鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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さてと時間が空いたので投下します


隠された素顔

あすなろ中央病院

光の落された廊下を金色のツインテールを揺らしながら、飛鳥ユウリは歩く

その歩きは普段と変わらず、隠密行動をしているようなそぶりはない

 

カツーン・・・・カツーン

 

「でさ、直樹のヤツったら今度ナースの恰好でやらしてくれって言ったわけよ」

 

「ホントー?変態やね」

 

「まぁHの時はそれなりに頑張ってくれるからイイんだけどね」

 

見回りの看護師たちがユウリの前を通る

誰も闇の中に佇む彼女の姿に気付くことはなかった

彼女が「師匠」から教えてもらったことは戦闘能力だけではない

魔法少女として人界を守る以上、その存在は秘匿されなければ面倒なことになる。

彼女が自らに使用している認識阻害魔法はこういった一般人と関わる場合に必要となるものの一つだ

認識阻害魔法を重ね掛けしている今の彼女を認識できるものはいない

警備の監視カメラですら、彼女の姿を捉えることができないのだ

彼女がここに入るのは二度目だ

一度目は奇跡を起こす相手を選ぶため

今回はカルテを読んで今の状態を把握するためだ

 

― 月華光江 ―

 

彼女が選んだ少女

学校で云われのない酷いいじめに遭い、そして誰かに階段から突き落とされた不運な少女

結果として、命に別状はないがサッカー部のエースであった彼女の自慢だった足は骨折してしまった

たとえ全快しても再びエースに戻れる保証はない

絶望に落ちた少女を救う、そのため彼女はやってきた

希望の運び手である魔法少女として・・・・

 

 

光の落ちた病棟

既に消灯時間を過ぎている

個人病室のベットの上、複雑なクローム製の固定具に両足を固定され光江は寝ていた

彼女が個人病室なのは別段彼女が裕福だからではない

病院と事件のあった中学校との密約でそうなったのだ

見滝原のある中学校であった薬物汚染とそれに伴ういじめ問題

いち早く封殺したかったのだろう

彼女の不運な運命にユウリは彼女のために「奇跡」を使うことを決めた

光江が寝静まっているのを確認すると、ユウリはそっと自分のナースキャップを外し彼女の頭に置いた

 

フォォォォォォォォ・・・・・

 

真紅のナースキャップが暗闇の中仄かに輝く

これも彼女が師匠から伝授された魔法の一つだ

寝ている間人の精神の防壁は緩い

故に魔力で記憶を読むのは難しくなく、また危険性も少ない

光が収まったのを確認すると、おもむろにユウリはナースキャップを被る

意識下に映像が再生される。

イジメの切っ掛けになった不幸な事故

いくら否定しても誰も信じてくれない故の孤独

エースであったが故に激しさを増すイジメ

そして・・・・・

 

暗転する視界

消えかかる意識の中、階段の上に立つ人物

黒い癖のある髪

銀の鈴のピアス

余りにも「ある人物」に似ている

 

「これって・・・・師匠!」

 

驚きのあまり彼女は認識阻害魔法を解除してしまっていた

彼女は魔法がその実、術者の精神状態に依存する繊細な術式であることを忘れていた

 

「・・・誰・・・そこにいるのは・・・?」

 

ユウリが声をあげた拍子に光江が起きてしまう

光江が手元のスイッチでベット脇の電灯をつける

 

「キャッ!」

 

ユウリの姿が琥珀色の光に照らし出される

光江がユウリの姿を見た瞬間、見る見るうちに青ざめた

そして狂ったようにナースコールを押し続ける

 

「ナースさん!!!ここに変態が!!!!早く来て!!」

 

・・・・当然である

股下数センチの自動パンチラ装置と化したスカート

これで「ちょっと変わったナースさん」とはまかり間違っても思わない

彼女は認識阻害魔法を掛けなおすのを忘れ、病室を飛び出した

 

「光江ちゃん!一体・・・」

 

ユウリと入れ違いに看護師たちが病室に入ってくる

 

「変態がそこに!」

 

看護師の脳裏に先ほどすれ違った、金色のツインテールとありえない短さのタイトミニの少女の姿が浮かぶ

 

「若いっていいわね・・・・」

 

しみじみと語る看護師に光江は掛ける言葉を失った・・・

 

追手を躱しながらユウリは必死に記憶を纏めていた

仮面の有無はあるが、光江の記憶にある犯人は間違いなく彼女の師匠だった

厳しくもあるが、しかしその厳しさの中にあるのは優しさだ

イジメられている彼女を階段から突き落とすような残忍なことができるわけがない

では、本当に彼女はワザと事故を起こし、誰かに報復を受けたのか?

光江の記憶では痛ましい事故ではあるが、原因は泥で滑って起こったことに間違いはなく故意に起こしたものではない

報復を受ける理由など何もないのだ

愚直な彼女はこの疑問を解決させる手段は一つしか思いつかなかった

 

 

 

 

NGシーン

 

ユウリの侵入未遂事件「紅のパンチラナース事件」後・・・

 

「ねぇ直樹~どうかしら?」

 

あすなろ中央病院勤務の看護師 速水喜代美

10歳年下の彼(高校生)に夢中な27歳

今日も彼のためにコスプレに励むのだ・・・

彼女の四肢を彩るのはありえない短さを誇るタイトミニのナース服

あの夜見た痴女(ユウリ)をイメージしているのは間違いない

 

「却下!」

 

「へ?だってエロいでしょ?」

 

「エロければいいものじゃない!エロいだけならマッパが一番だよ!」

 

コスチュームへの偏愛を語る彼女の恋人

明らかに変態ではあるが・・・

 

「必死に語る直樹もかわいい♡」

 

・・・・馬鹿につける薬はない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




コスプレでイタした後の服ってやっぱり自分で洗うんだろうか・・・

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