ペルソナ3 The second world with You 作:harbor
それでは、楽しんでください。
───────────────────
「ようこそ、我がベルベットルームへ。ここは、物質と精神の狭間にある世界…、等という口上も不要ですかな?お久しぶりでございます。」
「イゴール。単刀直入に聞くぞ。なぜ俺は過去に戻っている?」
「全ては意志のなせる技、"世界"のアルカナにお目覚めになったあなた様なら、きっと真実に辿り着けるはずでございます。」
「相変わらず回りくどい言い方をするんだな?まぁいい…。」
「あなた様のしたいようになさいませ。さすれば必ず、真実に近付くことは可能でありましょう…。」
「わかった。好きなようにやらせてもらう。」
「お待ちなさい。貴方は本来この時代にいるべきではない人間よ。八十稲羽の仲間達との接触はしないで頂戴。」
「…………わかっているさ。」
───────────────────
「今日は大型シャドウの日か…」
放課後、真っ直ぐ家に帰り、昼寝を終えたた僕は、前回の事を思い出していた。
「やっぱりタナトスが暴走するのかな…?」
『君が危機に陥ったらね。』
……うまくやろう。
また一週間眠り続けるのはごめんだ…『でも、眠り続けなくていいの?』
ん?
どういうこと?
『ベルベットルームに初めて行ったのあの時でしょ?』
………あー。
うん、ファルロス、暴走してくれ。
『了解。オイシクイタダキマス!だな!』
なんか違和感あったけど……まぁいいか。
『まぁ程よく暴れるよ。……っと…お出ましだね。』
うわ、揺れた。震度5弱?
『全く、緊張感のカケラもないね…』
「有里君!起きてる!?」
「岳羽…ノックくらいしてよ…」
「悠長に話してる場合じゃないの!!はい、これ持って!!着いてきて!!」
「は、はい…」
『ぐっどらっく〜。』
前回は眠くてよく見てなかったけど、思い切り大型シャドウ─マジシャン、外登ってるね。
岳羽…
気付こうよ…
「こ、ここならしばらくは…。」
うん、詰みだよ。
ホントならしばらくももたないよ。
「うそ!?外を登ってきたの!?」
恐怖は人の視野を狭くするね。
怖いなぁ…。
あ。召喚器転がって…!?
「岳羽!?」
目をやった先では、岳羽が血塗れで倒れていた。
迂闊だった。シャドウ達が強くなっているなら、大型シャドウが強くなっていないわけがなかった…!
「タナトス!!!!!!!ディアラハン!!!!!!!!」
全く、回復と物理に特化していなかったら危なかった…。
さて。
「死んでもらうよ、マジシャン…!!!」
『湊。ボクがやるよ。』
あぁ、頼んだ、ファルロス………
それを最後に、僕の意識は途絶えた。
「ようこそ、我がベルベットルームへ。ここは、物質と精神の狭間にある世界…、等という口上も不要ですかな?お久しぶりでございます。」
「やぁイゴール。それにエリザベス。」
「またお会いできて嬉しく思います。」
「あぁ、僕もだよ。で、僕を生き返らせたのは君達ってことでいいのかな?」
回りくどい話をしている場合じゃないしね。核心を聞こう。
「これはこれは、おかしな事を仰る。私どもでは、ございませんぞ?」
な!?!?!?
アテが外れた!?
「じゃあ誰が…?」
「いずれわかりましょう。契約者の鍵はお持ちですな?」
「うん。」
「では、暫しの暇を…。」
「湊様。また、外界に連れていってくださいませ。」
「うん、わかった。じゃあ、また。」
「────あ、目が覚めた?」
しおらしい表情も良いね、岳羽。
「ん…昨日の夜は…激しかったね…?」
「───ッッ!!何言ってんのよ、バカ!!」
うんうん、それくらい元気な表情のほうが似合うね。
「ごめんごめん。岳羽、体は大丈夫?」
「有里君が治してくれたんでしょ?ありがと…ね?」
上目遣いは反則だよ。顔も赤いし。抑えられなくなっちゃったらどうするのさ。
「別に、大したことじゃない。まぁ、その後に倒れてちゃ世話ないね。」
「ゴメンね…。怖くて、何も…何も出来なかった…。」
あらあら。半泣きだ。
「誰だって"ハジメテ"はそうじゃないの?」
「もう…ばか。………ありがと。」
「なんのことー?」
「ふふっ。あのね、有里君。私も、君と同じなの。10年湊前の爆発事故で、お父さん……死んじゃって。有里君のご両親も…なんでしょ?資料を見ちゃったから、ずっと言わなきゃーって、思ってて…」
「気にしなくていいよ。」
「ありがと。じゃあ、私は行くね?過労みたいなものらしいけど、ちゃんと早く寝て、早く学校に来てね?」
「わかった。」
「じゃ、バイバイ。」
「うん、またね。」
ファルロス?
『ん?』
いったい、誰が僕を生き返らせたんだろうね…
『さあね…』
おまけ:病院にて
しかし…紅潮した頬と上目遣いの破壊力は…計り知れないな…
『頭大丈夫?ボクの意識と混ざってない?』
ファルロスの一部は僕だろ。混ざってるに決まってるじゃん。
『………なんでかな、納得いかないや。』