ペルソナ3 The second world with You 作:harbor
─side有里
鳴上が入寮した次の日。部活動の募集が始まった。
まぁ、あの暑苦しいミヤとの部活も悪くなかったし、今回も剣道部に入ろうとしたんだけど。
「よう、有里。今朝ぶり。」
「なる………かみ………!?」
「どうした、はとが豆鉄砲食らったみたいな顔をして?」
「鳴上って…剣道するの?」
「ダンジョンでの得物は両手剣だ。」
「え、一個だけ?」
「え?………!?まさか有里、お前武器まで────」
「はぁい、ちょっといいかなぁ?」
あ゛?
何か聞き覚えはあるけど絶対にココジャナイ感のある声が…
「今日から入部するぅ、有里君と鳴上君でぇす。みんな、仲良くしてねぇ?」
な ん で 叶 か!?
こんなんが顧問じゃなかったよね!?
竹ノ塚先生のはずじゃ!?
「じゃぁ、岩崎さんと宮本君、あとよろしくねぇ?先生わかんないからぁ。」
「部長の岩崎理緒です。よろしくね?」
「鳴上悠だ。よろしく、岩崎。」
「……………………」
「有里?」
「………あっ!?ご、ごめん!何の話?」
「自己紹介だよ。部長の岩崎理緒。よろしく。」
「あ、あぁ!?……よ、よろしく、有里湊だよ。」
「副部長の宮本だ。ミヤって呼ばれてる。」
「よろしくな、ミヤ。」
結局、集中できなかった。
まぁ予定通りに戦車のコミュニティは発生したんだけど…
岩崎と握手したときに剛毅のコミュニティもできたみたいだ…
オカンコミュはないのかな、今回。
『どうやら鳴上君の存在が少しずつ前回とは異なる方向に引っ張って行っているみたいだね?』
やっぱりそうなの?
『確証はないよ…』
ないのか…
『でも、こうやって変化を続けていけばいずれ結末も変わるかもしれないし、いまはとりあえず新しいコミュニティを楽しんでみたら?』
ま、まぁ…そうだね…
「おーい!湊!悠!」
「あれ、順平。どしたの?」
「ラーメン食い行かね?湊の快気祝いってことで!」
「よし、行こう。」
鳴上はやっ!?
「…順平のおごり?」
「………俺っち金あんまりないんだけど………一杯だけな?」
「やった!」
「ジュンぺー、俺には?」
「なんで悠に奢るんだよ!?」
───ラーメン屋 はがくれ
いやぁ、旨い。
部活後の食事っていいよね。
舌の上でとろけるチャーシューとか、濃厚かつコクのあるスープが最高だよ。
人生の楽しみの8割は食事にあるって言っても過言じゃないね。
「なぁ…有里?」
「んー?」
「質問があるんだが…」
「奇遇だな、悠。俺っちもあるぜ。」
「なに?」
「「どんだけ食うんだよ!?」」
「うーん…あと一杯!」
「……何杯目だ、有里?」
「いま19だよー。後一杯で6割引だからちょっと待っててー。」
「ジュンぺー?」
「………ん?」
「寮に戻らないか?見てたら胃もたれしてきた…」
「だな。帰るか。湊、金は置いとくから払ってくれ。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!?」
『我は汝、汝は我。汝、魔術師の絆を得たり…』
友近じゃないのか。まぁ、たまに遊びには行こうかな、三人で。
『もうコミュニティの違いに適応したのかい?』
まぁ、仲間とコミュニティがあったほうが連携も取りやすいだろうし、何より………
『何より?』
飽きなくてすむからね?
『………ドン引きです…』