東方大魔王伝   作:黒太陽

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第34話 終わりの始まり

「「「カンパーイ!!!」」」

 

宴は始まった

 

「飲め飲めー!」

 

「今夜はとことん飲むわよー!」

 

「アハハハハハハ!!」

 

あちこちで喜びの声があがる

 

 

戦いは終わった

 

だが多くの犠牲が出た、妖怪は3分の1にまで減少し人間も大きな犠牲は出なかったが悪魔の凶刃に倒れた者は少なくない

 

大地は削れ、住み家は戦いの余波で傷付いた

 

悔やんでも悔やみきれない犠牲の上に立った生きる者達は笑う

 

その犠牲があったから生きるのだと、死んでいった者達がこれ以上悲しくならない様に笑うのだ

 

そうしないと前へ向けて進めないから、死者が浮かばれないから……だからこそ生きる者は楽しむ、死んでいった者達の分まで……

 

 

「勇儀!悪魔退治の結果は引き分け……こいつで決着をつけようか!!」

 

萃香が巨大な杯を勇儀の前に叩きつける

 

「ほほう……あたしに飲み勝負を挑むとは正気かい?勝てない勝負はするもんじゃないよ萃香?」

 

「あまり強い言葉を使いなさんな……弱く見えるよ勇儀?」

 

火花を散らし二人の鬼は睨み合う

 

「そろそろどっちが上か決めとかないとねぇ……まっ!結果は見えてるけどね」

 

「上等……!勝負だ勇儀!!」

 

二人が杯に酒を注ぐ

 

「面白そうな事をしている……私も参加しよう」

 

「負けるんじゃないよ神奈子!」

 

そこに杯を並べ神奈子が参戦する、諏訪子は応援

 

「これはこれは……酒豪と名高い神様の参戦とはね……さしずめこれは……」

 

「幻想郷酒豪決定戦って訳かい……」

 

「お前達に格の違いを教えてやろう……」

 

周囲が見守る中、開始された酒豪対決、果たして勝つのは誰か!

 

 

 

「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

「なにぃ!?残り1枚のキングを引き当てるだとぉ!?そんな薄い確率で何故引く!?フラッシュは出来てただろ!」

 

違う場所では輝夜と水蜜や一輪達がカードゲームを興じている

 

「あんたはフルハウスでしょ?そっちは4カード……フラッシュじゃ勝てない、なら勝つにはどうするか?それはもう狂気に頼るしかない……クク……狂気の沙汰ほど面白い……!!」

 

ざわ……ざわ……

 

空気が変わる

 

「チッ!ほら一円だ!絶対取り返すからな!」

 

投げる様に一円札を投げつける、どうやら賭けてるらしい

 

 

「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

「ふざけんなぁ!!イカサマだ!!」

 

輝夜の連続ロイヤルストレートフラッシュに水蜜が怒った

 

「イカサマだなんて……証拠は?無いでしょ?言い掛かりは見苦しいわよ、それにもし仮にイカサマをしているとしてもあんたは見抜けなかった……される方がマヌケなのよ」

 

ニヤリと輝夜は笑う

 

「~~~~ッ!!」

 

イカサマだとは思うが輝夜の言う通り証拠が無い、水蜜は怒りを抑えるしかなかった

 

 

「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

ぐにゃあっ……

 

水蜜の顔が歪む

 

(ククク……気付かないわね、いや、気付ける訳が無い!私のイカサマはね……今夜は稼ぐわよぉ!!)

 

輝夜はイカサマをしていた

 

カードを配られる、ここまでは何もない

 

チェンジ、ここも何もしない

 

コール、ここで動く

 

(はい!能力発動!)

 

一瞬を集めた輝夜は皆が認識出来ない内に手札を山札に戻し役を自由に作っていた、わざわざ作れる最高の役を、これが彼女のイカサマ、誰にもバレない必勝法

 

「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

「バカなぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

水蜜は全財産を失った

 

「さぁて次は誰が相手?」

 

「私がお相手しましょう」

 

ドドドドドドドド

 

現れたのは咲夜、威圧的な効果音と共に登場する

 

「……!!」

 

輝夜に電流走る

 

(不味い……)

 

「少々派手にやり過ぎた様ですね、ここからは私が相手です!幾多の敗北を覚悟してください!」

 

(時を止める能力……これは私の能力とかなり近い!ならやる事は同じ……決着がつかない……ヒラに持ち込まれた!?)

 

イカサマが使えないなら純粋な運と心理戦、勝つ確率は100から一気に落ちた

 

「強敵ね、でもこれはお金の勝負ではない……プライドの戦い……賭けましょう魂を……!」

 

「good!」

 

二人の勝負師は笑う

 

「ヒラ勝負なら参加させてもらおうか!」

 

にとり参戦!

 

「ほぉ……伝説のギャンブラー降臨ね、数多の妖怪の財布をかっぱいだその実力見せてもらいましょう!河童だけに!」

 

「……財布は出しときな、もう使う事はない」

 

輝夜の挑発に睨み付けるにとり、そして3人は威圧し合う

 

「勝ち続ける……灰になるまで……」

 

「貴方達……背中が煤けてるわよ……?」

 

「勝ち続ける?煤けてる?あんた達……嘘つき……だね!」

 

誰が望んだ訳ではないが勝負師の戦いが始まる

 

 

 

「妖夢~!フランから聞いたんだけど貴方フランを助ける時に格好いい台詞言ったんでしょ?やってみて」

 

幽々子が一緒に食事をしている妖夢に頼んだ

 

「えぇ!?ここでですか!?恥ずかしいですよ!」

 

「良いでしょ?やってよ妖夢~!」

 

「わ、わかりました……お、オホン!」

 

促されるまま妖夢は咳払いして叫んだ

 

 

「待ていッ!!」

 

 

「おおっ?なんだなんだ?」

 

人が集まってくる

 

「どんな夜にも必ず終わりは来る、闇が解け、朝が世界に満ちるもの……人、それを……『黎明(れいめい)』という!」

 

「カッコイー!!」「サマになってるなぁ」

 

妖夢の凛々しい姿を褒め称える

 

「悪の暴力に屈せず、恐怖と戦う正義の気力!人、それを……『勇気』という!」

 

「オオォー!!」「イイゾイイゾー!!」

 

人が更に増えてくる

 

「地上に悪が満つる時、愛する心あるならば、熱き魂悪を絶つ……人、それを……『真実』という!」

 

「キャー!妖夢ー!」「アハハ!国語辞典かよ!」「正義の国語辞典!アハハハハ!!」

 

笑いが起こる

 

「うぅ……恥ずかしい……」

 

顔を赤くしながら俯く妖夢、そこに忍び寄る陰が1つ

 

「格好良かったよ半霊さん!これは奢りさ!飲みなよ!」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

ウサ耳の幼女から受け取った飲み物を一気に飲み干す

 

(よーし……次は……)

 

妖夢が飲み干したのを見ると幼女は次の一手に掛かる

 

「変な味ですね……」

 

飲んだ液体が妙な味をしていたのを感じグラスを睨む

 

「何ですかこれは……アレ?いない……」

 

飲み物を渡した幼女は消えていた

 

「うっ!?……頭が……ボーッとして……」

 

妖夢に異変が起きる

 

 

「……へぇ……面白そうね、早速試してみましょうか」

 

幼女の次なる一手は幽香、少し雑談を行った後、幽香はご馳走を食い漁る幽々子のもとへ向かった

 

「ねぇ幽々子、野球拳って知ってる?」

 

「ふぁい?ひらないふぁ?」

 

「簡単よ、ジャンケンで負けた方が罰ゲームを受けるの」

 

「ん~……ゴクン、面白そうねぇ!やりましょう!」

 

始まった野球拳

 

(思い通り!!)

 

陰から見守るウサ耳の幼女は素晴らしい悪党面で笑った

 

「あら~私の負けねぇ……」

 

幽々子、敗北

 

(最初は絶対パーを出す……何回か試したらしいけど本当だったわね)

 

「それで罰ゲームってなぁに?」

 

何も知らない幽々子、軽いものだと思っている

 

「服を脱ぎなさい」

 

「ふえっ!?」

 

幽香の楽しげな表情が向けられ幽々子は驚く

 

「い、嫌よ服を脱ぐなんて……きゃあ!」

 

「敗者は脱ぐ決まり……諦めなさい!」

 

嫌がる幽々子の服を引っ張る

 

「あ~れ~!」

 

今まさに幽々子の……

 

 

 

「チェストー!!」

 

 

 

凄まじい速さで二人に割って入る者がいた、幽香の服の袖を切り裂き二人を引き離す

 

 

「我が楼観剣に……断てぬ物あんまり無し!」

 

 

「……誰かしら?」

 

邪魔者に問うた、わかっているが一応

 

「我が名は妖夢!魂魄妖夢!幽々子様を守る剣なり!!」

 

刀を構えた妖夢が立ち塞がった、何故か顔が蕩けている

 

「……酔ってるわねこの子……幽々子はゲームに負けたの、貴方は引っ込んでなさい」

 

「黙れ!そして聞け!幽々子様を辱しめる輩は許さない!」

 

幽香の言葉を一蹴した妖夢は剣をより鋭く構える

 

「この切っ先に、一擲を成して乾坤を賭せん!!」

 

力を込める、妖夢は切る気だ

 

「誰だ妖夢に酒飲ましたのはー!!」

 

「妖夢殿ご乱心!!」

 

周囲は騒然として睨み合う二人から離れる

 

「良いわ……相手してあげる、でも周りが危ないからそれはしまいなさい妖夢」

 

幽香が剣を納めるように促す、流石に幽香もこのままでは惨事が起きかねないと考え素手での戦いを促した

 

「……」

 

酔った妖夢は睨みながらまだ離そうとしない

 

「来なさいよ妖夢……刀なんて捨てて掛かって来なさい」

 

手招きしながら挑発する

 

「来なさい妖夢……怖いの?」

 

幽香の問いに震えながら妖夢は剣を納刀する

 

「け、剣なんて必要ない……貴方なんか怖くない……怖くない!」

 

急に動いた為に酔いが更に回った妖夢はフラフラになりながら叫んだ

 

「ヤローブッコロシテヤルゥー!!」

 

仕組まれた喧嘩が始まった

 

 

 

 

「アーッハッハッハ!」

 

陰で酒を飲みながら笑うのは仕掛人の幼女、上手くいったのでご機嫌だ

 

「コラ!何やってんのよてゐ!」

 

仕掛人に怒ったのは鈴仙

 

「なんだ鈴仙か、良いじゃん!宴なんだし少々の悪戯じゃ誰も怒りゃしないさ」

 

「もぉ……姫様も博打なんかしてるし師匠はどこかに消えたし……もぅ知らない!」

 

鈴仙はやけ食いを始めた、そこに背の小さい女性が並ぶ

 

「大変ね貴方も……」

 

「本当!大変ですよ!博打でお金稼ぐなんて……信じられませんよ!1回痛い目にあえば良いんです!」

 

「……その願い叶えてあげましょう」

 

「えっ?」

 

鈴仙が気付いて顔を向けて見たのは輝夜と咲夜に向かう一人の女性の姿

 

「あれは確か地霊殿の……心を読む妖怪……」

 

狂気渦巻く賭場に最強の刺客が差し向けられた、河童と二人の夜に凶星が降り注ぐ

 

 

 

「あーあ……暴れちゃって……お酒はもう少し静かに飲む物よ、ねぇアリス?」

 

椅子に座り喧騒を眺めながら霊夢は隣のアリスに語りかけた

 

「そうね……でも暴れる事が出来るって素晴らしいとさえ今なら思わない?死んでいたら暴れるどころかお酒すら飲めないのよ?」

 

「そうね……確かにそうよね……これが生きてる実感……か……」

 

手に持つお猪口を眺めながら呟く、下手をすれば死んでいた事実が生の実感をより強くさせる、今回の異変はまさに死と隣り合わせだったから

 

「混ざってくれば?」

 

「嫌よ、面倒臭い」

 

かと言って混ざるつもりは無い

 

「あぁー!これはこれは霊夢さんじゃないですかぁー!」

 

そこに酔った早苗が現れる

 

「信仰はどうですかー!相変わらずお賽銭箱は空ですかー?」

 

悪気は無い、悪気は全く無いのだ……だが……

 

「んだとコラぁ!!」

 

少し酔っていた霊夢の逆鱗に触れて霊夢は鬼と成る

 

「霊夢さんが怒ったー!逃げろー!」

 

「サナエェー!!」

 

逃げた早苗を霊夢が追いかける

 

「フフ……」

 

その光景をアリスは微笑んで見守る

 

 

 

「うーん……」

 

悩みながら美鈴は歩き回っていた

 

「誰とご一緒しましょうか……お嬢様達はバーンさんから離れなくてなんか入り辛いし咲夜さんはさっきなんか青ざめてたし……文さんはなんかカメラが無くなったー!とか言って探し回ってるし……一人は寂しいなぁ……」

 

一人寂しく徘徊を続ける美鈴に声が掛かる

 

「なら一緒にどうだい?」

 

「ご一緒しましょう」

 

「霖之助さん!白蓮さん!」

 

パァっと美鈴の表情が明るくなる

 

「僕も白蓮も魔理沙にフラれた口でね、君が良ければ一緒に食べないかい?」

 

「是非!喜んで!」

 

「私も妹紅にフラれたからご一緒させてくれ」

 

慧音もまじえ4人は楽しく会話しながら食事を楽しむ

 

「一緒に食べようなのだー!」

 

「カメラ見つかりませんでしたぁ……バーンさんを撮ろうと思って近づいたら無くなってましたぁ……あややぁ……」

 

ルーミアと文も交え仲良く宴を楽しむ

 

「あの……さ……私も入れてもらっても良いかな?」

 

そこに恥ずかしそうに正邪がやってくる、特例で参加を許可された彼女は輪に入れずにいたのだ

 

「正邪さん……どうぞ!一緒に食べましょう!」

 

「ありがとう!」

 

 

 

 

至る場所で会話に、喧嘩に、遊びに花を咲かす

 

そして今回の宴の主役達はと言うと

 

 

 

「お前達……少し離れろ、これでは満足に食事も出来ん」

 

バーンは少し困っていた

 

「良いじゃん別に!」

 

「そうだよ!良いでしょ今日ぐらい!」

 

「わーい!バーンさん♪」

 

3人に引っ付かれていた、頭にチルノ、腕にフラン、膝には大妖精が正座している

 

「大魔王と恐れられたバーンも3人の友人の前じゃ形無しねぇ……」

 

その奇妙な光景を見ながら話すレミリア、だがしっかり隣をキープ

 

「本当はお前もしたいんじゃないのかレミリア~?」

 

「なっ!?馬鹿言わないで!そんなはしたない真似が出来る訳ないでしょ!」

 

魔理沙の指摘に慌てて反論

 

「無理するなよレミリア……今日くらいれみりゃになっても誰も気にしないさ」

 

妹紅、援護

 

「誰がなるか!」

 

怒るレミリア

 

「良いのよレミィ?」

 

パチュリー、更なる援護

 

「しない!!」

 

拒否!

 

「来んのかレミリア?」

 

意外!それはバーンから!

 

「し、しないわよ!からかわないで!」

 

「顔が赤いぜ~レミリア?あれれ~?もしかしてやりたいのかぁ?」

 

「……なら一緒にしましょうか魔理沙、妹紅、パチェ」

 

「「「ファッ!?」」」

 

レミリア反撃

 

「よかろう……余に触れる事を許してやる」

 

バーン微笑む

 

「あー……いや、流石に恥ずかしいぜ……」

 

「だよな……」

 

「私もそれはちょっと……」

 

それは厳しいと3人は顔をしかめるがあまり嫌そうではない

 

「……小悪魔!」

 

「ハイ!レミリア様!」

 

呼び掛けに応えた小悪魔がパチュリーを持ち上げバーンへ渡す

 

「こあ!なんでレミィの言うこと聞くのよ!?」

 

「面白そうだったので♪嫌ですか?」

 

「嫌かパチュリー?」

 

「嫌とかそんなんじゃないけど……もうっ!……むきゅー……」

 

観念したパチュリーは顔を赤らめて伏せるが指はしっかりとバーンの服を握っていた

 

「イイナ……じゃなくてお似合いだぜパチュリー!」

 

「あー私ももう少し若かったらなー」

 

「そうねぇ……」

 

そうは言うが3人は羨ましそうに見ていた

 

「……フッ」

 

バーンは微笑むと魔力を放つ

 

「わっ!?バーン!?」

 

持ち上げた3人を自らに手繰り寄せる

 

「ど、どうしたんだよ?らしくないぜバーン?」

 

「気にするな魔理沙、今はこうして居たいのだ……」

 

 

確かに以前のバーンなら考えられない事

 

バーンがそれをしたのは友愛

 

守りきれた友が堪らなくいとおしかったから

 

だからそれをするのに恥は無かった

 

 

「額の眼……無くなったままね」

 

レミリアが指摘した、額の第3の目、鬼眼が無い事を

 

「……心配は要らん、何も問題は無い」

 

バーンはそう答えた

 

「明日からもよろしく頼むよバーン!絶対越えてやるからな!」

 

「……そうだな、明日からも鍛えてやろう」

 

妹紅の笑顔に無表情で返す

 

「これからもずっと一緒よバーン!」

 

「そーだよ!バーンはあたし達とずっと一緒に暮らすんだよ!」

 

「バーンさん♪バーンさん♪」

 

3人の幼い無垢な笑顔が向けられる

 

「そうだな……ずっと……一緒に……」

 

バーンが緩やかに話だした時だった、顔を真っ赤にした魔理沙が叫んだ

 

「あー!こうなったらヤケだ!おーいみんなー!!」

 

宴会場に魔理沙の声が響き皆が振り向く

 

 

「みんな来いよ!バーンを押し潰してやれ!!」

 

 

照れ隠しに皆を巻き込んだ

 

「おおっ!面白そうだね!行くよ勇儀!神奈子!勝負は後だ!」

 

「よっしゃー!!」

 

「やれやれ……私もするのか?」

 

「行こうか神奈子!二人で潰してやろう!」

 

鬼と神

 

「……今日だけは付き合ってあげましょうか、行くわよ幽々子、妖夢」

 

「はぁ~い!」

 

「イテテ……私は何を……」

 

妖怪と幽霊と半霊

 

「明日からどうしよう……」

 

「お嬢様に前借りしなければ……」

 

「貯金も無くなった……」

 

「またいつでも御相手しましょう」

 

月人とメイドと河童と妖怪

 

「師匠いませんね……」

 

「そんな事より行くよ鈴仙!」

 

月と地上の兎

 

「来なさい早苗!バーンの角に刺してあげるわ!」

 

「霊夢さ~ん!勘弁してくださ~い!」

 

「フフフ……」

 

巫女と魔法使い

 

「これは滅多に無い機会だね、行かなきゃ損だよこれは」

 

「行きましょうか」

 

「こんなにたくさん……バーンさんでも耐えれるかなぁ?」

 

「頭突きを食らわせても良いのか?」

 

「それは止めといた方がいいですよ?焼かれます」

 

「バーン!今行くのだー!」

 

「早く行こう!みんな待ってる」

 

人間と魔法使いと妖怪

 

 

出会った仲間達

 

 

「覚悟しなバーン!」

 

魔理沙

 

「こんなに月も紅いから……本気で潰すわよ?」

 

レミリア

 

「紅くないよお姉様?」

 

フラン

 

「これならバーンにも勝てる!あたい達ったら最強ね!」

 

チルノ

 

「バーンさんを倒しちゃえー!」

 

大妖精

 

「バカね……そんなので勝てる訳ないじゃない……やるけど」

 

パチュリー

 

「アハハ!やろうやろう!」

 

妹紅

 

 

初めて出来た7人の友

 

 

「よかろう、掛かってこい!お前達に潰される程余は柔くはないぞ!」

 

 

他にも集まった者達を相手にバーンは微笑む

 

 

「「「イケーーー!!」」」

 

 

号令と共にバーンに飛び掛かる

 

 

「フン……」

 

 

鼻を鳴らしたバーンは飛び掛かる者達に魔力を放つ

 

「なっ!?全員止めたぁ!?」

 

飛び掛かった者達は空中で固定される

 

「……」

 

魔力を操り固定した者達を自分の回りに降ろす

 

「まだやるか?」

 

バーンは聞いた、笑顔で

 

「勝てるか!!クッソー!ダメかぁ!」

 

魔理沙が返すと皆は笑った、バーンを囲んで

 

 

カシャ

 

 

「あやや!?今シャッター音が……」

 

「えーい!みんなもう一度だ!文!ボケッとすんな!行くぜー!!」

 

文の呟きは喧騒に消える

 

 

 

「「「アハハ!アハハハハハ!!」」」

 

 

 

勝利の宴はまだ終わらない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館・バルコニー

 

「……」

 

宴は終わり、皆寝てしまった紅魔館のバルコニーの椅子でバーンは1人月を眺めていた

 

「……始末は済んだのか?」

 

不意にバーンは聞いた

 

「お陰様でね、今来たのは博麗大結界の強化維持に行ってたの、宴には参加出来なかったけど仕方ないわね」

 

闇に紛れていつの間にか居た紫が姿を現した

 

「お前も気付いていたか……」

 

「……少しでも貴方の懸念を消しときたかったの」

 

「そこまですれば問題あるまい……礼を言う八雲紫」

 

「御礼なんて言わないで……私は貴方に返しきれない恩を感じている……こんな事で御礼なんて……」

 

「よい、これでもう余に恩を感じる必要は無い……それでもお前が恩を感じると言うなら力を上げろ、幻想郷に危機が起きても自力で解決出来るだけの力をな、余ではもう不可能故に……な」

 

「……約束しましょう」

 

紫の約束を受けたバーンは視線を闇に隠れる柱へ向ける

 

「……そろそろ出てきたらどうだ?」

 

「……気付いてたのね」

 

柱から出てきたのは永淋

 

「宴には来ていたのだろう?何故姿を消していた?」

 

「……貴方の楽しそうなところを見るのが辛かったのよ……」

 

「気にせずともよいものを……まぁ今の余ならわからんでもないがな」

 

「……」

 

「この体はお前がやってくれたと聞いた、上手く型どれたな」

 

「……皮肉はやめて、あの状態から戻せなかった私が出来たのはあの状態から人の形に切って動ける様にしただけ……」

 

「そして一時的にだが鬼眼を体内に移し力を体内で留める様にして外に影響が出ない様にしてある……流石天才と言われるだけある、気遣いに感謝しよう」

 

「皮肉はやめてと言ったわ……枷すら受け付けない体にそれだけしか出来なかったのよ私でも……体の型どりと力の制御と……遅らす事しか……」

 

「よい……お前のお陰で楽しき時を過ごせた」

 

永淋から視線を外したバーンはまた月に視線を戻す

 

 

 

「呪いを受けた余がまだ生きている……これも余の運命か……」

 

 

 

何故バーンは幻想郷に悪影響を及ぼすと知って落ち着いているのか?それは……

 

 

 

『バァァァァァァァァァァァァァァン!!!』

 

 

 

バーンは呪いを受けていた

 

封印される間際にムンドゥスは残る力を全て使いバーンに呪いを掛けたのだ、魔力を秘法に使い切り何の抵抗も出来ないバーンに

 

 

死の呪いを……

 

 

「私ではその強過ぎる呪いは解呪出来ない……本来6日で死ぬ呪いを出来る限り引き延ばすしか……」

 

腕を強く握り、唇を噛み締めながら永淋は告げるしかなかった、死の宣告を……

「……私も探し回ったんだけどその呪いを解呪出来る者は居なかったの……ごめんなさい」

 

紫も無力に俯くしか出来ない、バーンを前に二人は沈黙した

 

「人は何かを成す為に生を受け、成し終えた時、死んでいく」

 

二人の沈黙を破りバーンが話しだす

 

「余は成す為に生き長らえていたのだ……友を作り、守る為に……それが成せたから死ぬのだ……余を人とするなら……な」

 

「そんな……」

 

紫が反論しようとしたが手をかざされ止められる

 

「八雲紫……今では感謝している、お前が余を見つけたから余はこうして今を迎えれている」

 

「……ッ!?」

 

紫にとっては辛い言葉、利用して最悪始末するつもりだった彼女はバーンに感じる恩も相まりその言葉がとても辛く感じた

 

「私は……!!」

 

叫ぼうとした紫はまたバーンに止められる

 

「わかっておる……何も言うな八雲紫」

 

「……」

 

涙を堪えながら紫は頷く

 

 

 

「バーン……貴方の残された時間は……」

 

悲痛な表情の永淋が教えようとするが止まってしまう

 

「……自分の体だ、言われずともわかる」

 

 

 

 

「後……4日だ」

 

 

 

 

 

(歩み続ける事は叶わん……許せ……友よ……)

 

 

 

 

 

今また8人は揃い、歩み始めた

 

 

幻想の郷を……

 

 

共に歩める僅かの道を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーンの命、後4日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




新章……最終章……開始です。

遂にバーン運命の旅は終着に向かいます、1日程更新に躊躇しました……


では予告通りに考えた設定を書きます、まず異魔神から

原作ロトの紋章でオメガルーラが決まりまた精神が飛ばされた設定、青娥が河童を騙して作らせた異世界との交信機で偶然異魔神の精神と交信してしまう所から始まります、バーンは深く考えてなかったので紫の気紛れ的な感じです。

バーンは幻想郷の者達と交流する点は同じですがパーティーには仙人繋がりで華扇が入ります、そして暗躍する青娥は紫を騙し紫に闇のオーブを取って来させて異魔神は復活しバーンと戦うって感じです。

ロト3王子を助っ人に呼んで共闘とか考えたり、精霊ルビスとバーンの絡みも面白そうだなぁとかも考えてました。

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