鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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今回はちょっと自分の趣味に走っちゃった♪

実はクトゥルーRPGのメタルフィギュアを持っていたり・・・・


微かな違和感

織矢探偵事務所

 

「キリカ本当にごめんなさい!」

 

三国織矢こと、美国織莉子は傍らの少女「呉キリカ」に謝罪する

事の発端は、ビストロ・タチバナでの会談を終えそのまま事務所に帰ってしまったことだ

用心のために観葉植物に偽装したキリカの存在をすっかり忘れて・・・

 

「何よ!あの女刑事にデレデレして!そんなに中年オヤジのままが良かったらずっとそうすれば!!!」

 

怒髪天を突く

彼女の怒りはなかなか収まらないようだ

 

プルルルル!

 

「ごめん。電話だわ・・・」

 

織莉子が携帯を耳に当てた

 

「新しい彼女からかい?」

 

織莉子は答えない

それどころか、みるみる内に彼女の表情が硬くなる

 

「お、おい・・・」

 

ただならぬ状況にキリカが声を掛ける

 

「・・・・・ゆまが倒れた」

 

「え?」

 

「キリカ行くわよ!」

 

織莉子は自分が「織矢」のままであることを忘れ、キリカの腕を引いて事務所を出て行った

 

 

話は数時間前に戻る

 

宇佐美邸

いつもは巴マミをはじめ、様々な少女の声に包まれるこの館に一際幼い声が聞こえてきた

 

「よぅ真!お茶を飲みに来てやった・・・・ぜ?」

 

佐倉杏子の目の前には無邪気にクレヨンでお絵かきをしている幼女がいた

 

「・・・・・真、女装に飽き足らずとうとう誘拐まで」

 

「違うよ!杏子さん。この子は・・・」

 

浅黄色の髪をした少女が立ち上がる

 

「美国ゆまです。はじめまして」

 

スカートの端をつまみ、少女がお辞儀する

 

 

「ふ~ん つまりは今日は織莉子たちが都合悪いから、真が幼稚園まで迎えに行ってここで預かっているってわけか・・・」

 

「恭介さんの時に結構お世話になったからね。僕にできることなら何でもするよ」

 

「ところで織莉子たちは何時頃に迎えに来る予定なんだ」

 

真は別館中央に置かれた棺桶の形をした大時計「ド・マリニーの時計」を見た

幾つもある針が別々に動くという、時計にあるまじき仕掛けであるが、針が「時間」「分」「秒」のみならず、置かれた場所の「緯度」「経度」を表わしていると理解すれば、時計としての用を為す

 

「5時くらいに迎えに来てくれる予定だよ」

 

ぐうぅぅぅぅぅぅぅ!

 

不意に二か所から腹の虫の音が聞こえた

 

「真おにいちゃん・・・ゆま、お腹減っちゃった・・・」

 

「真おにいちゃん~杏子、お腹減っちゃった~」

 

「杏子さん・・・・おやつ抜きにしますよ?」

 

真がじっとりとした目、「生暖かい目」で杏子を見つめる

 

「ウソだぜウソ!」

 

慌てて杏子が弁解する

 

「じゃあ杏子さんも手伝ってくださいね」

 

「わぁったよ!舎弟の時はあんなに可愛かったのにな」

 

「そうなの~!杏子お姉ちゃん」

 

「そこ!勝手に過去をねつ造しない!」

 

相変わらず、真を弄るのに容赦しない杏子だった

 

「・・・・・なあ、ゆま」

 

「なあに杏子おねえちゃん?」

 

「あのトランクはお前のか?」

 

杏子の指差す先には、銀色のトランクがあった

「ゼロハリバートン」製の特殊なアルミトランク

近距離の爆弾ですら耐えられる特別仕様のモノだ

何重にも仕掛けられた錠前

余りにも物々しい

 

そして何よりも・・・・

 

― 何で瘴気と魔力が出てるんだ? ―

 

「魔法少女」にしかわからない魔力と瘴気

それも注意深く見なければ、わからない僅かな量

それがトランクから滲み出ていた

 

「それ?ゆまもよくわからないけど、織莉子おねえちゃんから外出する時は持ち歩くように言われてるの」

 

「・・・何か病気なのか?」

 

「織莉子おねえちゃんからは大切なお薬が入っているからって・・・」

 

― 織莉子もキリカも魔法少女だからな・・・・魔力や瘴気が少し移ったのかもしれないな ―

 

「杏子さん!作るのが手伝わないなら運ぶのくらい手伝ってよ!!!」

 

「悪りぃ・・・今行く」

 

杏子は立ち上がり、奥の調理場へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

NGシーン

 

マギカ・カルテット本部 ― 宇佐美邸・別館 ―

 

今、その扉には「倉庫の整理中!危険なので施錠中!」との張り紙がされていた

そしてその前には佐倉杏子

基本自由人である彼女がこの張り紙を見てニヤリと笑みを零す

彼女が合い鍵を使い開くと、普段は施錠していた倉庫が開いていた

 

「おじゃましますよぅ~と」

 

倉庫の中は倉庫特有の臭いはまったくしなかった

寧ろ、生命体の痕跡すら見えない

まるで、その倉庫がこの地球上から隔絶したように・・・・

 

カチッ!

 

不意に何かのスイッチを押してしまったようだ

杏子の目の前には奇妙な形のランプが点灯していた

 

「なんだよただのランプ・・・・・・・?!」

 

ランプに嵌められた奇妙な色合いのガラスが開き、その中に人影が見えた

 

赤い髪の少女が焼き焦げた教会の中、焼き焦げた人形に縋りついて泣いていた

否、それは・・・・・

そしてその胸元にあるものは杏子の良く知った人物の所有物だったロザリオ

 

「ウソだろ・・・・・・・・」

 

彼女はそれから目を背けようとした

しかし、それはできなかった

まるで彼女の魂がそのランプに囚われたかのように・・・

 

「助けて・・・・助けて真ォォォォォォォ!!!!」

 

白い何かがランプに当り、闇に包まれた

 

 

「張り紙を見たんですか杏子さん!」

 

「すまねぇ・・・・」

 

彼女は憔悴しきっていた

 

 

「コーヒーにバターを一片落しました。落ち着ちますよ」

 

二人は倉庫から、何時ものリビングにいた

 

「・・・・・あれはなんなんだ?」

 

「あれはハリのガラスを利用したアルハザードのランプって言われています・・・・。何でも別の世界を映すとか」

 

「勝手に入って悪かった・・・」

 

「張り紙を見たんですか!あれを入手した人間に失踪した人間も多い、曰くつきのシロモノなんですから!でも・・・」

 

「でも?」

 

「杏子さんが無事でよかった・・・・」

 

真の言葉に杏子は頬を染めた

 

 

暫くのち、倉庫を整理する二人の姿があった

 

「真!ちょっと来てくれコレを何処に置くんだ。ええっと栗と栗鼠の像?」

 

「ちょっと、そんな事を大声で言わないで・・・・・・!」

 

「だからクリとリ・・・・」

 

「言っちゃらめぇぇぇ!!!!!!」

 

その日、真の絶叫が止むことはなかった

 

 

 

 

 




まどマギとクトゥルー神話って親和力が意外と高い。

今度SSスレに投下してみようかな・・・・

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