言っておいてそれかよ!! こんなの、俺もテンション上がるに決まってんだろ!!」

 

 

ネット上では爆笑の渦。放送事故寸前というか、放送事故すぎる。

 

 

ちなみに、監督はその様子を見て、ニコニコしているだけだった。

 

「だめだ、俺が何とかしないと」

 

黒羽が何度も落ち着いてくださいと注意するシーンがカメラに写っており、2年後のドラフトまでに「フォローの達人。強肩強打の天才捕手、黒羽金一。しかし苦労人気質」として微妙な説明書きを付けられ、全国区の知名度を誇ってしまうことになる。

 

しかし、黒羽の胃が現在進行形で破壊されつつも、ドラフトは進む。

 

 

『第一巡選択希望選手 大阪ブルーバファローズ』

 

『神木 鉄平 投手 前橋学園高校』

 

 

「これで2球団目か。やるな鉄平!」

 

「うまくいけば、いきなり対戦だな、久遠」

横浦の大砲コンビは、2連続で神木が呼ばれたことで、テンションが上がっていた。

 

 

 

『第一巡選択希望選手 横浜ビースターズ』

 

『さぁ、横浜ビースターズ最後のドラフト。どこに行くか』

 

 

『坂田 久遠 外野手 横浦高校』

 

会場からどよめきの声が。ここで横浜は前年の東清国に続き、高卒野手の上位指名を断行。最後の最後に大胆な指名になった。

 

「横浜だ、家から近いぞ」

 

「そりゃ横浜だから近いだろ」

 

 

「違うだろ!? 違うだろォォォ!!! 違うだろォォォ!!!!」

黒羽は涙目だった。なんで自分はこんなに叫んでいるのか。

 

 

プロの関係者たちも、

 

「幸が薄い感じがするな。」

 

 

散々な評価である。

 

 

『第一巡選択希望選手 西部ホワイトライオンズ』

 

ここで、社会人の即戦力右腕を指名した西武。変則のサイドスロー。

 

 

『第一巡選択希望選手 読売キャッツ』

 

読売キャッツは、現在の監督の甥が指名されていた。彼は大学ビッグスリーの一角を担っており、その中でも抜きんでている。

 

 

『第一巡選択希望選手 北海道ソルジャーズ』

 

ここでキャッツが指名した投手を指名することになったソルジャーズ。会場内では大きなどよめきが起きた。そして、拍手すら。

 

「うお、なんか盛り上がっているぞ」

 

「そうだな。まあいいか」

 

「頼みますから何も発言しないでください、先輩方」

 

 

 

『第一巡選択希望選手 名古屋ドラゴンズ』

 

『坂田 久遠 外野手 横浦高校』

 

「うおい! 俺、重複だぞ」

 

「俺、まだ呼ばれてない」

 

「黙っててください!! なんで漫才みたいになってんだろう……」

 

哀愁が漂い始めている黒羽の背中。

 

『第一巡選択希望選手 福岡トマホークス 』

 

 

『神木 鉄平 投手 前橋学園高校』

 

「さすがだな、鉄平。これで3球団目か」

 

「俺の指名がない……」

 

 

「もう知らない……」

 

 

 

なお、現在進行形で神木鉄平も二人の醜態を見ており、

 

「うわぁぁ……、凄い恥ずかしい。もうやめてくれ、久遠……」

 

現在顔を真っ赤にしながらカメラの前に臨んでいた。坂田に高く評価されて、自分の指名の時に喜んでくれたのはうれしいが、その。すごい恥ずかしい。

 

後の神木きゅん誕生の瞬間である。

 

 

『第一巡選択希望選手 東京ビヒダス』

 

『坂田 久遠 外野手 横浦高校』

 

「うおっ、二つ家から近いぞ。全部東日本だ」

 

「宿舎があるし、心配ないだろ」

 

「なんで家からの近さで球団を判断しているんですかねぇ……」

 

 

この結果、広島、西武が単独交渉権を獲得。残るチームは抽選となる。

 

まずは大学ナンバーワン左腕の抽選。引いたのは

 

 

『千葉ロッテだぁぁ!!! 交渉権獲得!!』

 

そこから監督からの指名選手への挨拶が終わり、次は坂田久遠の抽選になる。

 

 

 

 

 

『まずは横浜ビースターズ球団社長が、左手で掴みました』

 

『大塚和正の復帰で2枚ローテがそろいましたが、先発はいまだ不安定。打撃陣も高齢化が目立つ今、ここで未来の大砲、坂田久遠に特攻したのは、並々ならぬ意思を感じますね』

 

『最後まで先発陣の問題が解決できませんでしたからね』

 

『1位以降の指名が大事になりますよ』

 

 

重苦しい雰囲気。絶対に引かないとまずい、後がなさそうな表情で、抽選くじを取り出した。

 

 

『ドラゴンズの落野監督は、右手でそのまま行きました』

 

『ドラゴンズにとっては、まさかまさかのシーズンとなりましたね』

 

『そうですね。一時期は5位に転落しながら、後半戦では怒涛の追い上げ。ついに首位に立つかと思われた矢先の大塚和正復帰でしたからね』

 

『そうですね。ローテの関係上、横浜のエース梅木投手と、大塚投手に何度もぶつかったのは、想定外だったでしょう』

 

『失礼な言い方ですが、やはり勝ち星を横浜で計算していたでしょうし、手痛い誤算でした』

 

 

続いて、名古屋ドラゴンズ。比較的余裕そうな表情で、抽選くじを取り出した。

 

 

『ビヒダスの小河監督は、左手で行きました』

 

『余り物といえば、大塚和正投手との対戦がなかったんですよね。それが後半戦でのドラゴンズ失速を引き起こし、陥落寸前だった首位の座を守ったことになりました』

 

『ビヒダスにとっては、運も味方したシーズンだったでしょう』

 

 

抽選の結果。

 

 

 

『横浜だぁぁぁ!!! 会場が湧きます! ここで地元横浜のスター選手を獲得しました!!』

 

身売り騒動に揺れた球団社長が最後の最後に大仕事をやってのけた。ここで、指名あいさつが行われる。

 

 

『率直に今の気持ちをお願いします。』

 

『絶対に引くんだという強い気持ちで、左手で抽選くじを引かせていただきました。無事にくじを引くことができて今は、ほっとしています』

 

『この結果を現在坂田選手も見ています。一言二言お願いします』

 

『坂田君。横浜にようこそ、と言える状況ではないけれど、来年新しく生まれ変わる新たな横浜の顔になれるような選手になることを、期待しています。』

 

 

 

 

 

 

「――――――――」

 

「先輩?」

黙り込んでしまった坂田を見て、黒羽がつい声をかけてしまう。

 

「やってやるさ。あそこまで言われたら、頑張るしかないだろ。男として」

 

 

「かっこいいことを言っているところ申し訳ないですが、もう格好がつきません」

 

 

この発言と来年度のセ・リーグ新人王レースを爆走することで、坂田久遠の愛称が「坂田ニキ」になることを、本人はまだ知らない。

 

 

 

『さぁ、今年の高校生ナンバーワン投手、神木鉄平投手の交渉権を獲得するのは、どの球団か』

 

 

関西ダービー勃発。絶対に負けられない戦いがそこにある。そこへ、福岡トマホークスが割って入る、三つ巴の争いとなった。

 

まずは、昨年5位の大阪サーベルタイガー。左手でくじを引く黛明信監督。後の黄金の左手は、当たりくじを引くのか。

 

『さぁ、Bクラスからの巻き返しを図るタイガース、黛監督が左手で引きました。』

 

 

『セリーグは、大塚和正の現役復帰で順位が荒れましたからね。』

 

 

『大塚和正お得意の上位叩き。これさえなければ、タイガースとドラゴンズの順位は違ったものになっていたでしょう』

 

 

『優勝とAクラスが消えたのですからね。ノーマークだったビヒダスが、失速したドラゴンズに引導を渡しましたが、来年はどうなるのか』

 

 

 

続いて、昨年4位のブルーバファローズ岡田監督が緊張した面持ちで、左手でくじを引く。

 

 

『今年は1毛差で惜しくもAクラス入りを逃したバファローズ。さらなる先発投手、未来のエース候補を引き当てられるか』

 

『二けた勝利を挙げた投手はいましたが、絶対的なエースがいないことが、最後の最後に響きましたからね』

 

 

 

最後に、福岡トマホークス、世界のホームラン王が左手で引いた。

 

『今シーズンは圧倒的な打撃陣、先発投手を揃えたパリーグ覇者が、この甲子園のエースを獲得するのか』

 

『クライマックスシリーズでは、秋の風物詩を乗り越え、このドラフトでもその勢いは健在か?』

 

 

 

 

「――――――――――」

 

坂田たちもこのくじの運命を見守っていた。

 

 

そして――――――――――――――――――

 

 

『バファローズだぁぁぁぁぁ!!!!! ブルーバファローズが神木鉄平の交渉権をもぎ取りました!!』

 

 

そして、岡田監督からの指名あいさつ。

 

 

『当たりくじを引き当てた瞬間の心境はどのようなものでしたか?』

 

『ええ。今年度のトップクラスを引き当てたことに、達成感を感じています。』

 

『神木投手に一言二言お願いします』

 

『未来のバファローズを担うだけではなく、世代を代表するような投手を目指して、プロの世界で頑張ってもらいたい。来年から、一緒に頑張ろう』

 

 

 

テレビで神木の運命を見届けた坂田たちは、

 

 

「決まったな。日本シリーズで再戦だ」

坂田は王者決定戦での再戦を夢見ていた。

 

「まだ交流戦でもあたりそうだけどな」

岡本がその坂田の夢に、冷静に突っ込む。

 

 

「日本シリーズでの再戦のほうが、燃えるだろ?」

岡本の物言いに、わかっていないな、と坂田は肩をすくめる。

 

「日本シリーズは簡単じゃないだろ。勝つのも、そこまで進むのも」

 

 

「だからこそ、燃えるだろ?」

 

 

 

「―――――なるほど!!」

そして結局納得してしまった岡本。黒羽はそっぽを向いた。

 

 

 

 

 

 

その後、名古屋ドラゴンズが周平を引き当て、これはこれでと納得していた。

 

 

ビヒダスは2連続でくじを外して迷走し、満塁HRとランニングHRを達成した外野手を指名。

 

 

タイガースは六大学野球の天才スラッガーを引き当てた。来季の即戦力として大いに期待された。が、神木を獲得できなかったのは痛いとファンは感じていた。

 

 

 

キャッツは監督の甥の選手を引き当てられず、高校生の松元投手の指名になる。

 

 

楽天は社会人投手を指名し、1位指名が終了した。

 

 

2位指名で主に会場が湧いたと言えば、

 

東京ビヒダスは日本庄野大学の投手を指名。リカバリーに努めているが、間に合うか。ファンは戦々恐々としている。

 

 

福岡トマホークスは知名度がいまいちらしく、玄人しか理解できない。しかし、ファンは気にしていなかった。どうせ勝手に育つから。

 

 

中日は、ファンがドラフト前の放送で耳にした2位指名の高卒投手を知っていたので、「案外活躍するんじゃないか」という楽観的な意見が多かった。

 

 

北海道ソルジャーズは、向井の先輩の内野手を指名。俊足巧打、パンチ力もある選手だ。しかし、全ては甥の説得にかかっている。

 

 

読売は、甥のショックで二連続の高卒左腕に特攻。ファンは少しだけ心配していた。

 

 

西武は2連続で社会人投手を指名。独自路線を突き進む。ファンからは困惑の声も。しかし、その認識が間違っていると、再来年にファンは思い知ることになる。

 

 

横浜はここで、今年の甲子園出場を果たせなかった最速153キロ右腕の北形を2位指名。制球難が指摘され、原石の投手だが、ポテンシャル重視の指名となった。しかし、梅木祐樹、大塚和正という偉大な先輩投手の指導を受けることで運命が変わる。

 

ここで北形は、野心を隠さない発言を行う。

 

「尊敬する投手は大塚和正選手です。そして、1年目から開幕ローテを勝ち取りたいと考えています」

 

つまり、最速158キロ、150キロ前後でストレートを動かす大塚和正、ハマの皇子梅木祐樹に次ぐ者として、名乗りを上げたことになる。

 

これには大塚和正も、

 

「生きのいい投手が来たな。改造し甲斐がある」

ニタァ、と笑う大塚。

 

 

「お前の改造はトラウマ製造機だ。やりすぎるなよ」

同僚の梅木にやりすぎるなよと、注意されるほどゆがんだ笑みを隠そうともしない大塚和正。

 

 

それを見ていた久保コーチは、

 

「やべぇよ。量産型和正さんは、量産型でも強すぎる。他の量産型とは格が違いすぎるんだ……」

 

 

 

 

 

ブルーバファローズは、社会人ナンバーワン内野手の阿達を指名。今のところ順調な滑り出しで、4位からの逆襲を狙っている。ファンは当然テンションが上がっている。

 

 

大阪サーベルタイガースは、首を傾げつつも、今年の甲子園に出場した歳原を獲得したことで、正気を保っていた。横浦戦は何かの間違いだったと自己暗示をかけていた。

 

 

楽天ゴールデンファルコンズは、2位に北陸の剛腕蒲田を指名。横浦戦のトラウマがないので、精神衛生的にクリーンだった。

 

 

大塚和正の現役復帰が原因で最下位に沈んだ広島は、なぜか残っていた未来の怪物セカンドを指名。スカウト陣も「取れるとは思っていなかった」と零しており、神のいたずらだと納得していた。後の大正義ドラフトである。

 

 

今シーズンのデミオーズ、5位のペースでシーズンを過ごしていたら、泥沼にいたはずの横浜が、サイヤング賞8回の化け物を呼び戻したのだ。結果横浜と入れ替わってしまった。

 

 

 

しかし、それでも4位というチーム状況が、横浜の悲惨さを物語っている。

 

 

 

 

 

ロッテは変則左腕の如何にも後ろを任されるために生まれてきた名字の投手を指名。「なんだか即戦力っぽい」という妙な期待感があった。

 

 

「まだ呼ばれない」

 

「落ち着け、達郎」

 

 

3位指名。今度は下位のチームから。

 

 

ロッテは大卒野手を指名。キャプテンシー、パンチ力、守備力、走力を買われての指名。後に、ロッテの全てを背負うことに。

 

 

広島は、ここで大阪桐生の舘広美を指名。ファンからは謎ドラフトと強烈なブローを食らう。

 

 

楽天は、九州の強豪高校のエースを指名。野手として評価しているらしい。

 

 

 

サーベルタイガースは舘のチームメイトが指名された。が、ファンは地味ドラフトと騒ぎ始めた。

 

 

大阪ブルーバファローズは3位に即戦力社会人右腕を指名。パワーピッチャー。ファンは神ドラフトに泣いた。

 

 

横浜は、九州の強豪高校の捕手を指名。スローイングと強肩が武器。坂田久遠を獲得できたことで、ファンはあまり気にしていなかった。

 

 

西武はここで岡本達郎を指名。

 

「テンション上がったぁぁ!!!」

 

「うるさいです。先輩」

 

ファンは大砲の後釜を獲得できたことで、満足していた。が、謎路線に首を傾げていた。

 

 

読売は、社会人の投手を獲得。迷走が本格化してきた。しかし、巨大戦力なのであまり心配していなかった。

 

 

北海道は甲子園出場の外野手を獲得。後のダイナマイトが名前の前にくる選手である。

 

 

名古屋は大卒投手を指名。地味だが、数年後に心強い抑え投手になる。

 

 

福岡は、大卒野手を指名。ファンは他球団の動向を見ていた。どうせ育つから。

 

 

東京ビヒダスの迷走が止まらない。社会人の外野手を獲得。ファンは球団を信じるしかなかった。

 

しかし来年のドラフトで、神宮が似合う白髪のサウスポーを獲得し、暗黒時代突入を回避することになる。

 

 

 

 

「そろそろ消そうぜ、忙しくなりそうだし。」

 

「まだ見たい」

 

黒羽の霊圧が消えた。

 

 

4位指名は上位から。

 

ビヒダス→社会人投手。即戦力投手に頼り、終盤から崩壊気味のローテを立て直せるか。

 

 

トマホークス→社会人左腕を指名。ファンは平常心。どうせ育つから。後の左打者抹殺マシーン。左はノーチャンス。

 

 

名古屋→大卒。全国区と言えるほどの知名度はない。地味ドラフトになりつつあることを自覚し始めたファンが不安に襲われる。

 

 

北海道→ここで稲実の原田を指名。指名漏れが不安視されたが、ここで指名となった。この世界線では4割打者の代わりに生粋の捕手。

 

 

読売→大卒左腕を指名。無敗のまま消えそう。

 

 

西武→高卒、甲子園経験なしのスラッガー。

 

 

横浜は後のガッツマンを4位指名。数年後に強力打線の切り込み隊長を務めることに。

 

 

大阪ブルーバファローズは4位に社会人左腕を指名。彩のある指名にファンは、「来年は行ける」と確信する。

 

 

大阪タイガースは大卒右腕を指名。ファンは上位指名の彩に不満顔。

 

 

楽天→大卒外野手を指名。無難といえば無難。

 

 

広島→キレのいいボールを投げる高卒左腕を指名。左打者に弱い弱点を内包していた。

 

 

千葉→変則投手を指名。ロッテはとがっている。

 

 

 

5位指名は下位から。

 

ロッテは選択終了。

 

 

広島は5位に右の大砲、大卒外野手を指名。バランスのいいドラフトだった。

 

 

楽天は妙徳義塾の浦部を指名(架空高校と実際のものが被ってしまいました)。数年後に主軸の後ろ(6番で3割を打てる打者)を任されることに。

 

 

タイガース→横浦被害者の会の一員である高卒投手を獲得。神木をなぜ指名しなかったとファンは憤っていた。

 

 

ブルーバファローズは社会人捕手を指名。隙の無さすぎるドラフト巧者ぶりに、ファンは頬を抓った。そして、来季こそ優勝争いができると信じた。

 

 

 

横浜は、5位指名に乙坂を指名。横浜愛の高い選手。ファンからは坂田同様にレギュラーになることを期待されている。

 

(夏の甲子園編で2番青木だったのを、2番乙坂に変更しています。どうしても乙坂選手を架空でもいいから登場させたかったのです。まだ直していなかったらごめんなさい)

 

 

西武は肩の強い遊撃手を獲得。ファンからは不満はなかった。

 

 

読売は、日本庄野高校の俊足野手を獲得。大分落ち着いてきたか。

 

 

北海道は、社会人投手を指名。甥の説得は成功するのか。

 

 

名古屋→甲子園経験なしの高卒右腕を指名。これはロマンだと納得するファンもいた。

 

 

福岡→通称ジャイアンを獲得。将来性を一番感じる選手だとファンは言い張る。

 

 

東京ビヒダスは大卒投手を指名。とにかく即戦力を取ろうという意欲は感じられた。ファンは心を打たれて応援していた。

 

 

「眠い」

 

「せめて支配下までは見たい」

 

黒羽は帰ったようです。

 

 

6位指名は上位から。

 

ビヒダスはまたしても即戦力社会人投手を指名。努力は認めるしかないと、ファンは拍手を送る。

 

 

福岡は選択終了。

 

名古屋は選択終了。

 

北海道も選択終了。

 

読売は6位に社会人投手を指名。なんだかんだいいドラフトではないのかと納得し始めるファン。

 

 

西武は大卒野手を指名。一部歓声が上がった。

 

 

横浜は6位に最後の夏は怪我で出場できなかった向井の先輩を指名。回復しているとのことなので、指名に踏み切ったと思われる。来年オフは大塚和正の自主トレに強制参加の模様。

 

 

大阪ブルーバファローズは6位に高卒内野手を指名。念願のプロ入りを果たした彼は、知人から祝福のメッセージを多数受け取った。

 

 

タイガースは選択終了。いったい何だったんだと憤るファンが多数。主に、神木と坂田は一位で取るべきだったという意見が多数存在していた。

 

甲子園のスターやん、虎はいかんとあかんねん!

 

 

 

 

楽天は大卒外野手を指名。後のレギュラーを獲得。

 

 

広島も選択終了。中々実りあるドラフトだったとファンは語る。

 

 

「あと少しだ。」

 

「眠い」

 

7位からは球団ごとにまとめよう。

 

横浜は7位、8位に高卒投手を指名。9位に高卒社会人内野手を指名して選択終了。坂田久遠、北形に希望を託していた。

 

 

大阪ブルーバファローズは、7位、8位を社会人野手で固めた。近年稀にみる神ドラフトと騒いでいた。

 

読売は7位に社会人のサイド右腕を獲得。地味ドラフトとして、不満げだった。

 

「―――――なかなか面白いドラフトだったな」

 

「ああ。いやぁ、すごかったな、今年のドラフトは」

 

 

来年の成績。

 

坂田久遠 背番号6

143試合 .335(587打席)(530打数178安打) 20二塁打 2三塁打 27本塁打 

101打点 6盗塁(9-6)

得点圏 .367 三振72四球47 死球4 犠飛6 併殺6 犠打0 

出塁率 .390 長打率 .533 OPS .923 失策3 

 

主にライトで先発出場。セ・リーグの新人王レースを爆走。しかし、チームはまたしてもAクラス入りを逃し、4位。2年目にして打点王の東清国(一塁手)とともに、かつての首位打者、本塁打王が抜けた穴を埋め、助っ人のアーロン・ラミレス(左翼手)、ベテランの中村紀(三塁手)とともにリーグ一のチーム打率、得点を記録した。

 

坂田は2位に大差をつける堂々の新人王を受賞。直接対決でもライバルを寄せ付けなかった。

リーグ2位の打率、打点、出塁率、長打率をマークし、同率一位のホームラン王のタイトルを受賞。

 

 

しかし、投手陣は悲惨の一言。

 

横浜投手陣は昨年から続く崩壊ローテ。規定投球回数に到達したのが18勝の大塚和正、13勝の梅木祐樹のみとなる。他の先発陣はほぼ焼け野原状態だった。順位が4位に沈んだ最大の原因である。12球団ワーストの失点数。

 

 

シーズン終了後に大塚和正の提案で、若手投手は彼の自主トレに強制参加が確定。オークランド送り、オークランド暮らしとなった。その自主トレ期間中、天津商の北形は何かをつかんだようだ。

 

 

 

岡本達郎 背番号8

110試合 .278(384打席)(327打数91安打) 8二塁打 1三塁打 23本塁打

70打点 0盗塁(0―0)  

得点圏.298 三振44 四球50 死球2 犠打0 犠飛5 併殺8 

出塁率.372 長打率.520 OPS.892 失策4 

 

西武ホワイトライオンズ期待の若手として1年を通して活躍。規定打席には届かなかったが、新人王争いに参加。坂田久遠とともに、野球界に衝撃を与えた。

リーグ優勝、日本一の完全制覇に大きく貢献。特に日本シリーズでは、負ければ王手をかけられる3戦目で逆転弾を放ち、チームの流れを変えた。その後5戦目、6戦目でもホームランを放ち、史上初となる高卒野手での日本シリーズMVPを受賞。

 

チームを優勝に導いたことで、新人王争いで優位に立ち、パリーグでは山口高志以来、高卒野手としては初の新人王、日本シリーズMVPのダブル受賞を果たす。

 

 

 

神木鉄平 背番号27

24先発登板 投球回197回 防御率2.28 勝率.600 12勝8敗 完投8 完封4 

QS19回(率79.2) HQS14回(率58.3)

奪三振177 四球44 死球2 被本塁打7 被安打159 

失点52 自責点50 WHIP1.03

 

新人ながら、驚異的な投球を披露。しかし、バファローズはリーグ最下位のチーム打率をマークし、援護に恵まれず、孤軍奮闘となった。さらに、チーム唯一の二桁勝利を挙げた投手であった。

 

リーグ2位の投球回数、リーグ5位の防御率、同率一位の4完封、そして最多奪三振のタイトルを獲得。HQSを下回る勝ち星を見て、バファローズの悲しみを背負うことになった。

 

 

新人王争いは、バファローズの神木、西武の岡本、ロッテの舛田の3人に絞られ、西武岡本とのし烈な投票争いとなったが、ポストシーズンでの岡本の活躍により、新人王を逃してしまった。

 

 

岡本と神木。二人の明暗を分けたのは、チーム成績とポストシーズンの差だった。

 

 

 

 

 

 

 

原田雅功 背番号57

昨年に、メジャー移籍の大エースが抜けた北海道。原田は前半戦終了間際に昇格を果たし、秋頃に主戦捕手候補に名乗りを上げる。課題の打撃も終盤で成長を見せ、高卒捕手としては順調な滑り出し。

 

74試合 .189(111打数21安打) 2二塁打 0三塁打 4本塁打 12打点 0盗塁(.000)

得点圏.172 三振30 四球20 死球1 犠打0 出塁率.316 長打率.315 OPS.631

失策0 守備率1.00 盗塁阻止率.333(被盗塁企図3-盗塁阻止数1)

 

 

舘広美 背番号50

開幕一軍を勝ち取ったが、役割は安定せず。後半からは先発ローテに入ったが、球種の少なさから、スライダーを狙い撃たれるなど、12本の本塁打を献上。それでも、高卒ルーキーではかなり順調な滑り出しといえよう。

 

35登板 76回2/3 防3.29 勝率.333 3勝6敗 1S 6H 奪三振45 QS3 QS率42.9

四球14 死球0 被本塁打12 失点32 自責28 WHIP1.22

 

 

 

来年の高校生の目玉は、今年の夏の甲子園優勝投手柿崎則春、稲実の成宮、市大三高の天久だが、なんといっても注目は台湾人投手、楊瞬臣をどこが指名するかだろう。1位指名の可能性は薄いが、国際大会での投球が出来れば、二桁は固い。どこまで試合勘を維持できるかが焦点となる。野手では美馬が面白い存在だ。

 

 

大学にも実力者は勢ぞろい。社会人もレベルが高く、来年もハイレベルな駆け引きが発生するだろう。

 

 

 




良い投手がいても、ペナントは甘くなかった。
大砲が増えても、あの暗黒は打開出来ない。

これぞ暗黒、これが暗黒。これが横浜……

御幸は何色が似合うかな。応援歌が良いところに入れたいね。

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