鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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バイトが休みなので投下します




マレフィカ・ファルス

 

「料理人は料理を作り終えた時に満足してはならない。していいのは料理がお客の口に入った時だけだ」

 

金髪の復讐鬼は今しがた渾身の爆砕魔法で仕留めたはずの黒い魔法少女の声を聴いた

 

「畜生!!!!!」

 

少女は背後を振り向くが、空中に浮かぶ少女以外空中に浮かぶものはいない

宙に浮かんでいるのは「彼女」とその使い魔である「コルノ・フォルテ」だけ・・・

 

「?!」

 

闘いを経験したものでしかわからない感覚

見えない槍に貫かれるような強い殺気

彼女が迫りくる重圧を感じ取る

少女が「魔法少女」として強化された視覚で周りを見るが何一つ見えない

魔力により夜闇も昼間のように見える視界にはただの瓦礫の山のみしか感知されない

魔力も彼女以外にはない

ただ彼女を射るような強い重圧はおさまることはない

それはまるで怪物の口の中にいるかのようだった

 

ヒュォォォォォォ・・・

 

夜風に吹かれ、爆発で飛んだ土埃が晴れる

そこには・・・・

 

「ビビらせやがって!!やっぱりヤラレテいるんじゃねぇーか!!!!」

 

地面に倒れ伏す小柄な少女の姿

その細い手足は捩れ、あらぬ方向を向いていた

ピクリとさえ動かない

あれだけのダメージを受けたのだ

例え戦うための生き人形となった魔法少女であっても再生には時間がかかる

生きていたとしてもすでにソウルジェムを守る力すらない

 

「仕上げをしてあげないとね!!!!」

 

少女は哄笑をあげ、まだ煙の立ち上る爆心地へ降り立った

彼女は倒れ伏した人影に向かい・・・イングラムをむけた

 

ダァァァァァっァァァァァl!!!!

 

銃声と共にぐちゃぐちゃと肉塊に打ち下ろされるハンマーのような音が周囲に響く

 

カキン!

 

「チィ!」

 

イングラムが瞬く間に銃弾を飲み込み使い果たした

少女は懐から予備の弾倉を差し込み装填し、引き金を引く

ミチルの女性らしい身体は血やはみ出した臓器に紛れていく

それは銃弾による凌辱

既に少女の身体はミンチになっていた

彼女は銃弾による凌辱に飽きたのか、イングラムを放り投げる

 

「コル・・・・やれ」

 

ブモォォォォォォ!!!

 

傍らに待機する魔牛が雄叫びをあげ、地面に伏すミンチになった少女を空中へ放り投げた

操り人形のように少女の身体は遥か天空に放り投げ、それはドサリと地面に落ちる

目も覆うような惨状にツインテールの少女はやっと安心したのか、遺骸へと近づく

笑みを浮かべながら

 

「・・・・・それはデコイラン(おとり」

 

再び少女の声が響く

今度は彼女傍らからだった

少女は傍ら・・・コルノ・フォルテを見る

異常はみられないはず、だ

 

「・・・・・!」

 

彼女が特売品の牛肉から錬成した使い魔であるコルノ・フォルテ

その瞳には意思などはない

魔力を注入して思い通りに動くだけの操り人形

本物の牛のように動くのは彼女がそう命令しているからだ

しかし、コルノ・フォルテの真紅の瞳が彼女を射抜く

明確な意思が込められていた

 

「貴様ァァァァァァ!!!!!!!」

 

激昂した少女が地面を媒体に再び爆砕魔法陣を描こうとする

もはや銃に頼るようなまどろっこしい戦い方を選ばない

既に冷静さを失っていた

怒りに煮えた頭ではこの距離で爆砕させれば爆風と熱風で自分の身もただでは済まないのにかかわらず、だ

地面に複雑な意匠を散りばめた三角形の魔法陣が描かれ彼女からの発動命令を待つ

 

「イル・トリアングロ!!!!!!」

 

修羅の表情で発動させる、が

先ほどのように爆風が巻き起こることはなかった

 

「発動しない・・・・・?まさかジェムが!」

 

慌てて彼女は胸元のソウルジェムを見る

以前の彼女は最後の最後でソウルジェムの残量を見誤ったことにより敗退した

十分なグリーフシードの量は確保している

彼女の茜色のソウルジェムに多少の穢れは見えるが、すぐさま魔力枯渇を起こすほどの穢れではない

 

「私の固有魔法は破戒。術を発動させないことも・・・・こういうこともできる」

 

ズズズズズズ・・・・・

 

コルノ・フォルテの姿が闇に溶けていく

黒い、先端が渦を巻くような意匠

ところどころ無駄な布が切り取られ、非常に活動的な魔法少女形態

それは今しがた金髪の少女が狂気の笑みを浮かべながら、豚のように処刑したはずの黒い魔法少女 ― 和紗ミチル ― の姿をとった

 

「魔力を使った乗っ取りシステム・・・・私はこれをマレフィカ・ファルスと名付けた」

 

ミチルの手の内に闇色の光が束ねられ、先端にエジプト十字をあしらった黒い杖が握られる

 

「さぁ・・・・お仕置きの時間だ」

 

少女は知った

全ては無駄であり、彼女の手の上で踊っていたことに

 

 

 

 

 

NGシーン

 

「魔力を使った乗っ取りシステム・・・・私はこれをマレフィカ・ファルスと名付けた」

 

黒髪の少女が宣言する

 

「デッドオアアライブ!!!!!!」

 

 

原作を読んだ賢明な諸兄はお分かりと思うが、「デッドオアアライブ」の本来の意味は「対象の生死を問わずに連れてくる」ということ

つまりはまかり間違っても「生か死か」という意味にはならない

まぁこれくらいの英語能力は「アメリカ」で生活していた神那ニコでなくとも解るはずなのだが・・・・・

 

 

「生か死かだと!!!!!貴様ぁぁぁぁ!!!!!」

 

ユウリ様ホント馬鹿・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作でニコに間違いを指摘されるミチルに少しキュンとした

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