鉄仮面の魔法少女   作:17HMR

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時間があったので投下


傷名 ― キズナ ―

赤茶けた空

一人の少女が何かと戦っている

 

 

ヒュオォォ!

 

ザキッ!ザシュゥゥゥゥゥ・・・・

 

 

― ああ、またこの夢だ ―

 

 

少女は無数のナイフを盾のように広げ、「何か」からの攻撃を受け流す

 

ギュアァァァァァッァ!!!

 

ナイフの盾は回転ノコギリのように回転し、「何か」を切り裂いた

聞くに堪えない絶叫をあげ、その「何か」は消えた

ドス黒い返り血を浴びた灰色の少女を残して・・・・

少女が振り向く

 

「美佐子・・・・・恨むわよ」

 

輝くような翡翠色の髪をドス黒い血に染めた少女が光の無い瞳で「彼女」を見つめる

 

 

― 嫌・・・それ以上言わないで ―

 

 

「こんなにもつらい思いをして戦っているのに・・・・あなたを助けてあげたのに」

 

 

― もう許して・・・・ ―

 

 

「何で私を突き放したの?何であの時逃げたの・・・」

 

 

 

「許して!!レミ!!!!!」

 

目を覚ますとそこは何時もの部屋

そこには彼女を責める血まみれの少女もいない

 

「シャワーを浴びたほうがいいかしら・・・・」

 

飾り気のない灰色のショーツとブラのまま、彼女はシャワールームに向かった

 

シャワーで寝汗を落す

時間は朝の9時を指していた

約束の時間は午後3時

朝食を食べるべきだろうが、食欲はない

 

「・・・・・」

 

警察から宛がわれた自室

ナイフなどの危険物は持ち込めないが、「コレ」はその特性から持ち込むことができた

彼女はクローゼットの奥に手を入れ、切れ込みを入れた聖書を取り出した

静かに封印を解き、切り抜かれた内部から一つの包みに手を伸ばす

 

ガサッ

 

湿気を通さない保管紙に包まれた物体を取り出した

これを見るのは10年ぶりだ

ましてや、事情を知らない第三者なら初めてだ

私はソレを小型のバックに潜ませると、「石島美佐子」と書かれた自室を出た

 

 

「魔法少女」

 

 

警察官がおおよそ真面目に取り組むべきではない事象

だが、現に私は中学生の時に「魔法少女」と出会った

魔法少女は・・・・私の親友 椎名レミだった

彼女は私を救い、そして失踪した

今また、あの日のようなことが発生している

 

「非行に走っていない少女達が、突然失踪する」

 

あの日の悪夢が追ってきた

だから、解決するのは私しかいない・・・・・

 

 

「ビストロ・タチバナ」

 

ここ、あすなろ市にある一軒の洋食屋が「彼」との会談場所だ

 

カラン!

 

猫の形をした鈴がなり、美佐子はその身体を滑り込ませた

尾行らしきものはなかったが、現職の警察官が探偵に会うことは許されることではない

カウンターには中年の男性が一人座っていた

 

「あなたが織矢さんですね?」

 

美佐子は中年に差し掛かった男に声を掛けた

 

「あんたが俺にメールを寄越したマッポか?」

 

男が鋭い眼光で美佐子を見る

 

 

― 私が警察だなんて言ってないはず ―

 

美佐子は内の動揺を隠しながら、静かに頷いた

 

「俺をパクリに来たわけじゃないんだろ?」

 

「ええ・・・依頼を頼みに来ました」

 

「日本じゃ、おとり捜査は違法と警察学校で習わなかったか?」

 

「これはあくまで私個人の依頼です。織矢さん、魔法少女って信じますか?」

 

刑事「石島美佐子」は織矢を見つめた

そこに偽りはありもしなかった

 

 

 

 

NGシーン

 

「鉄仮面の魔法少女」宇佐美真

 

その二つ名が示すように魔法少女となった真は鉄仮面を付けている

 

「と、いうわけで」

 

「何がと、いうわけなんですか?暁美先輩」

 

「作者の都合よ」

 

 

ここは宇佐美邸別館「マギカ・カルテット」本部

 

「前々から疑問に思っていたのよ。その仮面には覗き穴すらないのに真さんは普通に戦闘していることを」

 

「ああ、それは」

 

カポッ

 

「キュウベェに教えてもらったけど、この仮面は純粋な魔力の塊なんだそうで、被っていても仮面をかぶっているような違和感もありません。それに・・・」

 

銀の仮面の表面が波打つと、粘土細工のようにその形を変える

 

「こうして別人の顔と声に・・・・・ヒィ!!!」

 

真の目の前にはピンク色のウィッグを手にハァハァと荒い息を立てる暁美ほむらの姿だった

 

「まどかまどかまどかまどかまどか」

 

「ボ・・・僕はちょっとトイレに・・・」

 

真がドアノブに手を掛けた時だ

 

バチバチバチ!!!

 

「きゅっぷい!!!」

 

消えゆく意識の中、真が最後に見たのは青白い火花を放つスタンガンを手にした暁美ほむらの姿だった

 

 

「ここは・・・・?」

 

真が周りを見渡すと、別館の地下室のようだった

立ち上がろうとするが、椅子に縛り付けられているようで動くことさえままならない

 

「お目覚めかしら?」

 

「暁美先輩!これはどういうことですか!」

 

「私が渡す台本を読んだら解放してあげるわ」

 

真に分厚い台本が渡される

 

「まどかに言ってほしい言葉百選・・・・・?」

 

「さぁまずは、まどか式笑い声ウェヒヒからよ!」

 

 

その夜地下室からは「ウェヒヒ」という、謎の笑い声がいつまでも響いていたという・・・

 

「ウェヒヒ・・・・ウェヒヒ・・・・ウェヒヒ・・・・・」

 

「あぁん!いいわ!もっと蔑むように笑うのよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まどかのウェヒヒのものまねができない・・・
意外と難易度が高いよコレ

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