東方大魔王伝   作:黒太陽

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第10話 八雲 紫

ここも違う……

 

 

 

 

この世界も違う……

 

 

 

 

 

ここにも居ない……

 

 

 

 

 

もう何百年……どれ程の世界を廻ったのか……

 

 

 

 

 

もう存在しないのかも知れない……それでも……

 

 

 

 

 

それでも私は探し続ける……

 

 

 

 

 

何故なら……幻想郷を愛しているから……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何故……何故見つからないの!」

 

八雲紫は怒りに身を震わせていた

 

「紫様……心中察しますが諦めてはいけません……」

 

傍の八雲藍が労りの声を掛ける

 

「貴方に私の何がわかるの!ただの式神が主である私の心が理解出来るなんて調子に乗らないで!」

 

「も、申し訳ありません……」

 

声を荒げ藍に怒鳴る、刻限が迫っている紫にいつもの余裕は感じられない

 

「……封印は後どれくらい持ちそう?」

 

「断言は出来ませんが今のアレの力の増加を考えると良くて2年……悪くて1年以内かと……」

 

「1年……くぅ……」

 

刻限の詳細を聞いた紫は歯痒く爪を噛む

 

「……彼……バーンって言ったわね、彼は?」

 

「八意永琳と接触しましたが彼女は話していません、自分の体の事だけを知ったようです」

 

「そう……でも気付くのは時間の問題ね、彼が幻想郷を回ればいずれ気付く……もし間に合わなかった時に彼が素直に協力してくれれば良いのだけど……」

 

「そうですね……今は幻想郷の人々と上手くやっているようなので協力を取り付けれる公算は高いと思います」

 

(でもそれは希望……アレをどうにかするにはやはり私が見付けなければ……)

 

ふぅ、と息を吐いた紫は数秒の沈黙の後に藍に口を開いた

 

「さっきは怒鳴って悪かったわ、見つからないのに苛々して貴方に当たってしまって……」

 

「いえ、お気になさらず……私は紫様の式ですので」

 

「ありがと……私は探しに行くわ、引き続き監視をお願い、何かあったら伝えて」

 

「わかりました紫様、お気をつけて……」

 

スキマを開いた紫は立ち尽くす

 

(おそらくこれが最後の捜索……必ず見付けなければ……存在すると信じて……)

 

 

 

決意と希望を胸にスキマへと入りその口を閉じた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チルノ、フラン、お前達はもう少し考えて戦う事を覚えよ」

 

「そんな事言われても……」

 

「もー!考えてるよー!」

 

戦闘訓練を行う3人、2対1だがバーンは難なく二人をあしらう、狂気の制御を完成させたフランは戦闘を許可されチルノと共に訓練に励む

 

「次は私達に代わってくれ、ここらでバーン無双はいい加減にしろって所を見せてやりたい」

 

「やあぁってやるぜ!」

 

妹紅と魔理沙がバーンとの訓練を希望する

 

「良かろう、掛かってくるがいい!」

 

チルノとフラン相手に相当やり合ったにも関わらずバーンは息すら切らしていない、ライフポイントで言えば5000以上は確実だろうか……

 

「元気ねあいつら……」

 

「そうですねレミリアさん、チルノちゃんも楽しそうです」

 

「バーンも楽しそうよね、最初の頃が嘘の様……」

 

その光景を眺めながらレミリア、大妖精、パチュリーの3人は談笑する

 

「無理だと思ってたフランの制御も成し遂げちゃったしね、彼本当に大魔王なのね……出来ない事あるのかしら?」

 

「力を抑えられてあれだものね、多分全力のバーンは鬼すら凌駕するんじゃないかしら?」

 

「はぁ~……バーンさんが敵じゃなくてホント良かったです」

 

 

いつもと変わらぬ紅魔館の日々、バーンが幻想郷に来てから半年が経っていた……

 

 

 

 

 

 

 

(ここまで音沙汰が何も無いのは気になるな……)

 

妹紅と魔理沙を叩きのめし、休憩していたバーンはこの半年で八雲紫どころか何も起きない幻想郷に疑問を感じていた

 

(そろそろ動いてみるか……)

 

スッと立ち上がったバーンは休憩しているメンバーに告げた

 

「少し幻想郷を回ってくる、供は要らん、余だけで行く」

 

「えー!ズルいよバーン!あたしだって昼間出掛けたいの我慢してるのに!」

 

「あたいがついていっちゃいけないって何よー!」

 

フランとチルノの抗議を受けるがバーンは聞かぬ振りをしてレミリアとパチュリーに視線を向ける

 

「わかったけど……大事な事なの?」

 

「いや、それを確かめに行ってくるつもりだ」

 

「ふぅん……わかったわ、行ってらっしゃい」

 

レミリアの承諾とパチュリーの行ってらっしゃいと言う手の振りを見たバーンは妹紅と魔理沙を見る

 

「おー……行ってらっしゃい……」

 

「気をつけて行くんだぜ……ってバーンにはデカイお世話か……」

 

寝るように倒れている二人はそのまま手だけを振って見送った

 

 

 

 

 

 

 

(さて……まずは未踏の地へ行くとするか)

 

紅魔館を飛び立ったバーンはゆっくりと飛びながら探索場所の思案をする

 

(八雲紫の関係者はいずれも強い力を持ち知識を持つ者か幻想郷の名所の長ばかりだった……それを考えれば……)

 

図書館で読んだ幻想郷の書物を思い出す

 

(白玉楼か守矢神社……地霊澱と言った所か)

 

候補を出したバーンは少し考えて行き先を決めた

 

(白玉楼へ向かうか)

 

行き先を決めたバーンはスピードを上げ白玉楼へと向かった

 

 

 

 

 

冥界にある長い階段を登った先に白玉楼は佇む、そこは死者の住処、魂となった幽霊が暮らす場所

 

(白玉楼……長の名は西行寺幽々子だったな)

 

階段を登り白玉楼へ続く門の前に辿り着いたバーンに突然謎の影が攻撃を仕掛ける

 

「……久しいな妖夢」

 

仕掛けられた刀を受け止めたバーンは襲撃者の名を呼ぶ

 

「……あっ!バーンさん!?すす、すいません!強い力を感じたので敵かと思いまして……」

 

襲撃者は妖夢、バーンの隠そうともしないその力を賊と勘違いして奇襲した妖夢は直ぐ様刀を退き深々と謝罪した

 

「よい、それほどの警戒心を持っているのは良い事よ……西行寺幽々子はいるのか?」

 

「幽々子様ですか?はい、中にいますよ!」

 

「少し話をしたい、取り次ぎを頼む」

 

「わかりました、御一緒します、どうぞ!」

 

妖夢に先導され門を通ったバーンは白玉楼へと入って行った

 

 

「幽々子様、お客様です」

 

「あらぁ?貴方……大魔王のバーンじゃない!どうしたの?」

 

部屋でお菓子を食べていた幽々子は大魔王の来訪に少し驚きながら用件を聞いた

 

「まず確認したい、お前は八雲紫の関係者か?」

 

「……妖夢、出てなさい」

 

「?……はい、わかりました」

 

バーンの言葉に表情を変えた幽々子の退室命令に妖夢はすぐに出ていった

 

「ごめんなさいね、まだ関係者以外知られては不味いのよ」

 

「……やはり八雲紫の関係者か」

 

緊迫した空気を漂わせて二人の会話は始まった

 

「……と言っても貴方にも話せないんだけどね、紫との約束なの」

 

「それは構わん、余が知りたいのは時間、後どれ程の時間が残されている?」

 

「……本当は話したらいけないんだけど……別に良いかしらそれぐらいなら、今から遅くて2年早くて1年らしいわよ」

 

「……まだそれだけの猶予があるのか」

 

「そうでもないの、これはずっと昔……遥か昔からある幻想郷の秘部、それを考えれば1年なんて一瞬で過ぎるわ」

 

「……八雲紫はその為に余を幻想郷に?」

 

「そこまでは知らないわ、私は口止めされてるだけだから……ただ紫は今も頑張ってる、彼女は幻想郷を愛しているからね、それだけはわかっておいて?」

 

「……良いだろう、知りたい事は得た、帰らせて貰う」

 

「またいらしてね、妖夢も貴方との再戦を糧に頑張っているから」

 

「その時を乗り越えればな……」

 

そして白玉楼の会談は終わりを告げた

 

 

 

 

 

同時刻・紅魔館

 

「あー!強すぎるぜバーンは!勝てる気がしねぇ……」

 

「私達も強くなったのに一向に差が詰まらないぜ……しかもあれで全力じゃ無いって……ええい!外の大魔王は化物か!」

 

愚痴りながらお菓子を食べる留守番組、強すぎるバーンの力に愚痴は止まらない、これまでの戦績は全敗、2対1になってからバーンに有効打を与えれる様にはなったがそれでも勝つには至っていなかった

 

「私の魔法も効かなかったしね、ロイヤルフレアが簡単に相殺されたのは唖然としたわ……」

 

たまにパチュリーも魔法で勝負を挑むが違い過ぎるレベルに簡単にあしらわれている

 

「あいつって負けた事あるのか?」

 

「いや、知らないけど少なくとも幻想郷に来てからは負けて無いぜ、萃香はあの時やりあってたらもしかしたら……って感じだったけど」

 

「そういえば私もバーンの過去を知らないわね、彼、昔の事語らないし」

 

バーンの過去について話し合う3人、そこに黙って聞いていたレミリアが口を挟んだ

 

「負けたんだと思うわ……多分ね」

 

「レミィ……それは勘?」

 

「そう……勘ね、彼の時々見せる瞳がそう感じさせるのよ」

 

紅茶を飲みながら見解を話す、バーンの事を力ではなく内面を一番理解しているのはレミリアだ、だがそのレミリアでもバーンの内面のほんの上部だけで理解しきれている訳ではない

 

「ふーん……もしそうならさ?バーンは幻想郷に来る前は力が抑えられてなかった訳だろ?それを倒せるなんて化物を越えた化物って事になるよなぁ……」

 

「確かにそうなるよな……何者だよ!ってなるぜ……」

 

「想像もつかないわね……バーンの全力を越える者……」

 

バーンを倒した者の想像をしている3人にまたレミリアが口を挟む

 

「あら簡単じゃない?大魔王を倒せる者……それは勇者しかいないんじゃないかしら?」

 

「それは漫画とか小説の話だろ?バーン程の大魔王を倒せる勇者なんか都合良くいるかよ」

 

「私もそう思うぜ、きっと暗黒神だとか破壊神みたいな奴に負けたんだと思うぜ、多分ラプソーンとかシドーみたいな名前のさ」

 

「何よそれ……」

 

呆れるレミリア、だがレミリアの回答は正解だった、バーンは勇者であり竜の騎士でもあるダイに倒されたのだ、もっともそれをレミリアが知っての発言ではないのだが……

 

「考えても仕方ないか……よし!私達もせめて今のバーンくらいは倒せるように頑張るか!」

 

「そうだな……わかったぜ!」

 

意気込んでまた修行を開始する二人

 

「パチェはしないの?」

 

「私は魔法で彼を越えるつもりだから……」

 

「そう……頑張ってね」

 

そう言ってまた紅茶を飲んだ

 

(八雲紫が呼んだのだとしたら彼に何をさせたいのかしら……)

 

飲み終えたティーカップを眺めながらレミリアは思う

 

(こんな日々がずっと続けば良いのだけど……)

 

 

 

 

 

 

 

白玉楼を出たバーンは幻想郷の空を飛んでいた

 

(早くて1年……か、幻想郷に干渉する気は無い、その時を乗り越えれないのなら幻想郷は最悪滅ぶのだろうな)

 

(……その時は余は……受け入れるのみ……か?)

 

1人考えながら飛ぶバーン、考え事をしながら飛んでいた故か軌道は何処へ向かう訳でもなく人気を離れ飛び進む

 

それが偶然か必然か無縁塚と呼ばれる場所である人物を見つける

 

(あれは……博麗の巫女)

 

無縁塚の奥地で霊夢を発見する、何かの前に降り立った彼女を追いバーンも降り立つ

 

「あら?バーンじゃない、どうしたのこんな所で?」

 

「お前を見つけたものでな……これは何だ?強力な結界を張って隠している様だが?」

 

バーンが指したのは霊夢の前にある結界、不可視になっており中の様子はわからない、バーンが結界に触れるとバチッっと音をさせ侵入を拒んだ

 

(強力な結界……並の妖怪などに使うレベルでは無い……)

 

「無理よ、いくらあんたでも簡単に通れる代物じゃないわ」

 

「そのようだな、して……この中には何がある?」

 

「……」

 

霊夢は答えない

 

(話さぬか……と言うことはこれが八雲紫の目的か?)

 

黙りを決め込む霊夢に八雲紫との繋がりを感じたバーンは結界を眺める

 

(バーンなら……知っておいても良いかも知れない、いえ、知る権利があるわ……紫、悪いけど教えるわね……)

 

結界を眺めるバーンに約束を破り話す事を決めた霊夢はバーンを呼んだ

 

「……話しても良いけどこの事は……」

 

「他言無用……なのだろう?わかっている」

 

バーンに出鼻を挫かれた霊夢は面白くなさそうに結界へ近付く

 

「中へ入れてあげる、でもあんたに一時的に力を抑える封印をさせてもらうわ、妙な事をされたら困るのよ、構わないかしら?」

 

「良いだろう」

 

バーンに封印を掛けた後、結界に一人分の穴を開けて入っていく

 

「ここはね……化物が封印されてるの、あんた以上の……ね」

 

結界を閉じた霊夢は歩きながら話す

 

「余以上の……化物だと?」

 

「そう、私なんかが生まれるもっと前、幻想郷の黎明期に次元の壁を越えて現れたらしいわ」

 

結界の中を地下へ進む霊夢は続ける

 

「死にかけだったらしいんだけどそれは妖怪達を吸収して力を回復しようとしていたの、そして妖怪を大量に吸収した時に紫が立ち向かった……」

 

「でも……倒せなかった、紫の能力で他の世界へ送ろうともしたんだけどダメだったらしいわ、そこで苦肉の策で封印する事にしたらしいわ」

 

「その後も封印を維持して来たんだけど日に日に力を増すそれに紫は危機感を覚えて歴代の博麗の巫女や封印術に長けた妖怪に協力を求めて封印を強化していったの」

 

「その間にも色々試したらしいんだけどどれもダメだったみたい……月の姉妹に協力を頼んだ事もあったけど断られたらしいわ……そこで紫はアレを死の淵まで追い込んだ者が居ると考えて探し続けているの……宛の無い探し人を何百年も……そして今も……」

 

ふぅ……と溜め息をついた霊夢はバーンに振り返る

 

「あんたはその紫の旅の中で唯一連れてこられた人なのよ、あんたに紫は可能性を感じたのかもしれないわね」

 

「……」

 

バーンは何も言わずただ霊夢に着いていくのみ、その表情にも変化は無い

 

「着いたわ、ここよ」

 

地下の先には広い空間が拡がっていた、その中央には幾重にも重ねられた封印の中に球体が見える

 

「最近ここ魔界に封印を移したの、白蓮の協力でね、でも力が封印から漏れて周囲に影響を与え始めてるの……」

 

その球体から発せられる瘴気が幻想郷の魔界をおぞましい異様な空間に変えている

 

「これが……」

 

球体に近付いたバーンは球体の中身を感じてみる

 

(……!!凄まじい魔力!全力の余と同等……いやそれ以上の……)

 

球体から感じた自身に匹敵する程の魔力にバーンは驚愕する

 

(これ程の者が幻想郷に隠されていたのか……確かに隠さざるをえんなこれでは……コレからは己の種族以外全てを殺そうとする殺意を感じる)

 

「わかった?これが紫の、幻想郷の敵よ、受け入れた後に拒絶された者……さっ!封印を張り直すから退いて」

 

バーンを退けた霊夢が封印を張り直し始めるのを見ながらバーンは考えていた

 

(もし……コレと戦う事になれば余は勝てるか?……いや、どうでもよい事か……)

 

幻想郷への不干渉を決めていたバーンは考えるのを止め霊夢の封印を待った……

 

 

 

 

 

「まっ、そう言う事よ、わかったかしら?」

 

結界の外に出た霊夢はバーンの封印を解除しながら話す

 

「八雲紫の真意は理解した、だがその時が来ても余に変わりは無い、賢しいだけの妖怪に踊らされるつもりは無い」

 

「そうよね……あんたは紫の身勝手で連れてこられたんですもんね、無理も無いわ……別に良いわ、その時が来れば私も命を掛けて戦うだけだから」

 

「それで良い、己の居場所は己で守れ」

 

「……わかってるわよ!」

 

二人の会話を遮りそこに風切り音を聞かせ来訪者が現れる

 

「霊夢さーん!あやや!?バーンさんも一緒でしたか!」

 

「文……何回来てもコレは教えないわよ?」

 

結界を指さして文に告げる

 

「そう言わずにそろそろ教えて下さい霊夢さん!何があるんですか?お宝ですか?伝説の剣みたいな?」

 

「うるさいわねぇ……教えれない物は教えれないの!帰った帰った!」

 

しっしっと手を払い帰りを促す霊夢に文は笑みを浮かべる

 

「では明日の記事は博麗の巫女、無縁塚で大魔王と白昼デート!?にしますかねぇ!」

 

「はぁ!?何言ってんのよ!デートな訳ないじゃない!」

 

慌てる霊夢、彼女もやはり年頃の女の子なのだろう顔こそ赤く無いが声を荒げて否定する

 

「バーンさんのネタも旬が過ぎましたからねぇ……ここらで新しい風を入れて文文。新聞の増刊を図りましょうか!」

 

「……どうやら焼き鳥になりたい様ね……ちょうどお腹が空いてたのよ、ラッキーね、バーンあんたも手伝いなさい」

 

鬼と化した霊夢が文に詰め寄る

 

「おお、こわいこわい!ではまたです霊夢さんバーンさん!」

 

鬼巫女が文を掴む寸前に飛び去る文

 

「あの鳥野郎!バーン!捕まえて!」

 

怒り浸透の霊夢はバーンに文の捕獲を命じる

 

「……お前が行けば良かろう」

 

「何眠たい事言ってんのよ!あんな記事書かれたら赤っ恥よ!あんただってそうでしょ!」

 

「……確かにな、良いだろう」

 

バーンは了承すると飛翔しながら呪文を唱えた

 

「ピオリム」

 

文より凄まじい風圧を発生させてバーンは文の後を追った

 

 

「フフン♪今回はいくらバーンさんでも無理ですねぇ……さぁて早速帰って新聞の作成といきますか!」

 

文が笑顔で高速で逃げていると突然後方から突風に煽られバランスを崩す文

 

「あやや……何ですか一体?」

 

体勢を立て直した文が前方に顔を向ける

 

「え……嘘……何で……?」

 

バーンが立ちはだかっていた、全力で逃げていた文はメダパニを受けたように混乱する、混乱する文にバーンは静かに告げた

 

「……知らなかったのか?」

 

ゆっくりと諭す様に文に告げる

 

「大魔王からは逃げられない……!」

 

その絶望の言葉と共に文の視界は薄れていった

 

その後、彼女の姿を見たものは誰もいない……

 

 

 

 

 

 

「記事にしないと誓うわね?」

 

「はい……ですから命だけは……焼き鳥は勘弁してください……」

 

捕まえられた文は霊夢の前で土下座中、頭を地面に擦り付け必死に許しを乞う

 

「……ですって、バーン?どうする?」

 

「……余もいい加減、鬱陶しいと思っていたのだ……」

 

そう言うとバーンは手に魔力を集中させ手を炎上させる

 

「これが……余のメラゾーマ、その想像を絶する……」

 

「ごめんなさーい!許してくださーい!」

 

文は一応許された

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫様!博麗霊夢がバーンに話した様です!」

 

「そう……いずれわかる事だけど……困った子ね霊夢は……」

 

式を通じて紫に連絡をした藍に応答する紫

 

「まぁ良いわ、彼の様子は?」

 

「特に変化は見られません、流石にその胸中まではわかりませんが……」

 

「わかったわ、また何かあったら伝えて」

 

「わかりました、お気をつけて紫様……」

 

通信が切れた後、紫は溜め息をついてその世界の虚空を睨む

 

(彼に期待してはダメね……私が何とかしないと……)

 

そして彼女は夜の闇に消えて行った……




物語はまた少し動きました、勘の良い方は予想出来てるかもしれません。


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