孤独と共に歩む者   作:Klotho

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今回はまったり妹紅回。

若干シリアスだけどまったり妹紅回です。


『蠱毒と妹紅』

 

 

『輝夜姫は月に帰られたそうだ』

 

『あの恐ろしい妖怪は地底に閉じ込められたとか……』

 

『不比等様の所の娘が家出したらしいぞ』

 

『あの奇妙な妖怪、実は二体居るって話だ』

 

『――』

 

『――』

 

 

 

 

「……そっか、ありがと」

 

 傍に居た鳥にそう言って手を差し伸べる。

鳥はひよりの手に近付き、手の()へと入っていった。

私は小さく伸びをしてから、水を汲んでくる為に小屋の外へと出る。

 

「今日も一日晴れ……かな」

 

 空を仰ぎ、雲の色と流れを見てそう呟く。

輝夜達と別れた後、私はぬえと建てた小屋に寝泊りしていた。

 

あの日から、丁度一週間が過ぎようとしていた。

 

「……地底かぁ」

 

 湖から桶に水を入れ、小屋の井戸に流した。

桶を置いた私は、自身の足が踏んでいる地面を眺める。

 

「えいっ」

 

 手を思い切り突っ込み、中の具合を確かめる。

中は程良く湿って、それでいて冷たくない状態だった。

 

あ……これは良く眠れそうな――

 

「――って、違う違う」

 

 フルフルと首を振って溜息を吐く。

……まぁ、手の届く位置に地底はない事は分かった。

私は立ち上がり、何時も通り朝食を狩る準備を始める。

 

……さて

 

 姿を狼に変え、周囲の匂いを嗅ぐ。

草の匂い、土の匂い、小動物達の匂い、それにこれは――

 

私は『人間』の匂いのする方向へと駆け出した。

 

 

 

 

 走り始めて数分、少し開けた森の中に人間が居た。

ただし衣服は擦り切れ、所々に傷があって倒れているのだが。

 

「……真っ白だ」

 

 髪の毛から肌まで真っ白である。

私は警戒されない様狼の状態のまま少女へ近付いた。

 

「うぅ……い、ぬ?」

 

 意識があるらしい少女が此方に気付く。

私は少女の傍で足を止め、静かに彼女の様子を窺う。

 

「……」

 

「あれ?」

 

 少女が黙り込んだので近付く。

どうやら気絶してしまったようだ。

 

「うーん、どうしよう……」

 

 下手に連れ帰って誘拐なんて言われたら困る。

しかし、この少女をこのまま放って置くのも不味い。

私は人の姿へと戻り、倒れている少女を背中へ回して背負いあげた。

 

「……よし」

 

 私は彼女を背負ったまま、小屋に続く道を辿り始める。

食事の準備は少し位遅れても構わないだろう。起きる気配も無いし。

白髪の少女を背負って歩くと、目の前に少女の髪が垂れて来て視界が悪い。

 

そこで、私はふと気付いた。

 

「……もしかして、私より身長高い?」

 

白髪の女性と改める事にした。

 

 

 

 私は山の中へと入る彼の後ろから静かについて行った。

彼の持っているあの『薬』を奪えば、あの女への復讐になると思ったからだ。

だが、私は追いかける途中で力尽きてしまい、逆に彼に助けられる破目になった。

 

それでも、奪うチャンスは巡ってきた。

 

 薬を燃やす事が出来ず山を下り、その途中に休憩を挟んだ時の事だ。

岩笠は薬を地面へと下ろし、富士の景色を眺めようと崖の方へと近寄る。

 

私は静かに立ち上がって、岩笠の後ろに立ち――

 

――彼を、突き落とした。

 

 叫び声は聞こえ無かった。聞こえていなかったのかもしれない。

一度も経験の無かった人殺し、この手で彼を押した感触……それが残っている。

 

……私は、命の恩人を殺したのだ。

 

 それでも、私は止まらなかった……否、止まれなかった。

そのまま四足で這う様に薬へと近付き、壷を両手で持ち上げる。

この薬は、あの女が自身を育てた翁達の為に残した薬……だった筈。

 

「……」

 

 蓋を開け、中に入っている液体を見つめた。

手に自然と汗が浮かび、腕が小刻みに震えている。

 

「……っ!」

 

そして、そのまま壷の中身を――

 

「――……」

 

目が、覚めた。

 

 

 

 

 体を起こし……起こそうとして、起き上がれなかった。

仕方ないので目だけを周囲に遣って、今の状況を確認する。

 

「……」

 

天井は木、恐らくは誰かの建てた小屋。壁には不思議な落書きがある。

私の足元に敷かれているのは座布団、そして隣には音を立てて燃える炎。

 

炎の直ぐ傍に、誰かが居る。

 

「目、覚めた?」

 

 そこに居たのは十三、十四辺りの少女だった。

黒い着物に紫の動物が描かれた服と、頭に付けた髪飾りが印象的だ。

 

「……ぁ」

 

 貴女は、と聞こうとして失敗する。喉は既に乾燥して、喋る事すら出来ない。

これでは水が欲しいと伝える事すら出来ないだろう。そう落胆する私を見て、少女

はクスリと笑って小屋の外へと出た。

 

「……水取って来る」

 

 バタン、と小屋の扉が閉じて私一人が取り残される。何故あの少女が水を

欲しがっていたのが分かったのか不思議だったが、悪い気分ではなかった。

 

「お待たせ」

 

 少女が器に入った水を傍へと置き、私を起き上がらせる。私は差し出された

器をゆっくりと受け取り、中に入っていた水を全て飲み干す。

 

「……っ」

 

「泣かないの」

 

 少女が私の頭を抱き寄せ静かに頭を撫でる。私は少女の胸の中で首を振って

泣いていないと伝えようとした。「別に泣いてなんかない」って、言えば……

 

「う、うぅ……」

 

 自分の喉から勝手に呻き声が漏れ、それでもう止まれなかった。少女の背中に

腕を回し、顔を押し付ける様にして声を殺す努力をする。

 少女は、黙って私の頭を撫で続けていた。

 

「っ!……っ、」

 

「……何も聞かないよ」

 

 私も同じ様な時があったし、と少女は言った。正直に言えば事情を聞いて

欲しかった。何があったのか、誰かに打ち明けてしまいたかった。それと同時に、

誰かに聞かれたく無いという気持ちもあった。

 

「……話したくなったら、話せば良い」

 

 決して踏み込まず、けれど見放さず少女は私にそう言った。その気遣いが余り

にも優しくて、嬉しくて、それが私の涙の流れを再び早くした。

 

後は少女は何も言わず、私の嗚咽だけが響いた。

 

 

 

 

「……」

 

「……眠っちゃったか」

 

 ……取り敢えず、他の人が居ると口調が固くなる癖を直した方が良いだろうか。

ぬえと居る時は何時もと同じ口調で話せたのだが、どうにも初対面だと緊張してしまう。

 私は女性の頭を離して座布団の上に仰向けにさせる。少しだけ身動きしたが、結局目を

覚ます事は無かった。私は女性に布を掛け、眠る為に壁に寄り掛かる。

 

 座布団の数が足りない訳では無い。問題はこの女性にあるのだ。

こんなに『匂い』を漂わせていてはこの森の妖怪に襲われる事は間違いない。

 

あの子達を遣わせてはいるが、用心に越した事は無いだろう。

 

猫と()()()()()、そのまま私は眠りに就いた。

 

 

 

「……」

 

 ムクリ、と起き上がって辺りを見回す。隙間から差し込む光の明るさから見て

今は朝だろうか。私は壁に寄り掛かって寝る少女を起こさない様に外へと出た。

 

「ふぁ、ぁ……」

 

 昨日泣いた所為で腫れぼったい目を擦り、大きな欠伸をする。都に居た時には

出来ない様な行動だが、此処には人一人すら見えない。

 

そういえば、あの子はどうしてこんな所に……?

 

 冷静になって、漸く疑問が湧き出て来る。辺りは森に囲まれていて、少なくともあの

様な子共が一人で生活出来る様な環境ではない筈だ。……だが、あの小屋が最近建てら

れた物でない事も分かる。私は更に首を捻った。

 

「あ、猫」

 

 首を捻ったお陰で木の上で寝ている猫を見つけた。

猫は一瞬此方へ視線を向けたが、やがて溜息を吐く様に鼻息を出して寝に入る。

 

「……おはよう」

 

 後ろから扉の開く音が聞こえ、少女の声が後から掛かる。私が振り向くと、そこには

未だ眠たそうに欠伸をしている少女の姿があった。

 

「えーと、おはようございます」

 

一応敬語。私より小さくても命の恩人だ。

 

「……敬語は要らないかな」

 

 初めて、少女が困った様な苦笑を浮かべた。少女は私を手招きし、森の中へと入って

行く。一分程歩くと、目の前に綺麗な湖が現れた。

 少女が湖で顔を洗うのを見て、私も湖へと近付く。透き通る様な湖の水面には私の顔と

すっかり白くなってしまった髪の毛も映り込んでいた。

 

「……」

 

 水面に映る自分を掻き消す様に水を掬い、顔を洗う。

冷たい水が顔に当たり、段々と目が覚めて行くのが分かる。

 

「一旦小屋に戻るよ」

 

 既に顔を洗い終えた少女が隣に立つ。

私は、もう一度だけ顔に水を掛けてから立ち上がった。

 

……小屋へ戻ったら、この少女に正直に打ち明けよう。

 

そう、心に決めて。

 

 

 

 

 小屋の中で炎を囲む私と少女。本当は此方から話掛けようと思っていた私の気持ち

は、目の前の光景に意識を奪われ何処かへと行ってしまった。

 

「あの、これは……」

 

 私は恐る恐る目の前で焼けている物を見る。もし私の目に狂いが無ければ、これは

蛇や蜥蜴と言った爬虫類……ではないのだろうか?

 

「朝餉」

 

 私が訝しげな視線を送ると、少女は不思議そうな顔をしながらそう答えた。

ゴクリ、と息を呑んで蜥蜴を見る。……手足が無くても食べられない気がする。

 

「まだ、もう少しかな」

 

少女が炎に手を突っ込み……って

 

「ちょ、手っ、手!」

 

 私は慌てて少女の右腕を掴んで引き抜く。何か言おうとした少女を手で制して

炎の中に突っ込んでいた手を見る……何も無かった。

 

「あ、あれ?」

 

 少女がやんわりと私の手を外し、再び炎に手を入れる。

再び動きそうになった私を今度は少女が手で制し、そして静かにこう言った。

 

「……私は『ひより』、此処に住んでいる妖怪」

 

「よ、妖怪……?」

 

 口で驚きながらも私の心は納得していた。この少女が妖怪ならばこんな場所

で一人で住んでいるのも理解出来る。それに昨日私を慰めてくれた時の様子は、

少なくとも見た目相応の少女の対応には見えなかった。

 

「本当に……?」

 

「……」

 

少女は、小さく頷いた。

 

 何故、妖怪である彼女が私を助けたのだろう?

それが、どうしても気になった。普通の妖怪ならば、倒れている私を見つけた

時に捕まえて食べるなりする物だろう。

 だがこの少女は私を助け、寝床を貸し、そして食事まで用意してくれている。

 

「何が目的なの……?」

 

 私の口調が少なからず警戒を帯びる。彼女が恩人である事には変わりないのに

妖怪と分かった途端に心の中で何かが芽吹くのが分かった。

 

「……」

 

少女は静かに炎を見つめ、やがて私の方を向いてこう言った。

 

「……私は、元人間だった」

 

「……」

 

「人間だったけど、『生きてなかった』」

 

「……生きて、いない」

 

「私はヒトとして生まれて、妖怪として生きてる」

 

「――私は、妖怪になって初めて生きる事が出来た」

 

 小屋の扉を開けて昨日見張りを頼んだ猫が入って来た。女性が「あの時の……」と

言っているのを聞き、そういえばそれで起きたんだったと思い出す。

 

「この子は私の一部」

 

 猫は私のお腹に飛び込み吸い込まれていった。

隣を見ると、女性は唖然とした表情のまま動かない。

 

「……今この中にいる子達は、私が喰らった」

 

 私はお腹に手を当て、中で騒ぐ子達を感じる。

あの日以来、この子達の声はこんなに簡単に聞ける様になった。

 

「……」

 

「私の償いは、この子達の分まで生きる事」

 

 私は炎の中に手を入れて魚の串を取る。

焼き加減が頃合になったのを確認してから女性に差し出した。

 

「……生きる為には食べる必要がある」

 

 貴女はどうやって償うの?そう私は女性に尋ねた。答えが返って来るとは思って

いない。もし此処で彼女が手を振り払って逃げても、私は止める気は無かった。

 

「……」

 

女性は暫く魚を凝視し、やがて手を差し出して炎の中を指差した。

 

 

「……あっちの蜥蜴を頂戴」

 

 

 

「……これが、私があそこに倒れていた理由」

 

 私は妖怪の少女――ひよりに全てを話した。彼の後を追った理由、力尽きて

途中で彼に保護された事、帰りに薬を奪う為に彼を突き落とした事……。

 

「そう……」

 

ひよりは暫く考え込み、やがて私の腕を取った。

 

「貴女の飲んだ薬の名前は『蓬莱の薬』……。

飲んだ者は不老不死となり、怪我も負わず姿も変わらない」

 

 ひよりの腕が蛇になり私の腕に噛み付く。痛みに顔を歪める私を無視して、

ひよりは私の腕に付いた噛み跡を凝視した。

 

「見て」

 

「傷が、消えてる?」

 

 私が見た時には既に噛み跡は殆ど見えなくなっていた。私が自身の腕を訝しげに

凝視していると、ひよりが私の寝ていた座布団を指した。

 

「私が小屋に着いた時にはもう傷が消えてた」

 

 そういえば、怪我をしていたんだったと思い出す。

もしこのまま怪我が直ぐに直り、姿も変わらないままだったら……

 

「もう、都には戻れない……?」

 

 最後の方は最早心の声と化していた。頭では理解していても、心が理解しない

様に私に働きかけてくる。もし戻れないのなら、これから私はどうすれば……

 

「戻れなくは無いけど、怪しまれる。

髪が白くなったのは良くても、姿が変わらないのは隠せない」

 

 つまり、良くても数年という事だ。

私は俯き、自身の手を強く握り締める。

 

「……」

 

 ひよりが立ち上がり、小屋の扉を開ける。丁度陽の光が扉から差し込んで来て

ひよりの表情は見えなくなっていた。彼女はある方向を指差す。

 

「この方向へ真っ直ぐ進めば、都には帰れる」

 

「……都、に」

 

私が立ち上がり掛けた瞬間、ひよりはこう続けた。

 

「もし此処に残るなら、貴女が最低限生きる方法を教えてあげる」

 

 少女の提示した条件は残酷だった。

都で数年生きて追われるか、今此処で別れを告げるか……。

 

 私の脳裏に父の顔が浮かんだ。

数年後、私の異常に気付いた父が私を追い出すかもしれない……。

 

ならば――

 

「……此処に、残ります」

 

私は、父に心で最後の別れを告げた。

 

「それで良いの?」

 

「……うん」

 

妖怪の少女は扉を閉めた。

 

「改めて自己紹介。

私はひより、此処に住んでる妖怪」

 

「……私は、『藤原妹紅』

嘗て都に住んでいた、不老不死の人間」

 

 

ひよりが笑い、釣られて私も笑った。

 

 

 

都では、こんな噂が囁かれている。

 

 里の退治を依頼する掲示板に一人の女が来る。

その女は髪が白く、不思議な模様をした服を着ていた。

その女は幾ら報酬が安くても、頼めば絶対に引き受けてくれるそうだ。

 

 

 

 

「大人気だね、妹紅」

 

私は都へ遣った鳥達から話を聞いていた。

 

「ひよりが言ったんだろ?『妖怪退治と特訓を兼ねたらどうだ』って」

 

 妹紅は寝転がって符術の指南書を読んでいた。

この三百年で彼女は一人でも生きていける程の実力を手に入れていた。

 

「……こんなに長く続けるなんて思ってなかった」

 

 最初の数年で彼女に生きる為の基礎を叩き込み、次の数十年で妹紅に

戦う術を教えていった。最初はぎこちない動きだった妹紅も、何年も続けて

いる内に段々と覚え、今では都随一の退治屋となっている。

 

「ま、人を助けるのは嫌いじゃないしね」

 

 都随一の退治屋の家が不詳なのはどうだろう、と私は思いつつ黙る。

こういうのは下手に水を差したりしないで本人の好きにやらせるのが一番だ。

 

それより……

 

「何時出てくのさ?」

 

 それが問題だった。既に三百年も経過し、妹紅も充分独り立ち出来る実力

を手に入れた……というか、最初の百年には既に一人でも生きていける様に

なっていた筈なのだ。

 

それに対して妹紅は恥ずかしそうに頭を掻いた。

 

「いやぁ、つい居心地が良くて、な……?」

 

「……都で一番強そうな妖怪退治の依頼受けてきて」

 

 それを卒業試験にするから、と私は言った。妹紅は私の言葉を聞いてニンマリ

と笑い、懐から一枚の和紙を取り出した。

 

「そう言うと思って持って来てるよ、ホラ」

 

 卒業のつもりで受けたんじゃないけどね、と妹紅は言った。

私は妹紅の言葉を無視して和紙に目を向ける……此処で甘やかすと駄目だ。

 

「……どう?『酒呑童子の退治』……強そうでしょ?」

 

「……」

 

 ……まさか、こんなに強力な妖怪の退治依頼を受けてくるとは……。

私は隣で笑う妹紅の顔を見て、まだ妹紅では実力不足という風に判断した。

 

仕方ない、かぁ……

 

「妹紅、今回は私も行く」

 

私は立ち上がり、干物にしてある食料を手に取った。

 

「えぇ!?そんなに卒業させたいの!?」

 

妹紅も驚きの声を上げつつ、自身の使う符を用意する。

 

「……酒呑童子、知らないの?」

 

「童子……子供とか、そんな感じだろ?」

 

 私は頭を抑え溜息を吐いた。

やはり妹紅は肝心な所で甘い性格の様だ。

 

「酒呑童子……鬼の四天王だよ」

 

退治屋が知らないでどうするのさ、と妹紅の肩を小突いた。

 

「鬼……鬼ねぇ……」

 

妹紅が首を傾げながら呟く。

 

「ま、ひよりとなら勝てるだろ」

 

 妹紅が悪そうに笑い、私は妹紅を無視して外に出る。

確かに二人で掛かれば大抵負ける事は無いが、鬼となれば話は別だ。

 

さて、どうしたものか……。

 

 

私と妹紅は久し振りに二人並んで歩き始める。

 

目指すは、『大江山』――

 

 

 

 

『ねぇ、ひより。一つだけ聞かせてよ』

 

『何?』

 

『結局、どうして私を助けたのさ』

 

『うーん……』

 

『あの時はひよりが妖怪って言うだけで誤魔化したでしょ』

 

『……』

 

『……やっぱ『多分――』――』

 

『――友達になりたいとか、そんなんじゃないかな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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