東方大魔王伝   作:黒太陽

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第19話 序曲

正邪を発端とした騒動から1週間、幻想郷は何事も無く平和な日々が続いていた

 

ナイトメアの捜索を続けていたが手掛かりも音沙汰も無く、今日も捜索をしていたが見つからず一旦紅魔館へ全員戻っていた

 

「河城にとりが来ています」

 

図書館に現れた咲夜がレミリアに告げた

 

「河童が?用件は何?」

 

「渡す物があるらしいです」

 

「渡す物?……まぁ良いわ、連れてきなさい」

 

咲夜に命じたレミリアは紅茶を飲む

 

「にとりがねぇ……何だろうな」

 

傍に居た妹紅が呟く

 

「強くなれるアイテムだったら良いなー!変身!とう!みたいな!」

 

「ガキね!あたいはロボットだと思うわ!蝶みたいな羽を広げて飛び回るの!」

 

「どっちも違うと思うなー……」

 

フランとチルノの予想を大妖精が否定する

 

「紫外線照射装置だったりしてな!河童の技術は世界一ィィ!なんつってよ!」

 

「作りそうで怖いわね……」

 

魔理沙の冗談にレミリアは不安になる、河童なら本当に作れそうだから笑えない

 

「お連れしました」

 

そこへにとりを連れた咲夜が現れる

 

「やっ!久しぶり!」

 

「渡したい物があるって何?」

 

挨拶するにとりにレミリアが聞いた

 

「ああ、霊夢に渡そうと思ってたんだけど留守だったからさ、こっちに持ってきたんだ……これだよ」

 

リュックから大皿程度の大きさの物を数個取り出す

 

「なんだこりゃ?投げて遊ぶのか?」

 

「そんなわけないだろ!」

 

手に持った魔理沙の問いににとりが怒る

 

「これは結界の増幅装置だよ、あのドロドロ逃がしただろ?これはあいつ用の装置だ、霊夢の結界の力を増幅して縛る力を上げて更に負担も無くす事が出来る、これを通して結界を張れば装置が維持して力が切れるまで霊夢も行動出来る品物さ」

 

「へぇースゴイ物作ったな!わかった霊夢に渡しとくよ、ありがたく使わせて貰うぜ!」

 

装置を受け取ろうとした魔理沙ににとりの手が差し出される

 

「何だこの手?」

 

「お金」

 

「金取るのかよ!」

 

魔理沙が驚いて聞いた、無償と思っていたから

 

「当たり前だろ?こちとら遊びじゃねぇんだよ!」

 

「うっ……」

 

にとりの凄みに思わずたじろいでしまう

 

「……良いわ、咲夜、払っておきなさい」

 

やりとりを見ていたレミリアが支払いを承諾する

 

「流石紅魔館の主、話がわかるね」

 

「私はナイトメアを良く知らないけど危ない兵器なんでしょ?紅魔館に来られても困るから破壊出来る可能性は上げとかないとね」

 

そしてバーンをチラッと見て続ける

 

「それに装置が無くても破壊出来る人は気紛れだしね」

 

「フッ……」

 

レミリアの皮肉にバーンが笑みを浮かべる、そのバーンを見たにとりが思い出した様にリュックを漁りだした

 

「ああそうだ!バーン宛の手紙を預かってたんだよ……ほらこれ」

 

「手紙……?」

 

手紙を受け取ったバーンはにとりを見る、差出人の事ではない、それは読めばわかるだろう、何故にとりが持っているのかという事だ

 

「何やら天魔様経由で送られて来たらしいよ、それで私が博麗神社に向かうならついでに渡してくれって頼まれたのさ」

 

「そうか、どれ……」

 

手紙の封を切り読み始めるバーンと同時に咲夜がお金を持ってきてにとりに渡した

 

「確かに頂いたよ、じゃあ私はこれで帰るとするよ、あのドロドロは任せたからなー」

 

背中を向け手を振りにとりは帰っていった

 

「これは私が霊夢に合った時に渡しておくよ」

 

咲夜から手提げ袋を貰った魔理沙は装置を詰め込む

 

「それよりバーン、何の手紙なんだ?まさかラブレターかぁ?」

 

手紙の内容を冷やかしを含んで聞いてみる

 

「……地霊殿の主からだ、地霊殿に来て欲しいと書いてある」

 

「さとりがバーンに?……あの引きこもりが何の用かしら……想像もつかないわね……」

 

会話を聞いていたレミリアが呟く

 

「どうするんだバーン?行くなら着いていくけど?」

 

「あたいもー!」

 

供を申し出たのは魔理沙とチルノ

 

「……いや、余だけで良い、お前達はナイトメアを探していろ」

 

だがバーンには断られる、着いてくるよりもナイトメアを優先しろとの事らしい

 

「そうだな、バーンなら1人でも大丈夫だろうしな!んじゃ探しに行くか妹紅!チルノ!大妖精!霊夢にもコレも渡さないといけないしよ!」

 

「じゃああたし寝るー」

 

捜索組に入れないフランは寝るために捜索組と一緒に図書館を出ていった

 

「では余も地霊殿に向かうとしよう、レミリア、パチュリー、留守は任せた」

 

「バーン!泊まって来ても良いけど明日は早く帰って来なさいよ!」

 

「何故だ?」

 

「フフ……内緒♪」

 

笑みを浮かべるレミリアにわかったと告げ図書館を出ていく

 

バーンが紅魔館を出た後、図書館に残ったレミリアがパチュリーに話し掛けた

 

「ねぇパチェ?またバーンに内緒でパーティーを予定してるの、参加しなさいよパチェ!明日よ!」

 

「それは構わないけどなんでいきなり明日なの?突然過ぎるわよ」

 

「紅魔館に常駐している貴方達は今日でも問題無いでしょ?それと何故明日なのかと言うと明日は皆既日食らしいのよ、中々面白いパーティーになると思うわ、それに……」

 

「バーンがここに来てもう半年経つしね、ちょうど良いと思ったのよ」

 

「良いんじゃないかしら?彼が喜ぶかはわからないけど良いと思うわ」

 

「でしょ?楽しみね」

 

計画されていたパーティー、バーンが幻想郷に来て半年経った記念パーティー、前々から準備を進めていたパーティーはさぞ素晴らしい物になるに違いない

 

 

しかし、それは出来るとは限らない……何故なら異変の種子は根付き、そして咲こうとしていたのだから……

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社

 

「居ませんね霊夢さん……」

 

博麗神社へやってきた捜索組の大妖精が呟いた、まだ霊夢は帰ってない様だ

 

「じゃあ後でまた来たら良いさ、先にナイトメアを探しに行こう」

 

「あたいに命令するなんて生意気よ妹紅!子分のくせに!」

 

やいやい言い合う二人を他所に魔理沙が紙とペンを用意する

 

「一応、書き置きだけ残しとくか……渡したい物がある、また後で来る……っと、よし!行くぜ!」

 

霊夢への渡し物を一旦保留し4人はナイトメアの捜索に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

旧都

 

(ここが旧都……)

 

地霊殿を目指すバーンは旧都に降りたっていた

 

(地霊殿はあれか……)

 

旧都の中央に見える建物を地霊殿と認識し歩きだすバーン、飛べば良いのだが急ぐ必要のなかったバーンは旧都の景色を見ながら歩いて行く

 

「……!!」

 

歩いていたバーンは鼻につく臭いに足を止める

 

(酒の臭い……)

 

強烈な酒の臭いがそこらを漂っていた、臭いの出所へ視線を送る、宿屋の様な旅館の様な建物の窓際に座り酒を飲む女性を見る

 

「おや……?あんたは……」

 

女性もバーンに気付き視線を送る

 

「その風貌……もしかしてあんたが大魔王バーンかい?」

 

「如何にも……余がバーンだ、お前は?」

 

バーンの返答に女性は嬉しそうに笑みを浮かべる

 

「やっぱりあんたがそうかい!一度ツラを見たいと思ってたんだよ!」

 

笑う女性をバーンは睨む

 

「ああ悪いね、私の名は星熊勇儀、あんたの事は萃香から聞いててね、興味があったんだよ!萃香と引き分けたんだってね、やるじゃないか!」

 

「星熊勇儀?ならばお前が四天王の一人の……」

 

「おお!噂の大魔王に知られているとはね……そうさ!萃香と同じ山の四天王と呼ばれている鬼さ!」

 

盃にある酒を飲み干しながら答える

 

「なぁあんた!私と勝負しないかい?萃香とやったんだから構わないだろ?」

 

ニヤリと笑う勇儀の挑戦、しかしバーンは顔を背け歩き出す

 

「悪いが先約がいるのだ……そして余と戦いたいなら酒を絶て、萃香との勝負はいわば特例……二度は無い」

 

「アハハ!!フラれちまったねぇ!わかってるよ萃香から聞いてる、あんたが酔っ払いは相手にしないって事はね!冗談さ!」

 

また注いだ酒を飲み干す

 

「地霊殿に用があるのかい?」

 

「そうだ、地霊殿の主が話がしたいとの事だ」

 

「ふーん……さとりにねぇ……」

 

勇儀の表情が急に曇る

 

「……気を付けな、少し前からさとりの奴、怖い顔でいるんだよ……余裕が無いって言うのかねぇ、何か思い詰めてるみたいなんだよ」

 

「そうか……留めておくとしよう」

 

とは言うものの大した事と思っていないバーンは勇儀に見送られながら地霊殿に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里から少し離れた畑

 

「ちょっと休憩にしよう!」

 

「はーい!」

 

畑の手入れをしていた二人の男女、一段落して休憩に入る

 

「ふぅ……いくら手入れしても畑荒らしが来るからキリが無いね、昨日は雨も降ってたのに」

 

「荒らし……って言うのか?作物は取られてない、地面が少し荒らされているだけだ、何かがと通った様な……まぁ大した事じゃ無い、気にするな」

 

お茶を飲みながら会話する二人

 

「ん……?」

 

男が畑の異変に気付く

 

「何だ……?あのスライムみたいなの?」

 

地面からスライムの様なゲル状の液体が浮かび上がってくる、それは逃げていたナイトメアだった

 

「あ、ホントだ……動かないけどなんか危なそうだね……」

 

妹紅から慧音に伝えられていたナイトメアの情報は慧音により里全体に伝えられていたのだがナイトメアが1週間以上姿を現さなかった事でナイトメアの存在を忘れかけていた男女はナイトメアと想像つかなかった

 

「なんで動かないのはわからんけどヤバそうだ……里へ逃げるぞ!」

 

女性の手を取りナイトメアに気付かれない様に遠回りに隠れながら人里へ逃げる、幸いナイトメアには見つからず人里へ戻る事は出来た、しかし先日降った雨のせいで地面には足跡がくっきりと残っていた……

 

 

 

 

 

 

地霊殿

 

「ようこそおいでくださいましたバーン様」

 

地霊殿に着いたバーンは案内人に部屋を通される、お茶を出した案内人が申し訳なさそうに話し出した

 

「お越しして頂いたところ申し訳ありません、さとり様に急な用が出来てしまいまして今、お出になられているのです、お待ちして頂く事になるのですがよろしいでしょうか?」

 

「構わん、どれ程で帰ってくる?」

 

「それが……ハッキリとは分からないのです……夜には戻るとは思いますが……なんでしたら泊まって頂いてもよろしいですが……」

 

「……」

 

少し考えるバーン

 

(問題はなかろう……)

 

「わかった、そのようにしてくれ」

 

「かしこまりました」

 

頭を下げた案内人は部屋を出ていった

 

(地霊殿の主……余に何用か……)

 

静かに目を閉じたバーンは瞑想をし始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無縁塚・封印の地

 

「来たわね……」

 

封印を見ていた霊夢が振り返った

 

「私達を呼び出すなんて何があったの?」

 

来たのは幽々子、白蓮、神奈子、そして

 

「アレに何かあったのですか?」

 

地霊殿の主、さとり

 

「見て……封印を破られかけてるの、今まであまり強く破ろうとしてなかったのが急に活発になってきたの」

 

「……後どれくらい持ちそう?」

 

封印を睨む白蓮が聞いた

 

「持って3ヶ月……場合によっては1ヶ月って所ね」

 

神妙な表情で語る霊夢に時間が残されていない事を悟る4人

 

「……もう限界ね、幻想郷へ知らせるしかないわ」

 

「……戦う者を集め残りは避難させないとね……どこへ避難しても無駄でしょうけど……」

 

幽々子と神奈子が悲痛な顔で話す

 

「……八雲紫は?」

 

黙っていたさとりが口を開いた

 

「藍から聞いてるはずなのに来ないって事はギリギリまで探すつもりなんでしょ紫は……紫の事は心配してない、その日が来れば紫は必ず来るわ、私達は備えるだけよ」

 

「……そうね」

 

霊夢の返答に頷いた一同は今後の事を話し合った、幻想郷の未来が掛かった事だそれは入念に何時間も話し合われた

 

 

 

 

 

 

そしてその日の深夜

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!!」

 

動かなかったナイトメアがついに行動を開始する、辺りをゆっくりと動き周囲を探索するように動く

 

そして

 

「……」

 

足跡を見つけ移動を開始した

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙の家

 

「霊夢どこ行ったんだろうな、大事な用事かな?」

 

魔理沙が妹紅に聞いた

 

捜索の後、博麗神社に行ったが霊夢はまだ帰ってなかったのだ

 

「わからないけどきっとそうだろ、明日パーティーに来た時に渡せば良いんじゃないか?」

 

スープを飲む妹紅が答える、レミリアからパーティーの事を聞いた彼女は紅魔館に近い魔理沙の家に泊まる事にしたのだ

 

「そうだな、しかしナイトメアを片付けていないのにパーティーなんてしてて良いのか?」

 

ナイトメアの危険性を知っている魔理沙はそんなお気楽な事をしてて良いのかと思っている

 

「まぁレミリアからしたら紅魔館を攻撃されない限りあんまり関係無いんだろ、いざとなればバーンも居るしな」

 

「でもなぁ……」

 

それでも納得のいかない魔理沙、自分が原因でナイトメアを起動させてしまった責任感もあるのだ

 

「じゃあ魔理沙1人だけ捜索するか?」

 

意地悪く笑いながら妹紅が聞いた

 

「ヤダ!私もご馳走食べたい」

 

「アハハ!悪かったよ、さっもう寝ようぜ、パーティーは明日の昼頃から夜までぶっ通しらしいからな」

 

「楽しみだな」

 

そうして二人はベッドに入り明日のパーティーを楽しみにしながら就寝した

 

 

 

 

 

 

 

 

人里

 

「お疲れさん!交代だ!」

 

人里の外で見張りをする男に声が掛かった

 

「待ってたぜ!今のところ異常無しだ」

 

見張りをするこの者達は里の自警団、ちょうど交代の時間だった様だ

 

「慧音先生が言ってたナイトメアだっけ?ホントに居るのか?どこも襲われてないし目撃もされてないけどよ」

 

「さぁな、けどそのナイトメアが居ても居なくても俺達がする事は変わらんだろ?里を守るだけさ」

 

「そうだな……ん?」

 

男は闇夜の中、月に照らされ、怪しく動く物を見つける

 

「どうした?」

 

交代に来た男も視線を送りそれを見つける

 

「……ヤバイ……里の住人と慧音先生に連絡だ!急げ!」

 

直感した、アレが聞いていたナイトメアだと、そしてすぐに連絡に行くよう促す

 

「お前は!?」

 

「俺が抑えとく!早く行け!」

 

そう言うとナイトメアへ走っていった

 

「……死ぬなよ!」

 

連絡を任された男は里へ走って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地霊殿

 

コンコン

 

バーンの居る部屋がノックされる、時刻は午前4時前

 

「入れ」

 

「まだ起きてたのね」

 

ドアを開け入って来たのはさとり

 

「ようやくご帰還か……随分と待たせてくれたな」

 

「ごめんなさい、私にも色々あるの」

 

椅子に座るさとり、その顔は苦い

 

「……封印の件か?」

 

「貴方も知っているのね、ええ……また早まったみたい、長くて3ヶ月、早くて1ヶ月らしいわ」

 

「そうか……」

 

少し複雑な表情でバーンは目を閉じる

 

「貴方を呼んだのはその封印の事、協力して欲しいの」

 

「お前もか……」

 

うんざりする様にさとりを睨む

 

「余は幻想郷に干渉はせん、お前達がなんとかしろ」

 

断るバーンを見つめたさとりは話し出す

 

「ナイトメアの時は助けたのに?」

 

「……何故お前がその事を……!!」

 

さとりが知る筈の無いナイトメアとの交戦の事実、文の新聞にも書かれていない紅魔館のメンバーと霊夢しか知らない事だ

 

(地霊殿の主は心を読むさとりの妖怪……心を読んだか)

 

「正解」

 

バーンの心の回答に正解を言い渡すさとり

 

「……不愉快な」

 

露骨に敵意を露にする、誰しも心を読まれるのを好む者はいない、バーンとて例外ではない

 

「ごめんなさい、でも教えてくれないかしら?ナイトメアの時は助けて何故封印の件はダメなのかを」

 

「博麗の巫女や神にも言ったが余は掌で踊るつもりは無い、ナイトメアの件は余がナイトメアに興味があり向かった際の産物だ」

バーンの返答を受けたさとりはまた見つめる

 

「嘘ね……ナイトメアから助けたのは貴方が友人を救おうとしたから、ナイトメアなんて本当は興味無い……でしょう?」

 

「貴様……」

 

またも心を読まれ口にされる、自分の腹を探られる、それはバーンにとって耐えがたい屈辱、怒りの瞳でさとりを睨み付ける

 

「封印が破られれば貴方の大事にする友人も死ぬわ、ほぼ間違い無くね、妖精も人間も魔女も吸血鬼も皆ね、友人を大事にしているのなら協力してくれても良いんじゃないかしら?」

 

「……断る」

 

バーンの返答にさとりの顔が歪む、怒りの様な悲しみの様な悲痛な表情に変わりバーンに叫んだ

 

「良いから協力しなさい!もう時間が無いのよ!」

 

さとりに余裕は無かった、幻想郷を守りたい気持ちと何も知らない妖怪達の呑気な心の声、そして早まった時間、それらがさとりから余裕を無くしていた

 

「友人が死んでも良いの!?いつまで意地を張っているの!?貴方はそれを良しとしない程友人を大事に思っているんでしょう!?」

 

さとりの怒声が部屋に響き渡る、一瞬の沈黙の後、バーンが口を開いた

 

「貴様に余の何がわかる……心を読めるからと調子に乗るな……」

 

静かに語るバーンだが全身から言葉から怒りが威圧感となり溢れている

 

「幻想郷に干渉はせん、これは決めた事だ……貴様の戯れ言では変わらん」

 

「そう……」

 

威圧を受けても動じないさとりは質問をする

 

「では貴方は幻想郷の敵ですか?味方ですか?」

 

「どちらでも……」

 

「どちらでもない」

 

バーンの返答を待たずにさとりが喋る

 

「い……」

 

「いい加減にしろ?いい加減にするのは貴方の方、心が揺れているのはわかっています、素直に協力すると言えば良いのです」

 

心を読み口に出すより先に話すさとり、まるで馬鹿にするように

 

「……」

 

バーンはゆっくりと立ち上がる、威圧感を増しさとりを睨み付ける

 

「!?」

 

心を読んださとりが驚き立ち上がる

 

「悟った様だな……そう貴様の敵にならなってやろう……後悔はもう遅い」

 

魔力を解放し地霊殿を揺らす、さとりの余裕の無い後先考えなかった行動がバーンの逆鱗に触れたのだ

 

「……可能性は無かった、敵にしかならない可能性しか無いなら貴方は要りません、封印させて貰います」

 

「何?」

 

直後バーンを結界と封印式が覆いバーンを抑える

 

「……ッ!?」

 

脱出しようとするが身動きが取れない、魔力を用いても破壊出来ない

 

(強力な封印結界!?無縁塚の封印に近い物か!)

 

「無駄です、博麗霊夢と八雲紫の結界と封印術を練り合わせた封印式です、今の貴方では破壊出来ません」

 

さとりの作り出した強力な封印結界、彼女もその力で封印に協力していたのだ

 

「……余をどうするつもりだ?」

 

「貴方が協力するなら解きましょう、嫌だと言うならこのまま全てが終わるまでそのままです、貴方の力は危険、寝返られても困るのです」

 

「……」

 

バーンは何も返す事無く抵抗を止め目を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里

 

「大丈夫か!」

 

自警団に呼ばれた慧音がナイトメアの前に現れる

 

「うっ……!?」

 

そこで慧音が見たのは死体、体を何ヵ所も貫かれ血溜まりを作り倒れている自警団の死体

 

「間に合わなかったか……クソォ!」

 

すぐに人里を隠す、避難者最後の一人は彼だったのだ

 

(君の勇気ある行動で里の住人は無事に避難出来た……礼を言う)

 

 

 

(妹紅から聞いた話だと霊夢の結界が必要……こいつを今逃す訳にはいかない……なら!)

 

策を考え、意を決しナイトメアに飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙の家

 

ドゴーン!!

 

「うわっ!?」

 

寝ていた妹紅が飛び起きた

 

「ん~?どうしたんだ妹紅?」

 

妹紅の声に目を擦りながら起きた魔理沙

 

「今のデカイ音が聞こえなかったのか?」

 

「いやぁ?聞こえなか……」

 

ドゴーン!!

 

「今のは聞こえた……何だ?人里の方からだけど……」

 

「人里……慧音か?……まさか!」

 

気付いた妹紅がベッドから飛び上がる

 

「ナイトメアか!?」

 

魔理沙も気付き飛び上がる

 

「行くぞ魔理沙!装置はちゃんと持ってこいよ!」

 

「わかってるぜ!」

 

装置を手に取り家を出た二人は急いで人里へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

隠された人里

 

「慧音!」

 

ナイトメアと交戦する慧音の元に駆け付けた二人

 

「妹紅!それに魔理沙!来てくれたか!」

 

「あれだけデカイ音がしたらな」

 

慧音の策とは出来るだけ大きい音を出し妹紅達を呼び出す事だった、結果は見事成功し二人は来た

 

「遅いわよ!何やってたの!」

 

「チルノ!来てたのか!」

 

二人より先に駆け付け交戦していたチルノが叫んだ

 

「大ちゃんに霊夢を呼んで来るように頼んであるわ!こいつを抑えるの早く手伝って!」

 

「わかった!」

 

勢いよく飛び出した二人はナイトメアとの交戦に入る

 

 

 

 

 

封印されたバーン、再び動き出したナイトメア

 

 

 

破滅への序曲は止まらない

 

 

 

 

 




悪夢再び……

さとりの強さは弾幕や身体能力より防御寄りの強さにしています、まともにやり合えばバーンには敵わないが封印や結界といった能力ならバーンにも対抗出来る感じです。

次回はついに……

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